”最強のプライベート・エクイティ”『ブラックストーン・グループ・ジャパン』の転職動向・待遇

「業界でも人気のブラックストーンって転職難易度が高い?」
「ブラックストーンの年収ってどれくらい?」

”最強のプライベート・エクイティ”との呼び声も高いブラックストーン・グループは、投資家・投資先企業、地域社会にプラスの経済的影響と長期的な価値を生み出すことを目指して投資を行っている世界屈指のプライベート・エクイティファンドです。

その日本オフィスであるブラックストーン・グループ・ジャパンでは成長市場と位置付ける日本企業への積極的な投資を背景に、これまでになく採用数を増やしています

そこでここでは、米投資ファンドの御三家の1つであるブラックストーン・グループとその日本拠点であるブラックストーン・グループ・ジャパンの概要や待遇、転職動向を解説します。

世界最大規模のプライベート・エクイティファンドで活躍したいという方はぜひご覧ください。

1.ブラックストーン・グループの概要

ブラックストーン・グループとはどんなPEファンドなのかを解説します。

ブラックストーン・グループの概要

  1. ブラックストーン・グループの歴史
  2. ブラックストーン・グループ・ジャパンの特長と実績

プライベート・エクイティファンドに興味があるなら絶対に押さえておきたいブラックストーンについて、より詳しく知りたい方は必見です。

(1)ブラックストーンの歴史

KKRやカーライルとともに米投資ファンドの御三家のひとつとされる世界最大のオルタナティブ資産運用会社ブラックストーンは、運用資産総額1,300億ドル、投資可能資産400億ドルを保有する世界最大級の投資ファンドです。

1985年、リーマン・ブラザーズを退職したスティーブン・シュワルツマン氏と彼の上司だったリーマン会長兼CEOのピーター・G・ピーターソン氏によってニューヨークに設立されました。

ちなみに、『ブラックストーン(黒い石)』の名称は、ドイツ語で「黒(ブラック)」を意味する創設者であるスティーブ・シュワルツマン氏のSchwarzと、ギリシャ語で「石(ストーン)」を意味するピーター・G・ピーターソン氏のPeterという二人の名から付けられています。

ブラックストーンは当初はブティック型の投資銀行を目指していましたが、1987年から本格的にプライベート・エクイティ事業に進出して成功をおさめ、現在も巨額の資金を背景に様々な投資案件を手掛けています

ブラックストーンを一躍有名にしたのが約260億ドルにも及ぶアメリカ大手ホテルチェーンのヒルトンホテルズの巨額買収であり、それ以降もニールセン、フリースケール・セミコンダクタなど世界的に有名な企業に次々に投資を行っています。

また、2007年にニューヨーク証券取引所へ上場した際、中国の国有投資会社 (CIC)が30億ドルの非議決権株式を取得したことでも話題となりました。

ブラックストーン・グループが投資を行った企業はすでに140社を超え、その事業規模は世界中にわたり、現在ではアトランタやロンドン、パリ、ドバイ、上海など世界各地の24の拠点に2000人を超える従業員を擁し、現在で最も大きな上場株投資会社の1つとなっています。

また、ブラックストーンは投資先について産業・地域・取引構造・取引規模等に制限を設けておらず、これまでに設立した7本のプライベート・エクイティ・ファンドのうち6本は特定の産業に特化することのない一般的な投資ファンドとなっています(残りの1本はメディア及び通信事業への投資に特化したファンド)。

このように柔軟性のある事業体制・投資を維持することを方針とし、条件が揃えばどんな取引案件にも対応できる順応性がブラックストーンの最大の強みと言えるでしょう。

また、ネガティブな投資行動を行うハゲタカファンドとは大きく異なり、友好的な取引のみを行い、優秀な経営陣と協力することで投資先企業の成長のサポートを行うことと合わせて、ESG(環境・社会・企業統治)に積極的に取り組むファンドとしても知られています。

ESGの対象範囲のなかでもブラックストーンが優先しているのが、脱炭素化、多様性の促進、ガバナンスの向上です。

その一環として、「多様な人材がいるチームがより力強い企業を形成する」というポリシーのもとで2022年に世界の投資先企業および不動産物件において全世界で2000人(うち米国で1500人)を採用する方針を明らかにするなど、ESGを一層重視するブラックストーンの真摯な姿勢が多くの投資家を引き付けています。

また、日本には2007年に東京オフィスとなるブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社を創設し、2018年から日本国内でも話題となる投資を行っています

会社名ブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社
種別プライベート・エクイティファンド
本社所在地東京都千代田区丸の内2丁目4番1号丸の内ビルディング10階
代表者シニアマネージングディレクター プライベート・エクイティ日本代表 坂本篤彦
設立2007年10月1日
資本金不明
売上不明
純資産不明
従業員不明(数年のうちに70人程度の体制になる予定)
事業内容企業の事業再編・再構築を支援するプライベートエクイティファンド運営会社
ホームページhttps://www.blackstone.com/jp/
沿革
  • 2007年 東京オフィス設立
  • 2019年 あゆみ製薬に投資
  • 2021年 武田薬品に投資

(2)ブラックストーン・グループ・ジャパンの特長と実績

FAS

ブラックストーン・グループ・ジャパンは、2007年にオフィスが開設され、日本国内への投資は2018年から開始しています。

これまでの投資数としてはそれほど多くありませんが1つ1つが大規模であり、コロナ禍を背景にして成長が期待できる企業に積極的に投資を行っています。

特に力を注いでいるのがヘルスケア領域であり、2019年に解熱鎮痛薬カロナールで有名なあゆみ製薬を、2021年には武田薬品工業の一般用医薬品(大衆薬)を手がける完全子会社の武田コンシューマーヘルスケア(TCHC)を買収しています。

企業名
業種
投資時期
投資金額
あゆみ製薬ヘルスケア・介護2019年04月約1,000億円
JCレジデンシャル建設・不動2021年01月不明
武田コンシューマーヘルスケア(TCHC)ヘルスケア・介護2021年03月約2,420億円

企業価値を上げる支援力の高さに定評があり、ブラックストーン・グループ・ジャパンが携わった投資先企業はもれなく目覚ましい成長を遂げています

例えば、2019年のあゆみ製薬の投資では、従来のカロナールの製造販売に加えてバイオ医薬品の後発薬で高い成長が期待できるリウマチ患者向けのバイオシミラーの立ち上げのサポートを行っていますが、買収時点で15億円であったバイオシミラーの売上を2021年3月期には60億円超まで成長させるなど高い企業支援力・企業価値アップ力があることを数字で証明しています。

また、日本の今と未来を見据えた投資を行うPEファンドとして高い信頼を寄せられているブラックストーン・グループ・ジャパンは、今後3~5年の間に日本国内で最大5,000億円を投資する方針と発表しています。

2.ブラックストーン・グループ・ジャパンの待遇

次に、ブラックストーン・グループ・ジャパンの待遇について見ていきましょう

ブラックストーン・グループ・ジャパンの待遇

  1. ブラックストーン・グループ・ジャパンの平均年収
  2. ブラックストーン・グループ・ジャパンの社風・社内環境・福利厚生

ブラックストーン・グループ・ジャパンの年収や待遇を見れば、ますます同社への転職意欲が高まることでしょう。

次に1つずつ解説していきます。

(1)ブラックストーンの平均年収

ブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社の平均年収について公開されている情報は残念ながらありません。

PEファンドでは基本的には非公開求人であり、各々の実績を鑑みて年収がオファーされる形になります。

あくまで目安になりますが、若手層での採用の場合、年収はベース1,000万円~2,000万円にキャリーが加わる形で提示されるケースが多いようです。

PEファンドの報酬体系は、ベース(年俸)+キャリー(成功報酬)となっており、案件次第で計り知れない報酬を得ることができます。

また、同じプライベート・エクイティファンドに勤めていても、関わった投資案件数や規模、成果や貢献度など人によって年収に大きな差が生まれます。

関わった投資が成功すれば上記に追加して数千万円から多い時で億のキャリーが支払われることもありますが、成果を出すことができなければ基本給程度となることもありえます。

つまり、ブラックストーン・グループ・ジャパンへの転職後の年収は実力次第ではるかに高い年収を得るチャンスが誰にでもあるというやりがいのある職場と言えるでしょう。

(2)ブラックストーン・グループ・ジャパンの社風・社内環境・福利厚生

ブラックストーン・グループ・ジャパンは外資系らしさを強く感じられるプライベート・エクイティファンドです。

まず、ブラックストーンは、業務や学びの機会が多く設けられており、業務においては主導権を与えられメンバーが伸び伸びと仕事に携われる社風が形成されています。

また、会社のベースに起業家精神があるので、チャレンジングな提案がしやすい風通しの良い職場環境でもあります。

また、男性が圧倒的に多いこの業界では珍しく女性従業員比率が世界全体で41%と多く、産休や育休や生理休暇など休みも取得しやすい環境であるため、女性が働き続けやすい職場・キャリアを積みやすい職場です。

女性であっても求められる仕事の水準は男性同様に高いことによるプレッシャーはあるとはいえ、ワークライフバランスやライフプランを考えながら女性が働くには理想的な職場といえるでしょう。

また、ブラックストーン・グループ・ジャパンは成果・実績次第で内部でちゃんと昇進できる制度が整っていることを評価するメンバーも多く、全体的に働きやすい職場といえるでしょう。

3.ブラックストーン・グループ・ジャパンの転職動向

努力を惜しまない向上心がある

気になるブラックストーン・グループ・ジャパンへの転職動向について解説します。

ブラックストーン・グループ・ジャパンの転職動向

  1. ブラックストーン・グループ・ジャパンの転職状況
  2. ブラックストーン・グループ・ジャパンの転職情報
  3. 業界未経験からでも可能か

プライベート・エクイティファンドへの転職は概して難易度が高いといわれていますが、「日本での投資に力を入れる」と公表しているブラックストーン・グループ・ジャパンへの転職は今がチャンスです。

次に1つずつ解説します。

(1)ブラックストーン・グループ・ジャパンの転職状況

ブラックストーン・グループ・ジャパンの転職難易度は非常に高いですが、今が狙い目です。

現在在籍しているメンバーは中途採用者がほとんどで、彼らのキャリアを見るとゴールドマンサックスなど超一流の銀行やコンサルティング会社、リップルウッドやベインキャピタルといった超有名・グローバル展開をしているプライベート・エクイティファンドなどの錚々たる経歴を持つメンバーばかりです。

一人ひとりが高い能力を持つ少数精鋭のプロフェッショナル集団であるため、ブラックストーン・グループ・ジャパンはプライベート・エクイティファンド業界の中でも狭き門として知られています。

しかし、日本を成長市場と位置付けているブラックストーン・グループでは東京オフィスでの採用を強化すると発表しており、2022年の採用者数は予定も含めてすでに18人、直近5年間で3倍の約70人へと拡大予定です。

もともと採用数が少ない上にビジネスエリートの転職希望者が集中することで難易度もトップレベルであったブラックストーン・グループ・ジャパンですが、ここ数年は門戸が大きく開かれ大きなチャンスとなっています。

ぜひブラックストーン・グループ・ジャパンに興味がある方はチャレンジしましょう。

(2)ブラックストーン・グループ・ジャパン転職情報

ブラックストーン・グループ・ジャパンは採用者を増やすと発表していますが、具体的な転職情報について日本のサイトでは公開されていません。

しかし、企業の公式LinkedInによると、ブラックストーン・グループでは東京を拠点とするビジネスファイナンスチームに参加するアシスタントバイスプレジデント(AVP)候補者を募集しているようです。

職種職務内容
アシスタント バイス プレジデント(AVP)
  • 買収、投資先企業の管理、ダイベストメントに関するディール チームをサポート
  • 買収機会のための財務デューデリジェンスプロセスの主導/支援
  • 取得および処分活動に関する取引文書のレビュー
  • 内外の税務および法律顧問と協力して、投資構造化および事業体設立プロセスのサポート/調整
  • 資金調達、本国送還、および分配のための資金フロー ファイルの準備とレビュー
  • SPVの月次管理会計レビュー、四半期毎の分配金・資金分析、バリュエーション(NAV)、年次財務諸表(JGAAP、IFRS)等の月次・四半期・年次報告業務担当
  • サービスプロバイダーおよび監査人と連携し、監査に関する調整
  • ブラックストーンのさまざまなプラットフォーム企業や JV パートナーとの緊密な連携
  • クロージング後の投資/資産管理チームによる投資スタートの支援
  • 投資先企業の財務機能の推進と形成を支援
  • 新製品の開発、製品の発売、継続的な運用、報告に関連する財務ワークストリームについて社内外の利害関係者と協力
  • 四半期ごとの評価プロセスに重要な情報を提供する責任を負う
  • さまざまなテクノロジー、データ、およびプロセス改善イニシアチブの支援
  • アジアの他の地域事務所と緊密に連携
  • アドホックなリクエスト/プロジェクトの支援 等

AVPの採用の条件として、かなり細かい条件が挙げられています。

ブラック・ストーン・ジャパン AVP採用条件

  • 英語と日本語のバイリンガル、会話と文章の両方に堪能
  • 強力なパートナーシップスキルと優れたコミュニケーションスキルを備えた積極的な行動力
  • チームプレーヤー-グローバルおよび地域のチームフレームワーク内で効果的に運営およびコミュニケーションする能力
  • コーチングと建設的なフィードバックを受け入れる自発性と意欲が重要
    優れた分析力と細部へのこだわり
  • 本質的に好奇心旺盛でプロセスの変化を促進することにオープンなキャラクター
  • MicrosoftOfficeの高度なスキル(MSExcel、MSPowerPoint、MSWord)など

また、Big4会計事務所、プライベート・エクイティ会社、金融機関や銀行で7年以上の経験を持つ有資格の会計士や、取引アドバイザリー・実行サポートの経験がある方が優遇され、プライベート・エクイティファンドのインバウンド投資ストラクチャーの経験や海外勤務経験も有利となるようです。

募集条件もかなり厳しくハードルが高くなっていますが、ブラックストーン・グループのグローバル人事責任者のペイジ・ロス氏が採用で重視する適性として「知的探求心」を挙げた上で「一番重要なのは感じのいい、ナイスな人であることだ」と述べていることから、ブラックストーン・グループ・ジャパンの中途採用ではスキル・キャリアに加えて人間性・人間的魅力も重視する傾向にあるようです。

最高レベルの誠実さと専門家としての行動で業務を遂行することが求められるブラックストーン・グループのメンバーになるには、立派なキャリアと同レベルで、投資先企業のトップや弁護士・公認会計士などの専門家、ステークホルダーなど多くの人に信頼されるビジネスを展開できる人材であることが重要と考えて良いでしょう。

前述のようにブラックストーン・グループ・ジャパンの求人情報は日本では公開されていないため、まずはLinkedInでの検索もしくは非公開案件を数多く取り扱うハイクラス向けの求人情報の多い転職サービスや転職エージェントに登録するなど、広くアンテナを張って求人情報を得るようにしましょう。

(3)業界未経験からでも可能か

ブラックストーン・グループ・ジャパンへの転職はプライベート・エクイティ業界未経験からでも可能ですがかなり厳しいといえるでしょう。

しかし、現在活躍しているメンバーのほとんどが世界有数・国内トップクラスの投資銀行や戦略コンサルティング・FAS系ファーム、M&Aアドバイザリーファームなどの出身者であり、彼らと同レベルで働ける人材を求めているため、相応のキャリア・スキルがあればプライベート・エクイティ業界未経験でも可能性はあります。

ただ、投資先企業に対する事業分析や財務分析に関するハードスキルは必要不可欠であることは言うまでもなく、M&Aに関する法務や税務や経営の知識、さらに投資先企業のトップと円滑で強固な信頼関係を結べる人間性やコミュニケーション能力、リーダーシップも必要です。

また、海外進出を考えている日本の投資先企業も増え、ニューヨークの本拠地とのやり取りも頻繁に行っているため、高い英語力も欠かせません

実践的な英語力の目安として、外資系金融にエントリーする人のTOEICの平均スコア870点と同程度かそれ以上の英語力があるとよいでしょう。

日本での採用を増やす見込みとしているブラックストーン・グループ・ジャパンへの転職は今が最大のチャンスです。

プライベート・エクイティ業界に興味があり、上記のようなキャリアやスキルがある人は、ぜひブラックストーンに挑戦してみましょう。

まとめ

グローバルトップ3に入るプライベート・エクイティファンドのブラックストーン・グループは、投資先企業の成長をサポートするだけでなく、日本の社会・産業を活性化することにも関わることができる魅力的で良心的なプライベート・エクイティファンドです。

世界中で顧客満足度の高い投資を誇るブラックストーン・グループでの経験は今後のビジネスパーソンとしての大きな財産となるのは間違いありません。

ここ数年は採用数も増やすと発表がしているブラックストーン・グループは今が狙い目です。

ぜひブラックストーン・グループ・ジャパンへの転職にチャレンジしてみましょう。

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