【2023年10月最新】FASへの転職を徹底解説!未経験からFASに転職するためのコツを紹介
「FASへは未経験でも転職できる?」
「FAS業界へ転職する際に押さえておく情報は?」
FASはハイクラス転職となり難易度が高いので、入念な情報収集や準備が必要です。
FASの中途採用は、「コンサルティングファーム出身」「事業会社で経理を担当していた」など、業界経験者が有利になりやすいですが、ポテンシャルを期待して未経験で採用されることもあります。
本記事では、FAS業界の業務内容や転職事情、転職のポイントなどについて紹介するので、ぜひ、参考にしてみてください。
1.FASの業務内容
FASへ転職する際は、業務内容を把握しておくことが大切です。
FASの業務内容は多岐に渡り、クライアントの将来を左右する大規模な業務を行うケースもあります。
- M&A業務
- 経営戦略を立てる
- 企業再生サポート
- フォレンジック
FASの業務内容を把握し、転職後の業務をイメージしましょう。
(1)M&A業務
FASのメインの業務は、M&A業務で、以下のようなことを行います。
- M&A戦略を立てる
- M&Aを交渉する
- 買収予定の企業の財務を調査・評価する(デューデリジェンス)
- バリュエーションにより適正価格を提案する
- 契約書を作成する
- 資金や株式の移動を行う
- 統合作業(PMI)を実施する
FASでは、M&A戦略を立ててクライアントへ提案することに加え、買収予定の企業の経営状況の調査、評価、交渉なども必要に応じてサポートします。
また、買収する際は、バリュエーションを行い、適性価格の提案をするのも重要な役割です。
M&Aは価格設定が重要であり、買収企業の価値を正しく評価できていないとM&Aに失敗することもあるので、慎重さを求められます。
M&Aが進んだら、契約書の作成や資金の移動などもサポートすることになるでしょう。
なお、M&Aの最終段階である統合作業は煩雑になるケースも多いので、計画性が重要です。
(2)経営戦略を立てる
FASは、経営戦略を立てることが重要な役割で、以下のような業務を行います。
- グローバル化に適応する
- IT技術を取り入れる
- ビジネスの多様性に対応できるようにする
- 海外への進出を検討する
グローバル化、IT化など、時代の流れにのりつつ、コストを意識して企業価値を高める必要があります。
また、必要に応じて海外拠点のマネジメントをサポートすることもあるので、ビジネス英語のスキルも必要になるでしょう。
ビジネスが多様化するにつれ、経営戦略はより高度化しています。
経営戦略を立てるには、会計や財務など幅広い知識、数多くの経験が必要です。
(3)企業再生サポート
FASは、経営状況が難渋している企業の再生サポートを行います。
FASのサポート対象は国内企業のみにはとどまらず、海外の拠点なども含め様々です。
企業の経営戦略を立てるのはもちろん、実行まで継続的にサポートすることを求められます。
企業再生には、以下のように様々な観点からアプローチする必要があるでしょう。
- 財務・会計の知識
- ビジネス知識
- IT技術関連の知識…など
企業サポートにおいては、経営者と密にコミュニケーションを取り、問題点を抽出する必要があります。
業界における専門的な知識はもちろんですが、ビジネス全般、会計、財務など幅広い知識・スキルが必要です。
クライアントの経営を立て直すという向上心や責任感のある人が求められます。
(4)フォレンジック
フォレンジックは、企業の不正調査を行い、対処をサポートする業務です。
フォレンジックの調査内容は様々であり、FASが担当する業務は、会計不正調査が多い傾向にあります。
フォレンジックでは、財務関連の専門知識やIT技術など、幅広いスキルや経験が必要であり、チームで業務を行うケースが多いです。
会計不正の調査を行うフォレンジックは、次第に需要が高まっています。
2.FASの転職事情
中途採用にて、FASへの転職を検討している方もいるでしょう。
FASへ転職する際は、転職事情を把握しておくことをおすすめします。
以下について解説しますので、参考にしてみてください。
- FASの中途採用情報
- 未経験でも転職できる?
(1)FASの中途採用情報
FASは、企業の経営不調やM&Aの増加などが背景としてあり、成長を続けています。
FASの中途採用は、以下で紹介する「BIG4FAS」と「独立系FAS」ともにあり、今後も増加するでしょう。
FASへの転職は、以下のような項目に該当する方が多いです。
- 公認会計士
- USCPAを取得している
- コンサルティングファーム出身
- 金融機関での勤務経験がある
- ファンド出身
- 事業会社の経営企画の経験がある
- 財務の知識がある
とくに、金融機関での業務経験のある人や会計士など、財務・経理などに精通している方の転職が多い傾向にあります。
なお、大手FASでは、数十人の中途採用を行うケースもあるので、転職を検討する場合は継続的な情報収集を行うのがおすすめです。
(2)未経験でも転職できる?
FASへの転職は、業界経験者が有利ではありますが、未経験でも転職することは可能です。
FAS未経験であっても、アピールポイントがあれば、ポテンシャルを評価して採用されるケースがあります。
たとえば、「論理的思考力」や「コミュニケーション能力」をアピールできれば、適性があると評価され、将来の活躍を期待して採用される可能性が高いです。
また、財務関連の知識や会計系の資格を求められることがあるので、必要な資格を身につけておく意識が重要です。
なお、未経験転職の場合、面接での志望動機が非常に重要であり、志望動機から業界への理解度を判断されるケースがあります。
応募企業の魅力と、自分の強みを合わせ、入社後の活躍をアピールすることが大切です。
3.FAS業界の魅力
FAS業界は、給与面や業務内容、スキルアップなど様々な魅力があり、転職先として人気が高まっています。
FAS業界へ転職する際は、あらかじめ特徴を把握し、転職目標を達成できるか検討しましょう。
- 給与水準が高い
- やりがいを感じられる
- 幅広いスキルを身につけられる
FAS業界の主な魅力を詳しく解説します。
(1)給与水準が高い
FAS業務の魅力は、給与水準が高いことです。
FASの30歳程度のBig4FASの年収の目安は、700万円~900万円といわれています。
また、ポジションによっても年収は大きく異なり、以下が目安です。
- アソシエイト:約700万円〜900万円
- シニアアソシエイト:約900万円〜1,400万円
- マネージャー:約1,300万円〜1,800万円
- ディレクター:約1,500万円〜2,000万円
- パートナー:2,000万円を超える
また、中小・独立系FASであっても、30歳前後で600万円以上の年収となるケースが多いです。
キャリアアップすることで、より高年収を実現できるでしょう。
(2)やりがいを感じられる
FASの業務はやりがいがあると感じる方が多いです。
FASはクライアントの経営をサポートし、企業価値を高めることであり、培った経験やスキルを活かすことができます。
たとえば、財務関連の知識など、学んだことを業務に活かせるのは、モチベーションアップにつながるでしょう。
また、クライアントの将来に関わる責任ある業務でありますが、「自身の関与により企業が変わることを実感できる」「クライアントから感謝される」など、やりがいを感じられます。
さらに、FASは幅広い業種の案件に携わるので、視野が広がるのが魅力です。
チームで仕事をするケースも多く、様々なスキルや経験を持つ方、経営者などと関わり、刺激を受けられます。
FAS業界では、やりがいのある業務を行えるのがメリットといえるでしょう。
(3)幅広いスキルを身につけられる
FAS業界では、クライアントの経営全般に関与するため業務の幅が広く、様々なスキルを身につけることができます。
たとえば、FASのメインともいえるM&A関連業務では、以下のように幅広い観点から業務を行う必要があります。
- 企業の問題点を抽出する
- クライアントの企業価値を評価する
- コストを抑える方法を検証する
- 顧客のニーズを把握する
- 財務関連の分析を行う…など
FASの業務に携わることで、企業が求めているスキルや経験が身につきます。
将来、転職を検討する際も、FASで身につけたスキルや経験を活かせる場面が多々あるでしょう。
FASで業務を行うことで、転職の際にキャリア選択の幅が増えるのも大きなメリットです。
4.FAS業界で求められるスキル・能力
FAS業界はクライアントの経営に携わる重要な業務が多く、難易度が高いのが事実です。
経営関連の専門知識や論理的思考など、センスを問われるケースもあります。
また、チームの中で業務を行うケースもあるので、主体性やコミュニケーション能力も重要です。
- 経営に関するセンス
- コミュニケーション能力
- リーダーシップを取る力
- 強い精神力
FAS業界で求められるスキル・能力について詳しく解説しますので、参考にしてみてください。
(1)経営に関するセンス
FASは経営状態が難渋している企業の再生をサポートするので、経営的な視点を求められます。
たとえば、「財務会計の知識がある」「経理経験がある」など、企業の経営に関与した経験があると、経営に関するセンスが身についている可能性が高いです。
経営センスは書籍を読むなど表面上では磨くのが難しく、業務経験が重要になるでしょう。
例えば、金融機関や事業会社の経理部門などで業務経験がある場合、経営に携わっていることが多いので、経営のセンスをアピールできます。
また、公認会計士、税理士、日商簿記などの資格がある方も、経営に関するセンスがあると評価されるケースが多いです。
FASへ転職する際は、経営関連の経験やスキル、資格が有利になることを把握しておきましょう。
(2)コミュニケーション能力
FAS業界では、高いコミュニケーション能力を求められます。
FAS業界は、企業の代表者・経営者、金融機関、法律事務所など幅広い人との関わりがあります。
そのような様々なクライアントに、提案や計画を納得してもらえなければ業務が進まないので、説得力のあるコミュニケーションも求められるでしょう。
とくに、コンサルティング業務に携わっていると、高い専門知識や経験をもとにクライアントへ解決策を提示するなどの高いレベルでのコミュニケーション経験があるので、アピールポイントになります。
FASで顧客基盤を獲得するには、高度なコミュニケーション能力を求められることを把握しておきましょう。
(3)リーダーシップを取る力
FASでは、リーダーシップを取る力を求められます。
リーダーシップと一口にいっても、状況やポジションにより求められるスキルは様々です。
以下が例として挙げられます。
- プロジェクトのリーダーを遂行する
- クライアントとのやり取りを主体的に行う
- 会社の経営に携わる
プロジェクト単位のリーダーから会社の経営に関与する高次のポジションなど様々ですが、あらゆる場面でリーダーとしての素質が必要になるでしょう。
また、FASではクライアントとのやり取りや海外の拠点を統括するなど、全体をまとめる力が必要になります。
FASでは、受け身ではなくリーダーとしての意識を持つことが必要であることを把握しておきましょう。
(4)強い精神力
FASへの転職では、強い精神力を求められます。
というのも、FASではクライアントの将来を左右する責任ある業務を行うので、業務内容は非常にハードです。
ときには、クライアントとの間でトラブルになったり、交渉に失敗したりすることもあるでしょう。
また、クライアントの予定に合わせるなど、長時間労働や時間外労働が発生するケースもあります。
なお、FAS業界でキャリアアップするには年数がかかるので、5年以上経過しないと昇級できないこともあるでしょう。
FAS業界では、思うようにプロジェクトが進まないなどの悩みが生じても、根気よく提案や交渉を続ける精神力を求められます。
5.未経験からFAS業界に転職するためのポイント
FAS業界は転職先として人気なので、転職の難易度が高くなっています。
とくに、未経験からの転職では、実績やスキルのある業界経験者がライバルになるので、ポイントを押さえておく必要があります。
また、FAS業界の業務内容や働き方など、情報収集をしておくことが、失敗を防ぐために重要です。
- 業務内容を理解しておく
- 求められる知識・スキルを身につける
- 経営関連のニュースに関心を持つ
- 転職エージェントを利用する
未経験からFAS業界に転職するためのポイントについて解説します。
(1)業務内容を理解しておく
FASへ未経験転職する場合は、業務内容を理解しておくことが大切です。
というのも、FASはクライアントの将来に関わる業務を行うので、高い専門性やスキル、経験を求められます。
また、クライアントとのやり取りになるので、プライベートが犠牲になるなど、ハードに感じるケースもあるでしょう。
業務内容を理解せずに転職すると、「仕事についていけない」「体力的にきつい」などの失敗につながります。
FASへ転職する際は、入社後どのような業務を行うのか、最低限必要なスキルは何かなど、あらかじめ企業研究をしておきましょう。
(2)求められる知識・スキルを身につける
FASへ有利に転職するには、求められる知識・スキルやコンサル経験などを身につけることが大切です。
FASは、主に会計・財務関連の業務に携わるので、業界未経験の場合でも、日商簿記検定3級もしくは2級を取得するなど、あらかじめ基礎知識をつけておくのがおすすめです。
また、コンサルティングもメインの業務になるので、コンサル経験があると有利になるでしょう。
入社後は業務内容をおぼえることや業務をこなすことに精一杯で学習時間をとれない可能性があるので、あらかじめ必要な基礎知識をつけておくことが大切です。
なお、業界について把握しておくと入社後に役立つので、M&Aや会計、バリュエーション関連の書籍を読んでおくのも良いでしょう。
(3)経営関連のニュースに関心を持つ
FASへ転職するのであれば、経営関連のニュースに関心を持っておくことをおすすめします。
とくに、以下のようなテーマに関しては、敏感になりましょう。
- M&A関連ニュース
- 経営破綻
- 企業再生
これらのテーマにはFASの業務が関連しているケースが多く、面接でも問われやすいでしょう。
経営関連のニュースを把握しておき、自分の考えをしっかり述べることができれば、入社後の活躍を期待され有利になる可能性が高いです。
経営関連のニュースは、新聞やインターネットなどから確認できるので、面接対策として自分なりに考えてみましょう。
(4)転職エージェントを利用する
未経験からFAS業界へ転職するには、転職エージェントを利用することをおすすめします。
FASの業務内容は幅広いので業界未経験では想像しにくく、情報収集が不十分な場合、転職先のミスマッチにつながるでしょう。
転職エージェントを利用すれば、求人探しや情報収集など幅広くサポートしてもらえるので、自分に合う転職先を見つけやすくなります。
また、FAS業界は金融機関や事業会社など、経営関連の経験のある方がライバルになるので転職難易度が高いです。
転職エージェントは求人探しのみならず、選考対策もサポートしてくれるので、強い味方になります。
なお、転職エージェントには得意とする分野があるので、専門としたい領域に合わせ、利用するサービスを選ぶことが大切です。
6.FAS業界の企業例
FAS業界には、以下に大別できます。
- Big4FAS
- 独立系FAS
それぞれにの企業例について解説しますので、参考にしてみてください。
(1)Big4FAS
FAS業界のメインは、「Big4FAS」と言われる4大会計事務所に属する以下のFASを指します。
- KPMG FAS
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング
- デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー
- PwCアドバイザリー
それぞれについて詳しくご紹介します。
#1:KPMG FAS
設立 | 2001年 |
資本金 | 非公開 |
人員数 | 非公開 |
主事務所所在地 | 東京都千代田区大手町1丁目9番5号大手町フィナンシャルシティ ノースタワー |
平均年収 | 約1,200万円 |
公式HP | https://home.kpmg/jp/ja/home/about/fas.html |
KPMG FASは、Big4の1つのKPMGインターナショナルのメンバーファームです。
戦略立案のみならず、最終段階のPMIまでを徹底的にサポートするので、クライアントの信頼も厚く、顧客基盤を確立しています。
クライアントの経営再建に関与するので大きなプロジェクトも多く、平均年収約1,200万円と、Big4の中でも高めの傾向です。
とくに、M&Aに強みがあり、「日本M&Aレビューファイナンシャルアドバイザー 2021年」にて日本でのM&Aアドバイザリーランキングにランクインするなど、実績を残しています。
M&Aアドバイザリー業務がメインではありますが、その他、経営戦略や事業再生など幅広いサービスを展開している企業です。
中途採用における年収やポジションに関しては、実務経験や実績を考慮されます。
幅広い業務を経験でき、スキルアップにもつながることから、転職先として人気です。
#2:EYストラテジー・アンド・コンサルティング
設立 | 2020年 |
資本金 | 4億5,000万円 |
主事務所所在地 | 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワー |
平均年収 | 約1,000~1,200万円 |
公式HP | https://www.ey.com/ja_jp |
EYストラテジー・アンド・コンサルティングはEY(アーンスト・アンド・ヤング)のメンバーファームです。
国内のみならず、世界150カ国以上にメンバーを保有しており、グローバル規模でプロジェクトを展開しています。
海外進出を検討している企業からも需要があり、グローバル規模での実績やノウハウをもとに経営をサポートしているのがポイントです。
大規模案件も多く、平均年収は1,000万円以上と高めの水準となっています。
中途採用では、コンサル会社出身者など、スキルや実績のある優秀な人財が多いので刺激を受けられるでしょう。
部門やユニットに分けて中途採用を行っており、専門分野を高めたい方におすすめです。
#3:デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー
設立 | 2001年 |
資本金 | 約3億円 |
主事務所所在地 | 東京都千代田区丸の内3-2-3 丸の内二重橋ビルディング |
平均年収 | 約1,000~1,100万円 |
公式HP | https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/dtfa/deloitte-tohmatsu-financial-advisory.html |
デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーは、デロイトの日本のメンバーファームです。
事業内容は、M&Aアドバイザリーをはじめ、企業再生や企業不正対応など多岐にわたり、クライアントの経営再建をサポートしています。
経営戦略の立案や実行はもちろん、既存顧客の維持やサービスの質の維持など、守りの企業戦略もサポートしているのが特徴です。
その他のBig4と同水準の平均年収1,000万円以上と高水準となっています。
中途採用では、国際会計資格、金融関連の知識があると、転職で有利にです。
#4:PwCアドバイザリー
設立 | 1999年6月15日 ※2016年2月29日組織変更 |
資本金 | 非公開 |
主事務所所在地 | 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング |
平均年収 | 約900~1,000万円 |
公式HP | https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/deal-advisory.html |
PwCアドバイザリーは、グローバル規模で業務展開しているPwCグループのメンバーファームです。
主な事業内容はM&Aや事業再生であり、クライアントの経営サポートを行っています。
また、グローバルネットワークを駆使し、経営戦略から実行までを総合的にサポートしているのがポイントです。
社長は女性であり、女性が働きやすい職場作りにもこだわっており、仕事とプライベートを両立しやすい環境と言われています。
平均年収は約1,000万円とその他のBig4と同程度の水準であり、年収アップを実現したい方からも注目されている企業です。
(2)独立系FAS
独立系FASとは、4大会計事務所であるBig4に属さないファームです。
少数精鋭体制で運営しているファームが多く、業務内容は特定の領域に特化している傾向にあります。
以下の、代表的な独立系FASについてご紹介しますので、参考にしてみてください。
- GCA FAS
- フロンティアマネジメント
- 山田コンサルティンググループ
#1:GCA FAS
設立 | 2004年4月 |
資本金 | 非公開 |
主事務所所在地 | 東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス丸の内30階 |
平均年収 | 約2,000万円~ |
公式HP | https://www.gcaglobal.co.jp/ |
GCA FASは、日本で設立された独立型のファームであり、監査法人系列に属さないので、業務上の制約を受けずにサービスを提供できるのがポイントです。
戦略立案やデューデリジェンス、バリュエーション、ポストマージャーインテグレーション(PMI)など、M&A関連業務を中心にサービスを展開しています。
中途採用でも優秀な人財を確保しており、上場企業のクライアントなど確立した顧客基盤があるのが特徴です。
資金力もあり、平均年収2,000万円以上と非常に高水準となっています。
#2:フロンティアマネジメント
設立 | 2007年1月 |
資本金 | 1億6,300万円 |
主事務所所在地 | 東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー41階 |
平均年収 | 約1,200~1,400万円 |
公式HP | https://www.frontier-mgmt.com/ |
フロンティアマネジメントは、会計、金融など専門分野に特化して経営サポートを行っています。
各分野の専門知識や経験を持つ人財が揃っており、刺激を受けられる環境です。
中途採用も多く、実力主義の傾向にあり、自分の成績次第で早い段階からキャリアアップできるのでモチベーションが上がるでしょう。
幅広い分野に高いレベルで対応できクライアントからの需要が高く、9割以上の都道府県で取り引きを行っています。
年収も約1,200万円とBig4系と同水準で高いのがポイントです。
#3:山田コンサルティンググループ
設立 | 1989年7月 |
資本金 | 15億9,953万円 |
主事務所所在地 | 東京都千代田区丸の内1丁目8番1号 丸の内トラストタワーN館10階 |
平均年収 | 約800万円 |
公式HP | https://www.yamada-cg.co.jp/ |
山田コンサルティンググループは、金融機関出身者や会計士などをメインとして設立されました。
クライアントの事業再生をメインに業務展開しているコンサルファームです。
歴史のある企業であり、長年培った経営のノウハウを駆使し、クライントの事業継承や事業再生などをサポートしています。
実力主義の面があり、中途採用や若手であっても実力次第でキャリアアップできる環境です。
平均年収約800万円で働きやすい環境も整っていることから、転職先として人気があります。
7.FAS転職後のキャリアプラン
FASへ転職した後のキャリアプランは2つです。
1.FAS内で昇進
2.FASからの転職
FAS内での昇進はどのようなルートを辿るのか、また、FASから転職する先にはどのような会社があるのか、具体的に見ていきましょう。
(1)FAS内で昇進
FAS内には主に4つの役職があり、入社年数や能力に応じて昇進していきます。
1.アナリスト
2.コンサルタント
3.マネージャー
4.パートナー
具体的にどのような業務を担当するのか、ご説明します。
なお、ファームによってアナリストであってもジュニアアナリストやシニアアナリストなど細分化されている場合もありますので、役職についてはこの限りではありません。
#1:アナリスト
アナリストは、新卒や第二新卒など業界未経験の若い年代の方たちに用意されるスタートポジションです。
情報収集やデータ分析、それらを元にした資料作成が主な仕事となります。
ファームによって前後しますが、年収は約500万円〜700万円です。
アナリストとして一般的には2〜3年経験を積んだあと、コンサルタントへ昇進します。
#2:コンサルタント
アナリストから昇進した人に加え、社会人経験5年以上の人が未経験で転職した場合につくポジションとして多いのがコンサルタントです。
プロジェクトの実行役としてアナリストへどのような情報を集めるのか、誰にインタビューを行うのかの指示を出したり、作り上げた仮説の検証作業などを行ったりが主な業務内容となります。
20代半ばから30代前半の年代が多く、年収は700万円から多いところでは1,000万円近くです。
コンサルタントとしての能力を評価されれば2年程度でマネージャーに昇進することもありますが、一般的には昇進は3〜4年かかることが多いでしょう。
#3:マネージャー
プロジェクトの責任者として任される役職がマネージャーです。
ファーム内の動きを管理するだけではなく、クライアントとの交渉や予算管理までを任されます。
若い人であれば20代後半でマネージャーに昇格することもありますが、多くは30代半ばから40代前後で昇進となる場合が多いようです。
年収も平均的に1,000万円を超えている一方で、ファームによっては一定以上の売上を求められることもあります。
#4:パートナー
FAS内でのコンサルタントとしての最高職位、パートナーです。
今までご紹介した役職と大きく違う点として、パートナーはコンサルタントでありながらファームの共同経営者であることが挙げられます。
他の経営者と共同してファームを運営する責任を負い、ファームが儲かればその利益の一部を受け取ることができるなど、経営者としての側面も存在するポジションです。
コンサル経験を10年ほど積んだ人の中でも限られた人のみ就くことができ、年齢も30代後半以上が多く、その年収は2,000万円を超えることも珍しくありません。
(2)FASからの転職
FAS転職後のもう1つのキャリアプランは、FASから他の会社へ転職するというものです。
1.同業他社
2.コンサルティングファーム
3.投資銀行
4.ファンド
5.事業会社のM&A推進部門、経営企画・経営戦略部門など
代表的な企業をご紹介します。
#1:同業他社
勤めているところから違うFASへの転職です。
より大きな案件・大きな会社で仕事をしたいという人は、会社自体がブランド力を持っており、世界中にメンバーファームを持つBIG4系のFASを目指してみるのも良いでしょう。
また、会社の規模はそれほどでもクライアントの距離の近いところで仕事がしたいという人は、中小の独立系FASへ転職するのがおすすめです。
FASと一口に言っても色々な企業があるので、自分の希望に合った所を探してみてください。
転職先としておすすめの企業は以下の通りです。
・PwCアドバイザリー
・KPMG FAS
・山田コンサルティンググループ
など
#2:コンサルティングファーム
FASと同様にアドバイザリー業務を行うコンサルティングファームへの転職する人も多いです。
コンサルティングファームは、FASにおいて大きな割合を占めるM&Aアドバイザリー業務をはじめとしてクライアントの抱える多種多様の問題に幅広く対応する企業です。
コンサルティングファームの採用基準は高く、公認会計士が監査法人の経験だけで採用されるケースは少ないため、FASでの経験は転職の大きな武器になることでしょう。
転職先としておすすめのコンサルティングファームは以下の通りです。
#3:投資銀行
FASから投資銀行へ転職する例は多くはありませんが、投資銀行ではFASで培った財務分析と会計知識が活かせます。
財務諸表の分析経験があるFASの出身者は、投資銀行のM&Aアドバイザリー部門としての即戦力になりえるのです。
基本的な業務は変わらず、FASよりも大規模なプロジェクトを扱える傾向にある財務諸表を分析可能な投資銀行は、FASの転職先としておすすめだと言えるでしょう。
転職先としておすすめの投資銀行は以下の通りです。
#4:PEファンド
PEファンドとは事業会社や金融機関の未公開株を取得し、その企業の経営に深く関与して企業価値を高めたあとに株を売却する投資ファンドのことを指します。
PEファンドの業務であるM&Aのプロセスの理解が深いFAS業界出身者は優遇される傾向があります。
またFAS業界出身の公認会計士の場合は、会計税務の基礎知識があることが評価されるポイントです。
転職市場においてFAS出身者は、PEファンド内で会計・税務を考慮した買収スキームを作り上げることなどが期待されます。
転職先としておすすめのPEファンドは以下の通りです。
#5:事業会社のM&A推進部門、経営企画・経営戦略部門など
FASを経験した後、事業会社でFASで得たスキルを活かせる部門への転職を果たす方も多くいます。
FAS経験者の専門性を活かして財務の責任者などの高いポジションにつくことできるでしょう。
激務も予想されるFASに比べてワークライフバランスが取りやすい点もメリットの1つです。
転職先としておすすめの事業会社は以下となります。
8.FASで身につくスキル
FASで仕事をしている際に身につくスキルをまとめました。
1.M&Aに関する知識
2.経営センス
3.コミュニケーション能力
4.グローバルな感覚・英語力
FASからの転職を考える場合、これらのスキルはアピールポイントになります。
順に見ていきましょう。
(1)M&Aに関する知識
FASの主な業務内容はM&Aを行う企業へのアドバイスとなるため、通常業務をこなしていれば、M&Aに関する基本的な知識が身につきます。
M&Aの知識は同業他社への転職はもちろん、コンサルティングファームへの転職に有効です。
M&Aを行うにあたり基本的な会計知識や財務知識も欠かせないため、事業会社への転職にも役立ちます。
履歴書や面接時に実際にM&Aで培ったリアルな知識を持っているため即戦力として使えるなどのようにアピールすると良いでしょう。
(2)経営センス
FASでは会計処理のアドバイスをするだけでなく、M&A全体のプロセスであるディールもアドバイスするため経営のセンスや財務における高度な知識を業務の中で身に着けることができます。
センスは学びでなく経験の中で得るもののため、経営センスがあることは価値があると捉えられるでしょう。
履歴書や面接時に経営センスがあることを伝えることで、転職した先で経営者の考えを理解し、目標に向かって業務を行えるというアピールに繋がります。
(3)コミュニケーション能力
FASでの業務は説得力を持ってロジカルに話を展開できるか、協業する方々との連携がスムーズに取れるか、高いレベルで交渉能力を発揮出来るかなど、高いコミュニケーションスキルが要求されます。
FASではクライアントのみならず、投資銀行、法律事務所、戦略系コンサルティングファームなどモチベーションの非常に高い方々とのやり取りをする必要があり、業務の中で高いコミュニケーション能力が身につきます。
コミュニケーション能力は、どこに転職して誰と仕事をしようにも必要なスキルと言えます。
こちらも履歴書や面接時には、日々の業務の中で身につけたコミュニケーション能力でクライアントの支えになりたいというようにアピールすると良いでしょう。
(4)グローバルな感覚・英語力
各業界の傾向として全体的にクロスボーダーの案件が増えているため、FASで業務をこなしているうちに語学力に加えてグローバルな感覚を身に着けることができます。
企業の展開として海外への進出を考えている会社はFAS以外にも多くあるため、これらの能力を持つ社会人は転職市場において価値が高くなる傾向にあります。
これからの社会の中で仕事をする上でとても重要なスキルとなりますので、FASで仕事をしながら身につけていけば、多くの企業に求められる存在になるでしょう。
まとめ
未経験者でもFAS業界への転職は可能です。
とくに、20代もしくは30代前半であれば、ポテンシャル採用されやすいので、未経験でも十分内定を獲得できる可能性があります。
ただし、FASへの転職は難易度が高いので、経営に関するセンスやコミュニケーション能力など、自己アピールすることが大切です。
なお、FASへ転職する際は、転職事情や転職のポイントなどを把握し、入念な対策をしておきましょう。
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