業務内容/具体的なテーマ
税理士法人は、2名以上の税理士によって設立された特別法人のことを指し、広義としては会計事務所に含まれる。
税理士法人・会計事務所の業務内容はほとんど同じで、主に税理士や公認会計士の独占業務を行っている。税理士の独占業務は、税務代理、税務書類の作成、税務相談で公認会計士の独占業務は企業の監査である。
これらの独占業務をベースとして税務・会計業務やそれに伴う業務を行っている。
現在の課題
昨今、AIやRPAの導入が促進され税理士法人の業務が減ると言われているだけでなく、経済収縮の影響からクライアントの売上が減り、顧問契約を解除される会計事務所も少なくない。そのような状況で、既存業務に付加価値をつけた戦略を練り顧客に提供することが重視されている。
税理士法人・会計事務所で得られる経験
税理士法人・会計事務所では、税理士と公認会計士に該当する資格を有していないと行うことができない独占業務がある。そのため、資格を取得する時点で専門性の高い知識を得ることができると言える。 また、会計事務所の業務の一つであるコンサルティング業務では高いコミュニケーションと問題解決力が求められる。経営者陣の視点から様々な課題を解決に導く実務を通して、企業を俯瞰できる視野が得られるのだ。
プロジェクト例
税理士法人・会計事務所の具体的なプロジェクト例は以下の通りです。
- ・税務申告
- ・監査
- ・記帳代行
- ・年末調整
- ・経営コンサルティング
採用動向
税理士法人・会計事務所において、働く機会は全国にあるものの採用を頻繁に行わない少人数の会計事務所から積極的に採用を行うものまで様々である。 近年では、後継者不足により中小企業などがM&Aを活用することで事業継続を可能にするために、税理士などの専門家にアドバイスを求めることが増えている。 また、税理士法人・会計事務所では人手不足の状況下にあるため、今後税理士法人・会計事務所のニーズが高まり採用数が増える可能性もある。
選考内容
税理士法人・会計事務所では主に、書類審査のほかに一般常識を問うテスト・実務に関するテストや面接が行われることが多い。 一般常識を問う試験では、適性検査の目的でパーソナリティや職種適性などを定量的に測定され、実務系試験では税務や会計に関する幅広い知識を問われる。
合否を分けるポイント
税理士法人・会計事務所の選考において重視される点は面接と言える。 一般的には、20代で税理士補助のスキルが重視され、30代ではそれまでの実務経験や担当したクライアントの数がより重視される。さらに40代以降は、マネジメント能力やクライアントを獲得する上でのスキルなど、会計事務所の経営に関する資質が求められる。 これら業界のニーズに応じた能力を有していることを、どのようにアピールするかによって合否が分かれると言える。
キャリアについて
税理士法人・会計事務所で勤務し一定の経験を積んだ後は、以下のようなキャリアプランが考えられる。 ・コンサルティングファーム ・監査法人 ・一般事業会社の経理部門 ・金融機関 ・ベンチャー企業のCFO 税理士資格・公認会計士資格を有しているかどうかや今までの経験、対応してきたクライアントの数などによって選択肢は異なるものの、上記職種でのニーズは高い。
転職事例
20代
外資系特化型会計事務所 → Big4税理士法人
(560万円 → 650万円)
40代
事業会社経理 → 資産税特化型税理士法人
(600万円 → 650万円)
職位別の年収
以下が税理士法人・会計事務所の職位別年収です。
【Big4税理士法人】
・アソシエイト相当: 500〜700万円
・シニアアソシエイト: 700〜800万円
・マネージャー: 900〜1,300万円
・シニアマネージャー: 1200〜1,500万円
・パートナー: 1,500万円以上
役職などによってレンジが異なるため一概に平均年収を定めることはできませんが、上記が税理士法人・会計事務所の職位別年収である。 また、税理士試験に全ては合格していないものの一部の科目で合格点を持つ税理士科目合格者の年収も異なる。 一般的に、1〜3科目合格者の平均年収は370〜390万円と言われており、年収を大幅にアップさせたい場合は4科目以上の合格が必要と言える。
労働環境/働き方について
一般的な会計事務所は、11月後半から5月にかけて繁忙期になるため、それに伴って残業が増える。一方で、閑散期や繁忙期以外の時期は月末締めを除いて比較的余裕のあることが多いという会計事務所もある。 また税理士補助として働く人の中には、閑散期を活かして税理士資格取得の勉強をする人も少なくない。 大手税理士法人の中には、一般的な福利厚生に加えて更なるサポートを提供している場合もある。