会計士からPEファンドへの転職難易度は?業務内容から転職成功のコツを年代別に紹介
「監査法人から会計士がPEファンドへ転職する場合、どのような経験がアピールできるだろう?」
「PEファンドの業務内容は?畑違いでいまいちイメージがつかない…」
PEファンドは転職先としては人気ですが、会計士の転職内定率はさほど高くありません。
転職を希望する場合は、職務経験以外のアピールポイントを作る必要があるでしょう!
この記事では、会計士がPEファンドへ転職した場合の業務内容や年収・環境の変化、また年代別に転職成功のコツを紹介しています。
最後まで読めば、会計士からPEファンドへ転職するためのキャリアパスや選考対策が学べるでしょう!
1.会計士がPEファンドへ転職した場合の業務内容
会計士がPEファンドへ転職した場合の業務内容を解説します。
PEファンドとは、投資家から集めた資金で収益を獲得する仕事を行う企業です。
国内で活躍している主なPEファンドとしては、以下のような企業があります。
- カーライル・グループ
- コールバーグ・クラビス・ロバーツ
- ベインキャピタル
- ユニゾンキャピタル
- アドバンテッジパートナーズ
世界的に有名なファンドなので、目指している方も多いのではないでしょうか。
PEファンドでは具体的に、以下のような業務を行います。
- ピッチブック/IMの作成
- ディール条件の検討・交渉
- 投資先の経営管理・エグゼキューション(PMI)
投資候補先への提案資料(ピッチブック)の作成や、売却対象の企業や事業の詳細を記載した資料(IM)の作成から業務を始めます。
会計士が転職をした場合、まずは資料作成業務を任されることが多いです。
資料は膨大なため、非常に作成時間を要し、残業時間がかなり増えるケースがあります。
次の段階では、ディール条件の検討・交渉を任されるようになります。
ディールとはM&Aの準備段階から成約までの一連の取引過程のことです。
具体的には売買価格の検討や戦略の策定、また経営陣との交渉などを意味します。
さらにPEファンドでは、投資先の経営管理や経営統合・業務統合までを担当することになるでしょう。
買収した企業の社員の組織を再編したり、理念を浸透させるためのコミュニケーション力も求められます。
基本的に監査法人でしか職務経験がない場合、職務経験はあまり活かせません。
そのため、PEファンドのキャリアパスとして、一度M&A業界に転職してからPEファンドを目指す人も多いです。
会計士とPEファンドでの業務は、かなり違うと覚えておきましょう。
2.会計士がPEファンドへ転職した場合の年収や業務環境の変化
会計士がPEファンドへ転職した場合の年収や業務環境の変化を解説します。
- 年収の変化
- 業務環境
- 安定性
監査法人でしか職務経験がない場合、PEファンドとの環境の変化に戸惑うことも少なくありません。
事前に待遇だけでなく、労働環境についてもしっかり調べておきましょう。
1つずつ詳しく説明していきます。
(1)年収の変化
会計士がPEファンドへ転職した場合、年収水準は上がることが多いです。
例えば20代の会計士の平均年収は500〜700万円程度が標準ですが、PEファンドでは20代でも年収1,000万円以上を目指せるでしょう。
PEファンドは職位別に、以下のように年収が上がっていきます。
職位 | 年収 |
アナリスト | 800〜1,100万円 |
アソシエイト | 900〜1,500万円 |
ヴァイス・プレジデント | 1,000〜1,600万円 |
ディレクター | 1,500〜2,500万円 |
実力主義で結果を出せば昇進も早いため、若いうちから高年収を目指せるのはPEファンドの魅力です。
業務成績によるインセンティブや賞与の金額も含めますが、監査法人で勤務するよりも年収は上がる傾向にあります。
今よりも高い年収で働きたい場合、会計士からPEファンドへの転職は有効です。
(2)業務環境
会計士がPEファンドに転職した場合、業務環境はかなり忙しくなるでしょう。
監査法人は決算期前後がもっとも忙しい時期ですが、PEファンドは通年通して激務です。
定時で帰ってプライベートも楽しみたい、という方には向かない職場です。
残業時間が100〜200時間に及ぶこともあり、ライフワークバランスが崩れるリスクがあります。
企業によっては業務改善を行なっている場合もあるので、求人を探す際に残業時間の目安はチェックしておきましょう。
(3)安定性
会計士がPEファンドに転職した場合、安定性は低くなります。
PEファンドは実力主義の風土が強く、結果を出せない社員は昇進できず、そのままやめていくパターンが多いです。
また激務に耐えかねて心身のバランスを崩し、人材の流出が多い業界でもあります。
労働環境が変わり、またストレスも高いため、安定性は監査法人の方が高いでしょう。
3.年代別|会計士がPEファンドへの転職を成功させるコツ
会計士がPEファンドへの転職を成功させるコツを、年代別に解説します。
- 20代の場合
- 30代の場合
PEファンドは内定率が低く、就職難易度的にはかなり高い職場です。
年代に応じて、成功率を高めるためのコツを抑えておきましょう。
(1)20代の場合
20代の会計士がPEファンドへの転職を成功させるには、とにかく早く転職活動を進めることです。
PEファンドは若い社員を育て上げる、ポテンシャル採用を行っている企業も一部あります。
ファンド求人は非公開のものが多いため、転職エージェントの利用は欠かせません。
転職エージェントから情報を入手し、若手を募集している企業の求人を探しましょう。
特に監査法人しか職務経験がない場合、PEファンドではさほど職務経歴がアピールになりません。
若手らしい熱意・志望動機を携えてアピールをすることで、今後の伸び代を評価されて採用される可能性があります。
(2)30代以上の場合
30代の会計士がPEファンドへの転職を成功させるには、以下のスキルや経験が求められます。
30代を超えて未経験の会計士を採用するPEファンドはほぼないため、付加価値をアピールしましょう。
PEファンドで評価されるのは、以下のような職務経験です。
- M&Aアドバイザリー業務
- 戦略コンサル
- 財務モデルについての知識・経験
M&Aアドバイザリーとは、企業買収に関して、買収・売却企業からの依頼を受けて、M&A戦略の提案・助言を行う仕事です。
PEファンドと親和性が高く、またM&A業界出身者の転職も多いため、アピールポイントになるでしょう。
また、戦略コンサルティングファームをキャリアパスとして、PEファンドを目指す人も多いです。
戦略コンサルでは、企業戦略の策定・実施を行う仕事で、業務上M&A戦略についても携わります。
そのためPEファンドでも職務経験が評価されやすいでしょう。
その他財務モデルについての知識をアピールするために、AFM(Advanced Financial Modeler)やFASS検定を取得する人もいます。
どちらも財務モデリングについての知識があると、企業側に示すことができるでしょう。
30代以上の会計士がPEファンドへ転職する場合は、相応のキャリアパスや資格が必要になります。
まとめ
会計士のPEファンドへの転職の概要を解説しました。
PEファンドへの転職は難易度が非常に高いため、一度M&A業界やコンサルティングファームをキャリアパスとする人も多い業界です。
20代ならポテンシャル採用をしている企業もあるため、転職エージェントから求人方法を得て、早目に動き出すようにしましょう。
PEファンドは高年収が目指せる上に、今後のキャリアアップにもつながる仕事です。
会計士から別の職業にチャレンジしたい方は、PEファンドへのキャリアプランを立ててみましょう!
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