【人事のスペシャリスト】人事コンサルタントの平均年収と転職動向を解説!
「人事コンサルタントの年収はどれくらい?」
「人事コンサルティングファームへの転職の難易度は?」
好況が続くコンサル業界の中でも特にコンサルティングニーズが急激に伸びているといわれているのが企業の人事領域の専門家である人事コンサルティングです。
企業を取り巻く環境が大きく変化する中、企業の根幹部分である人事に関して専門スキルを駆使してクライアント企業をサポートする人事のスペシャリスト『人事コンサルタント』に注目が集まっています。
ここでは、企業の経営課題を解決するために人事領域の改善・提案・実行を行う人事コンサルタントについて年収や業務内容、転職動向について解説します。
人事の面から企業を支援する人事コンサルタントの仕事に興味がある人はぜひご覧ください。
1.人事コンサルタントとは
人事コンサルタントとは、企業人事に関するあらゆる問題に対してコンサルティングを行う”人事のスペシャリスト”です。
- 人事コンサルタントとは
- 他のコンサルタントとの違い
- 人事コンサルタントの魅力
戦略系や総合系ほど知名度は高くありませんが、企業の生き残りや新展開をかけて企業の合併や買収が増えてきた現在において、人事コンサルタントはとても需要がある職業の一つとなっています。
次に1つずつみていきましょう。
(1)人事コンサルタントとは
人事コンサルタントとは、クライアント企業の採用・人事戦略の策定や人材育成カリキュラムの構築、組織・人事評価制度の刷新などを通じて、組織・人事面での経営課題を解決するコンサルタントのことです。
採用・人事や人材育成、組織構造などの人的資源に関する戦略はクライアントの経営にとって最重要事案であり、最近では離職率の低減やスペシャリストの育成制度・グローバル人材の育成などの依頼が増えています。
(2)他のコンサルタントとの違い
人事コンサルタントと他のコンサルタントの違いは、人事に特化したコンサルタントかどうかの違いです。
他のコンサルタントは、クライアント企業が抱える課題に対して問題点を明らかにした上で組織・人事、財務・会計、物流、営業・マーケティングなど様々なアプローチでコンサルティングを行います。
一方、人事コンサルタントは人事・組織に限定・特化したコンサルティングを行います。
簡単に言えば、様々なコンサルティングテーマのうち人事や組織領域の課題解決に特化したコンサルタントといえるでしょう。
(3)人事コンサルタントの魅力
人事コンサルタントの仕事の魅力は、人や組織が大きく変わる瞬間に立ち会うことができることに加え、企業の根幹・重要な部分である人事・組織の仕事に携わることでそれを足掛かりにして経営や財務など他の領域のコンサルタントへの転職しやすくなり、キャリアパスが広がる点が挙げられます。
また、人事コンサルタントの仕事は人事としての知識・スキルが求められる場面が多いため、現在人事関連に業務に就いている人がコンサルタントを目指すきっかけとしてキャリアチェンジできるケースもあります。
実際、未経験で人事コンサルタントを目指す人は事業会社の人事職出身の人が多いようです。
2.人事コンサルタントの業務
人材や組織のマネジメント、人事労務管理に関する専門家である人事コンサルタントの業務について見てみましょう。
- 人事戦略の策定・採用支援
- 人材育成・研修
- 人事評価制度 ・組織の現状診断や構築
- 労務管理
- グローバル人事マネジメント
- 次世代の経営者や幹部の育成 など
人事コンサルタントは人事に関するありとあらゆることが担当領域になるため、その業務も多岐に渡ります。
企業にとって重要な人材の採用や教育・研修に加えて、企業の人事評価制度や労務管理まで人事に関するあらゆる案件を取り扱っています。
それぞれの案件に対して、どのようなアプローチをしたらいいか解決策を企業に提案し、アドバイスや効果測定などを行いながら、企業が目指す人材経営の向上を支援します。
また、M&A後の人事PMI(Post Merger Integration:M&A成立後の統合プロセス)を担うケースもあります。
3.人事コンサルタントの平均年収
クライアントの人事や組織に関連するあらゆる領域に対してコンサルティングをおこなう人事コンサルタントの年収は、ファーム規模や役職などによって金額は異なりますが、575~1,000万円前後といわれています。
日本人の平均年収と比べても高い水準にありますが、より詳しく知るために役職別や年代別、主要ファームなどの平均年収もみていきましょう。
- 役職別人事コンサルの平均年収
- 年代別人事コンサルの平均年収
- 人事コンサル主要ファームの平均年収
- 人事コンサルの福利厚生
次に1つずつ解説します。
(1)役職別人事コンサルの平均年収
気になる人事コンサルの平均年収についてまずは役職別に見てみましょう。
人事コンサルも、他の戦略系コンサルや総合系コンサルと同様に役職(ステージ)が上がるごとにベース給が大きくアップします。
年代 | 平均年収(推定) |
アナリスト | 500~600万円 |
コンサルタント | 600~800万円 |
マネージャー | 800~1,200万円 |
パートナー | 1,600万円~ |
人事コンサルタントとして年収をアップさせたいなら、着実に成果を出して職位を上げていくことが欠かせません。
コンサル業界では基本的に成果主義・実力主義を採用しており年収に占める成果給の割合が大きいファームが多いため、仕事の量と実力・成果が年収に大きく反映されて人によって年収が大きくなる傾向が強くなっています。
上記の数字はあくまでも目安であり、自分の業績次第ではもっと高い金額になる可能性も十分にあるでしょう。
(2)年代別人事コンサルの平均年収
次に、人事コンサルの年代別平均年収について、日本の平均年収と比較してみましょう。
年代 | 人事コンサルの平均年収(推定) | 日本の平均年収(推定) |
20代 | 575万円 | 342万円 |
30代 | 742万円 | 435万円 |
40代 | 809万円 | 495万円 |
50代 | 855万円 | 596万円 |
ファームの規模や職位によって変動はありますが、どの年代でも日本人の同世代の平均年収と比べてもかなり高水準となっています。
また、人事コンサルを含むコンサル業界は実力主義の風潮が強く、自分のスキルや成績次第では周りの同年代のコンサルタントよりも高い年収を得ることもできます。
実際に、コンサル業界で働く人の中には20代の内から年収1,000万円を超える人もいると言われており、それは人事コンサルでも例外ではないと思われます。
人事コンサルタントは、若手の内から高年収を目指すことができる、魅力的な業界と言えるでしょう。
(3)人事コンサル主要ファームの平均年収
人事コンサルティングファームの中でも特に大手と呼ばれるファームの平均年収も見てみましょう。
コンサルティングファーム名 | 平均年収(推定) |
ウイリス・タワーズワトソン株式会社 | 1,100万円 |
コーン・フェリー・ジャパン株式会社 | 1,071万円 |
マーサージャパン 株式会社 | 965万円 |
株式会社リクルートマネージメントソリューションズ | 871万円 |
株式会社コーチ・エィ | 777万円 |
株式会社リンクアンドモチベーション | 536万円 |
レジェンダ・コーポレーション株式会社 | 501万円 |
外資系大手の人事コンサルティングファームとなると平均年収は1,000万円超えの高水準となっています。
外資系と比べて、日系の大手人事コンサルティングファームは控えめの平均年収と思われますが、仕事の量と実力が高く評価されれば、より高額の年収を獲得することも可能でしょう。
自身の転職ニーズや前職までのスキル、スキルアップの余地などを考慮し、自身に適した人事コンサルティングファームを目指すと良いでしょう。
(4)人事コンサルの福利厚生
人事コンサルの福利厚生は一般企業と同レベルといわれていますが、他の戦略系コンサルや総合系コンサルとの違いは、女性コンサルタントの割合が比較的高い点が挙げられます。
そのため、産休・育休の充実など女性が長く働き続けられる環境の整備に力を入れているファームが多いようです。
なお、現在はコンサル業界全体で働き方改革を進める風潮が強まっており、人事コンサルでもより働きやすい環境の整備が行われていると思われます。
4.人事コンサルタントに必要なスキル
人事コンサルタントとして活躍するために必要なスキルを解説していきます。
- 人事制度や労務管理に関する知識や資格
- 高いコミュニケーション能力
- コンプライアンス・守秘義務の徹底姿勢
- 高い語学力
他のコンサルタント職と同様に人事コンサルタントにも現状分析力・課題解決力・論理的思考力(ロジカルシンキング)・プロジェクトマネジメントスキルは必須です。
それに加えて”人事のスペシャリスト”である人事コンサルタントに不可欠なスキルをみていきましょう。
(1)人事制度や労務管理に関する知識や資格
人事コンサルタントとして働く上で、人事制度や労務管理に関する知識は欠かせません。
特に、人事・労務に関しては労働法などの法律に基づいて判断する必要があるだけでなく、法律やルールの変更も頻繁に起こるため、広くアンテナを広げつつルールのアップデートにもスムーズに対応できることが必要です。
人事コンサルタントに関する資格として必須ではありませんが「人事総務検定」「社会保険労務士」「労働法務士」「中小企業診断士」「キャリアコンサルタント」などの資格を保有していると仕事の幅を広げ、転職時にも役立つといわれています。
(2)高いコミュニケーション能力
人事コンサルタントには様々な人と円滑な人間関係を築ける高いコミュニケーション能力が求められます。
クライアント企業の人事に深く関わる人事コンサルタントは、クライアント企業の経営者だけでなくその企業で働いている従業員など様々なレイヤーの社員と関わることになります。
特に人事制度・組織構造の変革を行う場合、現状を変えたくないと考えているクライアント企業内の抵抗勢力・反対派から理解を得るために、どんな人とも円滑な人間関係を築いた上で論理的に根気強く説得をしなければならないシーンも少なくありません。
どんな状況・どんな相手であっても話に耳を傾けてもらえるような関係を築ける卓越したコミュニケーション能力は人事コンサルタントとして働く上で不可欠な能力といえるでしょう。
(3)コンプライアンス・守秘義務の徹底姿勢
人事コンサルタントに欠かせないスキルとして、コンプライアンス・守秘義務を徹底して遂行できることも欠かせません。
人事・組織に関わる戦略はクライアント企業にとって最重要機密事項となるため、人事コンサルタントにはひと際高い良識やモラルはもちろんのこと、コンプライアンスへの意識の高さや守秘義務を徹底する力があることが求められます。
(4)高い語学力
人事コンサルタントに欠かせないスキルとして、高い語学力も挙げられます。
近年は、日本市場の縮小を背景に積極的にグローバル進出を行う企業も多く、グローバル人材を積極的に採用している企業が増えています。
また、人手不足で外国人労働者を積極的に雇い入れる企業も少なくありません。
そんな中で、企業にはこれまで以上に多様性への理解とともにきめ細やかな人事評価制度や従業員へのサポートが求められる傾向にあり、そのためには人事コンサルタントにもグローバル人材と円滑なコミュニケーションをとることができる高い英語や中国語などの語学力が求められるケースが増えています。
5.人事コンサルタントの転職動向
人事コンサルタントの転職動向について解説します。
- 人事コンサルの中途採用事情
- 人事コンサルへの転職は未経験から可能か
ダイバーシティへの対応や外国人従業員・グローバル人材の採用、働き方改革、人手不足、働き方改革など近年の企業の人事領域を取り巻く環境は大きく変化しています。
そんな中、企業を内側から支えるコンサルティングを行う人事コンサルタントのニーズは年々高まっています。
次に1つずつ解説していきます。
(1)人事コンサルの中途採用事情
人事コンサルティングファームでは、現在、積極的に即戦力となる中途採用を行っています。
人事コンサルタントになるには特に高い学歴や資格は必要とされていませんが、企業の人事制度などは複雑であり、企業のトップだけでなく様々なレイヤーの人と関わることになります。
そのため、社会人経験の少ない新卒よりも、人事業務の経験を保有し、人事制度を熟知している即戦力性の高い人材の獲得に力を入れているファームが多いようです。
また、人材開発(能力開発、人材育成)、人事制度、報酬や退職金の制度設計、組織開発(意識や風土の改革)など業務内容が多岐にわたるだけでなく、そのための情報調査(報酬水準や動向を調べる)を行う場合もあるため、調査経験を持つ人材も高く評価されています。
他にも、海外進出をする企業の増加に伴い、現地採用やグローバル人材の採用なども増えているため、外国語力を備えた人材への採用意欲も高くなっています。
働き方改革や人口減少による慢性的な人手不足を受けて人事制度の見直しをする企業も増えており、今後も人事コンサルティングへの需要は引き続き高いとみられるため、人事コンサルの人材採用意欲も高いものと予想されます。
人事コンサルタントを目指すなら今が狙い目といえるでしょう。
(2)人事コンサルへの転職は未経験から可能か
人事コンサルの経験が無い人も未経験から転職は可能です。
特に事業会社等で人事評価制度や報酬制度などと深く関わる人事職の経験は、人事コンサルへの転職時に大きな武器となります。
また、それ以外にも営業部出身や組織に関わる業務経験を持つ人材、人材育成の講師経験者などを採用するコンサルティングファームも少なくありません。
また、上記の経験が無くても、クライアント企業が抱える問題点を明確にするために社員の話を丁寧にしっかりと聞き、根本的な課題を発見できる高いヒアリング力や洞察力のある人、様々な意見を持つ関係者とじっくり向き合う根気強さや粘り強さを持つ人も未経験であってもポテンシャル採用されやすいようです。
企業の根幹を担う人事のスペシャリストとしてクライアント企業をサポートしたいという人は、ぜひ人事コンサルの採用意欲が高い今のタイミングを逃さず転職に挑戦しましょう。
6.人事コンサルの選考対策
最後に、人事コンサルティングファームの選考対策について解説します。
- 人事コンサルの選考の流れ
- 人事コンサルの面接対策
- 転職エージェントの活用を
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)人事コンサルの選考の流れ
人事コンサルティングファームの選考は、他の領域のコンサルティングファームと同様に書類選考を経て筆記試験・WEB試験を受け、その後面接を行う流れとなっています。
書類選考では学歴や職歴、年齢や語学力を確認されますが、特に人事コンサルで重視されるのが職歴であり、これまでに人事系・組織系の業務を行ったことがある場合はしっかりとアピールしましょう。
また、人事コンサルでは戦略系コンサルのように学歴フィルターはそれほど厳しくないといわれています。
自分の学歴に自信がないという人も人事コンサルタントは挑戦しやすいといえるでしょう。
(2)人事コンサルの面接対策
一般的にコンサルでは「ケース面接」と呼ばれる与えられた課題に対して制限時間内に解決方法を回答する面接を行うというイメージがあります。
しかし、「ケース面接」が出題されるのは外資系戦略系コンサルや上流のプロジェクト案件が多いコンサルでの選考にほぼ限られ、人事コンサルティングファームで「ケース面接」が出題されることはそれほどありません。
ただし、中には最終面接で「ケース面接」を行うファームもあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
「ケース面接」が出題される場合、出題内容は実際に人事コンサルで取り組むような課題が多く、問題解決のための思考力だけでなく課題に取り組む姿勢等をチェックされます。
それ以外の面接の場合は、「これまでの経歴」「今後やりたいこと」の2つのテーマを中心に採用希望者の考え方やスキルなどを確認することが多いため、自身の経歴やスキルを棚卸すると同時に、人事に対する強い思いを論理的にアピールできるように準備をしておくことが効果的です。
また、外国人比率が高いファームや社内で英語が公用語になっているファーム、クライアントに海外企業等が多いファームでは英語面接が行われる場合もあるため、「ケース面接」と同様に事前に確認しておくとよいでしょう。
(3)コンサル業界に特化した転職エージェントの活用がおすすめ
人事コンサルティングファームへの転職を考えているなら、コンサル業界に特化した転職エージェントの活用がおすすめです。
人事コンサルティングファームは、戦略系コンサルや総合系コンサルと比べると難易度は少々低くなるといわれていますが、それでも他の業界と比べると転職難易度は高く選考基準も厳しいため、人事コンサルへの転職を成功させるには事前の入念な準備や対策が欠かせません。
特にコンサル業界未経験の人は業界特有のルールや考え方などがわからないことも多いため、人事コンサルへの転職サポート実績の多い転職エージェントを利用することで選考考時に高評価される書類の書き方や面接の受け方などの支援を受けることで転職の成功率を上げることが出来ることでしょう。
転職エージェントは相手方との交渉や調整も行ってくれるため、ぜひ利用しましょう。
まとめ
企業の根幹部分である人事にクローズアップしたコンサルティングを行う人事コンサルタントについて平均年収を中心に業務や転職動向について解説しました。
働き方改革や新たな事業展開により人事面を見直す企業が増えているため、人事に関する領域のプロとして人事コンサルへの高いコンサルティングニーズは今後も維持されると予想されます。
人事コンサルタントには人事・労務に関する専門的な知識だけでなく、データ収集力やコミュニケーション能力など実用的なスキルが求められますが、未経験であっても人事コンサルに転職して現在優秀なコンサルタントとして活躍している人も少なくありません。
転職で人事コンサルタントを目指すなら、必要なスキルを身につけてぜひチャレンジしましょう。
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