コンサル業界のbig4とは?それぞれの特長や違いについて解説!
「コンサル業界への転職を考えており、big4について知りたい」
「big4への転職を検討する場合、どこを選べば良いのか、選ぶポイントを知りたい」
コンサル業界への転職に興味を持ち情報収集をしていると、必ず出てくる「big4」が、どんなものか分からないと悩んでいませんか?
実はbig4は、特定の企業を指すのではなく、ある4社の企業をまとめて呼ぶ時に使われる言葉です。
ここでは、コンサル業界におけるbig4の紹介から、big4を選ぶポイント、更にbig4で業務を経験した後のキャリアについてご紹介します。
big4について理解を深め、是非、big4への転職に役立ててくださいね。
1.コンサル業界におけるbig4とは
コンサル業界におけるbig4とは、特定の4社の企業を指します。
全て会計系のファームですが、会計コンサルに留まらず、企業再生支援業務やIFRS導入支援など、総合的なコンサルティングファームとして、幅広い分野からのコンサルティング業務を担っている企業です。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
(1)デロイトトーマツコンサルティング合同会社
デロイトトーマツコンサルティング合同会社は、ニューヨークの会計事務所「デロイト・トウシュ・トーマツ」の一員として、デロイト各国のメンバー16万人以上と連携し、監査・税務・法務・コンサルティング・ファイナンシャルアドバイザリーの総合力と国際力を活かしながら、日本の企業に向けてコンサルティングサービスを提供する会社です。
1993年4月に設立され、2021年5月末現在では、3,800人を超える人員を抱え、東京・大阪・京都・福岡に支店を持っています。
所属するコンサルに対しては、専門知識のある分野のみへアサインするのではなく、広く他の分野を経験させることで、着実に成長させる姿勢が見られます。
教育制度が充実していますので、コンサルティング業界が初めてという人も、仕事をしていく中で、コンサルとしての基礎能力が身についていくことでしょう。
日系企業の色が強いことが特徴で、外資系企業で聞かれる「up to out(昇進するか、さもなくば退職するか)」の精神が薄いため、日系企業からの転職を考えている人であれば、違和感無く溶け込めます。
(2)PwCコンサルティング合同会社
PwCコンサルティング合同会社は、PwCグローバルネットワークのメンバーファームで、156か国約30万人近いスタッフを擁し、監査・税務・アドバイザリーサービスを提供するコンサルティング会社です。
日本企業の海外進出、各国の税務・会計規則のコンプライアンス、M&A、ビジネスアドバイザリーなど、クライアントの要望に沿った幅広いサービスを提供しています。
PwC Japanグループとして、監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、法務における卓越した専門性を結集し、それらを有機的に協働させる体制を持っていることが強みです。
1983年1月に設立され、2021年6月現在では、社員数3,250人、東京・名古屋・大阪・福岡に拠点を持ち、活動しています。
グローバルな環境で、より有能な人材を育てるための研修制度に力を入れており、海外案件も多くあり、経験と実績を積むのに最適です。
(3)KPMGコンサルティング株式会社
世界154か国、約20万人の人員を擁するKPMGのメンバーファームとして、big4に名を連ねるのが、KPMGコンサルティング合同会社です。
ビジネストランスフォーメーション(事業変革)、テクノロジートランスフォーメーション、リスク&コンプライアンスの3分野から、企業の課題解決のためのサポートを行います。
2014年7月と、比較的近年になって設立されたKPMGコンサルティング合同会社は、2021年7月現在、1,165名の社員数を発表していますが、この数字はbig4の他の3社に比べて少なく、設立年月日から見ても、ベンチャー気質で、少数精鋭のため個人に与えられる裁量が大きい会社と言えるでしょう。
KPMGコンサルティング合同会社は、全社変革領域、業務変革領域、IT/インフラ領域において、中立性・リスク観点・グループ力・デジタルの4つの強みを掛け合わせて、攻めと守りの両面からクライアントに寄り添った変革を進める点が強みです。
(4)EYステラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
複合的サービスを提供するプロフェッショナル・サービス・ファームであるEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、世界150か国以上、約30万人を擁するEYグループのメンバーファームとして、戦略的なトランザクション支援を提供する「ストラテジー・アンド・トランザクション」と、変化の激しいデジタル時代にビジネスの変革を推進する「コンサルティング」の、2つのサービスラインを担っています。
2017年4月にアドバイザリー業務を統合した現在の体制で業務を開始し、2020年10月にEYアドバイザリー・アンド・コンサルティングとEYトランザクション・アドバイザリー・サービスが法人統合され、現在のEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社が約2,300名で発足となっていますので、big4の中で最も新しく、スタートアップに近い会社です。
そのため、老舗に比べてまだまだ成長期にあるファームと言え、若手にも多く仕事が回ってくるチャンスを得られる会社と言えるでしょう。
非常に和やかな人の多い穏やかな社風を持ち、成果主義の外資系の社風が苦手という人には、馴染みやすいようです。
2.コンサル業界のbig4を選ぶ際のポイント
big4を選ぶ際、見て頂きたいポイントは4つです。
1.仕事内容
2.社風
3.従業員規模
4.給与・福利厚生
それぞれのポイントについて各社の特徴を比較しましたので、参考にしてみてください。
(1)仕事内容
PwC Japan | PwCコンサルティング合同会社 | ・コンサルティング ・データアナリティクス |
PwCアドバイザリー合同会社 | ・ディールアドバイザリー ・フォレンジック | |
PwCあらた有限責任監査法人 | ・監査及びアシュアランス ・フォレンジック ・リスク&ガバナンス ・サステナビリティ経営支援サービス |
デロイトトーマツコンサルティング | PwCコンサルティング | KPMGコンサルティング | EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
・監査・保証業務 ・リスクアドバイザリー ・ファイナンシャルアドバイザリー ・コンサルティング ・税務 ・法務 ・海外ビジネス支援 ・Deloitte Analysis ・Deloitte Private | ・監査およびアシュアイランス ・コンサルティング ・ディールアドバイザリー ・フォレンジック ・税務 ・法務 ・データアナリティクス ・リスク&ガバナンス ・サステナビティ経営支援サービス etc. | ・監査・保証業務 ・税務 ・アドバイザリー ・海外進出支援窓口 ・KPMG IMPACT ・リスクコンサルティング ・マネジメントコンサルティング ・ディールアドバイザリー ・業種・マーケット別アドバイザリー | ・財務プロセス改革 ・業務評価・管理会計 ・全社的コスト削減支援 ・サプライチェーン最適化 ・IT最適化支援 ・PMO支援 ・海外事業支援 ・ODA支援 |
各社とも、総合コンサルティングファームであるだけに、多種多様な仕事を手掛けているのが見て取れます。
しかし、デロイトトーマツコンサルティングは業務系のコンサル領域に強く、PwCコンサルティングは財務系に仕事が多いです。
KPMGコンサルティングは、これまで人間が行っていた業務にAIを活用するRPA(Robotics Process Automation)の案件に力を入れており、EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、若い会社のため、まだ組織文化が確率されておらず、幅広い業務を手掛けています。
(2)社風
デロイトトーマツコンサルティング | PwCコンサルティング | KPMGコンサルティング | EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
・日本企業に近い体育会系企業 ・真面目で堅実な人が多い | ・外資らしく風通しが良い ・外国籍や海外経験の長い人が多く多様性に富んでいる | ・中途採用の社員が多く、自立した自由な社風 ・KPMGグループ全体の横の繋がりを強くするイベントも開催 | ・チームワークや協調性を重視 ・グローバルとの連携を強化している |
コンサルティング会社と聞くと、外資系のイメージが強く、結果にコミットしたガツガツしたイメージを持つ人も多いと思いますが、big4に関しては、そのような社風を持つ会社は少なく、チームワークや協調性を重視した社風を持つことが多いようです。
(3)従業員規模
デロイトトーマツコンサルティング | PwCコンサルティング | KPMGコンサルティング | EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
3,846名 (2021年5月末日現在) | 約3,000名 (2020年5月現在) | 1,165名 (2021年7月1日現在) | 約2,300名 (2020年10月現在) |
従業員は、デロイトトーマツコンサルティングが一番多く、KPMGコンサルティングが一番少ないという結果になっています。
社内の人数が多ければ、その分経験を持つ人が多く、成長しやすい企業であると言えますし、社内の人数が少なければ、少数精鋭のチームが組まれ、個人の裁量が大きいと言えます。
(4)給与・福利厚生
給料比較 | デロイトトーマツコンサルティング | PwCコンサルティング | KPMGコンサルティング | EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
アナリスト | 530~800万 | 550~800万 | 550~700万 | 500~700万 |
コンサル | 780~1,100万 | 650~1,000万 | 700~950万 | 750~1,000万 |
マネージャー | 1,000万~1,500万 | 1,000~1,600万 | 1,000~1,300万 | 1,000万~1,300万 |
パートナー | 2,000万~ | 2,000万〜 | 2,000万~ | 2,000万~ |
福利厚生比較 | デロイトトーマツコンサルティング | PwCコンサルティング | KPMGコンサルティング | EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
退職金 | ○ | × | ○ | ○ |
財形貯蓄 | ○ | × | ○ | × |
公認会計士企業年金 | ○ | ○ | ○ | × |
確定拠出 | ○ | ○ | ○ | ○ |
保険料・医療費補助 | × | ○ | × | × |
給与に関しては、入社から3年目位までの従業員のポジションであるアナリストでさえも、一般の水準と比べて高いようです。
ファームの経営者であるパートナーは、2,000万円以上と、青天井となっておりますが、プロジェクトの責任者であるマネジャーの場合は、最高額がPwCコンサルティングの1,600万円であるのに対し、KPMGコンサルティング・EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、1,300万円と、違いが見られます。
また、福利厚生に関しては、デロイトトーマツコンサルティングとKPMGコンサルティングが最も充実しており、まだ若い会社であるEYストラテジー・アンド・コンサルティングは、これからの制度の整備に期待という結果となりました。
3.big4からのキャリア
big4へ転職し、コンサルとしての経験を積んだあとは、big4からの転職を考える人も多いです。
総合コンサルであるbig4の転職先として人気の転職先を、3つご紹介します。
一番割合として多いのは、他コンサルファームへの転職です。
しかし、転職後の給料レンジを考え、他業界への転職を実現している人少ない割合ですが存在します。
(1)他コンサルファーム
big4からのネクストキャリアとして一番多いのが、他コンサルファームへの転職です。
企業の直面する経営上の課題を解決することを主要事業としている戦略系コンサルファームや、他のbig4、少数精鋭で独自の専門性を持つブティック系ファームなどへの転職がこれに当たります。
転職のキッカケは、ポジションアップや給与水準のアップが目的であることが多いです。
総合コンサルファームで培った幅広い知識を、専門家として深掘りしていける可能性もあり、転職者自身の能力を活用できる転職先と言えますね。
(2)PEファンド
PEファンドとは、プライベート・エクティ・ファンドの略で、複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金を元とし、未公開株の取得を行い、同時にその企業の経営再生などの支援を行うことで企業価値を高め、その後その株を売却するなどで利益を得る投資ファンドのことです。
総合コンサルファームから他コンサルファーム以外への転職先としては、近年採用枠が多くなっていることから、注目を集めています。
給与面の幅も大きく、場合によっては大幅な収入アップが見込める転職先です。
(3)総合商社
給与面を維持しながら、業務面の改善が出来ると人気があるのが、総合商社への転職です。
総合商社の投資部門では、big4などの総合商社に依頼することも多く、関わりがある事もあり、転職先が以前の職場と馴染みがあるということも珍しくありません。
ここ数年でコンサル出身の採用枠を拡大していることもあり、総合コンサルファームからの人気の転職先となっています。
これらの他にも、外資系の大手企業や、日経大手事業社、スタートアップの企業まで、総合コンサルファーム出身者の転職先は、幅広く選べると言えるでしょう。
まとめ
コンサル業界におけるbig4と、選ぶ際のポイント、さらにbig4からのキャリアについてご紹介しました。
これまで別業界にいて、今回コンサル業界に転職を考えている人は、キャリアを積んだあとのことを考え、幅広く色々な知識を学べる総合コンサルファームである、big4への就職も視野に入れると良いでしょう。
それぞれに社風や待遇面に違いがありますので、自分自身の働き方なども加味して、良いところを選べると良いですね。
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