コンサルタントが最初に目指すポジション『マネージャー』について紹介!
「コンサルティングファームのマネージャーってどんな仕事をするの?」
「マネージャーになると年収が急にアップするって本当?」
コンサルタントとして一人前の証である『マネージャー』は、コンサル業界やそれ以外の業界でも一目置かれるポジションです。
しかし、コンサルファームに所属している方の多くが目指している役職であるにも関わらず、具体的な仕事内容等について知らない人も少なくありません。
そこでここでは、コンサルティングファームのマネージャーの仕事内容や年収、マネージャーに求められる能力・スキル、マネージャーになるメリットなどを解説してきます。
ビジネスパーソンとしての大きなステップアップとなるマネージャーを目指している人はぜひ参考にしてください。
1.コンサルタントが最初に目指すべきポジション『マネージャー』とは
コンサルタントとして一人前の証といわれ、ファームからも実力と実績を認められた存在といえる『マネージャー』について解説します。
- コンサルティングファームの『マネージャー』とは
- コンサルのマネージャーの平均年収
- コンサルのマネージャーに昇格できるのは30%未満
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)コンサルティングファームの『マネージャー』とは
コンサルティングファームにおけるマネージャーとは、一般企業では『課長』職に当たるポジションであり、マネージャーのさらに上のポジションとなるパートナー(役員クラス)が獲得してきたプロジェクト等の『現場責任者』として実際に遂行するのがマネージャーの大きな役割です。
アソシエイトやコンサルタントではデリバリー(プロジェクトの遂行)を行うのが主な業務でしたが、マネージャーに昇級するとそこにマネジメント・後進のコンサルタントの育成・セールス等の他の業務の実行も加わるようになります。
昔から「マネージャーにするかどうかは、その候補者が将来的にファームを引っ張っていくパートナーになれる素質を持つかどうかで判断する」とも言われており、マネージャーになることはファームの経営にも関わる将来有望な人材としてファームのトップ層から認められたといえるでしょう。
(2)コンサルのマネージャーの平均年収
コンサルティングファームのマネージャーになると一気に年収がアップします。
マネージャーになるとそれまでの役職では課されなかったセールスやチームマネジメント、クライアントとのリレーションなどの新しい責任領域が一挙に増えますが、仕事の大変さに比例してベース給も大幅に上がります。
一般的にコンサルタントの職位ではベース給が1,000万円に届かないことがほとんどですが、マネージャーに昇格するとほとんどのコンサルティングファームで1,000万円の大台を超えることが多いようです。
高水準のベース給に加えて賞与がプラスされるため、さらに高い年収が期待でき、場合によっては昇格時の年収のアップ率が150%以上になることもあるようです。
コンサルティングファームの種類 | ベース給(推定) | 賞与(推定) | コンサル歴 |
戦略系 | 1,300~2,000万円 | 固定給の30% | 3年~ |
総合系 | 1,000~1,400万円 | 固定給の10~20% | 3年~ |
IT系 | 1,000~1,400万円 | 固定給の10~20% | 2年~ |
組織・人事 | 800~1,200万円 | 固定給の10~20% | 2年~ |
財務・税務系 | 1,000~1,400万円 | 固定給の0~30% | 3年~ |
業務や責務が増えて大変になるのは事実ですが、しっかりベース給に反映されるので給与面でも満足して働けることでしょう。
(3)コンサルのマネージャーに昇格できるのは30%未満
コンサルティングファームでマネージャーに昇格できるのは30%未満、一説には10%程度といわれています。
一般的にマネージャー昇格は30歳前後がオーソドックスな年齢であり、ファームで着実に実績を上げて順当に昇格していけば35歳前後でマネージャーになると言われていますが、実力主義のシビアな世界であるコンサル業界では大きな実績を出して飛び級で20代後半でマネージャーに昇格するケースも珍しくありません。
逆に、35歳を過ぎてもマネージャーにタイトルアップできていない場合は、能力の問題ではなく、そのコンサルティングファームがマネージャー候補に求めているものと自分のスキルや経験がマッチしていない可能性が考えられます。
コンサルティングファームでは、ファーム自体が得意とするソリューションやメインストリームに沿ったスキルセットを持った人物でないと低く評価されてしまう傾向にあるため、ファームとのミスマッチでマネージャーへの昇進が難しいことがあります。
自分が正当に評価されていないと感じるならば、自身のスキルセットを高く評価してくれるコンサルファームに転職するのが良いでしょう。
実際、別のコンサルティングファームに転職したことでポジション・年収が大きく変わったケースもたくさんあるので、早いうちでのマネージャーへの昇級を考えているなら自身の年齢と年齢のリミットを考えて別のコンサルティングファームへの転職を検討することをおすすめします。
2.マネージャーの仕事内容
コンサルティングファームのマネージャーになるとどんな仕事をするのか見てみましょう。
- プロジェクトチームの構築(目標・メンバーの設定・タスクや役割の割り振り)
- 予算の管理
- プロジェクトの進捗管理
- メンバーへの指示・勤怠管理
- トラブルへの対応
- クライアント企業との調整・折衝
- パートナーへの報告・相談
- 報告書の作成
- 若手社員の育成・教育
- 新卒・中途採用の面接
- セールス
マネージャーになるとプロジェクトの立ち上げから実行までの一連の流れをチームを率いて行うのと同時に、『プロジェクトの顔』としてクライアント企業からの相談事・クレーム・要望なども一手に引き受けることになります。
コンサル業界で「アソシエイトやアナリスト、コンサルタントはまだ半人前。マネージャーになってやっと一人前」といわれるのは、マネージャーのポジションが”プロジェクトを一人でまわすことができる”という基準をクリアしていることの証だからです。
マネージャーはセールス段階からプロジェクトに入ることが多く、自分が中心となってプロジェクト初期の課題の構造化や仮説構築、作業設計行い、プロジェクトの方向性や形を具体化した上でプロジェクトメンバーを決め、メンバーに仕事や役割を割り振ります。
その後は設定されたプロジェクトの納期・予算・リソースなど限られた中でメンバーと共にクライアント企業に満足してもらえる成果を上げられるよう、現場業務などのデリバリーも行いながらマネジメントを行います。
また、人を活かすこともマネージャーの重要な仕事の1つです。
プロジェクト期間中、チームメンバーの能力を引き出せるか、成長させられるか、チームを円滑に回せるか、クライアント企業と良好な関係を維持できるかなども全てマネジメントを行うマネージャーの技量に左右されるといっても過言ではありません。
このように、マネージャーにはプロジェクトの現場で先を読みつつ全体を俯瞰して把握し、チームを率いて適切な指示を出し、クライアントとうまくやっていくなど総合的な力が求められます。
さらに、プロジェクトの進捗・達成具合に関してパートナーと相談したり、次の案件の獲得に向けて準備をするなど、「中と外(チーム内とクライアント)」「上と下(パートナーとコンサルタント)」とのやりとりも全て一人で業務をこなすことになります。
- デリバリー(プロジェクトの管理・遂行):50~60%
- セールス:10~20%
- クライアントリレーション:10~20%
- マーケティング:10%
コンサルティングファームのマネージャーの仕事は実に多岐にわたっており、マネージャーになるとそれまでのタイトルでは課されなかったセールスやマーケティングなどの新しい責任領域が一気に増えることになります。
さらに、未経験層のポテンシャル採用で入った社員への育成や採用時の面接など、「人をまとめる側」に立つことで発生する新たな業務も加わります。
大変な業務ではありますが、マネージャーになれば自分の裁量で行う範囲も一気に広がり様々な貴重な経験ができるようになるため、自分のビジネスパーソンひいては経営人材としてのスキルを伸ばす絶好の立場といえるでしょう。
3.コンサルのマネージャーに求められる能力・スキル
チームやパートナー、クライアント企業から信頼されるマネージャーになるために必要な能力・スキルを見ていきましょう。
マネージャーになるにはコンサルタントとしての十分なベーススキルを備えていることは大前提として、次の能力・スキルが求められます。
- 高いコミュニケーション能力
- 強いリーダーシップ
- 的確なマネジメント力
- 柔軟な対応力
- セールス能力
プロジェクトを率いて多くの業務を担い、責任も重くなるマネジャーへの昇進は、アソシエイト・アナリストがコンサルタント・シニアコンサルタントに昇進する際よりもかなり難易度が高くなります。
しかし、この5つの能力・スキルを身につけていれば、マネージャーとして選ばれ活躍できることでしょう。
次に1つずつ解説していきます。
(1)高いコミュニケーション能力
コンサルのマネージャーに求められる1つ目の能力は、高いコミュニケーション能力です。
コンサルのマネージャークラスになると、担当したプロジェクトの顔・現場責任者として全般的なマネジメント、チームメンバーのとりまとめに加え、クライアント企業の経営者層との交渉機会も一気に増えます。
さらに、上司であるパートナーとのやりとり、部下のサポート、新卒・中途採用者の面接や育成業務、ファーム外ではセリング(営業)など年齢・性別・立場を問わず多くの人と接点を持つことになります。
プロジェクトを円滑に進めるためにも、ファームのトップに信頼され、部下に慕われ、経営層に気に入られるなどマネージャーには社内・社外で良好な人間関係を築けるような高いコミュニケーション力が不可欠です。
(2)強いリーダーシップ
コンサルのマネージャーに求められる2つ目の能力は、強いリーダーシップです。
リーダーシップには、牽引型のリーダーシップと奉仕型リーダーシップの2種類がありますが、優れたマネージャーは両方を兼ね備えていることが重要です。
コンサルの現場責任者であるマネージャーにプロジェクトの成功に向けて目標を掲げメンバーを引っ張っていく牽引型のリーダーシップはもちろん必要ですが、チームメンバーを後ろから支え成長を引き出してメンバーが目標達成に向けて行動しやすい環境を整える奉仕型リーダーシップも、後進を育てる役割を担うマネージャーには不可欠なスキルです。
目標達成のためにチームの行動を促す力であるリーダーシップは、生まれ持ったものではなくトレーニングすることで身につけられるスキルです。
普段から積極的にコミュニケーションをとってポジティブ思考で取り組み、2つのリーダーシップスキルを磨いていきましょう。
(3)的確なマネジメント力
コンサルのマネージャーに求められる3つ目の能力は、的確なマネジメント力(管理能力)です。
マネジメント能力には、状況把握力や目標を設定して伝える力、目標への進捗を把握し管理する力に加え、冷静にメンバーの能力を判断して適切に仕事を割り振り(適材適所)、適度に任せることができる力も含まれています。
プロジェクト遂行中には、経験不足のメンバーや自分の力を十分に引き出せていないメンバーに仕事を任せるよりも「自分でやってしまうほうが簡単だし早いし確実」と感じることも多々あることでしょう。
しかし、そこで自分がやってしまってはメンバーがタスクをやり切る機会や成長機会、そして自信を奪ってしまうことになるだけでなく、自分自身のマネージャーとしての成長も奪ってしまうことになります。
マネジメントポジションのマネージャーになったならば、自分は一歩引いてチームメンバーやプロジェクトのマネジメントに徹し、現場のプレーヤーであるメンバーを信じて任せることが重要です。
(4)柔軟な対応力
コンサルのマネージャーに求められる4つ目の能力は、柔軟な対応力です。
マネージャーの立場になると、実際のプロジェクトのデリバリーはアソシエイトやコンサルタントが中心となり、自分は一歩控えて全体のマネジメントを行うことがメインになります。
しかし、自分でやるのとは異なり、スキルや経験が不十分なメンバーによりプロジェクトの進捗に問題が起こった時やクライアント企業と意見が食い違った時など、プロジェクト進行中には想定外の事態や問題が起こることも少なくありません。
トラブル発生時に即座に現状や問題点を把握し、冷静に判断してクライアントやプロジェクトの要求に適切に対応する柔軟な高い対応力がマネージャーには不可欠の能力です。
また、柔軟に対応するためには、普段からアンテナを広く広げて、新しい業界や分野に関する知識を迅速に習得するアップデート力や向学心も求められます。
(5)セールス能力
コンサルのマネージャーに求められる5つ目の能力は、セールス能力です。
デリバリーに注力すればよいアソシエイトやコンサルタントのポジションとは異なり、マネージャーになるとさらに『マネジメント力』『セールス力』が求められることになりますが、コンサルティングファームによってマネージャーに求める役割が異なるといわれています。
- 難易度の高いプロジェクトをやり遂げる『デリバリー力』を重視するコンサルティングファーム
- 様々な規模のチームをマネジメントできる『マネジメント力』を重視するコンサルティングファーム
- 高い営業力を持ち仕事を取ってくることができる『セールス力』を重視するコンサルティングファーム
マネージャーの役割として『デリバリー力』『マネジメント力』を重視するコンサルティングファームが一般的であり、マネージャーの時点ではそれほど『セールス力』を重視しないファームが多いようです。
しかし、コンサルティングファームの規模や方針によってはマネージャーに『デリバリー力』や『マネジメント力』よりも『セールス力』を求めるところもあります。
パートナーの役割として欠かせない『セールス力』がパートナー予備軍であるマネージャーに必要なのは当然ですが、実際のプロジェクトを抱えながら同時にセールスを行うのは大変です。
しかし、マネージャーの上のキャリアを目指しているなら、マネージャーのポジションのうちに『セールス力』を磨き、人脈や実績を作りつつ自分のビッグクライアントを育て始めておくことが欠かせません。
『セールス力』は、既存のクライアントからも課題やニーズを引き出す能力やネットワークを広げて新たなクライアントにアピールする能力などの総合力が必要です。
コンサルのマネージャーのポジションは管理層への入り口であり、ここで可能な限り多くの経験を積むことがその後のコンサルタントとしてだけでなくビジネスパーソンとして大きな財産となります。
マネージャーの上のポジションを目指すなら、ぜひ目の前の業務をこなすだけでなく、『セールス力』を磨いてその先を見据えた準備を始めましょう。
4.コンサルのマネージャー昇格のメリット
コンサルティングファームのマネージャーになることで得られるメリットは数多くあります。
- 年収の大幅アップ
- 一人前と認められ自信がつく
- 仕事が面白くなる
- 経営人材に必要なスキルを磨ける
- 人脈が広がる
- 転職市場で価値が飛躍的に上がる
マネージャーに昇格すると年収の大幅アップとなり、文字通り、桁がひとつ変わる場合も珍しくありません。
実際、外資系・日系に関わらず年収が1,000万円を超えるマネージャーがほとんどであり、コンサル業界の中でも特に高年収として知られる戦略系コンサルティングファームのマネージャーになると年収は1,500万円を超えるケースがほとんどといわれています。
さらにそこに賞与がつくため、他業界では考えられないほどの年収を得ることも夢ではありません。
また、コンサル業界やファーム内でのコンサルタントとしての位置づけも大きく変わります。
コンサル業界では、マネージャーの下のポジションであるアナリスト・コンサルタントまではプロジェクトのサポート役であり「半人前」扱い、プロジェクトの一部ではなく自分で責任を持ってプロジェクト全体の設計・管理・運営をできるマネージャーになって初めて「一人前」として認められるといわれ、ファーム内外でも一目置かれるようになります。
そして、そのポジションについたことで自信もついて、より仕事が楽しく感じられるようになることでしょう。
実際、自分がリーダーとしてチームをまとめてプロジェクトを実行していくことで「仕事の本当の面白さが実感できた」という人も多く、コンサルタントの仕事の真の醍醐味を味わえるのもマネージャーになってからといわれています。
さらに、マネージャーとして多くの仕事をこなすうちに判断力や決断力、統率力、先見予測力、実行力などの経営人材として必要なスキルを磨くことができるのも大きなメリットといえます。
他にも、マネージャーというポジションの経験は、その後のキャリア形成時にも大きなプラスとなります。
コンサルティングファームのマネージャーのスキルは他の業界にも転用が利くため、マネージャー経験者という肩書は市場価値を飛躍的に上げる経歴となります。
その結果、転職市場での評価は非常に高くなり、優秀なコンサルタントを求めるコンサルティングファームや事業会社からも引っ張りだこになるなどキャリアの選択肢も広がります。
まとめ
コンサルティングファームのマネージャーは、コンサルタントのキャリアにおいて最初の目指すべきタイトルです。
コンサルティングファームに入ってマネージャーに昇格することはビジネスパーソンとしての大きな節目となり、年収が大きくアップする・キャリア形成にプラスになるなど多くのメリットがあります。
その一方で、業務や責任、求められる成果も大きくなりますが、プロジェクトが成功したときの達成感は、アソシエイトやコンサルタントの立場でプロジェクトに取り組んだ時とは比べ物にならないほど大きいことでしょう。
また、仕事の大変さは逆に言えば自分の能力が認められ、ビジネスパーソン・経営人材としてのさらに自分の能力を飛躍的に伸ばせる素晴らしい環境を与えられたといえます。
ぜひマネージャーへの昇格やキャリアアップ転職を考えている人は、今回の情報を参考にしてコンサルタントとしてワンランク上となるマネージャーを目指しましょう。
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