公認会計士が選ぶ主な転職先一覧!転職の理由や転職活動を行う際の流れ
「公認会計士ってどんな会社に転職することが多いんだろう?」
「会計士として将来のキャリアを考えたい。自分が将来選べるのはどんな選択肢?」
公認会計士として働いていて数年経てば、自分の将来のキャリアについて考える機会も多くなると思います。
転職や独立など様々な選択肢がありますが、逆に選択肢が多すぎると迷いも生じやすくなりますよね。
今回は公認会計士が選ぶ主な転職先や転職理由、そして転職先を選ぶ基準と転職活動の流れを解説します。
公認会計士の方で転職が頭に浮かんでいるけどまだビジョンが見えない方も、この記事を読めば進むべき道が見えてくるはずです!
1.公認会計士が選ぶ主な転職先
公認会計士が選ぶ主な転職先を10件ご紹介します。
- 財務会計系コンサルティングファーム
- 税理士法人・会計事務所
- 一般事業会社
- 監査法人
- 経営コンサルタント
- ベンチャー企業CFO
- 投資銀行
- FAS
- M&Aアドバイザリーファーム
- ファンド
転職先を選ぶ時にはまず選択肢の中から自分の希望に合う条件のものを見つけていきましょう。1つずつ説明します。
(1)財務会計系コンサルティングファーム
公認会計士が選ぶ1つ目の転職先は財務会計系コンサルティングファームです。
決算書の作成や連結決算、IFRS対応といった会計業務の適正化・効率化を支援したり、資金調達・キャッシュフロー/資金繰り最適化など、財務の改善を支援する業務を行います。
監査法人での経験が活かせる仕事で、転職者が多いです。
(2)税理士法人・会計事務所
公認会計士が選ぶ2つ目の転職先は税理士法人・会計事務所です。
会計事務所は法人あるいは個人に代わり、決算書作成、税務申告などを行うのが主な業務です。
また、定期的に顧客の企業を訪問し会計データを調べた後、決算書類を作成します。
会計と税務の知識を積むことで、独立も視野に入りやすくなるでしょう。
(3)一般事業会社
公認会計士が選ぶ3つ目の転職先は一般事業会社です。
福利厚生がよくライフワークバランスが取りやすいことから、公認会計士からの人気の転職先と言えます。
- 経理部
- 内部監査室
- 経営企画
一般事業会社への転職の場合は業務が配属される部署によって異なるので、それぞれ解説します。
#1:経理部
一般事業会社の経理部の場合は、会社内の会計士として働くことになります。
社内では登録された仕訳データが適正か確認したり、月次試算表を報告する業務を行います。
#2:内部監査室
一般事業会社の内部監査室の場合は、企業の内部監査を行います。
業務フロー内で不正が行われないか未然に防ぐように業務フローを整えたり、不正が実際に行われていないか監査する役目です。
#3:経営企画
一般事業会社の経営企画に配属された場合は、企業の経営戦略を決めて実行する、さらに経営の管理も行います。
経営方針を決めたり、目標の進捗を管理する部署なので多忙ですが、経営者目線を養えることから人気の職種です。
(4)監査法人
公認会計士が選ぶ4つ目の転職先は監査法人です。
監査法人から監査法人への転職も多く、よりレベルの高い大手の法人への移転を目指してキャリアアップをはかります。
例えば中小規模の監査法人からBig4への転職を目指し、既存法人ではできなかった大手企業の監査を担当して経験を積むことができるでしょう。
一方、大手から中小規模の監査法人へ転職するケースではより幅広い業務領域に携わることを目指して転職する方が多いです。
(5)経営コンサルタント
公認会計士が選ぶ5つ目の転職先は経営コンサルタントです。
会計や税務の目線だけではなく、経営者の視点を持って経営方針を決めたり事業の成長性を評価、分析するのが仕事。
報酬が高く、また経営者視点を学ぶチャンスとしてキャリアアップのための転職先として選ばれます。
(6)ベンチャー企業CFO
公認会計士が選ぶ6つ目の転職先はベンチャー企業のCFOです。
CFOとは財務最高責任者のことで、企業における財務戦略の立案・実行の責任者。
資金調達に欠かせない投資家に対してのアプローチや全社のコスト管理などがメインの仕事です。
(7)投資銀行
会計士が選ぶ7つ目の転職先は投資銀行です。
投資銀行とはM&Aの仲介、投資を行うほか、デューデリジェンスや株価算定といったM&Aに関連する業務を行います。
投資銀行での実務経験をもとにコンサル業務で独立する会計士も多く、将来のキャリアのために一度投資銀行を目指すケースが多いでしょう。
また投資銀行は非常に激務と言われていますが、その分やりがいと報酬が大きいのも特徴です。
(8)FAS
会計士が選ぶ8つ目の転職先はFASです。
M&Aにおけるデューデリジェンスなどのアドバイザリーサービスを提供・実施する会社を指します。
よりM&Aにフォーカスした職場であり、やりがいや面白みがあるという特徴があります。
経営者目線を養えることから、独立を目指す方にも人気の業界です。
(9)M&Aアドバイザリーファーム
会計士が選ぶ9つ目の転職先はM&Aアドバイザリーファームです。
M&Aにおける買収先/売却先の選定、M&Aの仲介、M&Aの交渉といった、M&Aに関連する全体の業務を支援する業界です。
業務量は多く、激務になりがちではありますが、成果報酬が設定されており高給であることから人気の職種です。
(10)ファンド
会計士が選ぶ10件目の転職先はファンドです。
ファンドでは、企業に対して投資を行い、投資先の経営支援を行って更なる高値で売却を目指すといった業務を行っています。
M&Aに関する実務経験が積めるだけでなく、投資先会社の経営管理も行うため、経営者目線を養える非常に特化された業界です。
採用の難易度は非常に高いですが、やりがいと面白味、また給料の高さもあり、チャレンジしてみる価値がある職業と言えるでしょう。
2.公認会計士が転職する理由とは
公認会計士が転職する3つの理由を紹介します。
- 収入を上げたい
- 労働時間が長すぎる
- 会計・監査以外のスキルや経験を積みたい
どうして会計士が今の職場から転職をしたいと思ったのか、共感する理由があればあなたも転職を考えるタイミングなのかもしれません。
1つずつ説明していきます。
(1)収入を上げたい
公認会計士が転職する1つ目の理由は収入を上げたいからです。
公認会計士の平均年収は992万円と言われていますが、勤務先や監査法人・事務所などの規模によって差があります。
現在の収入よりもさらに高い年収を得たい場合に、転職を感じる人が最も多いようです。
例えばコンサルティングファームファームは初年度から高給のところが多く、監査法人から年収アップとキャリアを積むためにコンサルティングファームファームへの転職をする人もいます。
今よりも年収を上げたいという理由で転職を考える会計士は多いです。
(2)労働時間が長すぎる
公認会計士が転職する2つ目の理由は労働時間が長すぎることです。
監査法人などは決算期は業務が深夜まで及ぶこともありますし、コンサルティングファームファームは出張があり、業務量も膨大なためかなりの重労働。
収入は良いのですが、ライフワークバランスが取りづらくなり心身に疲労を抱えることがあります。
結婚や出産によって仕事のスタイルを変化させるべきタイミングも来るでしょう。
そんな時に一般事業会社などライフワークバランスが取りやすい職場や、フリーランスとして会計事務所の非常勤になる会計士も多いです。
労働時間を短縮して私生活を充実させたい場合は転職も選択肢の1つでしょう。
(3)会計・監査以外のスキルや経験を積みたい
公認会計士が転職する3つ目の理由は会計・監査以外のスキルや経験を積みたい場合です。
資格取得後監査法人へ就職する会計士が多いものの、そのまま監査法人で働いていても会計・監査以外のスキルや経験を積むことはあまりできません。
その場合はより大手の監査法人やコンサルティングファームファーム、税理士法人へ転職して、監査法人だけでは扱えない範疇の業務を学びます。
FASやコンサルティングファームファームなら経営者目線を養えるでしょう。
税理士法人へ転職すれば税務の実務経験を積めます。
将来的に独立、または別の会社へ転職の足掛かりとして転職を選択する会計士は多いです。
3.公認会計士が転職先を選ぶ時の基準
公認会計士が転職先を選ぶ時の基準を5つご紹介します。
- 年収
- 労働時間
- 福利厚生
- やりがい
- 身に付くスキル・経験
転職を考える時に何を優先すべきなのか見えてこない場合は参考にしてください。
(1)年収
公認会計士が転職先を選ぶ時の1つ目の基準は年収です。
現時点の年収よりもさらに収入が良い仕事に就けば生活が楽になりますし、金銭的な不満は無くなるでしょう。
仕事のモチベーションの中でお金が占める割合が大きい場合は年収を基準にして転職先を選択してみてください。
(2)労働時間
公認会計士が転職先を選ぶ時の2つ目の基準は労働時間です。
年収が高くてもあまりにも仕事をする時間が長すぎるとプライベートな時間が取れず、心身ともに疲労が溜まります。
年収が多少下がっても適正な労働時間内で仕事が終わる職場を選び、仕事も私生活も楽しみたいと望むのは当然です。
自由な時間を楽しみたい、趣味が多く仕事は人生を楽しむ手段と考える人は労働時間を基準にして転職先を選ぶのも良いでしょう。
(3)福利厚生
公認会計士が転職先を選ぶ3つ目の基準は福利厚生です。
監査法人や会計事務所も福利厚生を充実させてきてはいますが、一般事業会社に比べて退職金の制度などは遅れています。
一般事業会社は各種手当や退職金制度、その他補助も充実しているところが多いです。
今の職場より福利厚生が充実している企業への転職をすれば、会社からの補助が受けられて退職後の安心感も増すでしょう。
(4)やりがい
公認会計士が転職先を選ぶ4つ目の基準はやりがいです。
仕事はお金のためと割り切ることもできますが、やりがいを持って挑める仕事の方が人生が充実します。
クライアントに感謝される、同僚と目標を達成するなど自分がこれまでの経験でやりがいを感じた瞬間を考えてみましょう。
同じようなやりがいを感じられそうな転職先を選ぶことで、より楽しみながら仕事をすることができます。
(5)身に付くスキル・経験
公認会計士が転職先を選ぶ5つ目の理由は身に付くスキル・経験です。
職場によって担当する業務は違い、それぞれの職場で積める経験が変わってきます。
監査法人一本で監査を極めるのも良いですが、将来的に独立やコンサル業を考えているなら経験が不足しますし、独立時の経歴から「経験不足なのではないか」とクライアントに不安を与えることも。
キャリア形成において必要なスキルや経験から転職先を逆算しましょう。
4.公認会計士の転職活動の流れ
公認会計士の転職活動の流れを簡単に解説します。
- 転職の目的を決める
- 転職のスケジュールを立てる
- 目的に応じた転職先を探す
- 求人情報を集める
- 求人に応募・面接を受ける
- 内定後に引き継ぎ作業
- 現在の勤務先への退職手続き
転職活動が初めての方はどんなスケジュールで動けば良いか困惑するはず。
そうならないために事前にステップを確認しておきましょう。
(1)転職の目的を決める
まずは転職の目的を決めましょう。自分が何のために転職するのかを決めて、そこから逆算して転職先を選んでください。
例えば将来コンサル業に就きたいが経験が足りないため、コンサルティングファームファームへの転職を希望するなど。まず最初に転職したい理由を考えてください。
(2)転職のスケジュールを立てる
次に転職のスケジュールを立てましょう。
今働いている勤務先の繁忙期と重ならない方がスムーズに退職できます。
また転職先の繁忙期をチェックして双方に都合の良い時期を選ぶとスムーズに転職・退職の流れが作りやすいでしょう。
(3)目的に応じた転職先を探す
最初に掲げた目的から逆算して転職先を探していきます。
労働時間が長すぎることが原因の場合は、求人票から残業代の平均時間が少なめな会社を探す、年収を上げたい場合は待遇面を確認しましょう。
(4)求人情報を集める
転職エージェントなどに登録をして求人情報を集めます。
希望の職種は絞り込めているはずなので、職種の中から条件に近い企業を更に厳選し、求人票の内容をチェックしましょう。
(5)求人に応募・面接を受ける
応募したい企業が決まったら求人に応募して、面接を受けましょう。
面接は平日に行われることが多いので、既存の勤務先に有給申請をするなど予定が被らないように注意が必要です。
面接後結果を待ち、内定が出たら転職活動が概ね終了します。
(6)内定後に引き継ぎ作業
転職先から内定がでたら退職届を提出し、スケジュールに合わせて引き継ぎを行いましょう。
引き継ぎ担当者の選任やマニュアル作成などを行い、スムーズに退職できるようにしてください。
(7)現在の勤務先への退職手続き
最後に勤務先との最終的な退職の確認を行い、退職日を迎えれば退職手続きが完了です。
名刺やIDカードなど返還すべき書類や物品を返しましょう。
あとは内定先への初出社日を待つだけです。
まとめ
今回は会計士の転職について紹介しました。
会計士は会計・監査の専門家ですが、キャリア形成の幅はかなり広く、会計の枠を飛び出して経営に関わるような重役に就くこともできます。
また独立する会計士も多く、そのステップのために転職を考える人も多いのです。
会計士の転職にはさまざまな理由がありますが、現状への不満や将来への展望を洗い出し、その上で転職先を決めていく作業は必須です。
会計士は企業からも歓迎される資格なので、自信を持って転職活動に挑んでください。
転職を決めたら手順を明確にしてスムーズに転職活動を始めましょう。
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