グローバルなコンサルティング会社IBMコンサルティングはどんな会社?転職情報も紹介
「コンサルティング業務を行っているIBMコンサルティングとはどのような会社?」
「IBMコンサルティングへの転職情報や転職した際の待遇について知りたい」
アメリカに本社を置くテクノロジー関連企業のIBMの日本法人として活躍する日本IBMは、日本国内に53の拠点を有する大企業です。
現在は有限会社アイ・ビー・エム・エイ・ピー・ホールディングスの子会社で、IBMの孫会社という位置づけになっています。
「IBMコンサルティング」とはもともと日本IBMの行う事業部門の1つであるグローバル・ビジネス・サービス(GBS)事業の名称を変更したもので、160億ドルの事業規模を持ち、GBSのほぼすべての業務を引き継いで立ち上げられたものです。
全世界で14万人を超えるコンサルタントやテクノロジーの専門家が卓越したスキルや熱意を持って日々お客様に寄り添い、ビジネス上の難しい課題の解決に共に取り組んでいるIBMコンサルティングは、これからコンサルタントとして転職先を探している人にとって気になる企業であることしょう。
本記事では日本IBMの概要や転職情報、さらには転職後の待遇について詳しく紹介します。
コンサルタントとして活躍したいと思っている人は、ぜひIBMコンサルティングへの理解を深め、前向きに転職活動を行ってください。
1.IBMコンサルティングとは
まずはIBMコンサルティングがどのようなものであるのかを見ていきましょう。
- 会社概要
- 特徴・強み
- 近年の実績
- 注力する専門領域
以下で紹介します。
(1)日本IBM株式会社の会社概要
会社名 | 日本IBM株式会社 |
設立 | 1937年(昭和12年)6月17日 |
資本金 | 1,053億円 |
代表者氏名 | 山口 明夫 |
本社所在地 | 東京都中央区日本橋箱崎町19-21 |
株主 | IBM Japan Holdings合同会社(100%) |
事業内容 | 情報システムに関わる製品、サービスの提供 |
公式HP | https://www.ibm.com/jp-ja |
IBMコンサルティングを事業とする日本IBM株式会社の会社概要を紹介しました。
IBMコンサルティングとは2021年に発表された、日本IBMの新ブランドの名称です。
「IBMコンサルティング」という名称には、お客様のために尽力するチームの思いが込められており、全世界で14万人を超えるコンサルタントやテクノロジーの専門家が、卓越したスキルや熱意を持って日々お客様に寄り添い、ビジネス上の難しい課題の解決に共に取り組んでいます。
IBMの孫会社の位置づけの日本IBMは全体的にチームワークを重視する社風を持ち、コ温かい空気を持って仕事がしやすい環境を持った会社といえるでしょう。
(2)特徴・強み
IBMコンサルティングはもともと日本IBM株式会社の事業の1つであったグローバル・ビジネス・サービス(GBS)をほぼ引き継ぐ形で立ち上げられました。
デジタル・テクノロジーの興隆を機会ととらえて企業を変革する経営戦略を描くことが特徴で、ビジネスモデル、組織構造、ビジネス・プロセス、人材、ITアークテクチャー、エコシステムなどに言及していきます。
また立ち上げと同時に他社と戦略的パートナーシップを結ぶことを提言しており、現在では「Amazon Web Services」「SAP」「Salesforce」をはじめとする10社と提携していることが強みで、ビジネスの安全性、拡張性、およびオープン・イノベーションに関する専門知識を駆使して、コンサルティングサービスを提供できる点が強みです。
- アプリケーション・サービス
- AIサービス
- ビジネス戦略
- クラウド・サービス
- 顧客体験のコンサルティング
- データ分析
- 財務および支払いのコンサルティング
- ハイブリッドクラウド戦略
- マーケティング・コンサルティング
- サプライチェーン・サービス
- サステナビリティー
- 人材の変革
IBMコンサルティングのサービスは上記のように非常に多岐にわたっており、それぞれの専門家がクライアントの課題解決に向けて尽力しています。
(3)近年の業績
IBMは現地時間2022年1月24日、2021年度第4四半期の連結決算を発表しました。
IBM会長兼最高経営責任者(CEO)のアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)氏は、「第4四半期はハイブリッドクラウドへの注力によりソフトウェア事業およびコンサルティング事業が成長を牽引し、増収となった」といっています。
前年同期のキンドリル相当分を引いた売上高との比較では6.5%増(為替変動の影響を除いた恒常通貨ベースでは8.6%増)であり、営業総利益率は58%、税引き前営業利益は35億ドルです。
コンサルティング事業の売上高は前年同期比13%増で、IBMの業績アップに寄与しているといえるでしょう。
2019年からの新型コロナウィルスの蔓延により飲食店やホテル・娯楽店等は経営を維持できず倒産に追い込まれる企業も多数存在しましたが、IBMはコロナによるマイナスな影響を受けず、順調に業績を伸ばしているのが見て取れます。
(4)専門領域
IBMコンサルティングの専門領域は、4つに大分されます。
- ストラテジー
- エクスペリエンス
- テクノロジー
- オペレーションズ
それぞれがどのような領域であるかを、以下で紹介します。
#1:ストラテジー
IBMコンサルティングはITだけではないあらゆるテクノロジーを活用した、DX(デジタルトランスフォーメーション)によって、クライアント企業の事業成長・企業変革を実現しています。
DXに取り組む企業が増えてはいるものの、実際にスタートしてみるとさまざまな壁に直面し、成果が出ないケースも多いようです。
しかしIBMコンサルティングの戦略により、そのような壁を乗り越えた企業も実際に存在します。
例えば天保3年(1832)年創業で180年以上の歴史を誇る老舗商社「長瀬産業」もそのひとつです。
IBMコンサルティングのタスクフォースメンバーがわずか10ヶ月という短期間んでビジネス構想を具体化し、商社の強みを生かしてデジタルの力で材料開発のR&Dを支援したり、新たな価値を生むデータマッチングの場を提供したりするプラットフォーマービジネスを目指しています。
2020年11月には同プロジェクトの第1弾サービスの提供を開始しており、トライ&エラーを繰り返しながら、企業間で様々なデータ取引やマッチングができるMIプラットフォームへと進化させていくことが目標です。
IBMコンサルティングは長瀬産業のようにDXによる変革を望むクライアント企業に対し、5つの支援テーマを設けています。
- アジャイル時代の全社経営改革
- 先端テクノロジー活用デジタルビジネス戦略
- テクノロジーとデータ戦略
- 組織変革戦略
- マーケットリサーチによる市場環境整理
IBM自身が事業を行ってきた当事者としての変革の歴史の中で得た経験や知見、示唆は、戦略コンサルティングを行うにあたり強い武器となり、クライアントの変革を成功へと導きます。
#2:エクスペリエンス
エクスペリエンス領域では人間中心のアプローチによるビジネス変革で、クライアントのニーズを迅速に理解して対処するためのビジネスをデザインしています。
- 顧客体験の戦略とデザイン
- 顧客ライフサイクルの変革
- 従業員エンゲージメントと人材育成
IBMコンサルティングはクライアントのブランドの目的に、人による洞察と時代に即した適切なテクノロジーを融合させることで、顧客ロイヤルティーを高め、信頼を築くための卓越した体験を提供しています。
またAdobe社、Salesforce社、SAP社、Workday社などの主要企業と提携し、クライアントが時代に即した最新の働き方を導入できるように支援するとともに、インテリジェントなワークフロー、AI、自動化からメリットを得られるようにビジネスを再構築する手伝いを行っています。
さらにはさまざまな洞察を活用して従業員のやる気を引き出し、組織を変革し従業員へ新たな価値を提供することで、連携と学習の企業文化を育んでいます。
#3:テクノロジー
IBMコンサルティングは、テクノロジー・パートナーのエコシステム全体で連携し、特定の目的に特化したアプリケーションの最新化を図ることで、テクノロジーの管理を簡素化し、コストを削減します。
この取り組みにより、例えばSiemens Gamesa社では、Microsoft Azure上に機械学習(ML)ソリューションを構築し、工場に導入するのに必要な機能を手に入れることに成功しました。
業界の専門知識、独自の評価ツールとアクセラレーターを組み合わせ、世界で最も柔軟なハイブリッドクラウド・モデルを使用して、クライアントのビジネス全体を迅速に変革して効果を拡大しています。
また価値創出の時間を短縮することでこれまでと比べ平均2.5倍の利益を得ることができ、さらにアプロケーションの最新化の所要時間を数ヶ月から数週間に短縮することでコストを30%以上削減することが可能です。
24時間365日の監視を提供するこれまでにない運用モデルで、テクノロジーの管理と回復力の新たな基準を提供しています。
#4:オペレーションズ
オペレーションズとは組織内のIT部門や担当者などが情報システムを使用可能な状態に保つために行う監視やメンテナンス、ユーザーサポートなどの一連の活動を含む機器やソフトウェア、システムなどの操作全般のことです。
IBMコンサルティングでは人材、業務プロセス、データ、テクノロジーを柔軟に編成して効率的に成果を上げることで、ビジネスの未来を切り開く取り組みを行っています。
具体的にはBoston Dynamics社やChemonics社などの企業と提携してインテリジェントなワークフローを作成し、専門知識、内部データと外部データ、強力なAIテクノロジーを組み合わせて運用を変革しているのです。
適切なハイブリッドクラウド・アーキテクチャーを構築することにより、社内チーム全体で最大70%のコスト削減、88%の時間短縮、最大40%の生産性向上の実現につながる可能性があります。
2.IBMコンサルティングの待遇
IBMコンサルティングの待遇について分かったところで、実際にIBMコンサルティングに入社したあとの待遇について見ていきましょう。
- 役職別平均年収
- 福利厚生
- 社風・社内環境
希望の会社に入社したは良いものの、不満な待遇を受けるようでは、また次の転職先を探すことになりかねません。
以下でIBMコンサルティングの待遇を紹介します。
(1)役職別平均年収
日本IBMのコンサルタント職の平均年収は推定800万~850万円ほどといわれています。
多くの案件を担当してインセンティブを受け取ったり、昇格して役職が上がったりすると、年収が上がる期待が持てるでしょう。
役職別平均年収の目安は以下の通りです。
役職名 | 年次(目安) | 給与(推定) |
コンサルタント | 22歳~ | 400万~700万円 |
シニアコンサルタント | 28歳~ | 700万~900万円 |
マネージングコンサルタント | 32歳~ | 1,000万円~ |
シニアマネージャー | 35歳~ | 1,500万円~ |
アソシエイトパートナー | 45歳~ | 1,800万円~ |
コンサルタントはプロジェクトの実作業の大半を担当する役割を持ち、シニアコンサルタントはコンサルタントよりも上位の役職となります。
マネージングコンサルタントはプロジェクトを取りまとめ、進行に関して責任を持ち、シニアマネージャーは最終的な責任を負う役割と認識しておきましょう。
アソシエイトパートナーはコンサルティングファームの共同経営者で、顧客開拓とプロジェクトの受注、ファームの経営に携わります。
マネージングコンサルタント以上の役職の平均年収は高いものの、長く続けていれば誰でもマネージングコンサルタントになれるものではありません。
平均年収は800~850万円ほどに落ち着きを見せています。
(2)福利厚生
IBMコンサルティングの福利厚生について見ていきましょう。
- 交通費支給
- 退職給付制度
- フレッシュアップ休暇
- 健康相談、保健指導
- フレックスタイム制度
- 裁量勤務制度
特に確定拠出年金制度を活用した退職給付制度や社員持ち株会、財形貯蓄、提携住宅ローンなど社員個人の資産形成にプラスになる制度を多数提供しており、将来の安心を確保しながら働くことができます。
また育児休暇を取得して戻っても、キャリアに影響を与えない点は女性にとって嬉しいポイントです。
フレックスタイム制の利用により子どもが小さいうちから育児と仕事の両立を図ることができるでしょう。
(3)社風・社内環境
IBMコンサルティングは外資系企業の子会社ではあるものの日本企業に近い社風を持ち、全体的にアットホームな社風を持っているようです。
先輩が後輩を育てようとする文化もあり、各々の目標数字を達成するために案件に対して協力してくれる風土を持っています。
プロジェクトによっては残業があることも多く、労働時間が長いため自分自身で仕事をコントロールすることが重要です。
例え若くてもクライアントの上層部や関係者と同等に話すことができるためやりがいがあり、個人の裁量権も大きいためやる気と力を鑑みて手を上げればなんでもやらせてくれる雰囲気があります。
上司へも提言も可能で風通しが良いため、働きやすい社内環境を持っているといえるでしょう。
3.IBMコンサルティングの転職情報
ここまで読んで、IBMコンサルティングに入社して仕事をしたいと思った人もいることでしょう。
IBMコンサルティングへの転職を前向きに検討したい人に向けて、IBMコンサルティングの転職事情を紹介します。
- 転職事情
- 転職難易度
- 未経験でも可能か
- 応募条件
- 転職のポイント
以下で見ていきましょう。
(1)転職事情
IBMコンサルティングは新卒採用で20〜30人ほどの募集を行っていますが通年中途採用を行っています。
外資系の大手企業であるため、転職希望者は多く、転職は狭き門と考えられます。
IBMコンサルティングへ転職をしてきた人の前職は大手Sler、アクセンチュア、PwCなどのIT系コンサルティングファーム出身者が多いようです。
(2)転職難易度
IBMコンサルティングへの中途採用には実務や職種に関する何かしらの経験が必要とされており、また求められるスキルのレベルが高いため、転職難易度は高いといえるでしょう。
下記で紹介する応募条件に記載してある通り、応募には実務経験と実績が必要で、即戦力となる人物を求めていることがわかります。
IBMコンサルティングへの転職を希望する人の前職はIT系コンサルティングファーム出身者が多く、同時期に採用枠以上の転職希望社がいた場合、他の希望者と比較された判断をされる傾向があるため、もし応募条件を満たしていたとしても、自身のスキルを高める努力をするのが大切です。
またIBMコンサルティングが求めているスキルや人材を分析し、しっかりとした転職準備を行っていきましょう。
IBMコンサルティングでは論理的思考力やコミュニケーション力が高い人材が求められる傾向が強いとされており、海外事業などのグローバル案件を手掛けることも多いため、ビジネスで使える英会話が必要とされています。
(3)未経験でも可能か
コンサルティングファームの中にはコンサルティング業務が未経験者であってもフルタイム勤務をした経験があれば応募可能などの会社もありますが、IBMコンサルティングに関しては業界未経験での転職は難しく、戦略コンサルティングまたはITコンサルティングの経験が必要とされています。
コンサルティング業務の経験だけでなく、信頼できる実績も重要な採用基準となるため、経験があるだけの人もIBMコンサルティングへの転職は難しいでしょう。
自身の経験と実績を確実に先方に伝えるにはどうしたら良いかは転職エージェントなど転職活動の力になってくれる人を見つけ相談することで、自分でも見えていなかった魅力を発見できる可能性があります。
(4)応募条件
転職難易度の説明の中でも触れましたが、改めてIBMコンサルティングの応募条件を見ていきましょう。
- コンサルティングファーム・ITベンダー等の企業において、戦略コンサルティングまたはITコンサルティングの経験を持つ人
- 事業会社において、何らかの変革業務、新規事業立ち上げ、もしくは自社のシステム実装、グローバル拠点への展開をした経験を持つ人(ビジネスシーズを事業戦略にコンバートし、実践した経験を持つ人)
- コンサルティングファームにおいて、M&Aを軸とした新興国への参入戦略を支援した経験を持つ人
応募条件は経験に関しての案内に重点を置いていますが、実際には経験の中で得た実績も採用の重要なポイントとなります。
またTOEICの基準点数は無いものの、ビジネスで使用するのにあたり不自由でない英語力も必要でしょう。
IBMコンサルティングが即戦力を求めていることを念頭に、自身のスキルや経験をいかに役立てるのか、適切にアピールする方法を考えていくことが大切です。
(5)転職のポイント
応募条件を満たしたからといって転職できるわけではありません。
IBMコンサルティングへの転職は、書類選考後に複数回の面接をクリアしてはじめて可能となります。
選考内容はよく変わるようですが、これまでのキャリアに関する質問とこれからのキャリアビジョンを中心に聞かれるため、IBMコンサルティングについて業務内容をよく理解して、求められる能力や経験を持っていることを伝えることが大切です。
また質問に答える面接以外に、コンサルティングファーム特有の、フェルミ推定やケース問題が出題されることもあります。
フェルミ推定とは論理的思考能力を頼りに一見予想もつかないような数字を概算することで、応募者の思考力を図ることが目的です。
ケース問題は実際にコンサルティングの現場で向き合うような課題の解決力を図るもので、コンサルティングファームの試験の中で最も難易度が高いといわれているため、事前に例題などで対策を練っておくと良いでしょう。
まとめ
IBMコンサルティングは前職での経験が必要で非常に転職難易度が高い会社ではありますが、多くのパートナーと連携を取りクライアント企業を支援する姿勢から、今後も業績アップが期待できる企業です。
2022年のビジネスパーソンの平均年収が403万円であるのに対し、コンサルタントの職位では400〜700万円、シニアコンサルタントは700〜900万円、マネージングコンサルタントになると1,000万円以上と高額が年収を得られる可能性があり、応募資格を満たす人はぜひチャレンジをおすすめします。
外資系企業にしては珍しく福利厚生が充実しており、残業が多いながらも自身の裁量で仕事がしやすいため、仕事に慣れれば自分のペースで仕事を進めていくこともできるでしょう。
日本企業的な社風を持つため、これまで外資系企業で働いたことがないという人にも安心です。
本記事を読んでIBMコンサルティングに興味を持った人は、ぜひ転職のポイントを押さえて、転職活動を行いましょう。
内部事情に詳しいプロが在籍する転職エージェントを利用するのも、転職成功の秘訣です。
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