公認会計士の受験生必見!合格までの道のりと勉強スケジュールを解説
「景気に左右されず一定の需要がある資格を手に入れて転職したい」と考えていませんか?
資格を持っている人しか携われない業務(独占業務)がある資格は転職や年収アップに大きく影響します。
独占業務がある資格の中でも「公認会計士」はとくに受験資格が定まられておらず、年齢・性別・学歴・国籍にかかわらず誰でも受験することが可能です。
この記事では公認会計士試験の受験生が歩む合格までの道のりや勉強スケジュール、資格取得後のおもな転職先についてご紹介します。
1.公認会計士試験の合格までの道のり
独占業務がある・受験資格が必要ない資格として「公認会計士」があります。
しかし実際に公認会計士の資格を取るには、相当量の勉強時間や試験対策講座の費用などが必要になります。
ここからは公認会計士の資格取得までにかかるおおよその年数・勉強時間・費用などをまとめているので、受験を考えている人はチェックしてみてください。
(1)合格までの平均年数
短答式試験の合格までに要した時間 | 平均2.3年 |
短答式試験の合格から論文式試験の合格までに要した時間 | 平均0.9年 |
※参照:金融庁-合格者アンケート調査/01.pdf (fsa.go.jp)
金融庁の調査によって算出された「公認会計士試験の合格までにかかる平均年数」は上記の通りです。
第一関門である短答式試験合格までに2年以上、第二関門である論文式試験合格までに約1年を要していることがわかります。
つまり公認会計士試験の勉強を始めてから合格までにかかる時間は、約3年と見積もっておくのが妥当と言えるでしょう。
(2)合格までの平均勉強時間
公認会計士試験に合格する場合の勉強時間は最低でも3,000時間必要で、3・4年かけて勉強する場合は5,000時間以上必要と言われています。
ただし2年間で4,000時間以上勉強しているケースが一般的です。
1年間に2,000時間の勉強が必要と考えると、1日あたり約5.5時間のペースで勉強を継続する必要があります。
(3)合格までにかかる平均費用
公認会計士の試験を受けるすべての人にかかる費用は、受験手数料(19,500円)です。
これに加えて公認会計士講座を受講する場合は、約28万円~約87万円ほどのまとまったお金が必要になります。
独学の場合はテキスト代や問題集代・模試の受験料などの数万円程度で済みます。
2.公認会計士の受験生におすすめの勉強スケジュール
公認会計士の受験生はどのような流れで勉強を進めるのでしょうか。
勉強方法としては独学と対策試験講座を受講するパターンがありますが、どちらを選ぶかによって合格の可能性は大きく変わってきます。
ここからは公認会計士試験の勉強を独学で行う場合と、試験対策講座を受講する場合にわけて解説します。
(1)受験対策講座を受講する場合
公認会計士受験のための講座を受講する場合、1年間のうちに会計の基礎知識・短答式試験対策・論文式試験対策を行っていくのが一般的です。
参考までに1年間の勉強スケジュールをホームページに掲載している「クレアール」のカリキュラムを表にまとめています。
簿記 | 短答式 | 論文式 |
|
|
|
参照:2022・23・24年合格目標 3年トータルセーフティコース | 公認会計士合格クレアール (crear-ac.co.jp)
上記は初学者を対象とした3年コースの1年目のカリキュラムで、簿記・短答式対策・論文式対策の順で勉強を進めることになります。
その他の予備校・通信講座もおおむね同じような流れだと考えられますが、詳細なスケジュールについては個別に資料請求するなどして確認が必要です。
(2)独学の場合
公認会計士の試験に独学で合格した人がいるのは事実です。
とはいえ公認会計士は医者・弁護士と並ぶ「三大国家資格」の1つであり、独学での合格はほぼ不可能と言っていいでしょう。
ある調査では「全くの独学で公認会計士に合格しているのは全体の1割未満」で、合格者の90.88%が何かしらの講座を受講していたことが明らかになっています。
【参照】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000067781.html
それでも独学で合格を目指したい場合は1日あたり5.5時間程、勉強をすることになります。
(2年で4,000時間勉強すると仮定しています)
勉強時間を捻出するためにはスキマ時間を有効に活用したり、残業が多い仕事をしている場合は転職も検討したりして時間を確保しましょう。
また模試を活用して、自分の理解度やどのレベルに達成しているのかを客観視することも大切です。
試験を受けることで、苦手分野や未収得の内容を知ることができますので積極的に活用しましょう。
3.会計士の資格合格後の転職先
公認会計士の資格を取得できた場合、次に悩むのは「どこに転職するか」ではないでしょうか。
公認会計士の資格保有者はもちろん一般企業に就職することも可能ですが、多くの場合資格を活かして会計に携わる職場を選ぶことが多いものです。
ここからは公認会計士の資格保持者のおもな転職先として、監査法人と会計事務所を例にご紹介します。
(1)監査法人
特徴 | 監査の専門家である公認会計士が多く所属している |
主な業務 | ①監査証明業務 ②非監査業務 ③コンサルティング業務 |
平均年収 | スタッフ:450~600万円 (入社から3年程度のポジション) シニア:600~1,000万円 (入社後4年目程度で昇進できるポジション) マネージャー:1,000~1,300万円 (入社後10年程度に昇格できるポジション) |
一言で監査法人と言っても法人ごとに規模は大きく異なり、大手監査法人ともなると常勤の監査実施者が1,000名以上在籍しています。
監査法人への転職で年収を上げたい方は、大手監査法人または準大手監査法人に入るのが得策と言えるでしょう。
#1:監査法人の魅力
大規模な監査法人の取引先は、上場会社など大手企業の経理部や内部監査部になることが多く、レベルの高い環境で公認会計士としてのキャリアを積むことができます。
くわえて監査法人で働くと、試験合格後に必要な約3年の実務補習が受けられる『実務補習所』に通わせてくれるケースが多いのも魅力の1つです。
#2:監査法人の注意点
監査業務は1年中発生しているため、決算期の3月以外も忙しくなります。
また大規模な監査法人になるほど個々の業務が細かく分かれているので、全体の仕事の流れを把握できない・経験できない場合もあります。
#3:監査法人はこんな人におすすめ
監査法人に勤務することで、他の公認会計士と切磋琢磨し、会計チェックの専門家としてキャリアを積んでいくことが可能です。
最終的に「一部上場の大手企業を対象に監査業務を行ってみたい」という方には監査法人への転職をおすすめします。
(2)会計事務所
特徴 | 税務・会計の専門家である税理士が多く所属している |
主な業務 | ①法人・個人の税務相談 ②各種税務申告業務 ③記帳代行 |
平均年収 | 事務所の規模によって変動 |
厳密に言うと「会計事務所」という業務形態は存在せず、公認会計士事務所・税理士事務所・税理士法人の総称として使われている屋号のようなものです。
年収も所属する事務所によって異なりますが、公認会計士の平均年収程度と考えておけば問題ありません。
#1:会計事務所の魅力
会計事務所では1人ひとりの担当範囲が多いため、独立開業のために必要な知識やプロセスを学ぶことができます。
公認会計士は税理士登録することで税理士としても業務を行うことができるので、事務所に勤務する税理士と一緒に税に関する業務経験も積むことが可能です。
#2:会計事務所の注意点
会計事務所では個人の確定申告の繁忙期である2~3月、法人決算の繁忙期である4~6月に忙しくなる傾向があります。また会計事務所は10人前後の少人数で構成されている場合が多く、新人に対する教育制度が確立されていない可能性もあることは頭に入れておきましょう。
#3:会計事務所はこんな人におすすめ
会計事務所に勤務することで、公認会計士と税理士の業務を幅広く経験することができるでしょう。
「将来的に企業や個人を対象とした税務顧問、さらには経営上の相談・アドバイザリー業務の専門家として活躍したい」という方には会計事務所への転職をおすすめします。
まとめ
この記事では公認会計士試験の受験生が歩む合格までの道のりや、資格取得後のおもな転職先についてご紹介しました。
公認会計士の資格を取得するには相当な努力が必要ですが、資格取得後は有利な条件での転職や安定した待遇を獲得できる可能性が高いでしょう。
現在社会人でこれから資格の勉強を始めるという方は、今の仕事と並行して勉強時間を確保しなくてはいけません。
合格まで時間がかかるものの自分のペースでできる独学か、費用はかかるもののしっかり計画された試験対策講座を受講するかはしっかり検討してください。
また勉強を始める前に有力な転職先(監査法人や会計事務所)の情報も調べて、自分の適性に合っているかも事前にチェックしておくとミスマッチが起きにくくなります。
まずは公認会計士を目指す第1歩として、最終的な目的地(転職先候補)の求人を確認することから始めてみましょう。
関連記事