就職活動に有利な日商簿記2級の魅力と6つのメリット、就職先を解説
「就職活動に活かせる資格ってどんなものがあるのだろう・・・」
「実際、日商簿記2級ってどんな仕事に生かせるの?」
就職活動を有利に進めるには、いかに自分が有能であるか・スキルがあるかを企業にアピールし自分の市場価値を高めておくことが欠かせません。
その際に確実に自分の有力な武器の1つとなる資格の代表格であるのが簿記2級の資格です。
そこでここでは、簿記2級の資格を持っていることで得られるメリットや資格を活かせる仕事、さらに日商簿記2級について解説していきます。
簿記2級の資格の有用性や必要性について疑問を持っている人は、この記事で簿記2級のメリットを正しく理解しましょう。。
1.就職にも有利!簿記2級資格保有の魅力
簿記2級程度の知識を持っていることはビジネスする上で基礎の共通言語を習得していること同じであり、大きなアドバンテージとなります。
簿記は会計の資格のため、活かせる就職先は経理部門や会計・税理士事務所などの会計専門の企業・業務しかないように思っている人も多く、年収でもさほどメリットがないと思っている人も少なくないのですが、それは大きな間違いです。
- 活躍の場が広がる!簿記2級を活かせる主な仕事8つ
- 年収もアップ!簿記2級の資格手当
次にメリットについて1つずつ具体的に見ていきましょう。
(1)活躍の場が広がる!簿記2級を活かせる主な仕事8つ
簿記2級の資格を取得後、それを活かせる仕事は以下のものがあります。
- 企業の経理部門・財務部門
- 会計事務所(税理士事務所や税理士法人、及び公認会計士事務所)
- コンサルティング・M&Aアドバイザリー
- 金融業界
- 総合商社
- 営業職・販売職
- 製造部門
- サービス業
簿記2級程度の知識を持っていれば、コストや売上、自社・取引先の経営状況なども判断できるようになるため、経理以外の様々な仕事にも役立つことが多いと言えるでしょう。
1つずつ簿記2級の資格・知識を活かせる仕事をみていきましょう。
#1:企業の経理部門・財務部門
簿記2級の資格が活かせる1つ目の仕事は、企業の経理部門と財務部門です。
入出金管理や企業間取引の記帳、財務諸表・決算報告資料・財務申告書の作成など、企業の経理部門は、日商簿記2級で学んだ経理知識を現場でフルに活用できる仕事です。
また、企業発展のために運用をメインとする財務部門でも簿記2級の知識が資金調達や財務戦略の立案、事業価値の評価などの面で役立ちます。
企業の継続・発展のために欠かせない重要な仕事に携わることができるようになります。
#2:会計事務所(税理士事務所や税理士法人、及び公認会計士事務所)
簿記2級の資格が活かせる2つ目の仕事は、会計事務所(税理士事務所や税理士法人、及び公認会計士事務所)です。
簿記2級の資格があれば、会計事務所の主な業務の1つである経理業務代行(税務申告・記帳代行・決算処理)に関わることができます。
ただし、高度な専門知識が求められる会計事務所では、簿記2級の知識だけでは不十分なことも出てくるため、会計事務所勤務で実務を経験しながら上位資格(日商簿記1級・税理士・会計士など)の資格を取得し、その後独立するという人も少なくありません。
#3:コンサルティング・M&Aアドバイザリー
簿記2級の資格が活かせる3つ目の仕事は、コンサルティング・M&Aアドバイザリーです。
企業の経営・事業戦略などをサポートするコンサルティングや、国内でも活発化するM&AをサポートするM&Aアドバイザリーでも簿記2級の知識は役立ちます。
ただし、高度な戦略を練ったり、複雑なM&Aに関わる上で簿記2級の知識では不十分であることも多々あり、税理士や会計士などスペシャリストが集まるコンサルティングやM&Aアドバイザリーで簿記2級の資格は最低限のものとなります。
コンサルティング・M&Aアドバイザリーでの活躍を考えているなら、上位資格の取得を目指しましょう。
#4:金融業界
簿記2級の資格が活かせる4つ目の仕事は、金融業界です。
銀行や証券会社、保険会社などの金融機関でも簿記2級程度の会計の知識は必ず必要です。
ただし、会計事務所やコンサルティング・M&Aアドバイザリーと同様、簿記2級の知識は最低限です。
しかし、入社前にこの資格を持っていれば、それを基本としてどんどん知識・経験を積み重ねていくことができます。
#5:総合商社
簿記2級の資格が活かせる5つ目の仕事は、総合商社です。
従来の商取引に加えて、事業投資を大きな収益の柱としている商社では、投資先企業の業績・決算内容のチェック・評価が欠かせません。
高度な商業簿記・工業簿記を習得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計上をふまえて適切な処理や分析を行うことができる簿記2級の知識は大いに役立ちます。
#6:営業職・販売職
簿記2級の資格が活かせる6つ目の仕事は、営業職・販売職です。
営業や販売に簿記は関係ないと思っている人が多いのですが、それは大きな間違いです。
簿記の知識があることで根拠のある売上目標を立てることができたり、取引する会社の財務状況を分析することができますし、原価や仕入れコストなど、商品に関する費用計算も可能となるので価格交渉の際にも正しい判断が速やかにできます。
また、自社の商品・サービスに対する知識も深まり、説得力・信頼感のある営業・販売が可能となります。
#7:製造部門
簿記2級の資格が活かせる7つ目の仕事は、製造部門です。
製品の原価算定や製品の採算性分析のための簿記も学ぶ簿記2級の工業簿記の知識は、製造部門において大いに役立ちます。
製造部門を会計の視点から関わることができる人材を欲している企業も多いです。
#8:サービス業
簿記2級の資格が活かせる8つ目の仕事は、サービス業です。
昨今のサービス業の多様化にあわせて、会計の処理も煩雑化してきています。
日本の簿記試験の中でも最も重要度の高い日商簿記試験2級でも、役務収益・役務原価などサービス業の仕訳は試験範囲となっており
新しい会計の知識やスキルを持つ人材を企業も積極的に求めており、簿記2級資格を持っている人材はサービス業界でも引く手あまたとなっています。
他にも簿記2級レベルの知識があれば業務に活用できる仕事は数多くあります。
「簿記2級を持っていれば持っていれば食いっぱぐれない」「簿記2級はつぶしが利く」といわれるのも納得ですね。
つまり、簿記2級は自分の可能性・活躍の場を大いに広げてくれる資格ですが、収入面でも簿記2級を持っていることはメリットがあるんですよ。
(2)年収もアップ!簿記2級の資格手当
簿記2級の資格を持っていると年収もアップします。
簿記2級を持っていることは、企業で働く際に必須である、最低限の会計知識や財務諸表に書いてあることの意味を理解する力があることを証明するものです。
そんな簿記2級を持っていることは、当然企業も高く評価し、収入面でも手当がついて大きなプラスとなります。
具体的には、簿記2級を取得することで得られる資格手当は、平均で1,000~5,000円/月程度です。
ちなみに、日商簿記1級の場合は1,000~7,000円/月となり、簿記3級は手当がないのが一般的です。
2.日商簿記2級資格を持つと得られる6つのメリット
ビジネスに直結する知識やスキルを習得できる日商簿記2級は特に企業の評価が高い資格です。
現在の日本の主な簿記検定として、日商簿記検定・全経簿記能力検定・全商簿記検定(高校生向け)がありますが、なかでも最も知名度が高い資格は日商簿記試験です。
日商簿記2級資格を持つことで、次のようなメリットを得られます。
- 会計処理のスキルを有していることを証明することができる
- 就職・転職時の書類選考時の大きなアピールポイントになる
- 会計の知識や視点を加えて仕事に取り組める
- 作業効率や仕事の習得スピードが大幅にアップする
- 自社の財務状況や取引先の財務状況が把握できる
- 会計のプロ(会計士・税理士など)になる足がかりになる
規模に関係なく多くの企業が、日商簿記2級レベルの知識を持つ人材を求めています。
つまり、日商簿記2級の取得は応募可能枠を広げる強力なツールであると同時に、企業への強いアピールになる資格であると考えてよいといえるでしょう。
次に1つずつ詳しく説明していきます。
(1)会計処理のスキルを有していることを証明することができる
1つ目のメリットは、会計処理のスキルを有していることを証明することができる点です。
日商簿記2級を持っていることから、企業はその人が高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できる人材と判断します。
就職はもちろん、就職後の社内での評価アップや昇級、転職にも有利となります。
(2)就職・転職時の書類選考時の大きなアピールポイントになる
2つ目のメリットは、就職・転職時の書類選考時の大きなアピールポイントになることです。
一般常識・基礎力として簿記の知識を必要不可欠とする経理や財務などの業務において、日商簿記2級は社員が持っていてほしい資格・当然持っておくべき資格です。
また、それ以外の業務においても、原価・コスト・利益などの会計の視点を持って仕事に取り組んでくれる社員は貴重です。
会計の知識を持つ人材はどんな企業も喉から手が出るほど欲しいため、すでに取得しているということは大きな強みになります。
(3)会計の知識や視点を加えて仕事に取り組める
3つ目のメリットは、会計の知識や視点を加えて仕事に取り組めることです。
会計の知識があれば、会社の収益性・資金繰り・安全性・生産性などを客観的に判断しながら仕事の取り組むことができるようになります。
例えば、営業部門であれば売上利益のマネジメント、製造部門であれば原価管理やコストコントロールなどの視点が必要となりますが、これらも簿記2級の知識が必要です。
単なる労働力としてだけでなく、会社視点で仕事に関わることができるのも大きなメリットといえるでしょう。
(4)作業効率や仕事の習得スピードが大幅にアップする
4つ目のメリットは、作業効率や仕事の習得スピードが大幅にアップすることです。
経理の仕事であれば、会計を体系的に学べる簿記2級の資格を持っていれば、複雑な経理業務の全体像を瞬時に把握し、細かな業務にも素早く対応できます。
また、会計の知識によって数字をベースにした思考力を培うことができるので、経理以外の業務においても仕事の習得スピードもアップします。
簿記2級の資格・知識を持つことで、全体像を見て、お金の流れや現状を考慮することができ、仕事やその先のキャリアにも活かすことができるでしょう
(5)自社の財務状況や取引先の財務状況が把握できる
5つ目のメリットは、自社の財務状況や取引先の財務状況が把握できることです。
コロナ禍の現在、中小企業はもちろんのこと、大企業といえど安泰とは言えない時代です。
そんな状況の中、自分に会計知識があれば、自社がどのような状態なのか、また取引先の状態がどのようになっているのかを財務状況を客観的に見ることができ、リスクを大幅に下げることができます。
(6)会計のプロ(会計士・税理士など)になる足がかりになる
6つ目のメリットは、会計のプロ(会計士・税理士など)になる足がかりになることです。
簿記を学んで会計・税務に興味を持った人にとって、日商簿記2級は更なる上位資格への挑戦の土台となる資格であり、最も簡単なキャリアチェンジの方法の1つです。
具体的には、日商簿記2級の上位資格である日商簿記1級はさらに難易度の高い試験ですが、この日商簿記1級に合格すれば税務のスペシャリストである税理士の受験資格を得ることができます。
さらなるステップアップをお考えなら、日商簿記1級を取得後に、税理士試験・公認会計士といった上位資格にチャレンジするのもおすすめです。
また、会計の知識に加えて、社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー・行政書士・宅地建物取引士(宅建)などと組み合わせてキャリア形成に生かすという方も増えています。
専門家を目指す人にとって、日商簿記2級は入り口となる試験といってよいでしょう。
3.未取得者必見!日商簿記2級試験内容
簿記の中でも、特に有利となるのが、日本商工会議所と各地の商工会議所が実施する、簿記の技能を測る日商簿記試験です。
この日商簿記試験の資格取得を内定後・採用後に社員教育として実施している企業が多いことからもどれだけ重要な資格であるかはおわかりいただけることでしょう。
そんなメリット満載の日商簿記2級の資格を持っていないのは、就職時・転職時に大きなマイナスポイントとなるかもしれません。
まだ取得していないという人は、今すぐチャレンジしてみましょう。
次に、日商簿記2級試験について解説します。
(1)日商簿記2級試験の詳細
日商簿記試験の概要について解説します。
試験日程 | 年に3回(2月・6月・11月)実施 |
受験料 | 4,720円(税込) |
試験時間 | 90分 ※以前は120分だったが第158回簿記検定試験以降短縮 |
合格基準 | 100点中70点以上 |
持ち物 | ・受験票 ・筆記用具(HBまたはBの黒鉛筆・シャープペンシル、消しゴムのみ) ・電卓(関数電卓・プログラム機能は除く)またはそろばん ※プリンター内蔵、メロディー音の出るもの、携帯コンピュータ(電子手帳を含む)、携帯電話等は使用できません。 ・身分証明書(運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カード、個人番号カード、学生証、社員証など、原則として、第三者機関発行で氏名・生年月日・顔写真が揃って確認できるもの) ※身分証明書は本人確認に使用します。 |
補足情報 |
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(2)出題範囲・配点基準
商業簿記と工業簿記から出題されます。
商業簿記 | 工業簿記 | |
対象 | 株式会社(中小企業) | 製造業(メーカー等) |
内容 | 購買活動や販売活動など、企業外部との取引を記録・計算する技能で、企業を取り巻く関係者(経営管理者・取引先・出資者等)に対し、適切、かつ正確な報告(決算書作成)を行うためのもの | 企業内部での部門別や製品別の材料・燃料・人力などの資源の投入を記録・計算するためのもの |
大問が5つ出題され、各問20点ずつ・商業簿記が3題(60%)、工業簿記が2題(40%)となるため、偏りなく学ぶ必要があります。
(3)日商簿記2級の試験難易度がアップ
日商簿記試験は、初級・3級・2級・1級の4階級あり、合格率は初級・3級で40~60%、2級で20~30%前後、1級で10%前後となっています。
特に企業から評価されるのは2級以上ですが、ここ数年、日商簿記2級の試験の難易度が上がっているので注意が必要です。
2015年から大幅な改定が行われ、簿記1級の試験範囲の一部(リース取引、連結会計、圧縮記帳、外貨建取引、製造業を含む会社の決算処理、税効果会計、クレジット売掛金など)が簿記2級の試験範囲に追加されました。
日商簿記1級の試験範囲が2級の試験範囲に含まれるようになったことで難易度は高くなっているので、過去問も利用して傾向と対策を十分に練っておく必要があります。
まとめ
簿記の知識があれば、企業の状態や経営活動を数字から見極め、最適な行動を考えられるようになります。
簿記の資格、なかでもビジネスに直結する知識やスキルを学べる日商簿記2級の資格はどこの会社でも重宝されるため、持っておいて決して損はありません。
言いかえれば、簿記2級の資格は就職・転職市場で自分の市場価値を手早くあげてくれる、まさに狙い目の資格であり、この資格を持たずに就職活動・転職活動を行うのは熾烈な戦場に丸腰で臨むようなものです。
未取得の人・自分の可能性をさらに広げたい人は、ぜひ簿記2級試験にチャレンジしてみてくださいね。
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