未経験でもOK?FASの事業再生部門の現状と求められる人材とは
「FASの事業再生部門ってどんなことをしているの?」
「事業再生部門は未経験でも転職できるの?」
転職市場でも人気の高いFASの中でも特に注目を集めているのが経営状態が厳しい企業や事業の再生をサポートする事業再生部門です。
事業再生部門で働くコンサルタントへの転職は、門戸が広い上にFAS側の採用ニーズが高く、高年収が得られるので興味を持っている人も多いことでしょう。
そこでここではFASの事業再生部門の解説と合わせて、現在事業再生部門に求められている役割、FASの事業再生部門が求める人材について解説します。
この記事を読めば、高年収で人気の高いFASの中でも企業のピンチを救う重要な業務を担う事業再生部門への興味がさらに湧くはずです。
本記事を読む前に、FASの業界事情や基本情報など、詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。
1.FASの事業再生部門とは
FASの事業再生部門は、難しい経営状況にいるクライアント企業の立場に立ち、クライアント企業の立ち直りを多角的にサポートしていく部門です。
FAS=M&Aのイメージがありますが、事業再生サポートもFASが行う重要な業務となっています。
具体的には、クライアント企業の財務諸表を精査し、会社の収益性やリスクや成長性などを分析し、事業再生計画を立案するのが主な内容となっています。
また、クライアントにかわって金融機関と返済スケジュールの調整や金利を下げる交渉も同時に行い、資金面でのサポートも行います。
FASにおけるM&A支援はデューデリジェンスなどそれぞれの専門領域を突き詰めて行うスペシャリスト集団であるのに対し、事業再生は経営全般の課題を広く解決していくジェネラリスト集団といえるでしょう。
2.現在のFASの事業再生部門に求められている役割
次に、現在のFASの事業再生部門に求められている役割について見てみましょう。
- 「財務×オペレーション」のニーズがアップ
- 危機に備える中小企業のサポート
FASの事業再生部門の業務・役割は日本の経済や情勢と大きく関係しています。
次に解説していきます。
(1)「財務×オペレーション」のニーズがアップ
現在のFASの事業再生部門には「財務×オペレーション」の両輪での支援が求められる傾向が強くなっています。
以前のFASの事業再生部門は、打撃を受けた不採算事業から撤退して収益の高い事業への経営資源集中・リストラなど財務の再構築からクライアント企業の再生を図る対症療法的な事業再生アプローチ(財務リストラクチャリング)がメインでした。
しかし、現在は財務リストラクチャリングに加えて、企業の戦略・オペレーションを重視したオペレーショナル・リストラクチャリング案件が増えるなど事業再生アプローチの多様化が進んでいます。
現在のFASの事業再生部門には、企業が抱える本質的な課題を見極め、企業の存続・維持・成長のためにビジネスの新しい一手をクライアント企業とともに考え実行までをサポートするパートナーとしての役割が求められています。
(2)危機に備える中小企業のサポート
また、FASの事業再生部門へのニーズの変化に伴い、依頼するクライアントも変わってきています。
かつてはFASの事業再生部門のクライアントは危機に瀕した崖っぷちの大手企業が多く、そのSOSに財務的にサポートで対応するというケースがほとんどでした。
しかし、経営者の問題意識や危機感の鋭敏化・高度化により、危機的状況に陥る前に先んじてFASの事業再生部門に相談する企業が増えています。
その結果、以前よりも大型の再生案件は減少傾向にある反面、中小規模の企業の依頼が増える傾向にあります。
同時に、ビジネスの多様化とビジネスサイクルの短縮を背景にクライアントが抱える課題も多様化し、多角的なアドバイスや解決に向けての更なるスピードアップも求められるようになっています。
ここまでの内容を踏まえ、FAS業界でのキャリアアップや魅力、代表企業など、詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。
3.FASの事業再生部門の転職事情
FASの事業再生部門に求められる役割の変化を受けて、FASの転職市場にも変化が起こっています。
- FASの事業再生部門の中途採用情報
- 未経験者もFASの事業再生部門にチャレンジ可能
高年収で知られるFASは転職市場でも人気が高い業種です。
どんな人材が今のFASの事業再生部門で採用ニーズが高いかを知っておくと、転職も有利に進められることでしょう。
次に1つずつ解説していきます。
(1)FASの事業再生部門の中途採用情報
コロナ禍による経営悪化など事業再生が必要な企業が増えていることを受けて、FASの事業再生部門でも人手不足により積極的に中途採用を行っています。
例として、FAS業界の最大手Big4FASでも積極的に事業再生部門で中途採用を行っています。
- KPMGFAS:ストラクチャリング(RS)部門
- PwCアドバイザリー:事業再生(BRS)部門
- EYSaT:リストラクチャリング(RS)部門
- DTFA:リストラクチャリングアドバイザリー(RRA、GRA)部門
上記の部門の中途採用条件・採用状況を見ると、クライアント企業の財務に深く関わる事業再生部門では依然として公認会計士やUSCPAなどの有資格者もしくは財務部での実務経験者など財務スキルの高い人材の採用に力をいれています。
その一方で、採用ニーズが高まっているのがコンサル経験者です。
財務リストラクチャリングだけではなくクライアント企業の業務改善や売上向上を行うオペレーションリストラクチャリング案件の増加により、多角的にアドバイスができるコンサル経験者・経営企画経験者の採用が増えています。
特に、コンサルティングファーム・金融機関などで実際に事業再生経験がある即戦力性の高い人材や、広範囲にわたる知識や経験を持つコンサルタントは引く手あまたです。
(2)未経験者もFASの事業再生部門にチャレンジ可能
未経験者もFASの事業再生部門への転職はもちろん可能です。
FASの事業再生部門に今求められているのは、問題を抱えるクライアント企業を再生ステージから立て直すだけでなく、成長ステージに押し上げるための事業の最適化・再構築・再編のサポートを行うことです。
そのため、事業再生の経験がなくても、コンサル経験(戦略コンサルティング、業務コンサルティング、フィナンシャルモデリングなど)があり、総合的なビジネス知識やスキルを持つ人材も有利です。
FASは激務ではありますが平均年収が高い上にインセンティブ次第で一般的な企業では得られないような高額年収が得られる業種です。
財務やコンサルティングのスキル・実績をお持ちの方で、企業の事業再生をサポートしたい・高収入を得たいと考えているなら、FASの事業再生部門はうってつけと言えるでしょう。
ただし、財務・会計のスキル・経験、コンサルや経営企画などのスキル・経験の業務経験が一切ない人のFASの事業再生部門への転職は簡単ではありません。
FASへの転職活動を行う前に別の企業の財務部門やコンサル等で経験を積むことをおすすめします。
まとめ
企業の事業再生に関わりたい人にとって、再生局面にあるクライアント企業の存続のために多角的なアプローチで再生につなげるFASの事業再生部門は、M&Aと同様に大きなやりがいのある業務であるのは間違いありません。
特に今は中小企業の多い日本でコロナ禍でさらにFAS・再生事業部門に対する期待・ニーズは高まっています。
そのため、FASの事業再生部門への転職を考えているなら、経験者はもちろん未経験者にとっても今は絶好のチャンスといえるでしょう。
厳しい局面を一緒の乗り切ったクライアントと長く深い信頼関係を築けるFASの事業再生部門で、企業を救うヒーロー『事業再生コンサルタント』として活躍してくださいね。
将来FAS業界やFASの事業再生部門への転職を目指し、転職成功のコツや未経験者の採用ポイントなど、詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。
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