【経営者の転職】経営者の転職は難易度トップクラス?「プロ経営者」と合わせて解説
「経営者の転職って難しいって本当?」
「いろんな企業で活躍するプロ経営者とは?」
M&Aや事業譲渡などが増えつつある現在、積極的に転職を行う経営者が増えています。
ただし、経営者の転職は一般のビジネスパーソンとは大きく様態が異なるため、転職を考えている経営者はしっかりと準備・対策をすることが重要です。
そこでここでは、経営者の転職動向や経営者の転職を成功させる秘訣、さらに近年増えてきている「プロ経営者」も合わせて解説していきます。
企業の外部経営者を求めるニーズが急激に高まる中、自分のスキルをもっとふさわしい場で活かしたいとお考えの経営者はぜひご覧ください。
1.経営者の転職事情
近年増えつつある経営者の転職について、一般的な転職との違いなどと合わせて解説していきます。
- 経営者の転職動向
- 経営者と一般の転職方法の違い
- 経営者の転職方法
企業のトップである経営者の転職となると、やはり一般的なポジションの転職とは大きな違いがあります。
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)経営者の転職動向
経営者候補を求める企業が増加傾向にあることを背景に、経営者が転職するケースは年々増えています。
企業のトップの経営者にまで上り詰めれば退職時まで在籍するものというイメージは内部昇進のケースには当てはまりますが、外部から就任した経営者は企業の価値向上など当初の目的を実現すればより良い条件・上のステージを求めて転職をするのが一般的です。
また、ベンチャーなどの経営者も、ある程度自社をうまく軌道に乗せると他の企業に売却し、その経営手腕を買われて新たな企業のトップへ転職する人も少なくありません。
もちろん、自分の企業が倒産したことで転職を図る経営者もいますが、どちらかといえば自分のキャリアアップのために転職を行う経営者が増えています。
そこで気になるのが経営者の内定率ですが、これを調べた民間の調査によると、転職経験のある経営者100人のうち内定を得たのは14.4%という数字が出ており、転職活動をした経営者の7人に1人程度が転職を成功させているという結果が出ています。
一見、数字を見ると低いように思えますが、同調査によれば一般的な転職の場合の内定率である6%と比較すると倍以上であることから、経営者の転職は予想以上に頻繁に行われており、成功している人が多いといえるでしょう。
また、実際に転職を成功させている年代は、実績・経歴共に十分な40代の経営者が多いようです。
先行きが不透明な日本では今後も経営者や経営者候補の流動化が進んで求人も増え続ける傾向が続くとみられているため、経営者として多くの企業で経験を積んでさらに成長したいという人にとってはより活動しやすくなっていくといえるでしょう。
(2)経営者と一般の転職方法の違い
企業の最高職である経営者と一般のビジネスパーソンとは求人情報の入手方法や転職方法において大きな違いがあります。
最も大きな違いは次の3点です。
- 求人情報は非公開
- 求人数が少ない
- 求められるレベルが非常に高い
まず、経営者の求人は、一般の社員等のように企業の公式サイトに掲載される中途採募集や多くの転職情報が集まる一般的な転職サイト等で情報が掲載されることはまずありえません。
企業のかじ取りをする経営者の採用は企業の経営戦略にとっても最重要事項でありトップシークレットであるためほぼ非公開で求人されます。
また、経営者のポスト数の少なさから経営者の求人数自体が一般の求人と比べてかなり少ないのも大きな違いです。
さらに、企業の命運・将来を大きく左右する経営者に求められる条件・レベルは非常に高くなるのも当然と言えるでしょう。
経営者のポストに就く人材に求められるのは、豊富な経験とノウハウ、確かな実績、そして強いリーダーシップに加えて社内の社員と円滑な人間関係を築ける高いコミュニケーション能力です。
特に重視されるのが実績で、別の企業の不採算部門の事業を再生させた、倒産するかと思われた企業を復活させたなど、外部から来たトップに不満を持つ社内の人間を納得させられる実績は不可欠といえるでしょう。
(3)経営者の転職方法
経営者の転職には大きく分けて3つのルートがあります。
- 個人的な人脈・ツテの利用
- プロのヘッドハンティングの利用
- エグゼクティブ専用のハイクラス転職エージェントの利用
非公開で募集数も少なく、求められるレベルもひときわ高い経営者層の求人情報を得るのは簡単ではありません。
経営者の中には個人的な人脈やツテを頼りに行うという人もいますが、それでは業界や範囲が狭くなり選択肢が限られてしまう上に、高額な年収や待遇など経営者クラスの転職は当事者同士で条件の折り合いをつけることが難しいケースも少なくないため、あまり一般的ではありません。
経営者が転職を行う場合は、転職の専門家であるハイクラス向けやエグゼクティブ専門の転職エージェントを利用するケースがケースがほとんどです。
ヘッドハンティングやハイクラス向け転職エージェントなど経営者レベルの転職のプロを使うことで次のメリットが得られます。
- ハイクラス向けやエグゼクティブ専門の転職エージェントが保有している非公開の経営者の求人情報の中から探せる
- 経営者の転職に関する豊富なノウハウを持っている
- 経営者の転職に強い質の高い担当者が多い
- 時間を有効活用できる
ハイクラス向けやエグゼクティブ専門の転職エージェントにはあらゆる企業からトップシークレットである経営者の求人情報が集まってくるため、その中から自分のスキルやノウハウを活かせる企業や条件の良い企業を紹介してもらうことができます。
また、一般の転職とは異なる経営者の転職に役立つノウハウや経験を持つ担当者が相手企業との交渉やセッティング等も行ってくれるため、多忙な経営者も現在の仕事と並行しながらよりよい条件の企業への転職をすることができるのも経営者専門のエージェントを利用する大きな魅力といえるでしょう。
2.複数の企業のトップに立つ「プロ経営者」とは
経営者といえば一国一城の主であり、転職を考える必要性などないのでは?というイメージを持っている人も多いことでしょう。
しかし、中には1つの企業のトップに留まることなく、様々な企業に招聘(ヘッドハンティング)されて複数の会社を経営者として渡り歩く「プロ経営者」として積極的に転職活動を行っている人も増えています。
- 「プロ経営者」とは
- 「プロ経営者」のニーズの高まり
経営者の転職が当たり前となる中、企業を次々に復活させる「プロ経営者」に憧れる人・興味を持っている人も少なくありません。
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)「プロ経営者」とは
「プロ経営者」とは、企業の価値の最大化のために、企業の経営の立て直し・成長のために社外から「雇われ社長」として経営トップに就く者を指します。
日本でも日本を代表する業界のリーディングカンパニーが経営手腕に定評のある「プロ経営者」を社長に起用して業績を回復して話題となったこともあり、知っている方もいるかもしれません。
「プロ経営者」はPEファンドから投資先企業のバリューアップのために送り込まれることやM&Aで新たなトップとして着任することが多いのですが、中にはヘッドハンターや企業から直接求められて就任する「プロ経営者」も少なくありません。
在任年数は企業によって異なりますが、「プロ経営者」は招聘された企業のCEOやCOO、CFOと言ったCxO等のトップに就任して企業のバリューアップを行い、成功すると別の企業にヘッドハンティングされるなど、業界や企業規模を問わず幅広く活躍するのが特徴の一つです。
ただし、「プロ経営者」は創業のリスクを負わなくて良い・企業内の出世競争や人間関係に消耗しなくて良い反面、確実な成果を株主や社員などステークホルダーから厳しく求められるため、「プロ経営者」の道は決して平坦ではありません。
しかし、それ以上に、自身が有する経営に関する経験とノウハウを活かして企業を導いていく仕事やそこで得られる高い報酬や名声に大きなやりがいや誇りを感じられることでしょう。
ちなみに、「経営のプロ」というとコンサルタントも広く知られていますが、コンサルタントはクライアント企業の担当者と関わることが多く、株主や株主や従業員・取引先等のステークホルダーから常に直接的に結果や責任を求められるわけではない点で「プロ経営者」とは異なります。
(2)「プロ経営者」のニーズの高まり
日本では「プロ経営者」のニーズが年々高まっています。
日本における経営者と言えば、日本企業の多くが代々血縁者がトップに就任するケースや、年功序列制から長く企業に勤めている人が内部昇進でその座に就くことが多く、欧米のように企業が外部人材をトップに招く例はレアケースでした。
しかし、深刻な経営状況に陥った大企業を立て直す「プロ経営者」の手腕が広く知られるようになり、日本経済の停滞や中小企業の後継者問題、ベンチャー企業の台頭、IT化等を背景に、優れた経営手腕を発揮し自社の発展のために尽力してくれる「プロ経営者」を必要とする企業が増えています。
また、様々な業種で市場環境が急激に変化し、グローバル競争が激しくなる中で、社内の暗黙のルールや慣習、しがらみにとらわれることなく、斬新かつスピーディで効率的な経営改革を実行できる人材を求めている企業が増えていることも「プロ経営者」を求める企業が増えている理由といえるでしょう。
「プロ経営者」は1つの企業に長くとどまることはなく数年単位で就任と退職を繰り返して様々な企業の経営の立て直しや発展に尽力するため、一企業にとってだけでなく停滞する日本経済にとっても救世主となる存在といえます。
3.経営者が転職するメリット
経営者が転職をすることで得られるメリットを解説します。
経営者のポジションは魅力的なものですが、敢えてそこに長居することなく転職をすることで様々なメリットを得ることができます。
- スキル・経験を積んで活かすことができる
- 高い年収やステータスを得られる
- 様々な分野で広い人脈を築ける
- 「プロ経営者」を目指せる
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)スキル・経験を積んで活かすことができる
1つ目のメリットは、経営者としてのスキルや経験を積み、それを課題を抱えた企業のために活かすことができる点です。
1つの企業の経営しか知らない経営者には自社を経営していく中でノウハウは蓄積されますが、やはりそれはその企業限定のノウハウであり、他社・他業種にも活かせる汎用的な経営スキルということはできません。
一方、転職を行って複数の企業で経営者として経験とノウハウを蓄積した経営者は、経営に関する抽象的な法則を見出し、様々な業界の企業に対して高い視座で知見をフル活用できるようになることでしょう。
内部昇進ではなく外部から経営者を求める企業の殆どが現状のままではいけないというひっ迫した状態にあり、内部のしがらみや既成概念等に縛られずに大ナタを振るってくれる優れた経営手腕やリーダーシップを持つ人材を求めています。
経営者としてのスキルや経験を積むことで多くの企業から求められるようになりますし、そこで存分に自分の力を揮えるのはビジネスパーソンとして大きなやりがいも得られることでしょう。
(2)高い年収やステータスを得られる
2つ目のメリットは、高い年収やステータスを得られることです。
経営者の年収は他のポジションの年収と比べるとけた違いにハイレベルあり、手腕を買われての転職となれば現状の年収よりもさらに高い収入を得られるケースがほとんどです。
また、成果を出して業績アップを実現すれば経営者にはボーナス等なども加わるため、さらに高い報酬を得ることができることでしょう。
さらに、企業の立て直しに成功すれば「名経営者」として評判も上がって、次のキャリアや人脈につなげることも可能です。
(3)様々な分野で広い人脈を築ける
3つ目のメリットは、様々な分野で広い人脈を築くことができることです。
1つの企業の経営者として働くだけでも一目置かれ、会社関連で様々な人脈を得ることができますが、経営者として別の企業に転職することで、そこでさらに新しい人脈を築くことができます。
「プロ経営者」ともなれば業種・業界を問わず経営手腕を買われてあらゆる企業から声がかかることもあり、業種・業界の垣根を越えた膨大な人脈ネットワークを築くことができ、それが経営や次の転職にも大きく役立っているようです。
経営者は転職することでさらに「人脈」という大きな財産や武器を次々に増やしていけるといえるでしょう。
(4)「プロ経営者」を目指せる
4つ目のメリットは、「プロ経営者」を目指せることです。
当然のことながら、日本を代表する「プロ経営者」の多くが最初から”プロの経営者”であったわけではなく、様々な企業で多くの経営者としての経験・実績を着実に積んだことで「プロ経営者」と呼ばれるようになったのです。
つまり、業界・規模を問わず様々な企業で確かな実績を積み上げていけば誰にでも「プロ経営者」になれるチャンスがあります。
そのため、「プロ経営者」を目指している人にとって、転職を積極的に行って問題を抱えた企業で経営を担って成果を上げていくことは「プロ経営者」になるために不可欠なステップといえます。
成果を出せば知名度が上がり、更に別の企業からの声がかかりやすくなるため、「プロ経営者」を目指している人はどんどん転職を行い実績を積み重ねていくと良いでしょう。
4.経営者の転職を成功させる秘訣
最後に、経営者の転職を成功させる2つの秘訣を解説します。
- 自身のキャリア・実績の棚卸を行う
- 経営者向けの転職エージェントを利用する
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)自身のキャリア・実績の棚卸を行う
1つ目の経営者の転職を成功させる秘訣は、自身のキャリアやスキルの棚卸をしておくことです。
経営者は即戦力として採用されるケースがほとんどであり、必然的に入社直後から周囲から高い期待を向けられやすい面があります。
入社後に企業や社員が求めているものと自分のスキル等のマッチ度が低かったり方向性がずれていたりすると、経営者はもちろんのこと企業側にとっても大きなダメージとなってしまうことでしょう。
そのため、経営者が転職をする際は、自身の能力やスキルを過大評価や過小評価をすることなく自分のキャリアやスキルの棚卸を十分に行い、自分を最大限生かせる仕事ができる企業や自分を必要としてくれる企業から見つけてもらいやすいようにしておくことが欠かせません。
その上で相手企業としっかりコミュニケーションを取った上で転職できれば、周囲からの期待の高さとギャップが生じるような事態を防ぐことができ、存分に新しい環境で力を揮えることでしょう。
(2)経営者向けの転職エージェントを利用する
2つ目の経営者の転職を成功させる秘訣は、経営者向けの転職エージェントを利用することです。
非公開の経営者の求人情報の多くは転職エージェントを通じて提供されるため、より多くの選択肢の中で転職先を選ぶには転職エージェントの利用が欠かせません。
また、秘匿性の高いハイクラス求人情報の中でも特に経営者の情報はトップクラスの重要事項であるので1つの転職エージェントにしか流さないという企業もあることから、複数の経営者向け転職エージェントを利用するのが有効です。
転職先探しだけでなく相手との交渉、転職のための書類添削や面接などのサポートなどハイクラス専門の転職エージェントを利用すれば、忙しい経営者の仕事の傍らで並行して転職活動を行うことができます。
まとめ
経営者の転職について解説しました。
人を率いる力・会社を経営する力など優れた経営手腕を持つ「プロ経営者」をはじめとした経営者ポジション経験のある人材のニーズは年々増えており、実際に経営者の転職市場は年々活発化しています。
ただし、経営者転職活動は一般的なキャリアを持っている人と比べると簡単な話ではないため経営者向けの転職エージェントを利用するのが良いでしょう。
これまでに経営者として培ったスキルや知見、ノウハウは、一企業だけでなく日本社会全体の底上げになる重要な資産です。
経営者で転職を考えている人は、ぜひ自分のスキルやノウハウを最大限生かせる企業へ転職し、自らのキャリアアップをしていきましょう。
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