コンサル業界はこの先も安泰?業界の将来性や4つのポイントを紹介
「今後のコンサル業界はどうなるのか」
「コンサルタントの仕事に将来性はあるのか」
高年収や高いステータスなどのイメージから若い世代や転職世代から人気を得ている職種の一つといえばコンサルタントです。
これから先、ますます不透明かつ不確実性が高まる中で日本ではさらにコンサルティングニーズが高まるとみられていますが、様々な変化によりコンサルタントの将来性について不安を抱いている人も少なくないでしょう。
そこでここでは、コンサル業界の将来性と合わせて、コンサルタントの業務内容とその在り方の変化やこれからのコンサルタントが力を入れたい4つのポイントについて解説します。
コンサル業界への転職を考えている人、現在コンサルタントとして活動している人は、コンサル業界の新しい変化に対応するためにぜひご覧ください。
1.コンサル業界の将来性は今後も有望
コンサル業界の将来性は今後も有望と考えられています。
欧米と比べるとまだまだコンサルの利用率が低い日本では今後もコンサル業界は成長するとみられており、IT専門調査会社IDC Japan株式会社の2021年の調査によると、2021年の同市場規模は前年比11.4%増の5,724億円、今後の国内のコンサルティング業界の市場規模は2025年に1兆2,551億円にまで到達するとの調査結果が出ています。(出典:IDC国内ビジネスコンサルティング市場予測)
国内経済の低迷、コロナ禍、テクノロジーの進化や社会・ビジネスの複雑化など前例のない変化に対してどう対応すればよいか困っている企業も増えており、様々な会社の事例を豊富に有して業界横断的知見や総合的かつ俯瞰的な視点から助言するというスキルを持つコンサルに有料でコンサルティングを依頼して具体的な解決案を求めて景気回復や現状打破を試みる企業が増えているため、今後もコンサル業界の好況は続くと考えられています。
そんなコンサル業界では現場で働くコンサルタントの人数が足りておらず、多くのコンサルティングファームが積極的に中途採用を行うなど人材獲得に向けた競争が過熱しており、コンサル業界へ転職する人も年々増えています。
このようにコンサル業界の将来性は十分あり、コンサルタントの仕事に就く人も増えていますが、コンサルタントの仕事自体に全く不安がないわけではないので注意が必要です。
2.コンサルタントの業務内容・在り方には近年変化がみられる
世の中が大きく移り変わろうとしている今、コンサル業界の好況は続く見込みであり、コンサルタントの力は多くの企業で求められているのは間違いありませんが、コンサルタントの仕事内容・あり方には変化が起こると考えらえています。
- コンサルタントに求められるソリューションの多様化・範囲の拡大
- コンサル分野へのAIの進出
将来性のあるコンサルタントの仕事ですが、自分を取り巻く環境の変化に柔軟に対応していかないとコンサルタントとしての存在意義や価値を失くしてしまうおそれがあります。
次に1つずつみていきましょう。
(1)コンサルタントに求められるソリューションの多様化・範囲の拡大
1つ目の変化は、コンサルタントに求められるソリューションの多様化・範囲の拡大です。
まず、企業を取り巻く環境の変化に伴い、クライアント企業がコンサルタントに求めるソリューションの多様化が挙げられます。
クライアントごとに状況や抱える課題は様々であり、どのクライアント企業にも当てはまる正解などない中、コンサルタントには業界や社会に迅速かつ適切に順応するだけでなく先を読みつつ最適解を導き出すことが求められます。
DXや働き方改革、CSRなど企業が新たに導入しなければならない課題が次々に増えている今、クライアント企業よりも常に先んじて最新の情報やノウハウ、それに対応できるスキル・知見を得ていなければならず、コンサルタントにも新たな課題に対するソリューションの柔軟な対応力が求められるようになっています。
また、これまでのコンサルタントの仕事は構想やスキームの提案が一般的でしたが、提案だけでなく実行支援まで求めるクライアント企業が増えており、コンサルタントが行うコンサルティングの範囲が拡大しているのも大きな変化です。
かつてはコンサルティングファームのメインのクライアントは大企業でしたが、中堅企業やベンチャー企業なども積極的に利用するようになり、そういったクライアント企業から「提案して終わり」ではなく自社とともに並走してくれるコンサルタントへのニーズが高まっています。
これからは提案だけでなく企業と伴走して実行支援まで行うことが今後のコンサルタントには当たり前のように求められることになると考えられています。
(2)コンサル分野へのAIの進出
2つ目の変化は、コンサル分野へのAIの進出が挙げられます。
コンサル業界でも業務効率化を求めて新たな技術が次々に導入されており、コンサルタントの仕事内容にも変化が起こっています。
コンサルタントが行う重要な業務には、調査業務・分析業務・提案業務があります。
- 調査業務・・・ヒアリングや資料を通じて課題解決に必要な情報を収集する
- 分析業務・・・収集した情報から特徴や傾向やニーズを見出して解決策を導く
- 提案業務・・・解決策を資料化し、クライアント企業に提案する
この3つの業務のうち、分析業務は今後は各種データ分析がAIやBIツールによって自動化されてコンサルタントが行う必要がなくなるといわれており、さらにAIが日常業務の一端だけでなく予算管理やマーケティング、資本配分や戦略策定にも導入されるようになりつつあります。
コンサルタントの最も大きな業務であり強みはクライアント企業と対面して信頼関係を築き、対話・議論の中で方向性・戦略を練ってその企業にジャストフィットしたアドバイスを行うことです。
そのため、人為的なミスなどがなく正確であるというメリットがある一方で、クライアントの状況や考えに合わせて寄り添った提案をしづらいという致命的なデメリットがあるAIによってコンサルタントの存在自体が不要となることはまずありえません。
つまり、AIのコンサルティング分野への浸透によって、今後はさらにコンサルタントに求められるのは「分析」から「判断」へと進化することになり、よりクライアントに特化したコンサルティング手法やクライアントに寄り添う姿勢がコンサルタントに求められるようになっていくと考えられます。
また、コンサルティングファームを使わず、AIを使って企業の経営判断時に重要な材料となる財務分析やデータ分析を自社で行う企業が増加するなどコンサルに外注する必要性がなくなっていく可能性も考えられます。
今後もコンサル業界の好況は続くとみられますが、コンサル業界の大きな変化の中でコンサルタントが生き残るには、専門性の高さや幅の拡大、最新情報の収集・アップデート、クライアント企業と親密な関係を築く力など、テクノロジーなどに代替されないコンサルタントとしての独自性や強みを作る必要があるといえるでしょう。
3.これからのコンサルタントが力を入れたい4つのポイント
今後のコンサル業界を生き抜くために、これからのコンサルタントが身につけたい4つのポイントを解説します。
- 情報や技術を先取りして高い専門性を身につける
- コミュニケーション能力をさらに高める
- 語学力をさらに高める
- デザインシンキングも身につける
コンサルタントニーズの高まりと人手不足から各コンサル会社が中途採用を積極的に行っている今、常に成長し続け、先を予測し柔軟に対応しながら優秀な成績を修め続けられるコンサルタントでなければ生き残ることは難しくなっていくと予想されます。
今後もクライアント企業から求められるコンサルタントであり続けるために、この4つのポイントに力を入れましょう。
次に1つずつ解説していきます。
(1)情報や技術を先取りして高い専門性を身につける
1つ目のポイントは、情報や技術を先取りして高い専門性を身につけることです。
コンサルの現場では、DX・CSRなど従来の手法や知識やスキルだけではカバーできず、新たな技術や概念やルールが必要となるケースが増えています。
クライアント企業も従来の一般的な大企業だけではなく、これまでに無かった商品やサービスを展開するベンチャーや中堅・中小企業なども増えており、オーソドックスで昔ながらのコンサルティングでは多様なクライアント企業を十分にサポートできなくなっていくことでしょう。
コンサルタントとして今後も活躍し続けるなら、クライアント企業に最善の提案をするために最新情報や技術などをいち早く取り入れ吸収しておくことが不可欠となります。
(2)コミュニケーション能力をさらに高める
2つ目のポイントは、コミュニケーション能力をさらに高めることです。
提案だけでなく実行支援まで求めるクライアント企業が増えていく中、AIが代替してくれる業務は任せて、AIではカバーできないクライアント企業と強固な信頼関係の構築やクライアント企業によりフィットした提案・実行支援に力を注ぐことが必要になると考えられています。
そのような中で、コミュニケーション能力をさらに高めることが「クライアントに強く求められるコンサルタント」として生き残りの大きな戦略となることでしょう。
(3)語学力をさらに高める
3つ目のポイントは、語学力をさらに高めることです。
日本市場の縮小を背景に海外進出を計画する企業が増えており、自社で海外進出に関する知識やノウハウを持たないためにクロスボーダー案件の経験のあるコンサルタントによる経営視点に立ったアドバイスや豊富な経験・ノウハウを求める企業も増えており、展開先の国のビジネス慣習や法制度など現地の理解も含めて多角的にカバーできるコンサルタントの重要度は今後も増えていくと考えられます。
クロスボーダー案件受注の際には必ずアサインされるコンサルタントになるために、現地の人やグローバルなコンサルの場合は現地スタッフとスムーズにやり取りできる高い語学力を身につけましょう。
(4)デザインシンキングも身につける
4つ目のポイントは、ロジカルシンキングに加えてデジタルシンキングも身につけることです。
「ものづくり大国」「技術大国」と呼ばれていた日本ですが、「失われた30年」や市場構造の変化などにより、多くの日本企業がこれまでのプロセスや既存事業では今後は大幅な成長が見込めないという状況になっており、そこから抜け出すための方法を模索しています。
予測不可能な時代を生き抜くには、創造力、意思決定スピード、柔軟性、今までと異なる視野などが必要となります。
そこで役に立つのが、画期的なアイデアや革新的な発想、創造的な思考を創出する手法であり、既にある商品やサービスを進化させる場合に有効なデザインシンキングです。
独自性が企業の勝敗を分ける時代になっている今、イノベーションとの親和性も高いデザインシンキングは、コンサル分野でも問題に直面しているユーザーに共感しながらユーザー視点と立場で問題を考え、クリエイティブな発想により能力を引き出してオリジナリティのある提案を生み出すのに役立つことでしょう。
まとめ
コンサル業界やコンサルタントの将来性や、コンサルタントを取り巻く変化、これからのコンサルタントが伸ばすべき4つのポイントについて解説しました。
コンサルタントは将来性が高いだけでなく、課題を抱えて困っている企業を助けるという社会的にも公共性のある仕事であり、高収入な上にビジネススキルや経営人材としての自身の能力を引き出すことができる魅力的な仕事です。
しかも、転職においてはコンサルタント経験はどの業界からも引く手数多となるので今後のキャリアプランを立てる上でも大きな財産となることでしょう。
その一方で、新しい波を上手く乗りこなせないコンサルタントが今後活躍し続けるのは難しいのも事実です。
コンサルタントの仕事に興味のある人は、コンサルティング業界を取り巻く環境の変化や今後の展望しっかりと把握し、先を読んで対応することで、今後もずっと活躍し続けるコンサルタントを目指しましょう。
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