営業職からコンサル業界への転職は厳しい?転職動向や転職のポイント・注意点を解説
「営業からはコンサルへ転職できる?」
「営業からコンサルへの転職を成功させるためのポイントを知りたい」
営業関連の経験やスキルや知識などを活かし、さらにビジネスパーソンとしての成長を求める営業マンから人気の高い転職先の1つがコンサル業界です。
コンサル業界は今人手不足であることから未経験者の採用意欲も全般的に高いのですが、特に営業力の高い営業職経験者は高く評価されており、既に一流のコンサルとして活躍している元営業マンも少なくありません。
本記事では、営業職からコンサルへの転職に関し、2つの仕事の違いや転職動向、転職する際のポイント・注意点を解説します。
コンサル業界への転職を迷っている人はぜひご覧ください。
1.営業とコンサルタントの違い
まず、営業とコンサルタントの違いについて解説します。
意思決定層と直接話をし、お客様のニーズや問題を聞き出して提案するという大まかな流れにおいては営業職とコンサルの仕事には似ている部分があるといわれています。
また、成果によってインセンティブが支給されるという点でも類似しています。
しかし、営業とコンサルでは、仕事・目的や年収に大きな違いがあります。
- 仕事・目的の違い
- 年収の違い
違いを明確に理解することで、コンサルの仕事の理解も深まることでしょう。
(1)仕事・目的の違い
1つ目の違いは、仕事・目的の違いです。
営業は自社で取り扱っている商品やサービスを商材としていますが、コンサルタントは自身のコンサルティングサービスを商材としている点で大きな違いがあります。
また、目的も営業とコンサルタントは異なります。
営業の最終的な目的は、顧客の求める商品やサービスを販売することですが、コンサルタントの仕事は高度な専門知識と実行力で顧客の抱える経営課題を解決することです。
そのため、営業の仕事と比べると、コンサルタントは経営者視点でクライアントと関わり、その範囲は広く深く、かつ上流工程を担当することが多くなります。
営業の仕事も自社を代表する責任のある仕事ですが、コンサルタントの仕事はクライアントの未来を支え、ひいては日本社会を支える責任の重い仕事といえるでしょう。
(2)年収の違い
2つ目の違いは年収の違いです。
専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人)の平均年収は585万円、営業系は439万円となっており、日本の平均年収458万円と比べてもコンサルタントは高水準となっています。(出典:doda・職種別の平均年収ランキング ・国税庁・令和4年分 民間給与実態統計調査)
さらにコンサルタントは、ここにインセンティブも加わることで1,000万円を超える年収を得ている人も珍しくなく、大手外資系企業となれば数千万円の年収を得ている人も少なくありません。
もちろん営業職でもインセンティブにより1,000万円を超える年収を得ている人もいますが、不動産など取り扱う商材の金額が高い業界に限られるため、全体的にはコンサルタントほどの年収を得ている人はそれほど多くありません。
一般的に、コンサルは営業より年収が高い傾向が強いです。
2.営業からコンサルへの転職動向
次に、営業の仕事からコンサル業界への転職について見てみましょう。
- 営業職からコンサルへの転職を希望する理由
- コンサルの採用市場における営業職の評価
次に1つずつ解説します。
(1)営業職からコンサルへの転職を希望する理由
営業職からコンサルを目指す転職理由として、次のものを上げる人が多いです。
- 営業職でのスキル向上ではなく、ビジネスパーソンとしての全般的かつ高度なスキル向上を目指したい
- 様々な企業の経営に深く関わりたい
- 高年収を得たい
営業職の転職理由に多い「今の仕事がきついから」「営業のノルマが大変だから」等のネガティブな理由でコンサルへの転職を希望する人は少ないです。
「今の仕事よりも活躍の場を広げ、キャリアを積みたい」「将来の仕事の幅を広げたい」「ビジネスパーソンとして成長したい」というポジティブな理由でコンサルへの転職を目指す人が多いのが特徴です。
(2)コンサルの採用市場における営業職の評価
コンサルの採用市場における営業職の評価は高いです。
コミュニケーション能力や提案力、プレゼン力などが基本的な営業力の備わった営業職は、企業の経営者が抱える経営問題の解決をサポートするコンサルの仕事の適性があると評価されているためです。
特に、コンサル業界で人気が高いのが法人営業経験者であり、求人の要件として「法人営業経験者」を掲げているファームも少なくありません。
3.営業からコンサルに転職する際の3つのポイント
次に、コンサル業界への転職の際のポイントを解説します。
- 自分のキャリアやスキルの棚卸をする
- 仕事で重視する軸をブレさせない
- 早めに転職活動を始める
転職活動は勢いが大事ですが、それはベース・下準備がしっかりあってこそです。
コンサル業界への転職を考えている人はぜひこの3つのポイントをおさえておきましょう。
(1)自分のキャリアやスキルの棚卸をする
1つ目のポイントは、自分のキャリアやスキルの棚卸をすることです。
営業からコンサルへの転職を目指しているならまず真っ先にすべきなのが、自分のスキルやキャリアを客観的に把握することです。
自分のキャリアやスキルの棚卸をすると、どの領域のコンサルで働きたいのか、自分がどの領域のコンサルティングに向いているのか、あるいはどの領域からのニーズがあるのかが自然と明確化できます。
例えば、IT商材を取り扱ってきたIT営業職の人であれば、IT領域に特化したITコンサルや、ITも取り扱う総合コンサル・戦略コンサル、金融業界系の営業職の人であれば、旧会計系ファームの総合コンサルや財務アドバイザリー系コンサルなど、営業職で培ったスキルや知識をそのまま活用でき、また、ファームからのニーズも高いことから転職活動もスムーズに進めやすくなります。
また、自分のスキルや伸びしろを俯瞰的に見ることもできるようになり、面接時などに客観的かつ効率的に自分の価値をアピールしやすくなるというメリットもあります。
(2)仕事で重視する軸をブレさせない
2つ目のポイントは、仕事で重視する軸をブレさせないことです。
法人営業経験の豊富な営業マンや魅力のある営業マンは、人材不足傾向の強いコンサルティングファームから大人気であるため、転職活動時に様々なファームから好条件で声を掛けられることも少なくありません。
高年収を提示されるとついつい興味を持ってしまうものですが、高収入など条件の良いファームに採用されることがコンサル業界への転職の成功ではなく、自分のキャリアビジョンを持って、自分のやりたいことや将来のプランに叶うコンサルで働くことが転職の成功であるのを忘れてはいけません。
どんな経験もプラスになるともいえますが、営業職から最初の転職先となるファームの方向性や考え方や環境は厳選すべきです。
最初のファームが合わずにコンサルタントとしてのスタート地点で躓いてしまっては元も子もありませんし、コンサルタントとしての力をつける前に短期間で再び別のファームに転職となると『ジョブホッパー』とみられて良い印象を持たれません。
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コンサル業界の転職先を選ぶ際は、仕事で重視する軸をブレさせず、キャリアビジョンを考えて慎重に選びましょう。
(3)早めに転職活動を始める
3つ目のポイントは、早めに転職活動を始めることです。
人材不足傾向が続いているコンサル業界では未経験者の採用にも意欲的ですが、特にポテンシャル採用として若い年齢層を多く採用する傾向があります。
中には、営業で多大な成果を出しておりスキルも特に高い人は年齢に関係なく最初からプロジェクトを管理するマネージャークラスで採用される場合もありますが、それはレアなケースです。
他の業界と同じく、未経験でのコンサル業界への転職は若い年齢の方が有利になるため、営業マンが「コンサル業界に転職したい」と思ったら、できるだけ早く転職活動を始めるのが良いでしょう。
また、その際は、コンサル業界への転職に強い転職エージェントや転職サイトを利用すると安心です。
4.営業からコンサルに転職する際の3つの注意点
営業からコンサルに転職する際は、次の3つの注意点に気を付けましょう。
- 年収が下がる可能性がある
- 転職直後は地道な作業がメインとなる
- さらに厳しい実力主義の世界となる
営業の仕事からコンサルの仕事への転職はゴールではなく、さらにハードな世界で自分を鍛えるスタート地点です。
3つの注意点を理解し、一流のコンサルを目指しましょう。
(1)年収が下がる可能性がある
1つ目の注意点は、年収が下がる可能性があることです。
インセンティブで高い年収を得ていた優秀な営業職の人でも、コンサルでは未経験からのスタートとなるため、転職後に年収が下がるケースがほとんどです。
しかし、もともと未経験・中途採用者が多いコンサル業界では、多くのファームで未経験者に対する研修制度やサポートが充実していており、それらをうまく利用して早く仕事にキャッチアップできれば年収の問題は意外と早期に解決できることも多いです。
営業からコンサルに転職した直後は一時的に年収は下がりますが、コンサル業界は営業よりも遥かに実力主義の世界であるため、出した成果に対するインセンティブのシステムも充実しており、転職後の成績次第では早い段階で前職越えの年収や昇給・昇級も実現できることでしょう
(2)転職直後は地道な作業がメインとなる
2つ目の注意点は、転職直後は地道な作業がメインとなることです。
コンサル業務未経験の営業がコンサルティングファームに転職した場合、最初に行うのはクライアントに提示する資料の作成業務やリサーチ業務です。
最初から華々しくクライアントに対してコンサルティングを行うわけではなく、いわばコンサルティング業務のベース部分の仕事からのスタートとなるため、「思っていたような仕事と違う」と焦ってしまう人も少なくありません。
しかし、地道な資料作成やリサーチにより、コンサルタントとして必要な視点や客観的な分析力や論理的な思考力を鍛えていくことができるため、焦らず丁寧に業務を遂行することが重要です。
ベース部分となる力が身につけば、徐々に先輩コンサルタントや上司に同行してクライアントとの接し方・提案の仕方など現場で学ぶOJTの機会も増えていきます。
(3)さらに厳しい実力主義の世界となる
3つ目の注意点は、営業よりもさらに厳しい実力主義の世界となることです。
営業も仕事にノルマを設けている企業も多く実力主義の世界ですが、コンサル業界はそれに輪をかけて厳しい実力主義の世界となっており、バリューを出せないコンサルは生き残ることはできません。
常に勉強し続けなければならず、精神的にも肉体的にも更なるタフさが求められます。
しかし、結果を出せばそれに見合う待遇や年収をしっかり得られる魅力的な業界であり、ここで得た経験や知見はその後のビジネスパーソンとして大きな財産となります。
営業で得たスキルに加えて、コンサルで得た論理的思考や経営に関する高い視座を武器に、更なる大きな舞台で活躍する一流のビジネスパーソンを目指しましょう。
まとめ
営業の仕事からコンサルへの転職について、仕事内容の解説や転職理由、転職の際に重視すべきポイントや注意点について解説しました。
コンサル業界は急激に成長しており、案件の量に対してコンサルタントの人員が圧倒的に不足しているファームが多いことから、営業スキルや業界知識を持つ営業職経験者の採用ニーズも高くなっています。
つまり、人手不足・未経験採用意欲の高い今が狙い目です。
ぜひ、「営業よりもさらに上流工程で企業の経営に関わるコンサルの仕事に就きたい」「ビジネスパーソンとしての自分のキャリアの幅や選択肢を広げたい」と思ったら、今すぐコンサル業界への転職活動を始めましょう。
その際は、コンサルへの転職をサポートしてくれる転職エージェントや転職サイトを利用すると、より自分の希望やビジョン、キャリアプランにマッチしたコンサルへの転職を成功させることができます。
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