転職難易度が高い?高い調査・研究・分析能力を持つ頭脳集団シンクタンクを徹底解説

「普通のコンサルとシンクタンク系コンサルの違いは何?」
「シンクタンク系コンサルは転職難易度が高いって本当?」

『頭脳集団』として名高いシンクタンクは転職市場でも優秀な人材からの人気が高い職業の1つです。

「調査・研究・分析」のイメージの強いシンクタンクですが、近年はコンサルティング業務にも力を入れ、一般的なコンサルティングファームと同じような業務を行っているシンクタンクも増えています

そこでここでは、シンクタンクの解説と合わせて、コンサルとの違いや転職者に人気のシンクタンク系コンサルティングファーム等について解説します。

コンサルティングを通じて社会貢献度の高い仕事をしたいと考えている人はぜひご覧ください。

1.『頭脳集団』シンクタンクとは

シンクタンクとは、調査・研究・分析を主な業務内容とする頭脳集団です。

シンクタンクの発祥は社会問題や経済問題、政治問題等に関する調査・研究行い、それに基づいて政府に対して政策提言を行っていた非営利の研究機関(政府系シンクタンク)でした。

その後、純粋な研究を目的とする研究機関とは異なり、民間の事業会社等を母体とする民間シンクタンクが次々に誕生し、現在は一般的なコンサルティングファームと同様に民間企業をクライアントとした総合系コンサルティングも合わせて手掛けているシンクタンクが増えています

シンクタンクならではの高い調査・研究・分析力を活かした民間シンクタンクの高品質なコンサルティングサービスはクライアント企業から高い信頼を集めており、最近は働き方改革を進める企業サポートやAIを活用した新たなサービスの提供などITを活用した課題解決といった時代のニーズを先取りした経営支援を幅広く行っています。

2.シンクタンクとコンサルティングファームとの違い

シンクタンクとコンサルティングファームは重なる部分も多いのですが、明確に異なる部分もあるので違いを理解しておきましょう。

シンクタンクとコンサルの違い

  1. 目的・取り扱う商材・ターゲット
  2. 求められるスキル

次に1つずつ解説します。

(1)目的・取り扱う商材・ターゲット

シンクタンクは調査・研究・分析を主目的としているのに対し、コンサルタントはクライアントの課題解決を目的としている企業です。

ただ、最近の大手シンクタンクでは調査・研究・分析に加えて、民間の事業団体等へのコンサルティングサービスの提供にも力を入れ始めているため、徐々に違いは小さくなりつつあります。

また、シンクタンクの取り扱う商材は調査・研究・分析に基づく「情報」であり、官公庁や地方自治団体がクライアントになるような、公共性がメインの案件に携わることが多く、その結果、中長期的テーマの案件が多いのも特長です。

シンクタンク系コンサルでは、国や地方、ひいては社会を大きく変革するような提言をすることもできるため、より社会貢献度の高い仕事に関わることができるといえるでしょう。

また、大手企業グループのネットワークを活かして母体となる事業会社からの案件も多いため、コンサルティングファームと比べると案件獲得にそこまで力を入れる必要がないのもシンクタンクならではの特長です。

一方、コンサルティングファームの商材はコンサルタントの能力・スキルという「人材」です。

コンサルティングファームの主なクライアントは民間の事業会社であり、クライアント企業が抱える経営課題などについて依頼を受けてクライアントと相談しながら提案・アドバイスを行います。

『成果主義』がベースにあるため常にバリューを出し続けなければならない一方、成果を出せば高額な報酬を得られるなど十分なインセンティブがあるのもコンサルティングファームならではの特長です。

シンクタンク系コンサルコンサルティングファーム
商材情報人材
主なクライアント
  • 官公庁や地方自治団体
  • 民間事業会社
  • 民間事業会社
特長社会貢献度の高い仕事に関わることが多いクライアント企業の課題解決に尽力

(2)求められるスキル

シンクタンクもコンサルティングファームも、特定の分野に対する深い知見やノウハウが求められることに違いはありません。

中でも特にシンクタンクは「情報」がメインとなるため、調査結果を読み解く高度な分析能力や情報処理能力やレポーティング能力、課題発見力等が求められるといわれています。

一方、コンサルティングファームのコンサルタントは、クライアント企業の百戦錬磨の経営陣を相手に提案・助言・実行支援まで行うため、専門知識はもちろん経営課題の根本的な原因を探る高度な分析能力や情報処理能力に加え、高いコミュニケーション能力や人間的な魅力が必要となります。

この違いを踏まえると、官公庁に関わり福祉などの大きな社会課題の解決を行いたい場合はシンクタンク、様々な業界の民間事業会社の経営戦略の立案や実行支援を行いたい場合はコンサルティングファームが向いているといえでしょう。

自分のスキルややりたいこと、目指すコンサルタントの方向性をしっかり理解し、適切な転職を実現しましょう。

3.転職市場で人気の高いシンクタンク3選

日本では100を超えるシンクタンクが幅広い分野で数多くの調査・研究・提言を行っていますが、転職希望者の中で特に人気の高い3つのシンクタンクを紹介します。

転職者に人気の高いシンクタンク

  1. 株式会社野村総合研究所(NRI)
  2. 株式会社日本総合研究所(JRI)
  3. 株式会社三菱総合研究所(MRI)

どのシンクタンクも高品質なサービスに定評があり、国内でも高い評価を得ているシンクタンクです。

(1)株式会社野村総合研究所(NRI)

野村総合研究所(NRI)は、1965年設立の日本初の民間総合シンクタンク野村総合研究所と1966年設立の野村コンピュータシステムの合併によって1988年に生まれたシンクタンクです。

徹底して顧客の立場に立つというDNAのもと、『未来社会創発企業』として、創業以来50年以上にわたって蓄積したノウハウや知識、シンクタンクとして磨いてきたリサーチ力に基づき、これまで5000を超える対象領域(産業×テーマ)で累計20,000件以上のプロジェクトを実施しています。

NRIで働く最大の魅力は、シンクタンクならではのリサーチ力や蓄積されたノウハウにより社会を大きく進化させるプロジェクトに携わることができることが挙げられます。

官公庁とともにNISAやマイナンバーの制度設計・対応するシステム開発などを行うなど、スケールの大きなテーマに裁量を持って取り組むことができ、世の中をよりよく変えていく新しい仕組みを創り出すことができます。

また、NRIの社風は極めてフェアであり、能力があればだれでも社歴を問わずに重要なポジションにて活躍することが可能です。

出産後の女性社員復職率は100%近くと女性のキャリア形成にも積極的に取り組んでおり、性別を問わず働きやすいシンクタンクといえるでしょう。

社名株式会社野村総合研究所
Nomura Research Institute, Ltd.
設立年1965年4月1日
本社東京都千代田区大手町1-9-2
大手町フィナンシャルシティ グランキューブ
資本金23,644,932,600円
売上高6,116 億円(2022年3月期)連結
事業概要コンサルティング、金融ITソリューション、産業ITソリューション、IT基盤サービス
従業員6,488人(NRIグループ16,512人) 2022年3月31日時点
ホームページhttps://www.nri.com/
平均年収(推定)1,235万円

(2)株式会社日本総合研究所(JRI)

株式会社日本総合研究所(JRI)は、”「知識エンジニアリング」活動によるお客様価値共創”の経営理念のもとで1969年に設立された三井住友フィナンシャルグループ傘下の銀行系シンクタンクです。

シンクタンク・コンサルティング・ITソリューションの3つの機能を持つ総合情報サービス企業で、行政、財政、税制、金融、IT、環境、高齢化など幅広い分野の問題に対応しています。

コンサルティング部門では、シンクタンクとしての高く大きな視点から、SMBCグループの総合力を生かしながらグローバル大企業から行政・公共機関など様々な組織に対して政策提言・インキュベーション・戦略の立案から実行までのサービスを提供しています。

母体が銀行ということで金融とITの分野に深く関わることができるだけでなく、年齢に関係なくプロジェクトマネージャーとして業務に携わることができるので成長機会が多いのが魅力です。

また、シンクタンクならではの社会課題解決に関する案件に携わる機会にも恵まれています。

社名株式会社日本総合研究所
The Japan Research Institute, Limited
設立年1969年2月20日
本社東京都品川区東五反田2丁目18番1号
大崎フォレストビルディング
資本金100億円
売上高2,143億円(2022年3月期)
事業概要ITソリューション・コンサルティング・インキュベーション・リサーチ
従業員2,962名(2023年3月末現在)
ホームページhttps://www.jri.co.jp/
平均年収(推定)700万円

(3)株式会社三菱総合研究所(MRI)

株式会社三菱総合研究所(MRI)は、1970年に三菱創業100周年記念事業として設立されたシンクタンクです。

中央省庁から地方自治体まで官公庁との太いパイプがあり、売上の約7割が官公庁案件と従来のシンクタンクのカラーが強い企業でもある一方、金融・一般産業などの案件なども幅広く手掛けています。

経済・企業経営から政策・公共・科学技術分野にいたる広い領域で、調査・研究・政策支援などのシンクタンク機能に加えて企業経営戦略サポートなどのコンサルティングやITに軸を置き、社会とクライアント企業の課題を総合的に解決するシンクタンクとして厚い信頼を得ています。

また、福利厚生や人事制度が充実しており、裁量労働制やテレワークなどワークライフバランスを考えて働きやすい職場と社員の口コミでも高い評価を得ています。

社名株式会社三菱総合研究所
Mitsubishi Research Institute, Inc.
設立年1970年5月8日
本社東京都千代田区永田町二丁目10番3号
資本金63億3,624万円
売上高463億円(2022年9月30日時点)
事業概要シンクタンク・コンサルティングサービス、ITサービス
従業員4,235名(2022年9月30日時点、単体1,093名)
ホームページhttps://www.mri.co.jp/
平均年収(推定)1,009万円

4.シンクタンク系コンサルへの転職難易度

物事を専門的な視点で調査・研究するシンクタンク系コンサルへの転職難易度は非常に高いといわれています。

シンクタンク系コンサルは新卒からの採用が多く、中途採用もごく限られたものである上に、専門分野でのキャリア・実績・豊富な知識が求められるため、一般的なコンサルよりもハードルが高く狭き門であるようです。

また、未経験からシンクタンクへの転職をすることも非常に難しいといわれています。

しかし、転職を希望しているシンクタンクが注力する研究対象に関する専門知識やスキルを習得していればチャンスはあります

シンクタンク系コンサルは公共性が高く、社会貢献度も高い仕事ができる魅力的な仕事です。

転職難易度は高いものの、自分の能力を社会のために活用したいという人はぜひ挑戦しましょう。

まとめ

シンクタンクは、以前は官公庁をターゲットに調査・研究・分析に基づく提言を行うのがメインでしたが、近年は一般的なコンサルティングファームと同様に民間事業会社に対するコンサルティングにも力を入れています。

とはいえ、今なお公共性の高い案件に携わることも多いため、シンクタンクのコンサルタントの仕事は我が国の政策や社会、そして未来に大きな影響を与える重要な仕事であるといえるでしょう。

シンクタンクで活躍するには高度な専門知識や分析能力に加え、常に変化する課題に対し真摯に腰を据えて取り組む熱意が必要です。

コンサルティングファーム以上にシンクタンクは転職難易度が高く難関中の難関ではありますが、自分の知識を活かして国や社会を良い方向に変えていきたいという情熱のある人はぜひシンクタンクに挑戦しましょう。

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