日本流の投資を行う世界最大級外資系PEファンド『カーライル・ジャパン』の転職動向と待遇
「カーライル・グループってどんなPE投資会社なの?」
「日本のカーライル・ジャパンへの転職難易度は?待遇は?」
日本においてPEの存在がいよいよ成長期を迎え、外資系・国内系様々なPEファンドが活発に投資を行っています。
外資系でありながらカーライル・ジャパンは『日本特化型PEファンド』として多くの企業に受け入れられ数多くの投資を成功させている老舗かつレジェンド的PEファンドとして知られています。
そこでここではカーライル・グループとその日本オフィスであるカーライル・ジャパンについて、概略や実績と合わせて待遇や転職動向を解説していきます。
高いレベルの中で最先端でスケールの大きな投資を行いたい、世界有数のPEファンドで働きたいとお考えの人は必見です。
1.世界最高レベルのPEファンド『カーライル・グループ』の概要
カーライル・グループとその日本オフィスであるカーライル・ジャパンについて解説します。
- 世界最高レベルのPE投資会社『カーライル・グループ』の歴史
- 日本で最も歴史のある外資系PEファンド『カーライル・ジャパン』の特長
- 『カーライル・ジャパン』の事業内容と実績
社名の由来がニューヨークのセントラルパーク近くにある高級ホテル『カーライル・ホテル(The Carlyle Hotel)』というユニークなカーライル・グループは、世界で最も知られている屈指の巨大PEファンドの1つです。
グループの歴史や日本オフィスであるカーライル・ジャパンについて見ていきましょう。
(1)世界最高レベルのPE投資会社 『カーライル・グループの歴史』
カーライル・グループ(The Carlyle Group)は、ウィリアム・E・コンウェイ ジュニア氏、ダニエル・A・ダニエロ氏、デイビッド・M・ルーベンシュタイン氏により1987年に設立されたPE投資会社です。
米・ワシントンD.Cに本拠地を構え、世界29都市に拠点を展開し5大陸に29のオフィスを持ち、世界中で2,100人以上の従業員を擁するなど世界でも屈指の規模を誇っています。
事業内容としてプライベートエクイティ、リアルエステート、グローバルクレジット、インベストメントソリューションズの4つを柱としていますが、最も注力しているのは運用資産のうち37%を投資しているプライベートエクイティ事業です。
カーライル・グループは、大きな単独のグローバルファンドから世界各地への投資を行うのではなく、ローカルのファンドを作って現地チームにオペレーションを任せるというシステムを確立した初めてのファンドでもあります。
日本では、2000年にカーライル・ジャパンを設立され、国内の様々な企業に対し投資を次々に行っています。
会社名 | カーライル・ジャパン・エルエルシー |
種別 | PEファンド |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング35階 |
代表者 | 日本代表 兼 マネージングディレクター 山田 和広 |
設立 | 2000年 |
資本金 | 不明 |
売上 | 不明 |
純資産 | 不明 |
事業内容 | PEファンドの管理運営業務 PEファンドの管理運営業務に関する周辺業務 |
HP | https://www.carlyle.com/ja/carlyle-japan |
沿革 | 2000年 東京のバイアウト投資チーム『カーライル・ジャパン・LLC』設立 2001年 1号ファンド:カーライル・ジャパン・パートナーズ L.P.設立 2006年 2号ファンド:カーライル・ジャパン・パートナーズII L.P.設立 2015年 3号ファンド:カーライル・ジャパン・パートナーズⅢ L.P.設立 2020年 4号ファンド:カーライル・ジャパン・パートナーズⅣ L.P.設立 |
カーライルの投資プロフェッショナルは、投資先を発掘しエクセキューションしモニタリングするというファンドの一連の業務を一気通貫ですべてやるという特徴があり、現在までに日本を含めて全世界で700件以上の投資実績があります。
(2)日本で最も歴史のある外資系PEファンド『カーライル・ジャパン』の特長
2000年に設立されたカーライル・ジャパンは、『日本人が運営する日本専用のファンドであること』にこだわって作られたPEファンドです。
そのため、外資系であるにもかかわらず、社員はすべて日本人という珍しい構成で日本流の投資スタイルを持つ会社としても知られています。
カーライル・ジャパンは、日本で事業を行うグローバルな投資会社の中で最も長い歴史を持ち、日本企業に対する投資に特化した円建てのバイアウト・ファンドを通して投資を行っています。
その運用資産の半分以上は日本の機関投資家からの出資であり、看板は外資でも預かっている資産は内資であるというのも大きな特長です。
つまり、カーライル・ジャパンは外資系ではありますが、表向きには外資でもその本質は『日本人の日本人による日本企業のためのプライベート・エクイティ』といえます。
後継者問題や国際化への対応などの悩みを抱える企業に対し、“One Carlyle”の理念のもとでグローバル戦略の実行や事業の変革を実現し、各投資先企業に合った変革的な価値創造プランを構築・実行していくのを得意としています。
日本における強力なプレゼンス、”One Carlyle”のグローバル・ネットワーク、さまざまな業界についての深い知見、投資企業の経営陣との強固な信頼関係をもとに、これまでにカーライル・ジャパンでは4つのファンドを組成し、総額6,000億円以上の投資実績を積み上げています。
ファンド名 | 設立年 | ファンドサイズ |
カーライル・ジャパン・パートナーズ L.P. | 2001年 | 500億円 |
カーライル・ジャパン・パートナーズII L.P. | 2006年 | 2,156億円 |
カーライル・ジャパン・パートナーズⅢ L.P. | 2015年 | 1,195億円 |
カーライル・ジャパン・パートナーズⅣ L.P. | 2020年 | 2,580億円 |
(3)カーライル・ジャパンの事業内容と実績
カーライル・ジャパンのメインの投資対象は従業員1,000人以下の中堅企業で、ブランドや技術を持っていても海外展開や国内におけるマーケティングで必ずしも優れた能力を持ち合わせていないような企業です。
日本には非常に優秀な中堅企業が多数ありますが、その多くがオーナー系企業であり承継問題や新たなフェーズへの展開・移行を緊急の経営課題としています。
それを受けて、従来のやり方・経営では限界が見えている中堅企業の競争力を強めるために、カーライル・ジャパンは投資先企業と緊密に連携し、その事業を長期にわたって持続的に成長させるサポート(企業による事業承継に向けた準備、事業カーブアウトの実行、および国内外における事業の拡大)を行っています。
特にカーライル・ジャパンは『消費財、小売、ヘルスケア』『製造業一般』『テクノロジー、通信/メディア』の3つのコアとなる業界に注力しており、最近では2019年1月のオリオンビール(沖縄県浦添市)へのTOBで話題となったことは記憶に新しいことでしょう。
ただ、時代の変化を受けてカーライル・ジャパンだけでなくカーライル・グループ全体でベンチャー企業への積極的な投資姿勢を見せるなど投資先の選定にも少しずつ変化がみられています。
カーライル・ジャパンの場合、新型コロナウィルス禍で日本の大企業のカーブアウト案件が増加すると見込んで2020年3月に組まれた日本向けバイアウト第4号ファンド『カーライル・ジャパン・パートナーズⅣ L.P.』はこれまでで最大規模の2580億円の資金調達を完了していますが、その約1割を新世代バイオ素材開発メーカーSpiberを含む成長投資案件に振り向ける予定と発表しています。
国内での存在感をますます高めているカーライル・ジャパンですが、これまでの実績も実に豊富です。
会社名 | 業種 | 投資時期 |
株式会社ウィルコム | 通信・メディア | 2004年10月 |
チムニー株式会社 | 消費財・小売 | 2009年12月 |
株式会社ツバキ・ナカシマ | 製造業 | 2011年3月 |
三生医薬株式会社 | ヘルスケア | 2014年8月 |
株式会社おやつカンパニー | 消費財・小売 | 2014年5月 |
センクシア株式会社 | 製造業 | 2015年3月 |
株式会社マネースクエアHD | テクノロジー・ビジネスサービス | 2016年10月 |
名水美人ファクトリー株式会社 | 消費財・小売 | 2016年3月 |
オリオンビール株式会社 | 消費財・小売 | 2019年1月 |
三共理化学株式会社 | 製造業 | 2019年3月 |
カーライル・ジャパンのメンバーがあえて全員日本人であるのは、「高く買って欲しいというよりも売却後永続的に成長できる会社にして欲しい」という日本企業の強いニーズに応えるためです。
コロナ禍で新たな局面を迎える中堅企業が今後もますます増える見込みの日本で、日本企業のことを深く理解し長くつき合うことができる日本人のメンバーが揃ったカーライル・ジャパンのニーズはさらに高まっていくことでしょう。
2.カーライル・ジャパンの待遇
次に、カーライル・ジャパンの待遇についてみてましょう。
- カーライル・ジャパンの平均年収
- カーライル・ジャパンの社風・社内環境・福利厚生
カーライル・ジャパンの待遇を見れば、さらに興味が増すはずです。
次に1つずつ解説していきます。
(1)カーライル・ジャパンの平均年収
カーライル・ジャパンの年収情報は公開されている情報は残念ながらありません。
PEファンドでは基本的には非公開求人であり、各々の実績を鑑みて年収がオファーされる形になります。
あくまで目安になりますが、若手層での採用の場合、年収はベース1,000万円~2,000万円にキャリーが加わる形で提示されるケースが多いようです。
PEファンドの報酬体系は、ベース(年俸)+キャリー(成功報酬)となっており、案件次第で計り知れない報酬を得ることができます。
特に、カーライル・ジャパンは大きな投資を多数手がけているので、関連した案件の規模によっては億単位のキャリーを得ることも可能です。
やりがい面だけでなく報酬面でもカーライル・ジャパンは大きな魅力と夢を持てる職場といえるでしょう。
(2)カーライル・ジャパンの社風・社内環境・福利厚生
カーライル・ジャパンは、オープンでやる気のある人がどんどん積極的に仕事に取り組める自由闊達な雰囲気がある会社です。
カーライル・ジャパンは少数精鋭のプロフェッショナル集団ですが、そういった企業にありがちな堅苦しさがなく、口コミでも「優秀な人が多く、視座の高いメンバーが多い」「社内の風通しがよく、言いたいことを言える環境」「やりたいことを自由に提案できる」など全体的に働きやすい雰囲気であると高く評価されています。
メンバーの資格取得・スキルアップを応援する土壌もあるので、自己成長を考えている人にとっても働きやすい職場と考えられます。
3.カーライル・ジャパンへの転職動向
最後に、カーライル・ジャパンの転職動向について解説します。
- カーライル・ジャパンの転職状況
- カーライルジャパンの転職情報
- 業界未経験からでも可能か
日本でも選りすぐりの少数精鋭の老舗外資系PEファンドであるカーライル・ジャパンは転職市場でも人気です。
カーライル・ジャパンの転職情報はあまり表に出てきませんが、どのような人材が求められ、活躍しているかを見ればおのずと必要なキャリアやスキルもわかることでしょう。
(1)カーライル・ジャパンの転職状況
カーライル・ジャパンのメンバーはほぼ転職者で構成されています。
代表の山田氏をはじめとする8名のマネージング・ディレクターを含めて25名程度と少数精鋭であり、日本の金融機関や総合商社出身者の歴代パートナーの影響もあってメンバーも三菱商事や投資銀行出身者が多い傾向にあります。
そのほかには日本長期信用銀行・メガバンク・外資系証券会社・大蔵省(現: 財務省)官僚・弁護士など様々なバックグラウンドを持つ人が採用されています。
一般的に大規模なプライベートエクイティではソーシング(案件探し)・バリュエーション(価値評価)・エクセキューション(投資実行)・バリューアップ(成長、再生)・Exit(売却、IPO)などそれぞれの局面で役割分担をしていますが、カーライル・グループではそこをあえて一気通貫で担うため、必然的にメンバーはプロフェッショナルとしてすべての局面に関わることになります。
そのため、カーライル・ジャパンでも、限定された分野のスペシャリストではなく、資金調達から投資回収までまんべんなく全局面に対応できるジェネラリストを求める傾向があります。
その結果、転職市場の中でも特に狭き門である外資系PEファンドの中でも、カーライル・ジャパンの難易度はトップクラスといえるでしょう。
しかし、だからといって諦める必要はありません。
カーライル・グループは、2020年3月の日本向けバイアウト第4号ファンド『カーライル・ジャパン・パートナーズⅣ L.P.』により、これまでターゲットとしていた中堅企業案件だけでなく大型案件やベンチャー案件にも対応すると発表し、それに合わせて人員も強化していく方針を発表しています。
つまり、カーライル・ジャパンでの中途採用人数枠が増えるということなので、以前よりもはるかにチャンスがあると考えられます。
(2)カーライル・ジャパン転職情報
カーライル・ジャパンでは、現在、PE投資担当(インベストメントプロフェッショナル)アソシエイトの募集を行っています。
職種 | 業務内容 |
PE投資担当(インベストメントプロフェッショナル)アソシエイト | バイアウト投資のアソシエイト業務全般 |
必要な経験として、投資銀行業務やM&Aアドバイザリー、戦略コンサルティング、総合商社での事業投資などでの業務経験が挙げられているため、これらの職歴がある方はぜひチャレンジしてみましょう。
カーライル・ジャパンの転職情報はあまり表に出てこず、転職サイトや転職エージェント等で非公開案件として取り扱っていることもあります。
しかし、現在採用人数を増やすと発表しているカーライル・ジャパンへの転職は今が狙い目です。
ぜひアンテナを広く張って情報を積極的に収集するようにしましょう。
(3)業界未経験からでも可能か
カーライル・ジャパンへの転職はPEファンド業界未経験でもチャンスはあります。
ただ、PEファンドは基本的に即戦力採用であり、PEファンドの中でも特に人気の高いカーライル・ジャパンも同様に未経験者の採用にはあまり積極的ではありません。
そのため、カーライル・ジャパンへの転職を未経験者が成功させるには、まずカーライル・ジャパン側が求めるような経歴・スキル・魅力を身につける必要があります。
そのために、まずはカーライル・ジャパンのメンバーに多い銀行の投資部門やIBD経由か戦略コンサルティング会社、総合商社等での経験と実績を積むことが最も効果的です。
また、カーライル・ジャパンのターゲットは日本国内の企業でありメンバーも全員日本人ではありますが、投資先企業のグローバル化をサポートする機会も多いため、ビジネスシーンで通用する英語力も必要となります。
英語力の目安としては、外資系金融にエントリーする人のTOEICの平均スコア870点と同程度かそれ以上の英語力を身につけるとよいでしょう。
また、業務の過程では投資先企業の経営陣だけでなく、弁護士や会計士などの専門家等の関係者と信頼関係を築ける人間性や魅力も必要とされるため、相応のコミュニケーション能力も求められます。
まとめ
高年収が得られるだけでなく、投資や経営に携われる魅力的な仕事であるPEファンドの中でも、世界有数のPEファンドのカーライル・グループ日本オフィスであるカーライル・ジャパンは特に人気の高いPEファンドです。
カーライル・ジャパンは、2000年のオフィス開設以来、日本で事業を行うグローバルな投資会社の中で最も長い歴史を持ち、実績の豊富さはもちろんのこと、外資系PEファンドにもかかわらず投資活動のあり方や人員構成において「日本流」を貫くなど、独自のプレゼンスを示しています。
そんなカーライル・ジャパンは、PEファンドでキャリアを積みたい人や高年収を得たい人にとってどちらも叶えられる理想的な職場といえます。
また、投資という観点から日本の中堅企業を支え、ひいては日本経済を活性化したいという人にとっても優秀なメンバーとともに自分の能力を最大限生かし伸ばせるPEファンドといえるでしょう。
しかも、カーライル・ジャパンは現在4号ファンドの組成により中途採用を積極的に行う方針を掲げています。
ぜひターニングポイントを迎えた日本企業をサポートするPEファンドで活躍したいとお考えなら、ぜひ業界のトップに君臨するカーライル・ジャパンへの転職を検討しましょう。
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