未経験で会計コンサルへ転職できる?難易度やポイントを解説!
「会計コンサルティングファームの転職難易度は?」
「会計コンサルタントの仕事内容や平均年収を知りたい」
近年、企業からのコンサルティングニーズが急激に高まっているのが、会計コンサルティングです。
会計の専門家である会計コンサルタントは、業務内容や平均年収だけでなく、将来性など様々な点で魅力のある仕事であり、会計コンサルタントを目指す人が増えています。
そこで、ここでは、会計コンサルタントの仕事内容や平均年収と合わせて、転職動向や転職時に有利になるポイント・転職を成功させるポイントについて解説していきます。
”会計のプロ”としてクライアント企業の経営や将来を支える会計コンサルタントに興味がある人はぜひご覧ください。
1.会計コンサルタントの概要
会計コンサルタントについて、気になる仕事内容や平均年収などと合わせて解説します。
- 会計コンサルタントとは
- 会計コンサルタントの平均年収
- 代表的な会計コンサルティングファーム
様々な領域のあるコンサルタントの中でも、会計のプロとして活躍する会計コンサルタントは、今、注目を集めるコンサルタントの1つです。
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)会計コンサルタントとは
会計コンサルタントは、一言でいうと会計に関するコンサルティングを行う「会計業務の専門家」です。
- 会計業務フローの分析・課題策定・改善など会計業務プロセスのアドバイス
- 会計に関する法規制の監視・対応
- 投資や費用削減に関するアドバイス
- 資金調達・投資戦略・M&A・企業再生支援に関する提案
「会計業務の専門家」といえば公認会計士や税理士が挙げられますが、会計コンサルタントとは以下の点で違いがあります。
公認会計士は企業が作成した決算報告書が法律のルールに則っているかをチェックするのがメインの業務、税理士は各種税金の納税のアドバイスや申告書の作成がメインの業務であり、いわばお金の面からその企業の「現状」と「過去」を見る仕事といえます。
一方、会計コンサルタントは、クライアント企業の決算業務の早期化やコスト削減を目的に、企業が決算報告書を作成する上での業務フローの見直しやシステムづくりをサポートするのがメインの業務です。
会計業務のプロセスの改善の他にも、会計に関する法規制の情報収集・対応、投資や費用の削減、M&Aや企業再生支援についてのアドバイスなどの業務も行うことから、企業の発展・成長を目指して、お金の面から企業の「未来」を支援する仕事といえるでしょう。
クライアント企業の経営に関わり、会計・財務・税務等の面からサポートするのは公認会計士・税理士と同じですが、会計コンサルタントはそれらの士業の業務と比べると業務範囲が広くなっているのが大きな違いとなっています。
(2)会計コンサルタントの年収
会計コンサルタントの平均年収は700~1,000万円程度といわれています。
会計コンサルティングファームの殆どが、年功序列ではなく実力主義を導入しています。
基本給は職位に紐づけられており、成果を上げてポジションを上げていけば、転職直後でも更なる高年収を得ることも可能です。
それに加え、ボーナスなどもさらに付与されるため、実力次第でどんどん年収を上げていくことができるのが魅力です。
また、会計コンサルタントの魅力は、高年収を得られることだけではありません。
その職歴は「会計業務の専門家」として、企業の重要な経営資源である「お金」に関する高度なスキルが備わっていることを証明してくれるため、今後のキャリア形成においても大きな財産となります。
会計コンサルタントの仕事は、現職時には高年収を得られ、ポストコンサルとして転職活動をする際には強いアピールポイントとなることから、様々な業界から会計コンサルタントを目指す人が増えています。
(3)代表的な会計コンサルティングファーム
次に、代表的な会計コンサルティングファームについて見てみましょう。
会計コンサルティングサービスを提供しているコンサルティングファームは、監査法人・会計事務所をルーツとするBIG4コンサル、アクセンチュアなどの世界規模で展開する大手コンサルティングファームが特に有名です。
その他にも、会計・財務に特化したコンサルティングサービスを提供しているFAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)系コンサルティングファームや、国内独立系コンサルティングファームがあり、転職市場でも人気が高くなっています。
領域 | 代表的な会計コンサルティングファーム例 |
総合系コンサルティングファーム | |
FAS系コンサルティングファーム | |
国内独立系コンサルティングファーム |
ファームの規模・知名度が高くなればなるほど、転職難易度も上がります。
自身の持っているスキルや経験とファームのレベルを冷静に判断して、目指すコンサルティングファームを選びましょう。
3.会計コンサルティングファームの転職動向
会計コンサルティングファームの転職動向について解説します。
- 会計コンサルティングファームの転職難易度
- 会計コンサルティングファームへの未経験での転職は可能か
公認会計士や税理士のような特定の資格は不要である会計コンサルタントへの転職は、誰にでもチャンスがあります。
次に1つずつ見ていきます。
(1)会計コンサルティングファームの転職難易度
会計コンサルティングファームの転職難易度は高いといわれています。
「会計のプロ」として企業の経営に大きな影響を与えることから、会計コンサルタントには会計・財務・税務に関する高い専門性と知識や経験に加え、企業の経営に関する知識等も求められるため、採用ハードルも必然的に高くなります。
しかし、企業のグローバル展開を背景に、会計基準の国際化を急務とする企業やITの導入を考えるから企業の会計コンサルティングニーズが急激に高まっていることから、会計コンサルティングファームの中途採用者を積極的に採用する傾向が続いています。
会計コンサルタントへの転職を希望している人にとっては追い風となっているといえるでしょう。
(2)会計コンサルティングファームへの未経験での転職は可能か
会計コンサルティングファームへの未経験での転職は可能です。
実際、未経験から会計コンサルティングファームに転職後に活躍している人も多いです。
様々な業種・職種の人が中途採用されていますが、中でも多いのが、会計コンサルタントの仕事と親和性が非常に高い、以下の業界出身者です。
- 公認会計士事務所
- 監査法人
- 税理士法人
- 事業会社の経理・財務業務担当
- 金融業界
- IT業界
特に増えているのが、公認会計士や税理士です。
公認会計士や税理士の資格や経験は会計コンサルタントの仕事と相性が良く、即戦力としての活躍が期待できるため、会計コンサルティングファーム側でも士業の転職希望者を積極的に採用しています。
実際、転職後に短い間に会計コンサルタントとしての基礎を学び、即戦力としてすぐに活躍している士業の人も少なくありません。
しかし、関連資格を保有していなくても、経理・財務業務や金融関連など他業界での関連業務経験がある人や、ITスキルを保有する人をポテンシャル採用をするファームも増えています。
ただし、未経験からの会計コンサルティングファームへの転職する場合は、ポテンシャル採用されるチャンスの多い20代のうちに行いましょう。
4.会計コンサルティングファームへの転職の際に有利になる5つのポイント
会計コンサルタントには、他の領域のコンサルタントと同様に、論理的思考能力・プレゼンテーション能力・交渉能力などが求められます。
それらに加えて、会計コンサルティングファームへの転職の際に有利になるポイントが5つあります。
- 会計系の資格・経験
- FinTech・IFRSの知識・経験
- 語学力
- 向学心
- コミュニケーション能力
難関といわれる会計コンサルティングファームへの転職を成功させるために、身につけておきたいものばかりです。
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)会計系の資格・経験
1つ目の有利になるポイントは、会計系の資格や経験です。
会計コンサルタントになるための必須の資格はありませんが、会計コンサルタントの仕事にスムーズになじむために必要な資格はいくつかあります。
資格保有を必須条件に掲げていない会計コンサルティングファームも多いのですが、保有していれば当然他の人よりも高く評価されるため、転職の際に大変有利になります。
- 公認会計士
- 米国公認会計士(USCPA)
- 税理士
- 簿記(2級以上)
- 中小企業診断士
- 証券アナリスト など
上記の資格がなくても、事業会社での経理・財務に関する業務経験、監査法人での監査・アドバイザリー経験、金融機関での法人営業経験なども会計領域への専門性があることアピールすることができますが、客観的な能力・知識の証明となる資格があることは間違いなく転職時の大きな武器となります。
上記の資格は難関資格も多く、取得は簡単ではありませんが、会計コンサルティングファームへの転職を考えているなら、少しでも有利に運ぶためにも転職活動前に資格取得に向けて取り組んでおくと良いでしょう。
(2)FinTech・IFRSの知識・経験
2つ目の有利になるポイントは、FinTech・IFRSの知識・経験です。
会計コンサルティングファームでは、クラウド会計やQRコードなどの電子決済サービス、仮想通貨、クラウドファンディングなどのFinTech(フィンテック)に対応できる人材を積極的に求めています。
金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語です。銀行や証券、保険などの金融分野に、IT技術を組み合わせることで生まれた新しいサービスや事業領域。
ITの知識と会計や金融に関する知識の両方を持った人材はまだ少ないため、FinTechについて知識や経験を積んでおくと有利になるのは間違いないでしょう。
また、グローバル化・海外進出に伴い、IFRS(国際会計基準・International Financial Reporting Standards)を導入する国内企業が増加しているため、IFRSの知識や経験があるとさらに高く評価されます。
経済活動のグローバル化を目的に設定された、世界で同一の会計基準。
現在、およそ140カ国の上場企業や金融機関で採用されているIFRSを導入することで、海外からの資金調達や海外の子会社の管理が容易になる。
日本においてIFRSは強制適用ではありませんが、金融庁は2014年から「IFRS任意適用企業の拡大促進」を掲げており、2023年3月時点で約260社の日本企業がIFRSを適用しています。
これから海外進出を考えている企業から「IFRSについて詳しく知りたい」という相談も増えており、更にIFRSを導入する企業が増加していくとみられています。
IFRSについての知識や経験がある人材は会計コンサルティングファームにとっても貴重な存在です。
財務や会計分野での高い知識やノウハウに加え、FinTechやIFRSなど今後ニーズの高まる分野に強いことをアピールすると、高く評価されることでしょう。
(3)語学力
3つ目の有利になるポイントは、語学力です。
日本市場の縮小や人手不足から、今後、海外進出を考える企業はますます増えると考えられ、海外展開に伴いIFRSの導入を検討する企業もさらに増えるとみられています。
それにあわせて海外との交渉も増えることから、一定以上の語学力は会計コンサルタントにも必要となっていくと考えられます。
英語力を判断する材料として、TOEICスコアが1つの目安となります。
TOEIC700点以上あればビジネスレベルの英語力があると判断されますが、外資系など海外とのやりとりが日常的にあるファームの中にはTOEIC800点以上の高い英語力を応募条件としているファームもあります。
語学力が転職活動時に足を引っ張ることの内容、可能な限り語学力を高めておくようにしましょう。
(4)向学心
4つ目の有利になるポイントは、向学心です。
会計コンサルタントは、高度な会計・財務の知識があれば務まるという単純な仕事ではありません。
会計コンサルタントの仕事は、自分の提案によりクライアントの経営に大きな影響を与えることになる責任重大な仕事です。
クライアント企業に最善の提案を行うことができるよう、日々、関連領域に関する勉強をして知識を深く広く拡大していかなければならないだけでなく、目まぐるしく変わる世界情勢や経済、関連法令に対しても敏感に情報を入手し、随時アップデートしていかなければなりません。
ルーティンや過去の事例の踏襲でやっていける仕事ではないため、会計コンサルタントには向上心を持って日々勉強をする向学心が欠かせません。
FinTechやIFRSなどの最新の知識や情報をインプットしておくのも、向学心の強さを表す一例といえるでしょう。
向学心があることは仕事に対する熱量の高さの証明にもなります。
普段からアンテナを広く広げておき、学ぶ姿勢の強さを面接でもアピールしましょう。
(5)コミュニケーション能力
5つ目の有利になるポイントは、コミュニケーション能力です。
会計コンサルタントは、企業の要である会計・財務の分野から経営について深く関わる仕事です。
企業の将来を左右する重大な提案を意思決定層に受け入れてもらうためには、円滑な人間関係を築き、信頼を獲得できる高いコミュニケーション能力が欠かせません。
また、会計コンサルタントのコンサルティング業務はチームで行うことも多いため、社外だけでなく社内のメンバーとも良い関係を築ける能力も必要です。
面接の際には、人間的な魅力やコミュニケーションスキルなど、対人関係における能力も重視されるため、普段から「聞く力」「伝える力」「理解する力」を意識して高めるようにしましょう。
5.会計コンサルティングファームへの転職を成功させるポイント
会計コンサルティングファームへの転職を成功させるなら、次の2つのポイントを確実におさえておきましょう。
- 転職エージェントを利用する
- 自分にマッチする会計コンサルティングファームを選ぶ
後悔のない転職を行うためにも重要なポイントです。
次に1つずつ解説していきます。
(1)転職エージェントを利用する
1つ目の会計コンサルティングファームへの転職を成功させるポイントは、転職エージェントを利用することです。
会計コンサルティングファームの中途採用試験は難易度が高く、そこで確認されるのは財務・経理などの会計関連の知識の有無や経歴だけではなく、優秀な会計コンサルタントになれるか、素質や適性、伸びしろなども面接で厳しくチェックされます。
しかも、ファームによって面接の内容ややり方、評価ポイントも異なるという一筋縄ではいかないものとなっています。
業界を良く知る会計コンサルタント経験者ですら難しい会計コンサルティングファームの採用試験を、転職のプロである転職エージェントのサポートなしに未経験者がパスするのは容易ではありません。
その点、会計コンサルティングファームへの転職支援に実績のある転職エージェントであれば、そのファームに合わせて入念な書類選考対策や面接対策を行ってくれるため、効率的な転職活動が可能です。
また、場合によっては、転職エージェント独自のパイプによる未公開求人を紹介してもらえることもあります。
転職は、ハードル・難易度が高ければ高いほど、プロである転職エージェントの力を借りる必要性が高くなります。
1人でやみくもにチャレンジして失敗するよりも、転職エージェントを利用して賢く転職活動を行いましょう。
(2)自分にマッチする会計コンサルティングファームを選ぶ
2つ目の会計コンサルティングファームへの転職を成功させるポイントは、自分にマッチする会計コンサルティングファームを選ぶことです。
一口に会計コンサルティングファームといっても、企業によってカラーや方向性、ファームの強み、雰囲気やコンサルタントの育成方針などが異なります。
知名度や規模や年収だけでファームを選んだ場合、会計コンサルタントの経験がある人ならそれに合わせて働くことも可能ですが、未経験で入社した人であれば、ファーストステップである最初のファームで躓いてしまうとその後の働き方やモチベーションまで大きく変わってしまうことになります。
転職の成功とは、希望の転職先に採用されることだけではなく、そこが新しい活躍の場となることです。
転職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することのないよう、ファーム選びは慎重に行い、自分の考え方や理想にマッチするファームを選ぶようにしましょう。
「どのファームが自分に合っているかわからない」という人は、まずは各ファームを熟知する転職エージェントにご相談ください。
まとめ
会計コンサルタントへの転職について解説しました。
会計コンサルタントは、年収面でも高水準であり、ビジネスパーソンとしての成長機会も多く、経営人材としての視座の獲得など得難い経験ができる魅力的な仕事です。
また、自分の出した提案やアドバイスが実際にクライアント企業の経営改善や財務の改善、企業の成長や発展に繋がり、クライアントから感謝の言葉をかけられることは、大きなやりがいと満足感を与えてくれることでしょう。
さらに、近年はFinTechやIFRSといったIT化や国際化によって会計コンサルティングサービスの領域が拡大しており、会計コンサルタントのニーズはさらに高まっています。
それを受けて、会計コンサルティングファームでは、経験者だけでなく未経験者も積極的に採用する傾向が続いていることから、転職難易度が高いといわれる会計コンサルティングファームへの転職を考えているなら今が狙い目といえるでしょう。
特に、会計コンサルタントに求められる会計・財務・税務に関連する資格や知識、スキルや実務経験があれば、コンサルティング経験がなくてもチャレンジしてみる価値はあります。
そんな魅力の多い会計コンサルタントに興味がある人は転職エージェントを利用して、会計コンサルティングファームへの転職にチャレンジしましょう。
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