【マネージャーの年収】コンサルの専門分野別マネージャーの年収比較
「コンサルのマネージャークラスになると年収はどれくらい?」
「マネージャーの年収と業務内容を知りたい」
転職市場でも仕事のやりがいと高年収で人気の高いコンサル業界ですが、コンサルタントの仕事をするならばコンサルティングファームで一目置かれるマネージャー職は最初の目標に設定すべきタイトルです。
自分でプロジェクトを率いてまとめるマネージャーのポジションは前ポジションとは比較にならないほどの高年収が得られるだけでなく、コンサルタントの仕事の面白さを存分に味わえる魅力的なポジションと言えるでしょう。
そこでここでは、コンサルティングファームのマネージャーの平均年収を、マネージャーの業務内容やマネージャーに昇進するために必要な3つのスキルと合わせて解説します。
コンサルタント業の面白さをたっぷり味わいながら成長機会も数多く得られるマネージャーを目指す人はぜひご覧ください。
1.コンサルティングファームのマネージャーの年収比較
コンサルティングファームのマネージャーの年収の相場を見てみましょう。
- コンサルティングファームのマネージャーの年収比較
- 専門分野別マネージャーの年収比較
高年収といわれるコンサル業界のなかでも、昇進で一気に年収が上がるだけでなく、人によって差がついてくるのもこのマネージャーのポジションからです。
次に1つずつみていきましょう。
(1)コンサルティングファームのマネージャーの年収比較
コンサルティングファームのマネージャーの年収は、一般的に900~2,000万円程度といわれています。
マネージャーの年収はファームの専門分野によっても異なってきますが、業績賞与を除いた最低ラインとなる固定給与の平均額だけをみてもかなりの高水準です。
専門分野 | ベース給(推定) | 賞与(推定) | コンサル歴 |
戦略系 | 1,300~2,000万円 | 固定給の30% | 3年~ |
総合系 | 1,000~1,400万円 | 固定給の10~20% | 3年~ |
IT系 | 1,000~1,400万円 | 固定給の10~20% | 2年~ |
組織・人事 | 800~1,200万円 | 固定給の10~20% | 2年~ |
マネージャーとなると、これまでのデリバリーの業務に加えてプロジェクトの現場管理者としてのマネジメントの業務や、依頼を獲得してくるセールス(営業)の業務、さらには新入・中途の入社面接、入社後の指導・教育といった人材育成業務など様々な業務を担うことになるため、前のステージであるコンサルタントの時と比べると一気に年収がアップします。
また、セールス(営業)で大きな売上を上げればインセンティブも加わるため、マネージャークラスになると人によって大きく年収が変わってくるといわれています。
(2)専門分野別マネージャーの年収比較
次に、転職市場でも人気の高いコンサルのマネージャーの年収について、ファームの専門分野別にみていきましょう。
- 戦略系コンサルのマネージャーの年収比較
- 総合系コンサルのマネージャーの年収比較
- IT系コンサルのマネージャーの年収比較
- 組織・人事系コンサルのマネージャーの年収
- シンクタンク系コンサルのマネージャーの年収比較
同じコンサル業界のマネージャーといっても専門分野によって年収も異なるようです。
次に1つずつ紹介していきます。
#1:戦略系コンサルのマネージャーの年収比較
コンサル業界の中でも特に年収の高いといわれる戦略系コンサルティングファームのマネージャーの年収を見てみましょう。
外資系の戦略系コンサルティングファームで最高峰といわれる『MBB』やA.T.カーニーといったトップクラスの外資系戦略系コンサルのマネージャーの年収は、コンサル業界の中でも特に高額です。
企業名 | 年収(推定) |
マッキンゼー・アンド・カンパニー | 2,000万円~ |
ボストン・コンサルティング・グループ | 2,100万円~ |
ベイン・アンド・カンパニー | 2,000万円~ |
A.T. カーニー | 1,800万円~ |
ドリームインキュベータ | 1,200万円〜 |
経営共創基盤(IGPI) | 1,200万円〜 |
コーポレイト・ディレクション | 1,000万円~ |
P&Eディレクションズ | 1,000万円〜 |
マネージャークラスになると殆どの外資系・戦略系コンサルティングファームで年収2,000万円を超えるという高年収となっています。
一方、日系の戦略系コンサルティングファームのマネージャーも1,000万円越えとかなりの高年収です。
#2:総合系コンサルのマネージャーの年収比較
戦略やITから、実行、保守まで多くのサービスを提供している総合系コンサルティングファームのマネージャーの年収を見てみましょう。
世界トップクラスの4大総合系コンサルティングファーム『BIG4』コンサルを含めた総合系コンサルティングファームのマネージャーの年収は1,000万円を超えるところが多くなっています。
企業名 | 年収(推定) |
デロイト・トーマツ・コンサルティング | 1,200万円〜 |
PwCコンサルティング | 1,000万円〜 |
KPMGコンサルティング | 1,100万円〜 |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング | 1,100万円~ |
アクセンチュア | 1,000万円~ |
アビームコンサルティング | 1,000万円〜 |
ベイカレント・コンサルティング | 1,000万円〜 |
シグマクシス | 800万円〜 |
クニエ | 900万円~ |
国内の総合系コンサルティングファームのマネージャーの年収は外資系コンサルティングファームと比較すると少々控え目といわれていますが、総合系ではマネージャークラスであれば外資系も日系もあまり差が無いようです。
#3:IT系コンサルのマネージャーの年収比較
次に、近年成長著しいIT系コンサルティングファームのマネージャーの年収を見てみましょう。
企業名 | 年収(推定) |
ケンブリッジテクノロジーパートナーズ | 750万円〜 |
フューチャーアーキテクト | 800万円~ |
ウルシステムズ | 800万円~ |
ガートナージャパン | 1,200万円〜 |
DXやAIなど新たなテクノロジーの導入など独自の技術やノウハウを持ったIT系コンサルティングファームへコンサルティングを依頼する企業の増加により業績が年々アップしているコンサルが増えています。
ベース部分となる給与はとびぬけて高額とは言えませんが、多くの依頼を受けているIT系コンサルティングファームのマネージャーはそこに成果報酬が加わりかなりの高年収を得ている人も多いようです。
#4:組織・人事系コンサルのマネージャーの年収比較
企業の組織ビジョン・人事戦略の策定・人事制度構築や導入などクライアント企業の人と組織の変革を専門的に手掛けるコンサルティングを行う組織・人事系コンサルティングファームのマネージャーの年収も一般企業と比べると高水準です。
企業名 | 年収(推定) |
タワーズワトソン | 700万円~ |
マーサー・ジャパン | 700万円~ |
コーン・フェリー・ジャパン | 1,100万円~ |
リンクアンドモチベーション | 850万円~ |
ベース部分はそれほど高額とはいえませんが、成果主義人事や次世代リーダー育成だけでなく、グローバル人事戦略やM&Aによる組織統合、企業年金に関するコンサルティングなど企業の人事上のあらゆる問題に応える組織・人事系のコンサルティングニーズの高まりを受け、組織・人事系コンサルティングファームもIT系と同じく多くの依頼が集中し業績好調なファームが増えています。
組織・人事系コンサルティングファームもインセンティブの割合が高くなり、上記の数字を大きく超える年収を得ているマネージャーも少なくないようです。
#5:シンクタンク系コンサルのマネージャーの年収比較
シンクタンク系コンサルとは、政府や地方自治体などの公的機関や事業会社からの依頼を受けて、情報収集・調査、収集したデータの分析、分析を元にした政策提言、コンサルティングを行うファームです。
シンクタンク系コンサルのマネージャーの年収は、他のコンサルと比べると少々控えめとなっていますが、それでも一般的な平均年収と比べるとかなりの高年収といえるでしょう。
企業名 | 年収(推定) |
NTTデータ経営研究所 | 700万円〜 |
三菱UFJ リサーチ&コンサルティング | 1,100万円~ |
みずほリサーチ&テクノロジーズ | 900万円〜 |
富士通総研 | 800万円〜 |
2.コンサルティングファームのマネージャークラスの業務
高年収が得られるコンサルティングファームのマネージャークラスの業務についてみましょう。
- コンサルのマネージャーの業務
- コンサルのシニアマネージャーの業務
コンサルタントとして一人前の証である『マネージャー』は、コンサル業界やそれ以外の業界でも一目置かれるポジションですが、マネージャーの業務内容の高度さを見ればそれも納得できることでしょう。
マネージャーの業務について、その1つ上のポジションとなるシニアマネージャーの業務と合わせて解説していきます。
(1)コンサルのマネージャーの業務
コンサルティングファームのマネージャーは、一般企業でいう『課長』クラスだと言われています。
一般企業と同じように、『マネージャー』=『課長』は管理職であるため、コンサルティングファームのマネージャーもこれまでの業務と比べて経営側と関わる機会が増えるだけでなく職務権限の範囲が一気に広がり、責任も重くなります。
- プロジェクトチームの構築(目標・メンバーの設定・タスクや役割の割り振り)
- 予算の管理
- プロジェクトの進捗管理
- メンバーへの指示・勤怠管理
- トラブルへの対応
- クライアント企業との調整・折衝
- パートナーへの報告・相談
- 報告書の作成
- 若手社員の育成・教育
- 新卒・中途採用の面接
- セールス
マネージャーの昇格により最も大きく携わることになる業務がマネジメントです。
プロジェクトの現場責任者となって、プロジェクトのマネジメント・とりまとめやクライアント企業との交渉、さらにチームメンバーの指導やサポート、パートナーとの話し合いなど幅広い業務に携わることになります。
決められた予算や期日に間に合うように、チームのアナリストやコンサルタントなどアサインされたスタッフをマネジメントしつつ、クライアントが求めるアウトプットや成果物の作成をマネジメントする重要な役割を担います。
その際、チームのメンバーの仕事をサポート・指導しつつ、メンタル面でのフォロー、コンサルタントとしての成長の促進などの人材育成業務、「プロジェクトの顔」としてクライアント企業との交渉・トラブル解消、パートナーへの相談・報告など業務は多岐にわたります。
また、マネージャーになるとパートナーが獲得してきたクライアント企業の案件のデリバリー・マネジメントだけでなく、それと並行して自分で案件を獲得してくるセールス業務(営業)が加わります。
セールス業務にはノルマが設けられており、数千万円クラスの大型案件をいくつか獲得できればノルマを達成できるファームが多いようです。
営業を行うのはマネージャー以上からであり、それ以下のポジションでは営業スキルが求められないため、マネージャーに昇進してからの営業の成績は人により差がつきやすい部分といわれています。
セールス力はマネージャーの上のパートナーへの昇格の際にも大きな判断基準となる非常に重要な業務となるので、さらに上を目指す人はマネージャーに昇格した時点でセールス力を磨いたり、人脈を広げているようです。
さらに、新卒や中途採用時の面接を行ったり、入社後の研修・サポートもマネージャーの業務となります。
このようにコンサルティングファームのマネージャーになると業務は一気に増えますが、初めて自分が主体・リーダーとなった業務を行うことが出来るようになるため、多忙ではあっても高いやりがいとコンサルタント業の楽しさ・醍醐味を味わいながら仕事に取り組めることでしょう。
コンサルティングファームにおいての『マネージャー』のポジションは、コンサルティングの仕事を志す多くの人にとって最初の目標となるべきタイトル(職位)です。
コンサルティングファームでマネージャーに昇格できるのは30%未満、一説には10%程度といわれており、狭き門ではありますが、このポジションに就いて十分な経験を積み実績を上げれば、その地位まで上り詰める人はほんの一握りといわれる『パートナー』になるための足掛かりをつくることが出来ることでしょう。
(2)シニアマネージャーの業務
マネージャーの上にパートナーの一歩手前となる『シニアマネージャー』というポジションを用意しているコンサルティングファームも増えています。
『シニアマネージャー』はいわば『パートナー』の右腕であり、その業務は『マネージャー』よりもさらに幅広く、責任の重い業務を担うことになります。
- 各プロジェクトの最終責任を負う
- 複数プロジェクトを管理する
- 大規模プロジェクトのリーダーを務める
- プロジェクトの創出や拡大(セールス)
- マネージャーの育成
- 新卒・中途の面接・採用
シニアマネージャーは目安として入社15年以内の方が対象のポジションで、マネージャーよりも立場が上である分、与えられている裁量もさらに大きくなる一方、案件への関わり方や求められるセリングスキル、そして責任にも大きな差があります。
具体的には、シニアマネージャーになると複数プロジェクトの管理や新規プロジェクトの創出に加えて、さらに大きなビジネスKPI(売上や利益への貢献)を負うことになります。
特に、マネージャーの上にシニアマネージャーのポジションを設けているファームでは、マネージャーのポジションでは「この企業のこの案件を取れ」という状態からセールスの業務を行うことが一般的であるのに対して、シニアマネージャーでは全くゼロの状態から新規ビジネスのチャンスの開拓も期待されるため、セールス力が非常に重要となります。
他にも、シニアマネージャーは、マネージャーの育成、社員の採用時でも最終的なステージでの面接など、ファーム全体に大きく影響する業務を数多く担うポジションといえるでしょう。
マネージャーよりも責任が重くなり、業務の重要度も増すシニアマネージャーの平均年収は1,300~1,800万円(推定)といわれていますが、セールス業務の成績次第でさらなる高収入を得ているシニアマネージャーも多いようです。
3.コンサルのマネージャーになるために必要なスキル
コンサルティングファームに入って最初に目指すべき役職『マネージャー』になるためには次のスキルが必要といわれています。
- 包括的なマネジメント能力
- 強いリーダーシップ
- 高いコミュニケーション能力
どれか1つが欠けても優秀なマネージャーになることはできず、さらに上のパートナーになることも難しくなるといわれています。
次に1つずつ解説していきます。
(1)包括的なマネジメント能力
マネージャーになるために必要な1つめのスキルは、包括的なマネジメント能力です。
1つ1つのプロジェクトを統括するマネージャーには様々な問題を同時に管理・調整する能力が欠かせません。
コンサルティングファームのプロジェクトは最初に案件の単価が決まっており、締め切り厳守も当然であるため、予算・スケジュールを管理・調整する能力が必要です。
さらに、プロジェクトが大きくなればなるほど不測の事態やトラブル等も起こりやすくなるため問題発生時には迅速に原因を突き止め対応し、予算・締め切りを守りつつ、クライアント企業が満足するクオリティの成果物を仕上げるなど全方位に向けたマネジメント能力を駆使しなければなりません。
同時にいくつものタスクをこなせる秀でたマネジメント能力は、優秀なマネージャーになるために欠かせない能力といえるでしょう。
(2)強いリーダーシップ
マネージャーになるために必要な2つめのスキルは、強いリーダーシップです。
マネージャーには、プロジェクトのチームメンバーをまとめてけん引していくだけでなく、クライアント企業の経営層やステークホルダーなど多くの人をまとめて目標に向かって取り組ませる「率いる」形の強いリーダーシップが求められます。
また、チームメンバーをサポートしながら難易度の高いコンサルティング案件を推進して完遂するには、チームメンバーの一人ひとりの能力を冷静に判断して任せて成長も促すという「見守る」形のリーダーシップも欠かせません。
マネージャーには、チームのトップとしてプロジェクトをけん引するリーダーシップと、チームの一歩後ろに立ってチームを支えてまとめるリーダーシップの2つの形のリーダーシップが必要であり、どちらかが欠けても優秀なマネージャーとはいえないといわれています。
(3)高いコミュニケーション能力
マネージャーになるために必要な3つめのスキルは、高いコミュニケーション能力です。
マネージャーになると、これまでのポジションではそれほど関わりがなかった人と深く関わるようになります。
例えば、進行中のプロジェクトのクライアント企業の経営者層やステークホルダーへの対応も「プロジェクトの顔」「プロジェクトの現場責任者」として一手に引き受けることになりますし、自社の上司であるパートナー職の人間とも、管理職として密接に関わるようになります。
もちろん、プロジェクトの成功には現場レベルで同じプロジェクトチームのメンバーとも円滑な関係を築くことも欠かせません。
さらに、マネージャーになるとセールス業務(営業)も加わってくるため、依頼を獲得するためにファームの外の人脈づくりも重要となってきます。
特に、マネージャーのポジションで築いた人脈はパートナー昇進に非常に重要な役割を担うため、マネージャーになったならば力を入れておきたい分野でもあります。
このように、コンサルティングファームの中間管理職であるマネージャーは、コンサルの外(クライアント企業や営業をかける企業)、コンサル内での上のポジション(パートナー)と下のポジション(コンサルタント以下)と多方面で良い人間関係を築ける卓越したコミュニケーション能力が欠かせないといえるでしょう。
まとめ
コンサルティングファームでまずは最初に目指すべきポジション『マネージャー』の年収について解説しました。
もともとコンサルティング業界は押しなべて高年収が得られる仕事として知られていますが、コンサルタントとして一人前とみなされる『マネージャー』に昇進すれば前のポジション時とは比べ物にならないくらいの年収アップが期待できます。
その分、業務も増えて責任も重くなりますが、マネージャーとして様々なプロジェクトを率いていくうちに、マネジメント力やリーダーシップなどビジネスパーソンとして欠かせない各種スキルを磨くことができ大きな成長を得られることでしょう。
さらに、マネージャーのポジションは自分のコンサルティングファーム内部だけでなくコンサル業界やそれ以外の業界でも高い評価を得られるステータスのあるポジションであるため、その後のキャリア形成時にも大きな武器となり、選択肢も一気に広げてくれるのは間違いありません。
現在コンサルタントとして頑張っている人やこれからコンサル業界への転職を考えている人はまずは『マネージャー』を目指しましょう。
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