M&A会社は３種類！代表的な企業や求められるスキルを紹介
「M&A業界への転職を考えているが、どのような会社があるか知りたい」
「M&Aポジションとして転職するために求められるスキルが知りたい」
公認会計士として働いている中でM&Aに携わる仕事を経験し、時には、トップニュースで取り上げられるようなスケールの大きな仕事に魅力を感じ、M&Aをメインに業務を行いたいと転職を希望される方は多いです。
M&A業務を行う会社は右肩上がりの成長を続けており、今後も成長が予想されていることから、財務系の中でも、人気の職種と言えるでしょう。
当記事では、公認会計士からM&A業界への転職先にはどのような会社があるか、具体的な会社名を例に挙げ、更にはM&A業界への転職で求められるスキルや、業界に向いている人の特徴など、転職に役立つ情報をお知らせします。
１．M&A業務を行う会社
M&A業務を行う上での会社は、大きく3つに分かれます。
1.M&A仲介
2.FAS
3.M&Aアドバイザリー
同じM&A業務を行うと言っても、転職する企業によって、行う業務や立ち位置が変わってきます。
各業務の概要をご説明すると共に、代表的な企業をご紹介しますので、転職先の検討をする際の参考にしてください。
（１）M&A仲介
まずは、M&Aを行う売手と買手の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立をサポートしているのが、M&A仲介です。
M&Aは会社や事業の売買のことで絶対仲介が必要と言うものではありません。
そもそも、買手と売手それぞれが相手先を見つけて、納得の行く条件で譲渡・譲受を行うことができれば、仲介業務は必要ありません。
しかし、当然のことながら、売手はできるだけ高く売りたい、買手はできるだけ安く買いたい、そもそも売りたい買いたいタイミングでちょうど良い相手方が見つけられる範囲にいるかどうかも定かではないため、双方希望する時期に向けて、仲介業務をしている会社に依頼を出し、相手先の提案から細かい交渉までを、仲介が受け持つのです。
M&A仲介は、どちらかの利益を大きくすることを目的にするのではなく、双方のバランスを取りながら、どのようにしたら利益が最大化するのかを見ながら、M&Aを進めていく立場ということが特徴です。
多くの経営者にとって、M&Aが初めてと言うところも少なくありませんので、どうして良いか分からないと不安になる経営者を、円滑にM&Aが進むよう、導く役割を担っています。
代表的な会社として3社ご紹介します。
M&Aキャピタルパートナーズは、着手金や月額報酬をもらうことなく、相手企業と基本合意に至るまで無料で支援を行う誠実さが特徴です。
M&A総合研究所は、M&Aの成立まで最短3ヶ月と、スピード成約を可能にしており、年間5,000件以上の問合せを受けているので、仕事の豊富さが挙げられます。
日本M&Aセンターは実績No.1の大手企業です。国内最多の圧倒的な案件数を誇るため、たくさんの業務をこなし、経験値を積むことができるでしょう。
また、M&A仲介の転職事情や活かせるスキル経験など、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
（２）FAS
FAS系コンサルファームとは、Financial Advisory Serviceの略で、クライアントに対して財務関連のアドバイザリーやコンサルティングサービスを提供する会社です。
M&Aの他にも、事業再生支援や企業価値評価支援、フォレンジック（不正調査・予防）など、多様な業務を担っています。
M&Aを業務の中心に置いているFAS系コンサルですが、「そもそもM&Aを検討するために経営戦略をどうするのか」「事業ポートフォリオの整理が必要なのか」と言った、企業の経営層が抱える問題に大きく踏み込んでいくこともあり、戦略コンサルと同じ役割を担う場面も出てくるため、一つの問題に対して多面的な見方を持てることが強みでしょう。
FAS系コンサルでは、「big4」と呼ばれる4社が代表的な会社として挙げられます。
それぞれが日本の大手監査法人のグループ会社でもあり、会計事務所系であることから、会計士資格等を持っている方が多いです。
公認会計士以外にも、金融機関や一般企業の経営企画・経理・財務部門、総合系など他ジャンルのコンサルティングファームの出身者も多数活躍しており、一緒に仕事をしていく上で、視野が広がりやすいことが特徴と言えます。
（３）M&Aアドバイザリー
M&Aアドバイザリーファームは、M&Aの実務面をサポートする企業で、M&Aに関する総合的な助言を行うことを業務とします。
先にご紹介したM&A仲介は、中立な立場でM&Aの成立をサポートする役割を担うものでしたが、M&Aアドバイザリーはそれとは違い、売手または買手から依頼を受け、その企業の側に立ち、交渉を行います。
M&Aアドバイザリーは、M&Aを成立させることを目的としているわけではありません。
例えば買手が急いでいると言っても、適正な価格水準から大きく外れた価格でM&Aを成立させてしまっては、買手の利益を最大化したとは言えないため、適正な価格はいくらなのかなどを助言します。
また、クライアントが売手の場合、意外と盲点になるのは税金です。
売手の望む高い金額でM&Aが成立したとしても、税金が高く、手取りが安くなってしまっては、元も子も無いため、総合的に売手が高い金額が受け取れるよう、スキームを活用するなどし、クライアントに役立つ業務を行っています。
GCAは、日本に軸足を置きながら、全世界に18拠点を持つM&Aアドバイザリーファームです。
JT飲料事業のサントリーへの譲渡や、阪急ホールディングスと阪急電気鉄道の経営統合などの実績を残しています。
株式会社レコフは、国内独立系の草分けとして、1987年の創業依頼様々な顧客の課題解決を行ってきたM&Aアドバイザリーファームです。
欧米企業へのM&Aに加え、ベトナムを中心とした東南アジア企業への出資をサポートするクロスボーダー案件を扱う体制も整えられています。
株式会社パラダイムシフトは、IT業界に特化したM&Aアドバイザリーファームです。
独自の業界内ネットワークを構築し、1000社超えの顧客接点を持っていることや、国内で市場規模の大きなIT企業と「同じ目線で語れる」ことが強みとなっています。
２．M&A業界への転職で求められるスキル
M&Aの会社では、新卒や第二新卒など、若い人を長い目で見て育てる姿勢を持つ会社もありますが、中途採用を行っている会社では、ほとんどの場合、即戦力を求めています。
1.金融知識
2.営業力
3.交渉力
これらのスキルがどのようにM&Aに役立つのか、ご紹介します。
（１）金融知識
M&Aでは税務・会計に関する理解が大変重要です。
そのためM&Aの会社では、中途採用の際、M&Aの対応をするコンサルティングファームや会計事務所でM&Aの経験を持つ公認会計士や税理士を高く評価しています。
仮に前職でM&Aの経験を持っていなかったとしても、基本的な金融知識があれば、それを広げていくことは努力次第と言えますし、とても大きな力になるでしょう。
M&Aにおいて、公認会計士が最も期待されている役割の一つが「財務デューデリジェンス」です。
対象企業の経営成績や財務状態、資金繰りの状況を調査・報告することで、売却価格の算定根拠を作ります。
（２）営業力
M&A業界で仕事をする場合、営業力も重要視されるスキルの一つです。
単に財務資料などを読み込んでアドバイスをすれば良いわけではありません。
M&A業界は、完全成功報酬の手数料報酬であることが多いため、クライアントがいなければ、いくら知識を身に着けても、売上にならないのです。
M&Aでは、一つの事業や企業の譲渡・譲受が行われますので、大きなお金が動きます。
加えて、企業を売る側には、その企業を育ててきた愛情のようなものがある場合が多いです。
そのような物理的・精神的なハードルを超えてM&Aを成立させるためには、営業力が必要となります。
M&A業界では、特に金融の専門用語が理解できる金融業界出身者や総合商社で営業をしてきた人が求められているようです。
（３）交渉力
交渉力とは、「私を選んでください」と売り込む営業力とは違い、守るべき立場を持って、相手となる会社の役割や利害関係を調整しながら、お互いが納得できるゴールををどこに持っていくべきか、折り合いをつけるために話し合う力のことです。
交渉を上手く行うためには、情報収集・情報収集が非常に重要と言われています。
対象会社の属する業界の情報や、商品の市場に関する情報はもちろん、経済状況なども重要な判断になってきますので、日々の情報をしっかりと掴み、M&Aに関わる情報をインプットしておくことが大切です。
感情的にならず、互いが求めていることを洗い出し、整理する冷静さが交渉力をアップさせるコツと言えます。
また、M&A仲介やFAS業界でスキルや経験をどんな業務で活かせるか、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
３．M&A業界に向いている人の特徴
M&A業界は一般的な企業よりも平均年収が高い分、その仕事内容は激務で、今はだいぶ改善はされているものの、毎日の残業や休日出勤が当たり前と言われていました。
そのため、せっかく転職をしても、1年もしないうちに辞めていってしまういう人も多かったのです。
必ずしもこうとは言えませんが、業界に向いている人の特徴を3つ、ご紹介します。
1.皆の利益を追求し動けるホスピタリティを持っている
2.強いメンタルを持っている
3.自分の行動に責任を持てる
（１）皆の利益を追求し動けるホスピタリティを持っている
1つ目は、皆の利益を追求し動けるホスピタリティを持っている人です。
M&Aは、実際にM&Aを行う2社が、今よりも良くなることを目的に行うものです。
そのため、仲介やアドバイザリーとして2社の間に立つ自身の会社の利益以上に、2社の利益を考えて奉仕できる人が求められています。
仮にM&Aを成立させたことで、2社にとっての利益が最大化しないという予測が立てられた場合、「M&Aを行わない」という選択を持つことも一つです。
（２）強いメンタルを持っている
2つ目は、強いメンタルを持っている人です。
自身の企業や事業を売りたい人、自身の企業を拡大するために希望する事業や企業を買いたい人は、簡単に相手方が見つかるものではありません。
依頼があった時に同じタイミングで相手方が出てくれば、詳細を詰めて話をまとめていく段取りとなりますが、通常は依頼を受けてから相手企業を紹介できるまで、少々のタイムラグが生じ、また、相手方を紹介したにしても、100%M&Aが成立するわけではないのです。
M&Aを希望する2つの企業を土俵に上げるためには、かなり泥臭い営業が必要になります。
そのためには、結果が出なくても取り組む強いメンタルが大切になるのです。
（３）自分の行動に責任を持てる
3つ目は、自分の行動に責任を持てる人です。
M&A業界の会社では、チームで仕事をする場合もあれば、個々でする場面も多いため、自分自身の行動が、M&Aに重要な影響を与えます。
クライアントの利益を最大化するために、常に自分で考えながら、行動をすることが大切です。
自分の行動に責任を持つためには、自発的な目標や目的を持つと良いでしょう。
目標や目的があることで、発言に一貫性が伴い、つらい状況に遭遇したときも、逃げ出さない理由になるのです。
「自分が責任を持つ」と決めるだけで行動も変わります。
これらは一概には言えませんが、参考にしてください。
まとめ
M&A業務は、人気の高い職業です。
M&A業界を行う会社は大きく分けて3つあり、それぞれ行う業務が変わってきます。
転職の際求められるスキルや、M&A業界に向いている人の特徴、そしてもちろん転職した後の自分自身の目標等と照らし合わせ、転職先を絞り込めると良いですね。
M&A業界への転職は、転職エージェントを利用して、業界に精通したプロからアドバイスをもらいながら行うのもおすすめです。
良い転職先が見つかるよう、是非検討してみてください。
また、M&A仲介やFAS業界の転職事情や業務内容など、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
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