【未経験からM&A業界へ】事業譲渡仲介企業の業務内容や転職情報を解説

「事業譲渡仲介の事業に興味がある」
「将来事業譲渡仲介の仕事に転職したい」

近年「事業譲渡」というキーワードが日本経済において頻繁に聞きますね。

事業譲渡というのは、企業がもつ事業のすべてまたは、一部を別の企業に譲り渡すことをいい、事業売却とも言われています。

取引対象とされる「事業」には、一定の目的のために組織化された有形および無形の財産や債務、人材やノウハウ、取引先との関係など、あらゆる財産が含まれます。

本記事は事業譲渡仲介に関する基本情報や業界情報を解説します。

また、事業譲渡仲介に興味を持ち、将来そういった業界への転職を検討される方向けに、代表企業の紹介や転職事情も提供します。

事業譲渡だけでなく、M&A仲介の業界事情や基本情報など、詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。

2022.04.28

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1.事業譲渡仲介の業務

ここからは事業譲渡仲介の業務の基本についてを解説します。

企業が事業譲渡・譲受を検討する理由は多数ある中、仲介企業はそれぞれの事情に応じて業務を行います。

以下より主な業務内容の解説をします。

事業譲渡仲介の主な業務

  • 譲受企業の選定
  • 譲渡企業と譲受企業の各経営者同士の交渉
  • 基本合意の締結
  • デューデリジェンス
  • 取締役会の決議
  • 最終譲渡契約の締結
  • クロージング

(1)譲受企業の選定

企業より事業譲渡の仲介依頼がくると、仲介企業はその事業を譲受できる最適な企業を探します。

担当コンサルタントが譲渡企業側の条件に合う譲受企業を複数選んで提案し、譲渡企業はその中から交渉したい企業を選び、手続きをはじめます。

近年では、自社開発の全国ネットワークシステムや最新テクノロジーを活かした情報収集・分析ツールを活かし、マッチング率の高い譲受企業を選ぶ方法が多いです。

また自分で検索できるM&Aマッチングサイトも増えており、企業選定を自分たちで行うケースもありますが、コンサルタントは専門的な知識やノウハウをもって企業の選定を行い、より希望に沿った企業を見つけます。

直接企業の希望をヒアリングし、経営者の意思を理解できるようになることも重要です。

(2)譲渡企業と譲受企業の各経営者同士の交渉

譲受企業が決定したら、次に各企業の経営者同士の交渉をはじめます。

事業譲渡には会社がすべての事業を譲渡する「全部譲渡」と一部のみを譲渡する「一部譲渡」の2つがあります。

それに応じて、譲渡手続きから実行までにかかる時間や費用も異なります。

事業譲渡の場合、何を譲渡の対象とし、どんな条件や取引金額があるのか、詳細を交渉して決定する必要があります。

担当コンサルタントや専門家は交渉の場を設ける役割を担い、譲受企業が差し出す条件に譲受企業が応じるか、また譲受企業が求める事業譲渡であるか、双方が公平な交渉ができるようにします。

(3)基本合意の締結

交渉で譲渡・譲受企業の意向が問題なく一致したら、M&A対価の概算や対象企業の役員の処遇など、基本的な条件のすり合わせを行います。

そこで提示されたある程度の条件が揃えば、その時点での双方の合意事項の確認を書面(基本合意書)によって行います。

主な合意事項は以下のようになります。

基本合意書の主な事項

  • スキーム(取引対象事業)の概要
  • 譲渡価格の概算
  • 譲渡実行までのスケジュール
  • 買収監査の実施
  • 役員の待遇
  • 保証債務の解消等
  • 独占交渉権の付与
  • 秘密保持義務の設定
  • 一般条項

コンサルタントは交渉内容やスケジュールなどの認識を明確にし、スムーズに今後の交渉も進められるよう、基本合意の締結を図ります。

(4)デューデリジェンス

基本合意の締結を経た後は、公認会計士や税理士など士業専門家の立ち合いのもと、譲受企業が譲渡対象事業の財務や税務内容を調査します。

それをデューデリジェンスといい、買収監査のことを指します。

事業リスクや財務状況などが、事前に譲渡企業から提示された情報と齟齬がないかを確認した上、最終的な買収価格や条件の決定、買収するかどうかの判断材料になります。

中堅中小企業の場合、2~3人の公認会計士などがが数日間かけてコンサルタントと連携しながら行うといわれています。

会社の内部に他人が入ってきて調査されるため、譲渡企業が不愉快な思いをすることもあり、仲介担当者は双方の企業がストレスと負担を減らせるよう、スピーディかつ正確な対応力が必要となります。

(5)取締役会による決議

事業譲渡契約を実行するには、双方の企業の取締役会の承認が必要となります。

取締役会の決議で事業譲渡の条件や買収価格などの詳細を明らかにしておき、そこで取締役の過半数以上の承認を得ることが最終譲渡契約の段階前に必要です。

コンサルタントは企業どちらかが譲渡・買収契約を白紙に戻す恐れがないよう、慎重に行動し、スムーズに進行できるようにしなければなりません。

(6)最終譲渡契約の締結

デューデリジェンスで問題がなければ、事業譲渡の買収価格や条件など、双方の企業間の最終的な合意確認が行われます。

仲介担当者はこれまでの譲渡手続きでの交渉で確定した内容をすべて含む最終契約書の作成をします。

基本合意との違いは法的拘束力の有無になります。

もし企業のどちらかが最終契約書の内容に違反し、一方の企業に損害を与えてしまった場合は、違反をした企業に損害賠償請求ができるという法的拘束力を持つ契約となります。

契約締結前に双方の企業に齟齬などがないか、仲介担当者は確認します。

(7)クロージング

最終譲渡契約が締結されれば、事業譲渡の実行が本格的にスタートします。

事業譲渡では、譲渡される資産や債務、権利義務などを個々に移管手続を行い、仲介担当者の承認を得ながら進めていく必要があります。

そのため一定の日付でクロージングするものではなく、時間をかけて最終譲渡契約の締結を進めることがあります。

仲介担当者は双方の企業が時間や費用の負担をかけすぎないよう、スピーディな対応をすることが大事です。

2.事業譲渡仲介業界の転職事情

他の業界では自分のやりたいことができない理由を考える

ここからは、事業譲渡仲介の転職事情について紹介します。

具体的な内容は以下のように、業界市場の動向や採用傾向、業界未経験の採用内情についてになります。

事業譲渡仲介の転職事情

  • 事業譲渡仲介企業の市場
  • 採用率の上昇傾向
  • 業界未経験者の採用

(1)事業譲渡仲介企業の市場

経営コンサルタントの企業別平均年収ランキング

事業譲渡を含め、M&Aや会社売却が行われる件数は近年増えてきています。

企業が事業譲渡・譲受を検討する目的は、主に以下のような内容が挙げられます。

事業譲渡・譲受を検討する目的

  • 譲渡企業側
  1. 不採算事業を譲渡し、事業の立て直しを図るため
  2. 資金を調達し、新たな事業やSPC(特別目的会社)を立ち上げるため
  • 譲受企業側
  1. 事業拡大や新規ビジネスなど企業成長を図るため
  2. 法人税の税金課税対策を図るため

上記はあくまで一例であり、他にも多様な目的はありますが、取引対象を選べることやリスク回避ができるメリットがあることから事業譲渡を選ぶ企業が年々増えています。

事業譲渡を成功させるためには、専門的な知識や正確な動向の把握、状況に合わせた交渉力など、さまざまな要素が必要です。

その需要に応じて、交渉先探しから・交渉・クロージングまでの一貫したサポートを行うことができる仲介企業の数が増えてきています。

最近では製造業や不動産業、建設業など業界別にクライアント対応できるよう、仲介企業の組織体制が行われています。

(2)採用率の上昇傾向

事業譲渡仲介企業の採用傾向について触れていきましょう。

事業譲渡を含むM&A業界は、最も年収の高い業界の一つということから人気な業界で、営業能力の高さや、経営者との交渉が得意な方を中心に採用する傾向があると言われています。

また、先述したように各業界に応じてクライアント対応をできるよう、業界別の専門コンサルティングチーム体制をつくる仲介企業が増えています。

そのため、チームの専門性に応じたコンサルタントやアナリストの募集など、緻密な採用活動を行う企業が増えてきています。

事業譲渡仲介を行う企業でも、各業界のクライアントがもつ事業に関する専門的なノウハウや知識を理解できる人材を積極的に募集しており、業界別の実績を増やそうとする傾向があると思われます。

(3)業界未経験者の採用

結論から言いますと、事業譲渡仲介の企業は、業界未経験者の採用も積極的に行っていると言われています。

採用側が重視しているのは、主に以下の内容であると言われています。

事業譲渡仲介企業が重視している採用ポイント

  • 事業譲渡をする上での論理的思考力
  • 財務や税務関連の知識や経験
  • 経営者との交渉や提案をスムーズに対応する力
  • 事業譲渡によるシナジー効果やリスク管理などの課題発見力

いずれも事業譲渡仲介を行うものの基本的なスキルであり、これらのスキルを前職で活かし、実績がある方であれば、業界未経験の方でも採用される傾向があるでしょう。

実際に銀行・証券会社や保険会社、不動産や総合商社の営業担当など、営業に強みを持つ企業出身者で、未経験からの転職成功したという方が多いと言われています。

業界未経験という方は、前職で活かしたスキルの中で、特に上記の内容をどのように仕事に活用し、成果を出したのということを面接官にアピールすることが重要になってきます。

ここまでの内容を読み、事業譲渡仲介業界へ転職する人の傾向や、未経験者の転職成功のポイントなど、さらに詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。

2022.04.28

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3.事業譲渡仲介を行う企業2選

ここからは、将来事業譲渡仲介の代表企業の紹介をします。

事業譲渡仲介の行う代表企業

  • 株式会社M&A総合研究所
  • 株式会社ストライク
  • ユニヴィスグループ

企業概要のみならず、転職を検討される方に役立つ採用なども解説しておりますので、ぜひご覧ください。

(1)株式会社M&A総合研究所

株式会社M&A総合研究所は2018年10月に設立された、中小企業の後継者不足などの社会問題解決をM&A手法を通じて貢献することを軸とした企業です。

M&A仲介事業をメインに、国内最大級のM&A情報発信メディア「M&A総合研究所ポータル」と「M&A総合研究所マガジン」の運営事業を行い、M&A業界のプロ組織を目指しています。

公式サイトによると、住宅・不動産・建設業界を中心に2020年時点で年間問い合わせ件数5000件もの多種多様な業界企業の事業譲渡の実績があります。

株式会社M&A総合研究所では、独自のデータベースから過去のM&Aデータを解析して、DX化やAIシステムなどのテクノロジーを活用した、「マッチングする可能性が高い企業」の分析・選出を行います。

これらの機能によって、効率の良い営業力をもっていることで有名な企業です。

譲渡企業に対しては完全成功報酬体制を構築しており、実績やスキルが高い優秀な人材が集結していると言われています。

企業名株式会社M&A総合研究所
代表者名佐上 峻作
本社所在地〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館17階
設立日2018年10月
資本金6.1億円

採用公式サイトによると、募集職種の基本情報(仕事内容・福利厚生など)のほか、部署・入社年別の年収例の情報も公表されています。

採用選考で重視されているポイントは、以下のようなスキルが求められています。

採用選考で重視されるポイント

  • 論理的思考力や営業力など、コンサルタントとして必須の基本的スキル
  • 熱意をもって、経営者の立場になって行動すること
  • 予想できない問題にも対応できること
  • 最先端のIT技術を活用した業務にも適応できること
  • 完全報酬体制という組織体制の中、ポジティブシンキングに行動すること
  • 複数の担当案件にも意欲的・スピーディに対応できること

面接は基本3回目安で行われており、上記の企業が求める人物像であるかをしっかりアピールすることが重要になります。

(2)株式会社ストライク

株式会社ストライクは、M&Aに特化したのスペシャリスト企業で、コンサルタントのほか、公認会計士や税理士などの士業専門家や金融機関出身者が多く在籍していることで有名な企業と言われています。

また、全国の会計士・税理士事務所、金融機関との連携や、独自のM&A市場“SMART”を活用して、M&Aや事業譲渡を検討するクライアントの最適なマッチング方法を図っています。

ストライクではM&Aの中でも、成長加速型・事業承継型・経営支援型などM&Aコンサルティングの細分化された事業を提供しており、クライアントの要望に応じて各担当者が対応することが考えられます。

公式サイトによると、医療・小売・教育・住宅業界の実績が多数あり、同業の譲受企業に限らず、異業の譲受企業への事業譲渡の成約実績も過去に見られます。

企業名株式会社ストライク
代表者名荒井 邦彦
本社所在地〒100-0004
東京都千代田区大手町1丁目2番1号 三井物産ビル15階
設立日1997年7月
資本金8.2億円

採用公式サイトによると、M&A業界未経験の募集も積極的に行う中、新規法人営業経験や金融業界などでの提案営業経験、財務会計に関する知識があるものが優遇されています。

また、未経験の方でも安心して働くことができるよう、徹底した研修サポートプログラムやシステムが募集要項にて具体的に記載されています。

採用選考で見られている主なスキルは、論理的思考力などコンサルタントの基本的スキルや営業力などのほか、以下の内容を特に重視されています。

採用選考で重視されるポイント

  • 高い対人能力を持っていること
  • 実力主義社会が強い中、自発的に業務に取り組めること
  • 責任感をもって、業務を進められること

面接は基本2回あり、1次面接と同時に適性検査も行われます。

M&Aの一連の業務を成約するまで仲介担当者が専門家と連携しながら遂行します。

責任感をもってイチから最後までクライアントのために行動できることや、自身の成果をより多く積み重ねていく意欲などを面接でしっかりアピールしましょう。

(3)ユニヴィスグループ

会社名ユニヴィスグループ
設立2014年
特徴・M&A仲介・デューデリジェンス・バリュエーション・PMIの一気通貫の提案が可能
・公認会計士、弁護士といった幅広い専門家がグループに在籍
公式HPhttps://univis.co.jp/

ユニヴィスグループは事業譲渡を伴うM&A仲介を行っています。

単なる企業間のマッチングのみではなく、バリュエーション、デューデリジェンス、PMIといった工程を一気通貫で行うことができます。

また、グループにはコンサルティングファームや弁護士法人なども所属しており、M&A仲介を様々な観点からサポートできることも強みです。

M&A未経験の方であっても採用エントリーができますので、興味のある方は公式採用サイトをご覧ください。

また、本記事で挙げた3社のほか、M&A仲介の代表企業や業界の概要について詳しく知りたいという方は、以下の記事もお読みください。

2022.04.28

【2023年10月最新】M&A仲介への転職を徹底解説!未経験からM&A仲介に転職するためのコツを紹介

まとめ

ここまで事業譲渡仲介に関する情報を、複数の視点から紹介してきました。

事業譲渡仲介の企業では、コンサルタントが士業専門家と連携して、企業の選定~成約・クロージングまで一貫して行います。

さまざまな社会問題や企業が抱える課題によって事業譲渡を検討される企業が近年増えると同時に、その解決をサポートする仲介企業も増えていると言われています。

企業がもつ課題の細分化・複雑化に対し、高い専門スキルやノウハウをもつ人材の募集が行われ、業界未経験の方でも企業が求めるスキルをもつ人材の積極的な採用も増えてきているといわれています。

事業譲渡の仲介企業の需要は今後も伸びていき、転職の人気度も増していくでしょう。

転職を検討している方は、ぜひ本記事を参考に、今後の自身のステップアップに活かしていただきたいです。

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