【金融営業への転職】金融営業の概要と転職動向、身につくスキルを解説
「金融営業ってどんな仕事?」
「金融営業への未経験からの転職って難しいの?」
様々な営業職の中でも、取り扱う商材が”お金”である金融営業は最も難易度の高い営業職の1つと言われています。
その分、ビジネスパーソンとしての成長機会も多く、様々なスキルも身につくことから、キャリアを考えて金融営業への転職を考える人も増えています。
そこでここでは、金融営業について、転職動向や金融営業で身につくスキル、金融営業からのネクストキャリア等について解説します。
現在、売り手市場と言われる金融業界の営業職に興味のある人は必見です。
1.金融営業とは?
まず、金融営業について、仕事の種類や平均年収について解説します。
- 金融営業とは
- 金融営業の平均年収
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)金融営業とは
金融営業とは、お金に関する商品(金融商品)を取り扱い、顧客へ提案する仕事です。
銀行や証券会社、保険会社など、金融会社や取り扱っている金融サービス、取引相手が個人か法人かによっても仕事内容は異なりますが、どの仕事でもお金を取り扱うことになるため、高い倫理観と専門知識が求められます。
- 銀行
- 証券会社
- 保険会社
- その他の金融関連会社(リース会社、信販・クレジット会社、不動産金融会社) など
(2)金融営業の平均年収
次に、金融営業の平均年収を見てみましょう。
業界 | 平均年収(推定) |
銀行(銀行・労金・信金・信組) | 448万円 |
証券会社 | 535万円 |
保険会社(生命保険・損害保険) | 438万円 |
リテール営業では415.8万円、法人営業では507.9万円となっており、取り扱う商材の金額や規模が大きくなる法人営業のほうが、平均年収は高くなります。
また、上記の年収はあくまで「平均」であり、成果報酬によるプラスαによって1,000万円の大台を超える年収を得ているという優秀な金融営業職の人も少なくありません。
さらに、他業界と比べると金融業界は福利厚生が充実しているため、安心して働けるというメリットも魅力といえるでしょう。
2.金融営業への転職動向
金融営業への転職動向について解説します。
- 金融営業職の転職状況
- 未経験からでも転職は可能?
金融業界は年収が高く安定しているイメージがあることから、転職を考える人も多いです。
また、金融営業で獲得したスキルや経験は幅広い業界で活かせるため、自分の今後のキャリアを考えて金融営業を選ぶ人も少なくありません。
次に1つずつ解説していきます。
(1)金融営業職の転職動向
金融業界では、バブル時代の大量採用で入社した年齢層が定年退職を迎えはじめるタイミングであることから、人材採用を強化する動きが急速に進んでいるといわれており、転職希望者に有利な売り手市場となっています。
新卒採用だけでなく、即戦力性を期待して、第二新卒やある程度の他の業種・職種で社会経験を積んだ人の中途採用を増やすところも増えています。
また、個人の資産運用や企業の経営相談、M&Aに関する相談も増えていることから、これらの領域の経験や知識がある営業人材も積極的に採用しているようです。
(2)未経験からでも転職は可能?
金融営業は金融商品というお金に関する商材を販売する仕事なので、未経験からの転職は難しい印象を持っている方が多いと思いますが、他業界で営業経験のある人材や、事業会社で財務・経理の経験があれば、採用される可能性は高いです。
また、顧客に対して適切な金融商品の提案をするために、他業種での実務経験を高く評価するところも多く、金融以外の世界を知っていることは転職時の大きな武器になります。
今は業界全体で若手採用意欲が高いため、金融営業への転職にチャレンジするならポテンシャル採用されやすい20代のうちに活動を始めましょう。
ポテンシャル採用後のキャッチアップをスムーズにするためにも、一定程度の金融関連の知識や資格は予め習得・取得しておくことが望ましいです。
3.金融営業で身につくスキル
金融営業の仕事で身につくスキルを解説します。
- 金融関連の資格・知識
- コミュニケーション能力
- プレゼン力・セールス力
お金に関する商品を取り扱う金融営業の仕事は、難易度が高い一方、ビジネスパーソンとして大きな武器となる様々なスキルが身につきます。
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)金融関連の資格・知識
1つ目の身につくスキルは、金融関連の資格や知識です。
金融営業の仕事では、業務を遂行する上で様々な金融関連の資格や知識が必要になるシーンも多く、持っていると業務に役立つ資格も多いことから、複数の資格を取得している人も多いです。
業界 | 必須資格 | 持っていると役に立つ資格 |
銀行 | 特になし | 銀行業務検定・日商簿記・ファイナンシャルプランナー技能士(FP)・証券外務員・生命保険・損害保険募集人・銀行業務検定・証券アナリスト・宅地建物取引士・中小企業診断士 など |
証券会社 | 証券外務員 | 証券アナリスト(CMA)・投資診断士・ファイナンシャルプランナー技能士(FP)・DCプランナー(企業年金総合プランナー)など |
保険会社 | 生命保険募集人・損害保険募集人 | ファイナンシャルプランナー技能士(FP)など |
証券を取り扱う上で欠かせない証券外務員、保険を取り扱う上で必要な保険募集人の資格を転職時に保有していなくても、転職時にマイナスとなることはまずありません。
金融業界では、資格取得制度や人材育成制度のある会社も多く、転職後に資格を取得しても十分間に合います。
ただし、資格は、その分野・領域の専門的な知識やスキルがあることを証明する客観的な証拠となり、転職時の評価アップに大きく貢献するものです。
大手銀行や大手証券会社など転職難易度や競争率の高いところを目指しているなら、予め上記の資格を取得しておくことで即戦力性をアピールでき、転職を有利に進めることができます。
入社後のキャッチアップもスムーズになるので、関連資格の取得を目指してチャレンジしておくことをおすすめします。
(2)コミュニケーション能力
2つ目の身につくスキルは、コミュニケーション能力です。
金融業界の営業職では、リテール営業でも法人営業でも顧客との信頼を育むことが欠かせません。
まずは相手の警戒心を取り除き、信頼を勝ち得て初めて金融商品の提案が可能になります。
そのため、金融営業の仕事をしていくうちに、顧客のニーズを把握し、自分から積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築いていくコミュニケーション能力が自然と身につきます。
コミュニケーション能力の高い人材はあらゆる業界で評価が高いので、その後のキャリアを考える際ににも大きなプラスとなることでしょう。
(3)プレゼン力・セールス力
3つ目の身につくスキルは、プレゼン力とセールス力です。
金融営業では、形のない商材(無形商材)を取り扱うことが多いです。
実際に目に見えるものであれば、その良さや性能などを顧客の目の前でわかりやすく説明ができますが、無形商材である金融商品を取り扱う金融営業では、商材を差別化し顧客に分かりやすく説明する力や、その必要性や魅力を効果的にプレゼンする力・セールス力が求められます。
営業自身のプレゼン力・セールス力の高さが営業成績に直結する金融営業では、営業成績を上げるために自然とこれらのスキルが磨かれます。
プレゼン力・セールス力もあらゆる業界で高く評価されるスキルであるため、ネクストキャリアを考える際にも大きな武器となることでしょう。
4.金融営業からのネクストキャリア
金融業の営業職は、ネクストキャリアを考える上でも魅力的な仕事です。
金融営業から転職する場合、同業界へ転職するケースも多いのですが、金融業界で得た経験や知識を活かして全く異なる業界へ転職するケースも珍しくありません。
なかでも金融営業経験者から人気が高いのが以下の4つの業界です。
- M&A仲介
- コンサルティングファーム
- PEファンド
- スタートアップ企業・ベンチャー企業
次に1つずつ見ていきましょう。
(1)M&A仲介
人気のネクストキャリアの1つ目は、M&A仲介です。
日本では、少子高齢化による影響から、後継者不在のオーナー会社を対象とした事業承継のM&Aや、大手上場企業が中堅・中小企業を買収して新たな技術やサービスを取り入れ、成長戦略に乗せてゆく成長支援型M&Aが増えています。
M&A仲介は、中立の立場でスムーズな企業の合併や買収をサポートするのが仕事であり、財務や税務、法務など様々な専門スキルが求められます。
それらと同様に重要視されているのが、オーナー・社長など経営者層への高い営業力やステークホルダーから信頼を得られるコミュニケーション能力です。
金融営業経験者の融資業務や資産運用業務経験に加え、経営者層等への折衝能力やコミュニケーション能力は、M&A仲介でも高く評価されており、積極的に採用している企業も少なくありません。
また、M&A仲介業界は現在の日本において他の業界と比べて圧倒的に高い年収を得られるのも魅力です。
M&A仲介の平均年収は1,300万円(推定)ほどと高水準であるだけでなく、成果主義が徹底していることから、インセンティブによって驚くほどの高年収を得るチャンスも多いです。
能力を活かしてバリバリ働きたいという人のネクストキャリアとして人気が高くなっています。
(2)コンサルティングファーム
2つ目に人気のネクストキャリアは、コンサルティングファームです。
クライアント企業の経営課題の解決に取り組むコンサルティングファームでは、顧客のニーズや問題点を引き出し、解決に導く力が求められます。
金融営業でも、顧客が抱える悩みを引き出してそれを解決できる金融商品を提案する力が求められる点から、金融営業の仕事とコンサルティングファームの仕事は親和性が高いといえるでしょう。
特に、企業の経営者層と接することの多い金融営業の法人営業で身につけた経営に関する知識や、コミュニケーション能力、判断力などは、コンサルティング業界でも十分に通用することから、ネクストキャリアとしてコンサルを目指す人も少なくありません。
また、コンサル業界も、M&A仲介と同じく、成果主義で、年齢や社歴関係なしに成果を出せばその分昇級・昇給で応えてくれるため、モチベーション高く働けるところも人気が高くなっています。
さらに、コンサルの職歴は、転職市場でも高評価であるため、キャリアの幅をさらに広げたい人にも人気です。
(3)PEファンド
3つ目に人気のネクストキャリアは、PEファンドです。
PEファンドは複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金を未上場企業に投資し、経営支援など経営に関与することで企業価値を高め、IPOやM&Aによって利益を得ることを目的としたファンドです。
金融業の法人営業の経験は案件のソーシングのフェーズで、金融・財務の知識は投資検討から投資実行のフェーズで、高いコミュニケーション能力は投資実行後のフェーズで大いに役立ちます。
PEファンドでは金融営業で得た知識やスキルをもとに、当事者として投資先企業の経営に携わることができ、経営に関する高い視座を身につけることができることから、経営に興味のある金融営業経験者からの人気が高くなっています。
PEファンドでは、法務や税務、会計、経営など多岐にわたった専門知識が必要となるため、学習意欲が高い人や成長環境を重視する人にとっては理想的な環境といえるでしょう。
(4)スタートアップ企業・ベンチャー企業
4つ目に人気のネクストキャリアは、スタートアップ企業やベンチャー企業です。
創業から間もないスタートアップ企業やベンチャー企業は、急激な企業の成長や拡大に合わせて十分な人材をなかなか確保できないところも少なくありません。
特に資金の確保に苦労するところも多いことから、金融や経営に関する知識や経験が豊富な金融営業経験者はスタートアップ企業やベンチャー企業から人気が高く、高ポジションで迎え入れられるケースも多いです。
上記の3つの業界と比べると年収面では劣ることも多いですが、重要なポジションで成長過程の企業の経営にしっかり携われることができる仕事に大きなやりがいを感じられることが魅力です。
もっと幅広い業務に関わりたい、チャレンジングな環境で自分の力を試したいという人から人気となっています。
まとめ
金融営業への転職について、転職動向や金融営業の仕事で身につくスキル、金融営業からのネクストキャリアなどについて解説しました。
金融営業は、金融商品という営業職の中でも難易度の高い商材を取り扱う仕事です。
ノルマもあり、ハードである点は否めませんが、業務を遂行していくうちに様々なビジネススキルを身につけることができ、ビジネスパーソンとしての成長やその後のキャリアにおいても大きなプラスとなる仕事であるのは間違いないでしょう。
また、金融営業への転職も年齢は若い方が有利であるのは、他の業界・職種と変わりありません。
金融営業への転職を考えているなら、最も市場価値が高く、ポテンシャル採用されやすい20代のうちに今後のキャリアプランを真剣に考えて実行に移すことが重要です。
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