事業承継アドバイザーはM&A業界への転職に有利?主な資格やメリットをチェック

「事業承継アドバイザーの主な資格はどのようなものがあるの?」
「事業承継アドバイザーになるメリットが知りたい」

事業承継アドバイザーとは、事業承継に関する知識を有し、事業承継に悩む中小企業の経営者や個人事業主などにアドバイスを行うスペシャリストのことです。

令和2年10月の時点で人口1億2,571万人に対して65歳以上は3,619万人(65~74歳が1,740万人、75歳以上が1,849万人)である超高齢化社会である日本では、事業承継を実施するケースは今後も増えていくことが予想されます。

本記事では、事業承継アドバイザーに関連する資格にはどのようなものがあるか、事業承継アドバイザーになるメリット、事業承継アドバイザーのおすすめの転職先について紹介していきますので、見ていきましょう。

事業承継アドバイザーに興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

1.事業承継アドバイザーの主な資格

M&Aに関連する民間資格を取得する

まずは事業承継アドバイザーの主な資格について見ていきましょう。

事業承継アドバイザーの主な資格

  1. 事業承継アドバイザー(BSA)
  2. 事業承継アドバイザー3級
  3. 金融業務2級(事業承継・M&Aコース)

以下でご説明します。

(1)事業承継アドバイザー(BSA)

M&Aコンサルタント

まずは、事業承継について専門的なアドバイスを行う専門家としての事業承継アドバイザー(Business Succeed Advisor=BSA)について紹介していきます。

一般社団法人金融検定協会により実施される認定試験をクリアすることで付与される資格です。

事業承継アドバイザー認定試験

  1. 事業承継の基礎知識
  2. 親族内承継
  3. 役員・従業員・外部への承継とM&A

上記の内容に関するコンプライアンスや法務、税務、基本的な手順について五答択一式で50問が出題されます。

合格基準は60点以上とされていますが、試験結果を踏まえ試験委員会で都度決定されますので、この限りではありません。

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験を受けるためには、専用の講座学習を3カ月間行う必要がありますが、講座をしっかりと受講すれば難易度はそれほど高くないといわれているため、テキストも使いつつ一回で合格できるようにしていきましょう。

(2)事業承継アドバイザー3級

2つめに紹介する資格は、企業の事業承継に関する状況把握から情報収集・整理、事業承継手法の理解と実務知識の習得度合を測定する、事業承継アドバイザー3級です。

銀行員が実際に事業承継のアドバイザー業務を行うことを想定した内容となっており、以下の科目で構成されています。

事業承継アドバイザー3級

  1. 事業承継の基本知識
  2. 事業承継と金融実務
  3. その他関連知識等

2016年から始まった試験で、初回の合格率は55.5%と高かったものの、その後は平均36%程度となっています。

四答択一マークシート式で50問が出題され、満点の60%以上が合格とされていますが、こちらも試験委員会での決定となりますので、あくまで目安として覚えておきましょう。

通信講座でしっかりと理解を深めながら、過去問題集などを活用して勉強を行うのがおすすめです。

(3)金融業務2級(事業承継・M&Aコース)

最後に1975(昭和50)年に始まり、現在は36種目にまで拡大している金融業務能力検定の中の、専門業務分野である事業承継・M&Aコースを紹介します。

試験方式はCBT形式といわれるもので、あらかじめパソコンやスマートフォン、タブレット等から受験日時・テストセンターを予約し、テストセンターでパソコンを使用して受験するものです。

金融業務2級の難易度はそれほど高くなく、5割~7割ほどの合格率で推移しています。

資格認定を受けたあとは事業承継・M&Aエキスパート協会の会員としてスキルアップ支援を受けることが可能です。

過去問題と似た問題が出題されるため、試験対策問題集を繰り返し解くことが試験合格の鍵といえます。

紹介した3つの資格の中では事業承継アドバイザー(BSA)の認知度が最も高いようですが、他2つの資格も持っておくことで転職の際に事業承継に必要な基礎知識を持っているアピールになるため、取得を検討すると良いでしょう。

2.事業承継アドバイザーになるメリット

事業承継アドバイザーの主な資格について知ったところで、事業承継アドバイザーになるメリットを2点紹介します。

事業承継アドバイザーになるメリット

  1. 事業承継業界は将来性がある
  2. 年収が高いM&A業界への就職に役に立つ

以下で見ていきましょう。

(1)事業承継業界は将来性がある

1つめのメリットは、事業承継業界は将来性があるという点です。

近年、経営者自身の高齢化や少子化による後継者不足により、会社や事業を他社に譲渡するM&Aの件数は増加しています。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が令和3年度事業承継・引継ぎ支援事業の実績についてまとめた資料によると、全国の事業承継・引継ぎ支援センターへの相談者は20,841人、M&Aの成約件数は1,514 件と、双方とも過去最高となっているようです。

年度平成25年度平成26年度平成27年度平成28年度平成29年度平成30年度令和元年度令和2年度令和3年度
相談者(者)1,6342,8944,9246,2928,52611,47711,51411,68620,841
M&A成約件数(件)331022094306879231,1761,3791,514

(参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構「令和3年度事業承継・引継ぎ支援事業の実績について」

事業承継・引継ぎ補助金など中小企業庁による事業承継の支援は強化されてきており、今後も事業承継業界の将来性は衰えないといえるでしょう。

(2)年収が高いM&A業界への就職に役に立つ

M&A仲介業界の魅力

2つめのメリットは、M&A業界への就職に役に立つ点です。

会社の体系によって差はありますが、成果によってインセンティブを得られるM&A業界は平均年収の水準が高く、若いうちから専門的な知識や経験が得られるため、転職市場でも人気の業界といえるでしょう。

東洋経済オンラインの平均年収が高い会社【全国版】によると、M&A仲介会社であるM&Aキャピタルパートナーズが平均年収2,269万円と1位にランクインしており、ほかにも日本M&Aセンターホールディングスが平均年収1,243万円と14位に入っており、M&A業界の平均年収が群を抜いて高いことが分かります。

M&A業界の中途採用は業界経験が必要など採用条件を設けている会社も多く、中には事業承継アドバイザーの資格を求人の歓迎条件に挙げている会社もあるため、事業承継アドバイザー資格はM&A業界への就職に利用できることが分かります。

3.事業承継アドバイザーのおすすめの転職先

規模の大きな仕事をしたい

事業承継アドバイザーについて分かったところで、最後に事業承継アドバイザーのおすすめの転職先を3社紹介します。

上記でも紹介したように、事業承継アドバイザーはM&A業界への転職に役に立つ資格です。

事業承継アドバイザーのおすすめの転職先

  1. M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
  2. インテグループ株式会社
  3. みつきコンサルティング株式会社

以下で見ていきましょう。

(1)M&Aキャピタルパートナーズ株式会社

M&Aキャピタルパートナーズ

会社名M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
設立2005年(平成17年)10月
資本金28億円
住所東京都千代田区丸の内一丁目9番1号
グラントウキョウノースタワー38階
従業員数(連結)229名(単体)159名
(2022年9月30日現在)
公式HPhttps://www.ma-cp.com/

M&Aキャピタルパートナーズは、先にも紹介したように、平均年収が高い会社【全国版】で1位となるなど、多くの年収を得られる可能性のある会社です。

「事業承継にM&Aという選択肢を」というキャッチコピーで事業承継によるM&Aに力を入れているため、事業承継アドバイザーの資格や経験は、転職に非常に役に立つものといえます。

中途採用は通年で実施しており、未経験者も応募可能です。

銀行、証券、保険、リースといった金融業界から転職してきた優秀な人材も多く、営業成績の極めて優秀な方が中途採用のターゲットになっていると考えられます。

(2)インテグループ株式会社

インテグループ

会社名インテグループ株式会社
設立2007年6月
資本金1億円
住所東京都千代田区丸の内3-4-1
新国際ビル4F
従業員数32名
公式HPhttps://www.integroup.jp/

続いて転職先におすすめの会社が、事業承継案件に非常に力を入れている、インテグループ株式会社です。

一人あたりの年間契約数が3~4件とトップクラスであり、完全成功報酬制を取り入れていることから、平均年収も1,600万円を超えるなど高い水準を誇っています。

少数精鋭のベンチャー企業のため、経営に近いところで仕事をすることができることが特徴で、実務を行いながら早く専門知識やノウハウを身に着けることが可能です。

「誠実さを大切にする集団」の意味を持つ「インテグループ」の中で、社会的意義を持つM&Aをより多く行い、社会に良い影響を与えていきたいという想いを持つ人は、ぜひインテグループへの転職を検討してみてください。

(3)みつきコンサルティング株式会社

会社名みつきコンサルティング株式会社
設立2005年10月
資本金1億円(連結)
住所東京都新宿区新宿1-9-1
NEOX新宿ビル6F
従業員数計65名
(2021年4月1日現在)
公式HPhttps://www.mitsukijapan.com/

最後に紹介するのは、事業承継等に係るプロフェッショナル・コンサルティングファームとして、税務、事業承継、事業再生、M&A、その他アドバイザリー業務を中心に行っている、みつきコンサルティング株式会社です。

みつきコンサルティングの事業承継に対するアドバイスは、経営全般を見据えた上で事業そのものを長期的に「守る・伸ばす」ための支援を実行し、事業価値を高め、後継者の士気を鼓舞することも目的に、物的承継だけではなく、研修をはじめとした後継者育成の人的承継にも関わる点が特徴でしょう。

想定年収は450万~600万程度といわれており、他のM&A業界の会社に比べると低く見えるかもしれませんが、全業種の平均年収が25~29歳では373万、30歳~34歳では450万円であることを考えると、同程度の水準かそれ以上であるといえます。

信頼の厚い税理士法人グループの中で、多くの経験を積みたいと思う人は、ぜひ転職を検討してみてください。

まとめ

事業承継アドバイザーの主な資格や事業承継アドバイザーになるメリット、さらに事業承継アドバイザーのおすすめの転職先を紹介しました。

近年の少子化や後継者不足の影響で、事業承継を考えている中小企業は増加しており、今後もさらに増えることが予想されます。

特に将来的にM&A業界で活躍したいと思っている人は、事業承継アドバイザーの資格が役に立つこともありますので、ぜひ取得を検討してみてください。

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