M&A仲介会社への転職は未経験でも可能!業界の中途採用動向を徹底解説
「M&A仲介会社ってどんな会社?」
「M&A仲介会社への転職難易度は?転職動向は?」
日本の数ある企業の中でも、トップクラスの高年収を誇っているのが、M&A関連の企業です。
なかでも、M&A仲介会社は国内の企業年収ランキングでも上位を占めており、転職市場でも高い人気を誇っています。
そこでここでは、M&A仲介会社について、現在の中途採用動向と合わせて、人気のM&A仲介会社や、転職することで得られるメリット、転職方法などについて解説していきます。
M&A仲介会社への転職を考えている人はぜひご覧ください。
1.M&A仲介の中途採用動向
M&A仲介会社への転職動向について見てみましょう。
- M&A仲介会社の中途採用動向
- どのような人が採用されているか
- M&A仲介会社へ未経験で転職は可能か
M&A仲介会社は、M&Aを希望する売り手と買い手両者とFA契約(ファイナンシャルアドバイザリー契約)を締結し、間に入って中立的な立場に立って双方が納得するM&Aの成立に向けて助言・サポート業務を行う会社です。
大規模なM&Aを取り扱うM&Aアドバイザリーと比べて、M&A仲介会社のクライアントは中小企業が多く、幅広い業界・規模のM&A案件に携わることができるのが魅力です。
次に1つずつ解説していきましょう。
(1)M&A仲介会社の中途採用動向
M&A仲介会社では、M&A市場の活発化を受けて、中途採用を積極的に行っています。
M&Aを利用するのは以前は大企業がほとんどでしたが、近年では後継者不足から事業承継に関する中小企業のM&Aが増えています。
また、海外展開を見据えたM&Aなど、企業の成長戦略にとって必要不可欠な戦略としてM&Aを採用する中小企業も増えています。
国内のM&Aの総件数の推移をみても、公表されている分だけをみても、1985年の年間約260件から2022年には年間約4,300件と急激に増加しており、今後もM&A市場の拡大傾向・M&A会社の成長傾向は継続していくとみられています。
それを受けて、M&Aコンサルタント枠を増やしているM&A仲介会社が増えています。
例えば、日本企業で最も高額な年収を得られるM&A仲介会社のM&Aキャピタルパートナーズは、2017年度の51名から2023年には155名と3倍以上に増員しており、日本M&Aセンターも2017年の217名から2023年には622名と3倍近く増員しています。
しかし、募集するコンサルタント枠が増えているといっても、採用者に求められるレベルは依然高く、好条件であることから各業界のエリートがこぞって応募するため、競争率や難易度は非常に高いことには変わりはありません。
M&A業界への転職を成功させるなら、事前の準備・対策をしっかり行ってからチャレンジすることが転職成功のカギです。
(2)どのような人が採用されているか
M&A仲介会社への転職を成功させている人はどんな人なのでしょうか。
経歴や保有資格などを見ればどんな人がM&A仲介会社の中途採用時に評価され採用されているのか、その傾向が見えてきます。
- M&A業界
- コンサル業界
- 金融業界
- 税理士事務所・公認会計士事務所・監査法人
- 事業会社の経理職
- 事業会社の営業職
M&Aに関連する実務経験がある人はもちろんのこと、金融機関や監査法人などで会計・財務・税務等に関する高い専門性や実務経験を持つ人など、M&Aや財務に関して知識や資格や経験のある人は高く評価されるようです。
また、M&Aでは、企業の経営者層やステークホルダーなど様々な人と接することになるため、事業会社での営業経験など人と接することに慣れている人も高評価となっています。
また、M&Aの実務を行うには経営や財務、税務、法務や登記など高い専門知識が必要になるため、M&Aに関連する知識がある証明として以下の資格を取得しておくと、さらに転職を有利に運べるといわれています。
- JMAA認定M&Aアドバイザー
- M&Aスペシャリスト資格
- M&Aエキスパート認定資格
- 公認会計士
- 税理士
- 弁護士
- 司法書士
- 中小企業診断士
- 事業承継士 など
入社前に上記の資格は必須ではありませんが、即戦力を求めるM&A仲介会社であれば、初めからM&A関連の知識やベースがある人材は魅力のある存在であり、自然と評価も高くなるようです。
M&Aでは、お金を取り扱うことから公認会計士や税理士、法律も関わってくることから弁護士や司法書士、事業承継のM&A案件では事業承継士の資格が高ポイントとなります。
ただ、M&A仲介会社によって、知識・資格重視か、営業力重視かは異なるため、転職活動をする際は、自分の持っている強みの棚卸しをして、それを高く評価してくれるM&A仲介会社を選ぶと良いでしょう。
(3)M&A仲介会社へ未経験での転職は可能か?
M&A仲介会社へ未経験での転職は可能です。
そもそも、M&Aの業務を行う場合に資格や許認可などは特にないため誰でもチャレンジできる職種であり、現在、M&A実務経験者がまだ少ないこともあって、実際に多くのM&A仲介会社でM&A実務未経験を多く中途採用しています。
ただし、M&Aでは、経営実務や経営戦略だけでなく、会計・財務・税務や関連法務などの専門知識も必要となるため、これらの基本的な知識や経験が全くない人の転職がかなり厳しいのは間違いないため、まずは事業会社の経理や関連資格の取得を目指すのがおすすめです。
また、事業会社の法人営業などM&Aの際に役立つ経歴がある人は、20代であれば交渉力を買われてポテンシャル採用をされることも多いです。
M&A仲介会社で高く評価される営業職のポイントは次の3つです。
- 継続的にトップクラスの高い成果を上げている人材
- 不動産など高額商品、金融商品などの無形商材など、営業の中でも難易度・複雑性の高い商材を扱ってきた人材
- 経営者・経営陣など企業の意思決定層との交渉に慣れている人材
M&A仲介会社によって、M&Aに関係する経験・知識重視か営業力重視か採用の傾向が異なるため、営業力に自信のある人は営業力重視のM&A仲介会社を選び、そこでM&Aの経験を積んでいくとよいでしょう。
2.転職希望者から人気の高いM&A仲介会社
転職市場で人気の高いM&A仲介会社を平均年収と合わせて紹介していきます。
- M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
- 株式会社日本M&Aセンター
- 株式会社M&A総合研究所
- ストライク株式会社
どのM&A仲介会社も、人気が高いだけでなく、全国的にもトップクラスの高年収を得られる魅力的な会社です。
次に1つずつ解説します。
(1)M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
M&Aキャピタルパートナーズは、中堅・中小企業向けにM&Aの仲介サービスを提供する企業であり、東証プライムに上場しています。
日本M&Aセンター、ストライクに並ぶM&A仲介「御三家」の一角として、非常に高い知名度と業界に精通したアドバイザーによる高品質のサービスを誇り、国内トップクラスの仲介実績があります。
”正しいM&A”を掲げ、業界最低水準のリーズナブルな料金体系と専任コンサルタント制で様々な業界・規模のM&Aを手掛けています。
東京経済が発表した全国の上場企業の平均年収ランキングでは、並みいる上場企業を抑えて、2018年以降、連続1位にランクインしており、2022年度も2,688万円とダントツのトップとなっています。
企業名 | M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 |
住所 | 東京都中央区八重洲二丁目2番1号 東京ミッドタウン八重洲八重洲セントラルタワー36階 |
資本金 | 28億円 |
ホームページ | https://www.ma-cp.com/ |
平均年収(推定) | 2,688万円 |
(2)株式会社日本M&Aセンター
日本M&Aセンター株式会社は、友好的M&A支援で実績No.1のM&A仲介会社です。
全国の地方銀行9割、信用金庫8割、1,026の会計事務所と提携し、 国内最大級のM&A情報ネットワークを活用しつつ、各業界に精通したプロフェッショナルが専任として各領域を支援することで、M&A成約実績累計8,000件超、M&A年間成約支援数1,050件と業界ナンバーワンの成約実績を誇っています。
また、M&A成約後も、企業の成長を支援するPMIの専門家がサポートしてくれるなど、フォローも万全である点も好評です。
企業名 | 日本M&Aセンター株式会社 |
住所 | 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 鉃鋼ビルディング 24階 |
資本金 | 37億8,001万円 |
ホームページ | https://www.nihon-ma.co.jp/ |
平均年収(推定) | 1,202万円 |
(3)株式会社M&A総合研究所
株式会社M&A総合研究所は、譲渡企業完全成功報酬制・独立型のM&A仲介会社です。
様々な業種の中堅・中小企業のM&A仲介実績を持つM&Aアドバイザーの丁寧なサポートに定評があります。
また、M&Aの情報の非対称性をなくし、スピーディに取りまとめるために、M&Aサイトの運営やAIマッチングシステムの導入など、M&Aの領域に積極的にテクノロジーを取り入れているのも特色です。
また、譲渡企業は着手金・中間金・月額報酬が無料、M&A手数料は譲渡価格方式とすることで、M&Aのハードルを下げ、スムーズかつ双方が満足するM&A成立手法も人気です。
設立から3年9ヶ月で東証グロース市場に上場、2022年6月に東証プライムに上場するなど非常に勢いのある会社です。
企業名 | 株式会社M&A総合研究所 |
住所 | 東京都千代田区丸の内1-8-1 トラストタワーN館18階 |
資本金 | 6億1,785万円 |
ホームページ | https://masouken.com/ |
平均年収(推定) | 2,800万円(入社3年目以降) |
(4)ストライク株式会社
ストライク株式会社は、小型~中型の案件に特化した独立系M&A仲介会社です。
専任担当制と全国8拠点の全てのコンサルタントの情報力を駆使して取り組む”オールストライク”でのマッチングに加え、全国の金融機関や公認会計士、税理士と提携することで、満足度の高いM&Aを実現しています。
平均年収も非常に高く、東京経済が発表した全国の上場企業の平均年収ランキングにおいて10位にランクインしています。
企業名 | ストライク株式会社 |
住所 | 東京都千代田区大手町1丁目2番1号 三井物産ビル15階 |
資本金 | 8億2,374万円 ( 2023年3月31日現在 ) |
ホームページ | https://www.strike.co.jp/ |
平均年収(推定) | 1,432万円 |
3.M&A仲介会社に転職することで得られる4つのメリット
M&A仲介会社への転職で得られるメリットは次の4つです。
- 企業のM&Aに携わることで高度な関連知識とビジネスパーソンとして有益なスキル・経験を得られる
- 他業種では得られないような高額な年収+インセンティブで高収入を得られる
- 企業のトップクラスの人材との人脈を作れる
- 次のキャリア形成に役立つ
どのメリットもビジネスパーソンとして魅力的なものばかりです。
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)企業のM&Aに携わることで高度な関連知識とビジネスパーソンとして有益なスキル・経験を得られる
1つ目のメリットは、企業のM&Aに携わることで高度な関連知識とビジネスパーソンとして有益なスキル・経験を得られることです。
M&Aという高度で究極の企業経営問題に関われる機会は、M&Aアドバイザーでなければ、人生においてそれほど多くはありません。
M&Aアドバイザーという仕事に就くことで、様々なM&Aに携わるうちに、事業承継だけでなく、海外展開や新しいビジネスなど様々なフェーズにある企業の経営に深く触れることができます。
また、M&Aを遂行する上で、経営に加え、財務・税務・法律など様々な領域に関する知識や経験も増やすことが可能です。
M&Aに関するすべての経験はビジネスパーソンとしての成長を大きく促してくれることでしょう。
(2)他業種では得られないような高額な年収+インセンティブで高収入を得られる
2つ目のメリットは、他業種では得られないような高額な年収+インセンティブで高収入を得られることです。
多くのM&A仲介会社の平均年収は、20代が約900万円、30代が約1,000万円、40代が約1,200万円、50代が約1,300万円、60代が約1,000万円 とかなりの高水準となっています。
さらにここにM&Aを成立した時に得られるインセンティブが加わることで、さらに高額の年収を得られます。
日本で、これほどまでの高年収を得られる業界は他になく、高年収を目指す人から非常に人気が高くなっています。
(3)企業のトップクラスの人材との人脈を作れる
3つ目のメリットは、企業のトップクラスの人材との人脈を作れることです。
M&A仲介では、譲受企業・譲渡企業のトップやステークホルダーとの交渉となります。
M&A仲介のM&Aアドバイザーはどちらの企業にとってもメリットのあるM&Aを成約させるために尽力するわけですから、双方のオーナー・関係者と深く関わり、ゆるぎない信頼関係を築くことができます。
M&A成約後も関わることも多く、双方が満足するM&Aを実現できば、企業のトップクラスの人材と強いパイプを作ることができます。
(4)次のキャリア形成に役立つ
4つ目のメリットは、次のキャリア形成に役立つことです。
今後のキャリアを考えた時、企業の経営部分に深く関わるM&Aアドバイザーの経験やスキルはビジネスパーソンとして大きな財産となるだけでなく、「優秀な人材」として転職市場でも高い評価を得ることができます。
また、M&A仲介の仕事で築いた人脈が、その後のキャリアにプラスになることも少なくありません。
4.M&Aアドバイザーに求められる3つの素質
次に、M&Aアドバイザーに求められる素質について解説します。
- 向学心・成長意欲
- 情報収集力
- コミュニケーション能力
譲渡企業・譲受企業どちらからも信頼されるM&Aアドバイザーになるためには、M&Aに関する専門知識があることだけでは不十分です。
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)向学心・成長意欲
1つ目の素質は、向学心と成長意欲です。
M&Aアドバイザーは、双方が満足できるM&Aを実現するために、M&Aを希望する企業のそれぞれについて理解を深めた上でM&Aに取り組むことが求められます。
同業種・同業界間でのM&Aもあれば、異業種・異業界間でのM&Aもあり、1つとして同じM&Aはないため、日々、勉強と言っても過言ではありません。
M&A仲介会社への転職を考えているなら、日々、勉強する習慣や姿勢を身につけておくようにしましょう。
(2)情報収集力
2つ目の素質は、情報収集力です。
譲受企業・譲渡企業それぞれの情報収集力はもちろんのこと、企業を取り巻くステークホルダーの情報、業界の情報、社会・経済全体の情報など、双方の企業の命運・将来を大きく左右するM&Aアドバイザーは全ての情報について敏感であることが欠かせません。
また、情報を収集するだけでなく、そこから論理的思考に基づいて深く考え分析し、譲受企業・譲渡企業双方にメリットのあるM&Aを成功させることが、優れたM&Aアドバイザーといえます。
M&Aアドバイザーとして活躍したいなら、普段から広くアンテナを張り、様々な情報をインプットしておくようにしましょう。
(3)コミュニケーション能力
3つ目の素質は、コミュニケーション能力です。
M&A仲介会社では、案件の発掘からクロージングまでM&Aの全てのフェーズに関わることがほとんどです。
その際、M&Aに関する基本的な財務知識や経営に関する知識などはもちろん必要ですが、それと同等に重要なのが、コミュニケーション能力です。
M&Aでは、譲受企業・譲渡企業の経営者だけでなく、ステークホルダーや、専門家との関わりも深くなりますし、チームで取り組む場合はメンバーとも密接にかかわることになります。
あらゆる立場の人と円滑な人間関係を築き、信頼を得られるコミュニケーション能力や人間性・人間的魅力は、M&Aアドバイザーとして不可欠の素質です。
普段から、「聞く力」「伝える力」「理解する力」を意識して高め、コミュニケーション能力や人間性を高めておきましょう。
5.M&A仲介会社への転職方法
M&A仲介会社への転職方法は主に3つあります。
- M&A仲介会社の中途採用募集サイト
- リファラル採用
- 転職サイト・転職エージェントの利用
どの転職方法を選ぶにしろ、未経験者であれば年齢が若ければ若いほどポテンシャル採用されやすくなるため、思い立ったらすぐに行動を始めることをおすすめします。
次に1つずつ解説していきます。
(1)M&A仲介会社の中途採用募集サイト
1つ目の転職方法は、M&A仲介会社の中途採用募集サイトを利用する方法です。
それぞれのM&A仲介会社では、新卒採用と合わせて、中途採用も公式ホームページから募集しています。
(2)リファラル採用
2つ目の転職方法は、リファラル採用を利用する方法です。
リファラル採用とは、自社の社員から友人や知人などを紹介してもらう手法です。
会社側としては、採用に先立って求める人材像にマッチした人材を紹介してもらいやすくなるだけでなく、採用コストの削減、会社に対する理解を深めた上での入社であるため離職しにくいなど様々なメリットがあることから、リファラル採用を取り入れる会社が増えています。
(3)転職サイト・転職エージェントの利用
3つ目の転職方法は、転職サイト・転職エージェントを利用する方法です。
M&A業界は中途採用意欲が高く、実際に未経験者を含めた多くの人がM&A仲介会社に転職して、活躍しています。
その多くが、転職サイトや転職エージェントを利用し、書類や面接対策を十分に行った上でチャレンジして転職しています。
特に、転職市場でも難易度が高いことで知られているM&A仲介会社への転職は、入念な準備が欠かせないため、丁寧なサポートが受けられる転職エージェントの活用は必須といっても過言ではありません。
また、転職エージェントでは独自パイプにより入手した非公開案件も多数保持しているため、転職サイト等では出てこない魅力的な求人情報を紹介してもらえることもあります。
効率的、そして成果を上げられる転職活動をするなら、転職エージェントをぜひ活用しましょう。
まとめ
M&A仲介会社への転職動向や、人気の高いM&A仲介会社、転職を成功させるポイントについて解説しました。
M&Aアドバイザーは、他の業界と比べてかなり高額の年収を得られる上に、今後に役立つ高度な専門知識やスキルや有益な人脈も得られるるため、転職市場でも人気が高い職種となっています。
ただ、M&Aアドバイザーに求められるスキル等も高度であることから、転職のハードル・難易度は高いため、M&A仲介会社への転職を考えているなら、入念な準備と、M&A仲介会社に強い転職エージェントを利用することをおすすめします。
企業と企業をつなぐM&Aの仕事は、これからの日本経済や社会を支える社会的意義の高い仕事であり、やりがいと誇りを持って働けるやりがいのある仕事です。
興味がある人はぜひチャレンジしましょう。
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