【コンサル比較】転職希望者必見!コンサルティングファームを資本・領域別に徹底解説
「コンサル会社はたくさんありすぎて転職先にどこがよいかわからない」
「コンサル会社の違いや特徴を比較したい」
転職業界でも大人気のコンサル業界ですが、長引いたコロナ禍を経て活況が続き、それを受けて次々に新しいコンサルティングファームが登場しています。
そのため、転職先にどのコンサルティングファームを選べばよいかわからなくて困っているという人も少なくありません。
そこで今回は、転職業界でも大人気のコンサルティングファームについて、出資や領域別に比較して解説するとともに、業界の気になる変化について解説します。
自分の力を存分に発揮できるコンサルティングファームを見つけて、コンサルタントとして活躍しましょう。
1.出資別コンサルティングファーム比較
出資別にコンサルティングファームを比較し、特徴や違いを解説します。
コンサルティングファームは出資によってファーム文化や社風や制度、年収も大きく異なります。
- 外資系コンサルティングファーム
- 日系コンサルティングファーム
転職先としてコンサルティングファームを選ぶ際は出資形態も重要なチェックポイントです。
次に1つずつみていきましょう。
(1)外資系コンサルティングファーム
外資系コンサルティングファームとは、本社を外国に置く、外国出資のコンサルティングファームのことです。
その最大の特徴は徹底した『成果主義』であり、仕事で成果を上げれば早い昇級・昇進が可能であり、インセンティブや賞与等で一般的な企業では得られないような高額な報酬を得ることも夢ではありません。
その一方で、「プロフェッショナルは成長し続けて当然」という価値観のもと、『Up or Out』の文化が根付いており、仕事でバリューや成果を上げることが出来れば年齢に関わらずどんどん『Up(昇進)』できますが、そうでなけければ『Out(退社)』という厳しい環境であるのも大きな特徴です。
精神的にもハードな環境ではありますが、自身の能力に自信のある人にとっては思う存分力を発揮できる理想的な環境といえるでしょう。
また、外資系コンサルティングファームならではのメリットは他にもあります。
外資系コンサルティングファームの多くがアメリカやイギリス、ドイツなどを発祥とし、日本以外にも海外に多くの支社・拠点を持っているため、それらと連携して多くの海外案件に取り組めることが多いです。
さらに日本のオフィスでも海外出身のメンバーも多く活躍しており、多様な価値観の中で各国の優秀な人材と共に働けるというコンサルタントとしての成長のチャンスに恵まれた環境が整っているといえるでしょう。
クライアントも大手企業や業界のリーディングカンパニーが多く、大規模なプロジェクトに携わることができるのも強みです。
最近では社員の待遇に関して配慮して福利厚生に力を入れる外資系コンサルティングファームも増えており、徐々に日系コンサルティングファームとの差はなくなりつつあります。
(2)日系コンサルティングファーム
日系コンサルティングファームは、日本の企業の出資で運営されているコンサルティングファームです。
日系コンサルティングファームの創始者の多くが外資系コンサルティングファームでキャリアや実績を積んだ優秀な人材である影響で、日系であっても外資に倣って成果主義を導入しているところも多いです。
しかし、外資系と比較すると成果主義の側面は弱く、年功序列の傾向も残っているファームも多いため、コンサルタントとして落ち着いた環境で着実に実績を積みたい人向けと言えます。
また、日系コンサルティングファームは長期的な人材育成に力を入れている会社が多く、充実した研修や育成プログラムなどのサポートがあり、福利厚生等の待遇面でも外資系コンサルティングファームよりも手厚いところが多いです。
また、日本の社会や文化に合わせて日本の企業や業界にアジャストしたコンサルティングアプローチを行っているのも特徴です。
クライアントは国内の大企業に加えて中堅・中小企業をターゲットにしており、様々な案件に取り組むことができるのが魅力です。
(3)外資系・日系コンサルティングファーム比較表
外資系コンサルティングファームと日系コンサルティングファームの違いについて、年収と合わせて比較してみましょう。
双方に様々な側面があるため、転職活動の際には自分に合ったほうをしっかりと見極めることがおすすめです。
外資系コンサルティングファーム | 日系コンサルティングファーム | |
出資 |
|
|
組織文化 制度 |
|
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大手コンサルの平均給与 (推定) | 平均1,091万円 | 平均881万円 |
代表的コンサルの平均給与 (推定) |
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2.領域別コンサルティングファーム比較
転職者が志望ファームを決めるために比較検討するべき項目として最も重視すべきなのがコンサルティングファームの『領域』です。
問題を抱えるクライアントに対して適切なアドバイスや提案・実行支援を行うコンサルティングの仕事は、例えるなら病気やケガをした患者をサポートする医者のようなものです。
病気やケガによってケア・治療の仕方が異なるように、クライアント企業が抱える問題に合わせたサポートを行うためにコンサルティングファームの『領域』(業務・カテゴリー)も分かれています。
自分がコンサルタントとしてやりたいことに取り組むには、コンサルティングファームの『領域』のチェックは不可欠です。
- 戦略系コンサルティングファーム
- 総合系コンサルティングファーム
- シンクタンク系コンサルティングファーム
コンサルティングファームの領域によってコンサルタントとして関わることができる案件も大きく変わってくるため、自分のやりたい仕事をするにはどの領域のファームがいいかを考えて選びましょう。
次に1つずつ見ていきます。
(1)戦略系コンサルティングファーム
1つ目の領域は、戦略系コンサルティングファームです。
戦略とはクライアントに対して経営者視点で会社戦略にターゲットを絞ったコンサルティングのことであり、企業の全体的な経営方針に関することから、会計・人事等の専門的な分野まで、様々な範囲のコンサルティングを行っています。
戦略をテーマとして扱う以上、動かす人数や金額や規模も大きくなるため、戦略系コンサルティングファームでは企業経営のトップレベルに関わるコンサルティングを行うことができ、トップ層のキャリア選択肢として根強い人気を誇っています。
#1:外資系戦略系コンサルティングファーム
戦略系コンサルティングファームの中でも外資系の戦略系コンサルティングファームは、コンサル業界でも名だたるトップファームばかりです。
- ボストン・コンサルティング・グループ合同会社
- マッキンゼー・アンド・カンパニー
- ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
- A.T.カーニー株式会社
- 株式会社ローランド・ベルガー
- アクセンチュア・ストラテジー(アクセンチュア戦略部門) など
外資系の戦略系コンサルティングファームは、高年収として知られるコンサル業界の中でもダントツの高年収を得られるファームが多いです。
ただ、とびきりの高年収が得られる分、それに見合った結果を常に求められるハードな環境となりますが、成果を出した分はしっかり評価されて昇進や報酬に反映されるので、実力主義・成果主義の中でバリバリ働きたい人におすすめです。
#2:日系戦略系コンサルティングファーム
日系の戦略系コンサルティングファームも世界的に有名なファームもあります。
- 株式会社ドリームインキュベータ
- 株式会社コーポレイト・ディレクション
- 経営共創基盤
- ピー・アンド・イー・ディレクションズ
- フィールドマネジメント など
日本の企業の伝統やカラーにアジャストした日系の戦略系コンサルティングファームは、クライアントは大手企業だけでなく中堅企業までと幅広いため様々な経験を得ることができます。
また、ドリームインキュベータのように企業や業界など既存の枠を超えた新規事業創造や産業創出に携わることができるビジネスプロデュース的な仕事が可能なコンサルや、経営トップ層に加えてミドル層をも巻き込むアプローチによる「企業変革の現実化」を測るコーポレイト・ディレクションのような独自戦略を掲げるファームも多いのも魅力です。
日系の戦略系コンサルティングファームは個性がはっきりしているので、自分がやりたいコンサルティングができるコンサルティングファームを選びやすいでしょう。
(2)総合系コンサルティングファーム
2つ目の領域は、総合系コンサルティングファームです。
企業を取り巻く環境が激変する中、総合系コンサルティングファームの総合的で多角的なコンサルティングを必要とする企業が増えており、コンサルティング業界の中でも注目度の高い領域と言えるでしょう。
総合系コンサルティングファームでは、あらゆるインダストリーのクライアントに対して幅広いサービスを提供しており、経営戦略から人事やITシステムの導入、実行支援など含めた総合的なコンサルティングサービスを行っています。
戦略系がクライアント企業のトップマネジメント層に働きかけるのに対し、総合系コンサルティングファームではトップマネジメント層から一般社員層まで会社全体の企業課題に対して実行支援も含めたアプローチを行うのが大きな違いです。
総合系コンサルティングファームには母体が会計事務所となっているファームも多く、財務・法務・税務・経営等に関する豊富なノウハウや実績、公認会計士などの有資格者を含めた豊富な人員、潤沢な資金を用いたコンサルティングに定評があります。
また、クライアント企業と並走して実行支援まで行うため、現場での実践力を伴ったコンサルティングに興味がある人におすすめです。
#1:外資系総合系コンサルティングファーム
外資系総合系コンサルティングファームは、全世界にネットワークを有するBIG4系コンサルや世界最高峰のコンサルティングファームといわれるアクセンチュアなどスケールの大きなコンサルティングファームが有名です。
- デロイト・トーマツコンサルティング合同会社
- KPMGコンサルティング株式会社
- PwCコンサルティング合同会社
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
- アクセンチュア株式会社 など
転職市場でも特に人気の高いファームが多く、転職難易度も高いため超難関ではありますが、ここで得た経験はその後のキャリアにも大きくプラスとなるファームばかりなのでぜひチャレンジしましょう。
#2:日系総合系コンサルティングファーム
日本出資の総合系コンサルティングファームを紹介します。
- 株式会社ベイカレント・コンサルティング
- アビームコンサルティング株式会社
- 株式会社日立コンサルティング
- スカイライトコンサルティング株式会社 など
日系総合系コンサルティングファームの多くが大手外資系コンサルティングファーム出身者を中心に創設されており、日本企業が抱える様々な課題に対して外資で得たスキルや知見を活かしつつ日本流コンサルティングで解決を目指すのが特徴です。
国内の中堅・中小企業をターゲットに絞った総合コンサルティングファームの他、アジアへの進出を図る日系企業への支援に定評のあるアビームコンサルティングや、東証に上場しているベイカレント・コンサルティングなど日系総合コンサルティングファームにも魅力のあるコンサルが数多くあります。
日本を拠点に、日本企業を応援するコンサルティング経験を幅広く積みたいという人におすすめです。
(3)シンクタンク系コンサルティングファーム
3つ目の領域は、シンクタンク系コンサルティングファームです。
シンクタンクというと研究・調査・リサーチのみを行っているイメージがありますが、政府や自治体などをクライアントとして政策立案を業務とするコンサルティングも行っています。
さらに最近では官公庁だけでなく民間企業のコンサルティング業務に力を入れているシンクタンクも増え、他の一般的なコンサルティングファームとの違いはあまり無くなってきています。
シンクタンクコンサルティングファームの特徴として、『人』を商材とする一般的なコンサルティングファームと異なり、シンクタンクならではの高い情報収集力・知見による高精度な調査レポートなどの『情報』をベースにしたコンサルティングを行うことが挙げられます。
- 野村総合研究所
- 日本総合研究所
- 三菱総合研究所
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
- みずほリサーチ&テクノロジーズ
- 日本総合研究所
- NTTデータ経営研究所 など
シンクタンク系コンサルティングファームの多くが大手金融機関や大手企業をバックに持っているため、基本的に経営が安定しているのが魅力です。
また、一般的なコンサルティングファームと比較すると、シンクタンク系コンサルティングファームでは少子高齢化問題や地域医療問題など大きな社会問題などに携わることが多い点が大きな違いです。
コンサルティング業務に力を入れているとはいえ、シンクタンクは研究開発がメイン機能であるため、一般的なコンサルティングファームと比べると長期的かつ社会的な視野に立ったコンサルティングを行うことになります。
データや研究を活かして社会問題の解決や社会の改善に貢献するコンサルティングに興味がある人におすすめです。
3.コンサルティングファームの年収比較
高年収として知られているコンサル業界ですが、コンサルティングファームの出資や領域によってコンサルタントの年収にも違いがあります。
コンサルタントの年収は役職に応じて大きく変わるため、『コンサルタント』と主にプロジェクトの責任者として担当するプロジェクトのとりまとめや進行を行い、プロジェクトを成功に導くことが求められる『マネージャー』の2つの役職で比較してみましょう。
領域 | コンサルタント | マネージャー |
戦略系コンサルティングファーム | 900万~1,300万円 | 1,400万~2,500万円 |
総合系コンサルティングファーム | 500万~900万円 | 900万~1,800万円 |
シンクタンク系コンサルティングファーム | 800万~1,200万円 | 1,200万~1,800万円 |
一般的にコンサルティング業界では戦略系コンサルティングファームの平均年収が最も高くなっているようです。
ただ、コンサルティング業界は出資・領域を問わず「成果主義」が導入されているため、上記の平均年収は単なる目安にしかなりません。
年齢や勤務歴を問わず大きな成果を上げれば高額な賞与・成果報酬がベース給にさらに付与され、昇進スピードも速くなるため、転職後に若いうちから短期間で平均年収を大きく超える高年収を得ることももちろん可能です。
昇進すればベース給が大きく跳ね上がり、成果を出せば固定給とは別に賞与等が得られるなど、コンサルティングファームは頑張れば頑張るほどしっかりとした形となって表れる業界です。
能力ややる気次第でどんどん上を目指せるコンサルティングファームで、ぜひ自分の能力を活用していきましょう。
4.コンサルティング業界の気になる2つの変化
ファームの比較と合わせてコンサルティング業界への転職を考えている人が知っておきたい業界の2つの変化を解説します。
- コンサルティングファームの多角化・多様化
- コンサル業界のAI普及
現在も好況が続くコンサル業界ですが少しずつ変化が表れているようです。
次に1つずつ解説します。
(1)コンサルティングファームの多角化・多様化
1つ目の変化は、コンサルティングファームの多角化・多様化です。
転職先としてのコンサルティングファーム選びの際に出資や領域での分類は大きな参考になりますが、最近ではビジネスのグローバル化やテクノロジーの進化など変革と創造の必要に迫られている企業からのコンサルティングニーズの多様化に伴い、コンサルティングファームのサービス内容の多角化・多様化が進んでいます。
そのため、転職先を検討する際は、基本的にはコンサルティングファームのメインの領域を参考にしつつ、気になるコンサルティングファームが近年取り扱った事例や口コミなども確認して選ぶと入社後のミスマッチを防ぐことができることでしょう。
(2)コンサル業界のAI普及
もう1つの変化は、コンサル業界のAI普及です。
2021年のIDCJapanの調査によると、コンサル業界のマーケットは2020年の8,623億円から大きく伸長し、2025年には1兆2,551億円に達するとみられており、今後も活況が続くとみられています。
案件の増加により各コンサルティングファームも即戦力となる中途採用を積極的に行っていますが、それと並行して業界で進んでいるのがAIの普及です。
AIはコンサルタントの日常業務を担うだけではなく、予算管理やマーケティング、戦略策定にも導入されるようになりつつあるため、今後コンサルタントが担う部分にも変化があると考えられています。
コンサルタントの需要自体がなくなることは当分ないと思われますが、高いコミュニケーション力などAIでは担うことができない部分に強みを持つことがさらに求められるようになるといわれており、この変化は今後の転職活動にも大きく影響する部分です。
コンサル業界への転職を考えているなら、どのコンサルティングファームを選ぶかと同時にコンサル業界の最新の変化にも注意を向けておきましょう。
まとめ
今回は、転職市場でも人気の高いコンサルティングファームについて、転職先選びの参考になるように出資や領域別に分類・比較してご紹介しました。
ただ、同じ出資・領域でも、コンサルティングファームによってコンサルティング手法や社風・文化、得意業界やミッション(コンサルティングファームが社会に対して果たすべき使命)やビジョン(コンサルティングファームの将来像)等も大きく異なり、それぞれ個性があります。
コンサルティングファームでコンサルタントとして活躍し成果を上げるには、そのコンサルティングファームと自分との相性が良いことが不可欠です。
年収や待遇などの各ファームの募集条件やブランドだけを見て転職先を選ぶのは失敗のもとであり、仮に採用されたとしてもその後もうまくやっていけるとは限りません。
そのため、転職後に「こんなはずじゃなかった」ということのないように、転職する際は出資や領域と合わせて、自分がやりたい仕事内容や理想とするコンサルタント像、ファーム特有の文化と自分との相性など自分が重視する点を十分に比較しましょう。
その上で選んだコンサルティングファームならば間違いはありません。
ぜひ全力でコンサルティングの仕事に打ち込めるコンサルティングファームを選んで満足のいく転職を実現しましょう。
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