事業承継とM&Aの違いは?事業承継に関わる業界と転職市場を徹底解説

「事業承継とM&Aの違い・関係は?」
「事業承継に関わる仕事をするならどこに転職すればいい?」

中小企業が9割以上を占めるコロナ禍の日本では、深刻な後継者問題もあって事業承継・M&Aに関する相談が急激に増えています

それを受けて事業承継・M&Aをサポートする業界は今最もホットな業界となり、転職市場でも大きな注目と人気を集めています

そこでここでは、事業承継とM&Aの違いと合わせて、事業承継・M&Aに関われる業界と転職市場について解説します。

日本の基盤を支え未来を創る事業承継・M&A業界の仕事に興味がある人は必見ですよ。

1.事業承継とM&Aの違いは

まず、事業承継とM&Aについて概要と違いを見ていきましょう。

事業承継とM&A

  1. 事業承継の概要
  2. 事業承継の1つの選択肢『M&A』
  3. 事業承継とM&Aの違い

密接な関係がある事業承継とM&Aですが同じものではありません。

双方の位置づけを説明します。

(1)事業承継の概要

事業承継とは、現在の経営者が引退し、後継者に事業を引き継ぐことです。

自分の事業を誰に引き継ぐのか決めることは、経営者にとって最後の重大な仕事であり重要な経営課題です。

事業承継のタイプは大きく3つに分類されます。

種類承継する相手メリット
親族内承継現経営者の子をはじめとした親族に承継・長期間の後継者の育成期間が持て準備期間を確保がしやすい

・相続等による財産や株式の後継者移転が可能といった背景から所有と経営の一体的な承継が期待できる

親族外承継・従業員承継「親族以外」の従業員に承継・長期間働いてきた従業員であれば経営方針等の一貫性を期待できる

 ・経営者能力のある人材を見極めて承継することができる

親族外承継・M&A(社外への引継ぎ)社外の第三者(企業や創業希望者等)へ株式譲渡や事業譲渡により承継・親族や社内に適任者がいない場合でも広く候補者を求めることができる

・現経営者は会社売却の利益を得ることができる

次世代への引継ぎ(事業承継)が問題なく進むことに越したことはありませんが、現実はそこまでスムーズにいかないことも少なくありません。

これまで中小企業の多い日本での事業継承は経営者の子供や親族への承継(親族内承継)が一般的であり、現在でも親族への承継を希望する経営者も多いのですが、現実的には事業承継を親族以外の従業員や他企業に対して行うケース(親族外承継)が増えています

その背景に、日本の99%以上を占める中小企業の多くが抱えている深刻な後継者問題があります。

2025年までに70歳を超える中小・零細企業の経営者は約245万人、うち半数以上の約127万人が後継者未定と予想され、後継者がいないために利益が出ているのに廃業せざるを得ない『黒字廃業』を選ぶ企業の増加が社会問題の1つとなっています。

実際、コロナの影響もあって廃業件数が増加していますが、驚くことにそのうち6割が黒字にも関わらず廃業しており、後継者難を理由と挙げているのは3割にも上っています。

その回避策・解決策として利用する企業が増えているのが、社外の第三者(企業や創業希望者等)に承継する親族外承継・M&Aです。

(2)事業承継の1つの選択肢『M&A』

M&A(Mergers&Acquisition)は、事業承継の1つの有効な選択肢です。

親族や従業員等に適切な後継者候補がいない場合、M&Aによって会社を売却し、第三者へ承継、経営を託して企業の健全な存続を図るものです。

M&Aはこれまで経営戦略・イグジットなど主に事業拡大のために行われることが多かったのですが、近年は後継者不足に悩む中小企業が企業存続・黒字廃業を回避する有効策として『事業承継M&A』を選択する傾向が強くなっています。

実際、『事業承継M&A』は2020年においては内部昇格と同水準の34.2%と増加しています。

(3)事業承継とM&Aの違い

M&Aは事業承継の1つの方法としてよく用いられる手段ですが、事業承継だけがM&Aの全てではありません。

M&Aは2つ以上の会社が一つになる、ある会社が他の会社を買うなど企業の合併や買収などの行為を指し、広い意味では業務提携や資本提携も含まれる行為です。

複数の企業が1つになるのがM&Aなので、他の企業に事業を引き継ぐ事業承継はM&Aの一種といえます。

結論を言うと、M&Aは事業承継のいくつかある手段のうちの1つであり、事業承継はM&Aの一部という関係になります

2.事業承継やM&Aに関わることのできる業界

コンサル 転職 後悔⑩

次に、事業承継やM&Aに関わることができる業界について解説します。

事業承継・M&Aに関わることができる業界

  1. 銀行・金融機関
  2. 税理士事務所・会計事務所
  3. M&A仲介会社・M&Aアドバイザリー
  4. FAS

事業承継・M&Aは、法律・財務・会計・税務・人材育成などの問題が複雑に絡み合うため専門的な知識・スキルが必要です。

それらを駆使して経営者をサポートする仕事に携われば大きなやりがいを得られることでしょう。

事業承継・M&Aに興味があり事業継承のコンサルタントを目指す方は必見です。

(1)銀行・金融機関

1つ目の事業承継・M&Aに関わることのできる業界は、銀行・金融機関です。

事業承継やM&Aを考慮した時、自社の財務内容などをよく理解している取引銀行・金融機関に相談する中小企業も多いです。

事業承継コンサルタントとしてクライアントの話を聞きながら税理士事務所や会計事務所などの専門と連携して事業承継をサポートすることができます。

(2)税理士事務所・会計事務所

2つ目の事業承継・M&Aに関わることのできる業界は、税理士事務所・会計事務所です。

中小企業の場合、事業承継には財務だけでなく経営者の相続税などの問題も絡んでくるため、財務のスペシャリストである会計士、税のスペシャリストである税理士に相談する経営者も少なくありません。

財務・会計・税務の面から事業承継をサポートすることができます。

(3)M&A仲介会社・M&Aアドバイザリー

3つ目の事業承継・M&Aに関わることのできる業界は、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーです。

M&A仲介会社もM&AアドバイザリーもM&Aのスペシャリストであり、事業継承のためのM&A案件も数多く手掛けています。

M&A仲介会社とM&Aアドバイザリー

  • M&A仲介会社:売り手・買い手は双方の間に立って交渉の仲介を行い、中立的な立場でM&Aの成立に向けて助言業務を行なう
  • M&Aアドバイザリー:売り手か買い手の一方のクライアントの側に立ち、クライアントの利益を最大化するために助言業務を行う

M&A仲介会社とM&Aアドバイザリーでは、事業承継以外のM&A案件も数多く取り扱っているため、M&Aのスペシャリストとしてキャリアアップや独立を考えているならもってこいの転職先です。

ここでM&A仲介やアドバイザリーの業界事情や代表企業など、詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。

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(4)FAS

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4つ目の事業承継・M&Aに関わることのできる業界は、FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)です。

FASでは、事業承継対策(相続対策、後継者育成等)や資本政策、組織再編のための各種アドバイスや実行支援をワンストップで行います。

事業承継・M&Aのスペシャリストとしてのスキルや経験を積むなら、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーと並び、FASも理想的な転職先であるのは間違いありません

ここでFASの業界事情や代表企業など、詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。

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3.事業承継やM&A業界への転職事情

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最後に、事業承継やM&A業界への転職事情について解説します。

事業承継やM&A業界への転職事情

  1. 業界の将来性
  2. 中途採用事情
  3. 未経験からでも転職可能か

事業承継・M&A業界は転職市場でも高い人気のある業界です。

ビジネスモデル上、金融業出身者が多い業界ではありますが、初心者でもチャレンジが可能です。

「やりがいを持って働きたい」「高収入を得たい」と転職を考えている人必見の情報を紹介します。

(1)業界の将来性

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事業承継やM&A業界の将来性は間違いなく高く、社会的ニーズも高いため今後も大きな成長が見込めます

その背景として、日本の多くを占める中小企業の後継者問題やコロナ禍、日本市場の縮小などによる日本国内での事業承継・M&Aニーズの急激な高まりが挙げられます。

案件数の増加に比例して事業承継・M&A業界に関連する会社数は右肩上がりに増えており、慢性的な人員不足により新卒採用だけでなく経験者・未経験者の中途採用を積極的に行っている会社も増えています

また、事業承継やM&A業界の仕事は、日本社会・経済の根幹を支える仕事でもあります。

やりがいや誇りを持って働きたい、将来性の高い伸び代のある業界で働きたいという人にとって満足できる転職先であるのは間違いありません。

(2)中途採用事情

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上述のように、事業承継・M&A件数の増加からこの業界の中途採用市場は常に活況です。

国内の事業承継・M&A成約件数は2012年以降から右肩上がりで現在も多くの相談が寄せられており、常に材不足状態にあります

そのため、新卒よりも即戦力となる中途採用に力を入れている会社も多く日本M&Aセンターのように中途採用者が全体の9割越えというM&A仲介会社もあります

しかも、事業継承・M&A業界は押しなべて年収が高く、年収ランキングでも上位にランクインする会社も多いです

例えば、M&A業界を例に挙げると、日本の平均年収433万円(令和2年度)の何倍もの年収を得られる会社も少なくありません。

企業名平均年収平均年齢
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社2,269万円31.4歳
GCA株式会社2,063万円37.9歳
株式会社ストライク1,357万円35.5歳
株式会社日本M&Aセンター1,243万円34.3歳

しかも、インセンティブにより努力次第で更なる報酬を得ることができるため、能力ややる気次第で若い年齢でも一般的な企業では得られないような高収入を得ることができます

(3)未経験からでも転職可能か

M&A仲介業界の主な仕事内容

事業承継・M&A業界は、未経験からでも転職可能です。

ただし、事業承継・M&A業界は経営者が必死に成長させてきた会社の存続に関わる重要な仕事なので、財務・会計といった専門知識やスキル、法人営業経験や経営者と円滑に信頼関係を築く高いコミュニケーション力が求められます

そのため、財務知識を持っている方、営業バックグラウンドの方を積極的に中途採用している会社も多いので、M&A業界や事業承継の業務について未経験の方にもチャンスがあると言えます。

また、未経験者であっても、会計士・税理士や簿記2級や中小企業診断士等の資格保有者の場合、有利に転職を進められるケースも多いです。

未経験者が転職先として事業承継・M&A業界を目指すなら、上記のスキルや経験、資格の取得をしておきましょう。

ここでM&A業界へ転職する人の傾向や、未経験者の転職成功のポイントなど、詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。

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まとめ

会社の引継ぎに悩む企業を救う事業承継・M&Aに関わる仕事は、一企業の話に留まらず、将来の日本社会を支える社会的意義も高い仕事です。

年々、親族内承継が減少し事業承継にM&Aを利用する企業が増えており、それをサポートするコンサルタントやアドバイザーの仕事は引く手あまた・転職市場でも売り手市場となっています。

激務ではありますが高収入が得られ、さらに大きなやりがいを持って働ける事業承継・M&Aは、転職して自分の能力を最大限生かしたいと考えている人にとって満足できる仕事であるのは間違いありません。

幸いなことに、右肩上がりのこの業界は未経験の人にも広く扉が開かれています。

ぜひ事業承継・M&Aに興味がある方は今すぐ自分のスキル・経験・強みを棚卸し、気になる会社のドアを叩いてみてはいかがでしょうか?

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