エグゼクティブの転職は困難?エグゼクティブの転職動向と成功させる3つのポイント
「エグゼクティブの転職は難しいって本当?」
「エグゼクティブが転職を成功させるための秘訣は?」
終身雇用・年功序列の傾向が強かった日本でも、徐々に外資系企業のように外部から優秀なエグゼクティブ人材を採用する企業が増えています。
経営等の高度なスキル・知見を持ったエグゼクティブ人材は今や転職市場では引く手あまたであり、前職よりもより良い条件・良い環境で活躍するエグゼクティブが増えています。
そこでここでは、急激に活性化しているエグゼクティブの転職事情やエグゼクティブの転職を成功させるためのポイントを分かりやすく解説していきます。
今よりももっと良い環境や条件で活躍したいと思っているエグゼクティブはぜひご覧ください。
1.エグゼクティブの転職事情
近年、活発化しているといわれるエグゼクティブの転職事情について解説していきます。
- エグゼクティブとは
- エグゼクティブ求人と一般の求人の違い
- エグゼクティブの転職動向
エグゼクティブの転職は一般的な求人とは大きく異なり、難易度が高いのは事実です。
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)エグゼクティブとは
エグゼクティブとは、企業など組織のマネジメントに関わる最高責任者・執行役員・上級管理職などの幹部のことを指します。
具体的にはCEO・COOなどのCXO、社長、副社長、専務、常務、執行役員、取締役など経営の中核を担う会社役員クラスの経営人材を指すのが一般的ですが、中には部長クラスや専門技能を有するスペシャリスト、主要工場長、事業責任者、海外子会社社長など幅広い上級管理職・幹部候補を指している場合もあります。
一般企業では厳密な階級(役職)が設けられており、上の階級に行けば行くほどその席に就ける人数は少なく希少価値が高いため、転職市場でもエグゼクティブ人材は評価が高く、引く手あまたの存在となっています。
(2)エグゼクティブ求人と一般の求人の違い
エグゼクティブ人材の転職は一般の求人と比べて3つの違いがあり、そのために一般的なビジネスパーソンの転職よりも難易度が高いといわれています。
- 求人数が少ない
- 非公開が多い
- 企業と条件を合わせるのが難しい
企業の経営者・CxOや重役、コンサルティングファームのパートナーやプリンシパル、ディレクターといった経営者・役員・管理職者といったエグゼクティブ職の求人数は、当然のことながら一般企業の非管理職ポジションの求人数と比べるとポストが少ないことから求人数も圧倒的に少ないです。
また、人事は企業の事業戦略とも密接に関わる事項であるだけでなく、他社に経営層の求人情報を知られたくないという企業の思惑もあり、基本的にエグゼクティブ人材の求人は公開求人で募集されることはなく、非公開が原則となっています。
また、豊富な経験・スキル・知見を有するエグゼクティブ人材はどんな企業も喉から手が出るほど欲しい人材ではありますが、そこでネックとなるのはやはり待遇・条件と自社のビジョンとのマッチングです。
エグゼクティブ人材は有能である一方で報酬もけた違いに高く、中には1億円を超える報酬を得ている人も少なくないため、高いポジションに就いているエグゼクティブ人材ほどそのポジションから転職をする場合に相手企業の条件と折り合いをつけることは簡単ではありません。
また、企業にとってもエグゼクティブ人材は企業の経営や方向性に大きな影響を与える存在であるため企業も採用には慎重になる傾向があります。
これらの事情から、エグゼクティブ求人数は増えているといってもマッチングのハードルは高くなりがちです。
さらにエグゼクティブ人材は現職の仕事も多忙であることから、より良い条件の求人を探すために一般とは異なる方法・ルートで転職活動を行うのが一般的です。
(3)エグゼクティブの転職動向
企業の経営者層や上級管理職者層といったエグゼクティブ人材の転職は現在活発に行われるようになっています。
その背景には、優秀なエグゼクティブ人材のニーズの高まりが挙げられます。
かつては日本企業の多くが終身雇用・年功序列の傾向が強く、経営の中核を担うエグゼクティブ層のポジションは創業者の家系の人や社内で実績を積んだ人から選出されるのが当たり前であり、外部からエグゼクティブ層を採用する事例やエグゼクティブ層が外部に転職する事例は非常に珍しいものでした。
しかし、企業の経営者を始めエグゼクティブ層の高齢化が進んでいるだけでなく、日本市場の縮小など企業を取り巻く環境が大きく変わる中で生き残りや自社の発展をかけて豊富な経営経験やスキル、実績を持った外部のエグゼクティブ人材に内部のしがらみや既成概念・ルールなどを取っ払って企業を導いてもらいたいと考える企業が増加しています。
また、市場拡大のために新規事業を展開を考える企業や海外展開をする企業、経営ノウハウを持った人材が少ないベンチャー企業の増加も、経営に関する卓越した知見を有するエグゼクティブ人材を外部から求める傾向を強めている一因と言えるでしょう。
こういった背景の中で外資系企業のように日本の企業でエグゼクティブ人材の求人が急増したことでエグゼクティブ向けの転職市場が活況を帯び、より良い条件の職場を求めて転職を行うエグゼクティブが増えています。
また、現在の企業で高いポジションに就いているとしてもよりよい条件で自分のやりたい仕事ができる求人や自分の能力を求めてくれる企業が他にあれば現職に留まる必要はないと考えるエグゼクティブが増えていることも、エグゼクティブ人材の転職が活発化している理由の1つと考えられます。
特にエグゼクティブの活動の中でも最も活発なのが30代以上のエグゼクティブの転職です。
経験が浅く実績もまだ少ない20代に比べると豊富な専門スキルや実績を持っている人が多く、40代以降と比べると柔軟性や適応力の面で優れた人材が多い30代以降のエグゼクティブの求人数が最も多くなっており、実際により良い条件で別の企業のエグゼクティブポジションに転職している人も多いです。
しかし、40代以上の管理職を必要としている企業も一定数あり、実際に国内有名企業のトップが別の業界の国内有名企業のトップになるケースなど新聞にも載るようなエグゼクティブの転職が行われることも多くなりつつあります。
社会全体の変化などにより先の見通しが立ちにくくなっている中で生き残りをかけて優秀なエグゼクティブ人材を求める企業がさらに増えると考えられ、今後はますますエグゼクティブの転職も増えていくと考えられています。
2.エグゼクティブの転職を成功させるための3つのポイント
エグゼクティブの転職を成功させるための3つのポイントを解説していきます。
- 強み・希望条件を明確にしておく
- 短期間で決めようとしない
- 信頼できるエグゼクティブ向けの転職エージェントを利用する
エグゼクティブは年収だけで次の転職先を選ぶとこれまで築き上げたせっかくのキャリアを台無しにしてしまうことになりかねないため、この3つのポイントをおさえて慎重に行うことが重要です。
次に1つずつ解説していきます。
(1)強み・希望条件を明確にしておく
エグゼクティブの転職を成功に導く1つ目のポイントは、自分の強みや希望条件を明確にしておくことです。
エグゼクティブの転職はポストや高額な年収に見合った高い業務遂行能力やリーダーシップを求められるため、一般的なビジネスパーソンの転職よりも求められる条件が厳しくなるのが一般的です。
そのため、予め自分の強みやスキルや経歴等の棚卸を行うと同時に、自分のやりたい仕事や目的、待遇などの希望条件を明確にしておくようにしましょう。
そうすることで企業とのミスマッチを防ぐことができるだけでなく、より自分のスキルや能力を最大限生かせる企業や自分を必要としてくれる企業、高く評価してくれる企業と出会えることでしょう。
(2)短期間で決めようとしない
エグゼクティブの転職を成功に導く2つ目のポイントは、短期間で転職を決めようとしないことです。
エグゼクティブ人材の転職は募集数が少ないだけでなく、タイミング・運も大きく関わってくるものです。
例えば、とある企業が外部から優秀なエグゼクティブ人材を採用したいと思っていても社内の反対があって話を進めることが出来なかったり、ポジションが空いていなかったりして募集できないということも少なくありません。
このようにエグゼクティブ人材に限らず転職活動は、運やタイミング、縁などが関係してくるため、なかなか思うような転職先が出てこなくても焦る必要はありません。
無理に希望条件に合わない転職を行うとエグゼクティブ本人だけでなく採用した企業側も後悔することにもなりかねないため、よほどひっ迫した状況でない限り、腰を据えてじっくり行うことでエグゼクティブのスキルや経験をより活かせる転職を実現できることでしょう。
(3)信頼できるエグゼクティブ向けの転職エージェントを利用する
エグゼクティブの転職を成功に導く3つ目のポイントは、信頼できるエグゼクティブ層向けの転職エージェントを利用することです。
エグゼクティブ層を多く手掛けているハイクラス転職エージェントをエグゼクティブが利用することで以下のようなメリットがあります。
- 保有している非公開のエグゼクティブ求人情報の中から自分に合ったものを探せる
- エグゼクティブの転職の豊富なノウハウを持っている
- エグゼクティブの転職に特化した質の高い担当者が多い
- 時間を有効活用できる
基本的に非公開であるエグゼクティブ求人は一般の求人のように情報が表に出てくることはなく、多くの非公開のエグゼクティブ求人はハイクラス転職エージェントに集まるため、エグゼクティブ層が転職を行う際にはハイクラス転職エージェントの利用は不可欠です。
また、エグゼクティブの転職を成功させるためのノウハウを豊富に保有しており適切なサポートが受けられるだけでなく、条件・待遇面で相手企業との交渉に慣れている優秀な担当者が多いため、転職というビジネスパーソンの重要なターニングポイントを安心して任せることができることでしょう。
また、忙しいエグゼクティブはゆっくり時間をかけて自身の転職活動をすることが難しく、現在の仕事と並行して転職を行うことは簡単ではありません。
その点、ハイクラス転職エージェントを利用すれば自分の代わりに条件や希望に合う求人を探して交渉してくれるので、多忙な現職の仕事を行いながら時間を有効活用して転職活動を行うことができます。
実際、転職エージェントを利用したエグゼクティブのほうが、非利用と比べると転職後の年収アップに成功した人の割合が多いという調査結果もあることから、エグゼクティブが満足する転職を実現するには転職エージェントが大いに役立ってくれることでしょう。
3.ハイクラス転職エージェントの賢い利用方法
エグゼクティブが転職の際に利用すべきハイクラス転職エージェントについてさらに詳しく解説します。
- ハイクラス転職エージェントは2タイプ
- ハイクラス転職エージェントは複数登録を
タイプによって特徴やアプローチ方法が異なるため、エグゼクティブの転職を成功させるにはこの2タイプをうまく活用することが重要です。
次に1つずつ解説していきます。
(1)ハイクラス転職エージェントは2タイプ
エグゼクティブ向けのハイクラス転職エージェントはアプローチの仕方で分けると2タイプあります。
- エージェント型ハイクラス転職エージェント
- ヘッドハンティング型ハイクラス転職エージェント
それぞれ特徴や転職のアプローチが異なるので違いを知っておきましょう。
#1:エージェント型ハイクラス転職エージェント
エージェント型とは、登録すると専任の担当者(コーディネーター)が付き、キャリアや希望や条件等からその人合った求人を探して紹介してくれるなどサポートを受けながら転職活動ができるハイクラス転職エージェントです。
適性に合う仕事ややりたい仕事、希望条件などマッチングの可能性のあるエグゼクティブ向け求人情報が出た場合にコーディネーターから紹介を受けられるだけでなく、相手企業との交渉やスケジュール調整など担当者のサポートを受けながら転職活動をすることができるため、自ら求人情報を探したり、気になる企業にアプローチや条件交渉をする必要がないため、転職活動を全てお任せしたいというエグゼクティブにおすすめです。
- マイナビエグゼクティブエージェント
- JACリクルートメント
- リクルートエージェント
- パソナキャリア など
また、エグゼクティブがエージェント型を利用する場合は、転職を急いでなくても担当者との連絡はこまめに取るようにすることが重要です。
担当の転職コンサルタントと連絡を密にとることで信頼関係を築きやすくなるだけでなく、自分の希望や条件、人柄が正しく伝わり、よりマッチング度の高い優良な求人を紹介してもらえる可能性が高くなるためです。
#2:ヘッドハンティング型ハイクラス転職エージェント
ヘッドハンティング型は登録者のプロフィールを見た企業やヘッドハンターからのスカウトをもとに転職活動するスタイルのハイクラス転職エージェントです。
- リクルートダイレクトスカウト
- ビズリーチ
- doda X など
ヘッドハンティング型の場合、登録後はスカウトを待つだけでよいので受け身の転職活動をしたいエグゼクティブや自分の市場価値を知りたいエグゼクティブ、急いで転職を考えていないエグゼクティブ向けといえるでしょう。
また、ヘッドハンティング型の転職エージェントを利用する場合は、情報の最終更新日を参考にスカウトが行われるので、より良い情報をいち早く入手するために自身の登録情報を定期的に更新しておくことも重要なポイントです。
(2)ハイクラス転職エージェントは複数登録を
ハイクラス転職エージェントは1つだけでなく複数の転職エージェントに登録しておくことがエグゼクティブ人材の転職成功のポイントと言えるでしょう。
経営者層などエグゼクティブ人材の募集は企業の事業戦略との密接な関わりがあることから秘匿性が高いため、一つのハイクラス転職エージェントに依頼するという企業も多く、各転職サービスで保有しているハイクラス求人には違いがあります。
そのため、より多くのエグゼクティブ向け求人と出会うことができるよう、いくつかのハイクラス転職エージェントに登録してアンテナを広げておくことが有効です。
また、ハイクラス転職エージェントには外資系の求人に強いところや若手ハイクラス求人に強いところなどそれぞれカラー・強みがあるため、転職を希望する企業・業界を得意とするハイクラス転職エージェントや年齢・世代に合わせたエグゼクティブ求人を紹介してくれるハイクラス転職エージェントなど自分の希望や属性に合わせたものを選ぶことも重要なポイントです。
- 外資系に強いハイクラス転職エージェント・・・ランスタッド、エンワールド、ロバート・ウォルターズなど
- 20代・30代に強いハイクラス転職エージェント・・・ビズリーチ、AMBIなど
- 40代に強いハイクラス転職エージェント・・・ミドルの転職、JACリクルートメント、パソナキャリアなど
結論として、エグゼクティブの転職は、自分の希望や条件に合わせて、ヘッドハンティング型ハイクラス転職エージェントから直接スカウトが届く状態にしつつ、エージェント型ハイクラス転職エージェントからの求人紹介も広く受ける方法が最も有効かつ効率的と考えられます。
ただし、複数のハイクラス転職エージェントを通じて同じ案件に複数応募するのは企業側からの印象を悪くするので避けましょう。
まとめ
エグゼクティブ人材の転職について動向や方法について解説しました。
全ビジネスパーソンの数からするとごく一部であり、選ばれたエリートとも言えるエグゼクティブ人材の転職は、求人数が少ない・非公開・条件を合わせるのが難しい・レベルが高い・本人も非常に忙しい等の理由から一般的なビジネスパーソンの転職よりもはるかに難易度が高いのは事実です。
しかし、自身のスキルの棚卸やエグゼクティブ人材の転職を成功させることを得意とする信頼できるハイクラス転職エージェントを上手に利用することによって、現職の仕事に取り組みながら希望に沿った転職先を見つけることができることでしょう。
ぜひ転職を考えているエグゼクティブは今よりもさらに自分の能力・スキル・経験を活かせる企業のふさわしいポストに転職し、存分に力を発揮していきましょう。
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