「簿記2級取得だけで年収アップ」は本当?資格取得によるメリット解説
「簿記2級を取得すれば本当に年収は上がるの?」
「転職するには簿記2級取得がマストというのは本当?」
あらゆる企業で需要の高い簿記2級は、ビジネスパーソンにとって必須レベルの知識を持っていることの証明となる人気資格です。
簿記2級の資格を持っているだけで仕事の選択肢が一気に広がるだけでなく、年収にもプラスの効果があるといわれています。
そこでここでは、簿記2級を取得した人の年収と合わせて、簿記2級のスキルを活かせる4つの仕事、そして持っていることで得られるメリットを解説します。
この記事を読めば、貴重な人材として重宝されるようになる上に、自分の将来の可能性を広げ、さらに年収も上げてくれる簿記2級にチャレンジしたくなるはずです。
1.簿記2級を取得した人の年収
まず、簿記2級を取得した人の年収について解説します。
- 簿記2級取得者の平均年収
- 簿記2級取得を条件とする企業の年代別年収
一般的に「就職・転職時に持っていると有利」といわれる簿記2級の資格を取得していると年収はアップします。
次に具体的な数字を見ながら確認していきましょう。
(1)簿記2級取得者の平均年収
簿記2級以上を条件に挙げている求人情報を調査したところ、以下のようになりました。
中小企業 | 大企業 | |
実務未経験者 | 250~500万円 | 400~500万円 |
実務経験あり(3年以上) | 400~500万円 | 500〜600万円 |
実務経験あり(5年以上) | 500万円以上 | 600万円以上 |
地域・企業規模・採用年齢により異なりますが、取得しているだけでも評価が高い資格である簿記2級を持っていると確実に年収がアップすることが多いことがわかります。
しかも、実務経験を重ねるごとに年収にも大きく反映される魅力的な資格ですし、実務経験がなくても好条件の求人は増えて選択肢も一気に増えます。
ちなみに、国税庁の『令和2年分 民間給与実態統計調査』によると平均給与は433万円という数字が出ています。
この数字と比較しても、簿記2級資格を保有していれば、勤務先が中小企業であっても平均年収を超えることは難しいことではなくなることがわかりますね。
自分のキャリア形成に関して、簿記2級の受験・合格は重要なターニングポイントとなるといえるでしょう。
(2)簿記2級取得を条件とする企業の年代別年収
次に、簿記2級以上を条件とする企業の平均年収と、年齢別の平均年収を年代別に見ていきましょう。
年代 | 簿記2級以上が必要な企業の平均年収 | 全企業の平均年収 |
20代~ | 250~500万円 | 341万円 |
30代~ | 350~600万円 | 437万円 |
40代~ | 600万円~ | 502万円 |
簿記2級以上の資格が必要な企業の平均年収は、そうでない企業の平均年収と比べて全世代で上回っています。
これらはあくまで「目安」であり、勤務先の規模や業績によって金額は異なりますが、簿記2級保有者は非保有者よりも年収面でよい条件で働けることがわかりますね。
しかも、簿記2級取得者は経験年数と年齢によっても年収が上昇していくので、簿記2級の資格を持っているか否かは生涯賃金の面で大きな差となっていくことでしょう。
2.簿記2級を活かせる仕事は?
次に、簿記2級を特に活かせる仕事を1つずつ見ていきましょう。
簿記2級のスキル・知識を使って活躍できる仕事の選択肢は実に豊富です。
- 企業の経理・財務・経営部門
- 企業の営業部門
- 会計事務所
- コンサルティングファーム
- M&Aアドバイザリー
簿記2級の資格は、自分の可能性・キャリアを広げる最初の入り口となる資格です。
次に1つずつ解説していきます。
(1)企業の経理・財務・経営部門
簿記2級の資格を活かせる1つ目の仕事は、企業の経理・財務・経営部門です。
仕訳や記帳など会計のスキルを養う簿記2級の資格を最も活かせる場といえば経理部門ですが、経理部門が作成した帳簿や財務諸表などをもとに財務戦略の立案や予算や資金管理、資金調達、余剰資金の運用を行う財務部門でも簿記2級の資格は大いに役立ちます。
『経理は過去会計、財務は未来会計』といわれるこの2つの部門に加え、企業戦略の選択のために会計知識が必要となる経営部門の仕事でも簿記2級の資格は役立ちます。
(2)企業の営業部門
簿記2級の資格を活かせる2つ目の仕事は、企業の営業部門です。
営業の仕事は、自社のサービスや商品を顧客に無理に売りつけようとしても成果を出すことはできません。
簿記2級のスキルがあれば、顧客の企業の財務諸表を分析しつつ、節税や減価償却などにも言及しながらメリットをアピールするなど数字をベースにプレゼンをすることが可能になり、効果的に契約につなげることができます。
また、自社のサービスや商品の原価や利益率などを知っていれば価格交渉も速やかに判断できるようになるなど、簿記2級のスキル・知識は営業シーンでも大いに活躍します。
(3)会計事務所
簿記2級の資格を活かせる3つ目の仕事は、会計事務所です。
会計事務所では、簿記2級で学んだ知識やスキルを活かして、補助スタッフとしてクライアントの経理業務の代行や税務申告のサポート、経理や税務に関する相談・アドバイスなどを行うことになります。
会計事務所で働く簿記2級取得者の多くが、様々な案件に関わって実務経験を積みつつ、さらに上位資格である簿記1級を取得を目指しています。
ちなみに、簿記1級は公認会計士や税理士など国家資格への登竜門となる資格で、簿記1級の資格を持っていれば税理士試験を受験要件を満たします。
さらなるスキルアップや独立を目指している簿記2級取得者にとっては理想的な職場と言えるでしょう。
(4)コンサルティングファーム
簿記2級の資格を活かせる4つ目の仕事は、コンサルティングファームの仕事です。
簿記2級で得たスキル・知識を活かして、税務・財務・会計のプロフェッショナルとしてクライアントの相談・アドバイスを行います。
- 戦略系コンサルティングファーム:企業の経営上の課題解決のための戦略策定やアドバイスを行う
- 財務系コンサルティングファーム・FAS:M&Aや財務に関する課題解決に特化している
- 再生系コンサルティングファーム:経営状態が良くない企業に対する立て直しを目的とする
簿記2級の高度なスキルと知識を活かせるコンサル業務は多岐にわたっています。
一般的に、コンサルティングファームは年収も高水準ですので興味がある方はぜひチャレンジしてみましょう。
(5)M&Aアドバイザリー
簿記2級の資格を活かせる5つ目の仕事は、M&Aアドバイザリーです。
M&Aに特化し、適切なアドバイスを行うM&Aアドバイザリーでは、M&Aの取引をスムーズに進めるためにさまざまな専門知識が必要となります。
特に重要なのが会計・財務の知識であり、簿記2級の知識を活かしてM&Aの成約をサポートを行います。
今後ますます日本でも増えていくと予測されるM&Aに関わっていきたいという人に簿記2級の知識が役立つのは間違いありません。
ただ、簿記2級の知識だけでは不十分なことも多いため、そこで満足せずに上位資格の取得や経験を積むことが欠かせませんが、需要が高まるM&Aアドバイザリーに興味がある方はぜひチャレンジを!
3.簿記2級取得の3つのメリット
最後に、簿記2級の資格を持つことで得られる3つのメリットについて解説します。
- 「実務経験ゼロ」でも就職・転職に有利
- 資格手当の支給の対象としている企業も多い
- 自分の可能性を広げる足掛かりとなる
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)「実務経験ゼロ」でも就職・転職に有利
1つ目のメリットは、「実務経験ゼロ」でも就職・転職に有利になることです。
求人情報を見ると、部門に関わらず採用条件に「簿記2級以上の方歓迎」「簿記2級程度の知識または経験者」という条件を掲げている企業が多いことからわかるように、簿記2級は”最も企業に求められる資格”といえます。
簿記2級を取得しているということは、会計処理・分析のスキル・知識を持っていることや経営管理に役立つ知識を持っていることの証明になります。
簿記2級で得られるスキル・知識は、仕事の理解・把握・作業効率にも大きく影響するため、簿記2級をもっていない社員の資格取得をサポート・奨励している企業も少なくありません。
そんな簿記2級を入社前に持っていることは、例え実務経験ゼロであっても大きな強みになりますし、就ける仕事の幅や業界の選択肢を大きく広げてくれることでしょう。
(2)資格手当の支給の対象としている企業も多い
2つ目のメリットは、資格手当の支給の対象としている企業も多いことです。
資格手当は基本給とは別に資格を取得してから毎月もらえる手当のことです。
最も知名度の高い日商簿記2級の場合、一般的に資格手当は毎月1,000〜10,000円ほどの金額としている企業が多いです。
それほど大きな金額ではありませんが、年に換算すれば大きなプラスになります。
持っているだけでオトクな資格であるのは間違いありません。
(3)自分の可能性を広げる足掛かりとなる
3つ目のメリットは、自分の可能性を広げる足掛かりとなることです。
簿記2級の資格を持っていることで得られるメリットは、就職・転職の選択肢や関われる仕事の幅が一気に広がることや年収アップだけではありません。
ビジネスの仕組みが複雑化する今日、「ビジネスの基礎」とも言われる簿記を学ぶことで、企業のお金の流れや仕組み、現状を把握することができるようになります。
また、会計や財務、経営への興味も湧き、自分のキャリアや将来の目標・ビジョンも形成しやすくなります。
簿記2級は、自分の視野を広げ、ステップアップさせるためのスタート地点となる資格であるのは間違いありません。
まとめ
簿記2級を取得すれば、自分を活かせるチャンス・選択肢が増えるだけでなく、年収を上げることが可能です。
実務未経験であっても、簿記2級未取得者よりも好条件で働けるので、持っていてオトクな資格であるのは間違いありません。
もっともよく知られている日商簿記の2級の合格率は25%以上、第159回(2021年11月)には30.6%とそれほど難しいものではないため、チャレンジしてみる価値は大いにあります。
ただ、簿記2級だけで高い年収を獲得することは難しいのが現実です。
ぜひ簿記2級の資格をもとに、実務経験を積むか上位資格取得を狙い、キャリアアップしていきましょう。
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