【BIG4の特徴を解説】大手監査法人に転職したときの3つのメリット
「転職を検討しているが、大手監査法人とはどのようなものなのだろう?」
「大手監査法人に転職することでどんなメリットがあるの?」
いまの勤務先から転職を考えている会計士の中で、大手監査法人を考えているけれども、足踏みしてしまっている人も多いのではないでしょうか?
実は大手監査法人は、会計士の転職先にとてもおすすめです。
ここでは、「BIG4」と呼ばれる大手監査法人の4社の紹介から、会計士が大手監査法人に就職する3つのメリット、大手への転職を成功させるために必要なことをご紹介します。
この記事を読めば、大手監査法人について詳しく知ることができますよ。
1.大手監査法人を4社紹介
大手監査法人というと、一番に思い浮かぶのが、一般的に「BIG4」と呼ばれる4つの監査法人です。
- 有限責任監査法人トーマツ
- PwCあらた有限責任監査法人
- 有限責任あずさ監査法人
- EY新日本有限責任監査法人
同じBIG4というくくりで呼ばれていても、各社にはそれぞれの特徴があります。
1つずつ確認し、転職の参考にしていきましょう。
(1)有限責任監査法人トーマツ
有限責任監査法人トーマツは、1968年、初の全国規模の監査法人とされた「等松・青木監査法人」を前身とし、当初より国際化をめざし、現在まで「デロイト」と業務提携関係を継続しています。
複数の監査法人や会計事務所と合併を繰り返しながら、2009年に有限責任監査法人に移行し、現在まで活躍の場を広げている全国区の監査法人です。
有限責任監査法人トーマツの特徴は、金融や小売分野に強く、大手商社を担当していることが挙げられます。
非監査会社と監査チームを繋ぐモバイルデバイス「Tohmatsu LINK」を利用し、監査対応コストを下げる仕組みも注目ポイントです。
平均年収は800万円と言われておりますが、地域や役職によりこの限りではありません。
法人名 | 有限責任監査法人トーマツ(英名:Deloitto Touche Tohmatsu LLC) | |
設立年月 | 1968年5月 | |
資本金 | 1,112百万円(2021年5月現在) | |
代表者 | 國井 泰成(包括代表) | |
人員数 | 7,051名(2021年5月現在) | |
主事務所所在地 | 東京都千代田区丸の内3-2-3 丸の内二重橋ビルディング | |
業務内容 | 監査 マネジメントコンサルティング 株式公開支援 ファイナンシャルアドバイザリーサービス |
(2)PwCあらた有限責任監査法人
2006年より、PwCグローバルネットワークのメンバーファームとして業務を開始した大手監査法人が、PwCあらた有限責任監査法人です。
設立からこれまで名古屋、大阪、東京、福岡と、2016年に有限責任監査法人に移行しつつ、着実と各地に根付いた活動を行っています。
業務の特徴は、現代のデジタル社会に適した次世代監査を手掛けていることです。
AIを活用し高度な分析を行うなど、常に業務の効率化に邁進し、クライアントにはトヨタ自動車などの大企業が名を連ねています。
PwCあらた有限責任監査法人の年収は750万円が目安となりますが、有限責任監査法人トーマツと同じく、一概には言えませんので、自身に当てはめてどれくらいの収入が見込めそうか、検討する必要があるでしょう。
法人名 | PwCあらた有限責任監査法人(英名:PricewaterhouseCoopers Aarata LLC) | |
設立年月 | 2006年6月 | |
資本金 | 1,000百万円(2021年6月現在) | |
代表者 | 井野 貴章 | |
人員数 | 3,089名(2021年6月現在) | |
主事務所所在地 | 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング | |
業務内容 | 監査・アシュアランス アドバイザリー・コンサルティング ガバナンス・リスク・コンプライアンス レギュラトリー・フィナンシャル・マーケッツ 経営・ITリスクアドバイザリー 内部監査・内部統制 トラストサービス |
(3)有限責任あずさ監査法人
有限責任あずさ監査法人は、2003年に設立、2010年に有限責任監査法人に移行しました。
母体とも言える監査法人朝日会計社の創業者、尾崎修治が住友銀行の出身であったことから、創業以来住友系のクライアントを多く持ち、そのほかでは電鉄会社で半分以上のシェアを占めています。
金融機関向けのアドバイザリー業務に力を入れていることが特徴です。
有限責任あずさ監査法人の平均年収は814万円と言われており、比較的単価の高い案件が多いようです。
法人名 | 有限責任あずさ監査法人(英名:KPMG AZSA LLC) | |
設立年月 | 2003年2月 | |
資本金 | 3,000百万円(2021年2月現在) | |
代表者 | 森 俊哉 | |
人員数 | 6,173名(2021年7月現在) | |
事務所所在地 | 東京都新宿区津久戸町1番2号 | |
業務内容 | 監査・保証業務 IFRSアドバイザリー アカウンティングアドバイザリー 金融関連アドバイザリー IT関連アドバイザリー 企業成長支援アドバイザリー |
(4)EY新日本有限責任監査法人
1967年、日本初の監査法人である「監査法人太田哲三事務所」の設立から2社と合併、名称変更を行い、2008年に日本で初めて有限責任監査法人になったのが、現在の「EY新日本有限責任監査法人」です。
不動産や建築法人に長けた監査法人で、上場企業の中でも件数が多い製造業に関しては、有限責任監査法人トーマツと並んで、同率1位のクライアント数を誇っています。
EY新日本有限責任監査法人の平均年収は、約793万円と言われていますが、BIG4とも平均年収に大きな差は見られませんので、大体これくらいと参考程度に見る方が良いでしょう。
法人名 | EY新日本有限責任監査法人(英名:Ernst & Young ShinNihon LLC) | |
設立年月 | 2000年4月 | |
資本金 | 1,088百万円(2021年7月現在) | |
代表者 | 片倉 正美 | |
人員数 | 5,686名(2021年6月現在) | |
主事務所所在地 | 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワー | |
業務内容 | アシュアランス 監査・保証 Forensics 財務会計アドバイザリーサービス 気候変動・サステナビリティ |
2.大手監査法人に転職するメリット
大手監査法人に転職するメリットを見ていきましょう。
- 会計士としてのキャリアを積むことができる
- 規模の大きい仕事に携われる
- 収入が上がることが多い
大手監査法人に転職することで、中小の監査法人や会計事務所に居続けるよりも、今後の会計士人生に関わる大きなメリットを得ることができますよ。
(1)会計士としてのキャリアを積むことができる
BIG4は監査法人のいわゆる花形です。
そのクライアントはとても多く、業務も多岐に渡ります。
アドバイザリー業務にも力を入れている大手監査法人も多いため、いままで知らなかった分野に触れることができれば、業務の中で専門的な見識も深まっていくため、今後の将来設計について、具体的に見えてくる機会が多くあるとも言えますね。
いずれの道へ進むにしても、大手監査法人で仕事をしていたという実績は、会計士としてのキャリアに大きな肩書となることでしょう。
(2)規模の大きい仕事に携われる
どの法人に転職しても、そのクライアントは、業種は違えど、世界規模で活躍している有名企業が多い傾向にあります。
このことから、会計士は、大手監査法人に転職し、その業務に携わることで、会計士としてのキャリアをしっかりと積むことが可能です。
大手監査法人に転職したときはスタッフからスタートする役職も、シニアスタッフやマネージャーを経てパートナーへと昇格が期待できます。
その都度任せられる仕事も大きなものになる可能性がありますので、より規模の大きい仕事に携わることができるようになるでしょう。
(3)収入が上がることが多い
監査法人に勤務している会計士は、同じ年代が勤務する他業種の年収に比べて、高い傾向があり、事業規模が大きいほど、売上が大きくなり、年収も高くなります。
よって、大手監査法人の中で働く会計士の年収は中小監査法人の年収に比べて、多い金額を受け取っていると言えるでしょう。
ちなみに、男女の年収の差も大きくは無いようです。
収入は、自分が毎日仕事を頑張った対価として得られるものですので、転職して行った業務に対して、受け取り金額が多いことは、大きなメリットとなることでしょう。
3.大手への転職を成功させるために必要なこと
現在の勤務先から、大手への転職を成功させるために必要なことは、主に3つです。
- 監査法人の経験
- 経理・財務関係のスキル
- 英語力
これらを持つことを上手くアピールできれば、即戦力として、大手監査法人の転職の成功率が上がります。
(1)監査法人の経験
大手監査法人への転職の場合、監査法人の経験の有無がチェック項目になります。
これは、年齢が高くなるにつれてより重視される項目ですが、どの年代であっても、監査法人での勤務歴は必要です。
特に大手監査法人は近年人材不足の傾向が高まっており、現場は即戦力を求めています。
監査法人の経験が無い場合は、準大手監査法人や、中小監査法人で経験を積み、大手監査法人への転職にチャレンジする方法がおすすめです。
(2)経理・財務関係のスキル
監査法人の主な業務である監査業務とは、企業の財務諸表の適正性を、公認会計士が公正な立場でチェックをし、誤りが無いことを保証するものです。
そのため、これまでの勤務経験の中で、経理・財務関係の経験があり、そのスキルが身についているという人は、転職活動に有利になることでしょう。
大手監査法人では、監査業務でなく、アドバイザリー業務を担当する可能性もありますが、どの業務を担当するにしても、経理・財務関係のスキルは基本的なスキルとして必要です。
(3)英語力
大手監査法人は、世界規模のクライアントをいくつも手掛けており、そういった企業の担当に配属された場合、高い英語力は必要不可欠で、クライアントとのコミュニケーションツールとして、英語ができる人材は、需要が高まっていると言えます。
国際的なコミュニケーション英語能力を検定するTOEIC試験の点数で言うと、英語力が必要な一般企業では700点以上、国際的に仕事をしている企業では800点以上が目安となるため、公認会計士も、700点〜800点を目安として考えると良いですね。
英語力は一朝一夕で身につくものではありませんが、日頃から英語に接する機会を見つけ、英語でのコミュニケーションを取れるようにしておくことは、大手監査法人への転職に役立つでしょう。
まとめ
今回は「BIG4」と呼ばれる大手監査法人4社の特徴と、そこへ転職するメリット、さらに転職を成功させるために必要なことをご紹介しました。
現在の勤務先から大手監査法人への転職は、公認会計士としてのキャリア形成や、今後の会計士人生に、大きな影響を与えてくれることでしょう。
大手の監査法人へ転職を考えている人は、是非、参考にしてみてくださいね。
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