商社からの転職におすすめの業界は?活かすべきスキルやポイントを解説
「現在商社に勤めているが、キャリアアップするとしたらどのような業界がいいのだろう」
「商社で培ったどのようなスキルが転職市場で評価されるのだろう」
このように現在商社に勤めているが、転職を検討し始めて悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
商社は新卒採用市場において常に人気上位を独占する業界であり、入社できるのも選ばれた一握りの人材です。
地頭の良さや強い精神力など高いスキルを必要とする商社で培った力は、適切にアピールすることができればさらなるキャリアアップを目指した転職が可能です。
今回は、商社からの転職におすすめの業界を紹介したうえで、転職に活かすべきスキルや転職時のポイントなどを解説していきます。
新たな場所で自分の可能性を探ってみたいという方は、ぜひ今後の転職先選びの参考にしてください。
1.商社からの転職におすすめの業界
大手総合商社のような日本の商社は、企業の地盤が強固で年収水準も高いことなどから非常に人気の企業です。
しかし一方で、汎用的なビジネススキルは身につくものの専門性を得にくいなど、異業種への転職を考えた際に不利になってしまう面もあります。
そのような中でも、得たスキルや経験を上手に活かしさらなるキャリアアップを実現している人材が、主にどのような業界への転職を成功させているのかを解説します。
年収アップやキャリアアップを目指して商社から転職する場合におすすめの業界は以下の7つです。
- コンサルティングファーム
- 外資系投資銀行
- PEファンド
- M&A仲介会社
- 同業他社
- 大手事業会社
- ベンチャー企業
それでは1つずつ説明していきます。
(1)コンサルティングファーム
コンサルティングファームとは、企業が抱えているさまざまな課題に対し解決策を提案し、その実行・運営をサポートする仕事です。
企業が抱えている問題とは根深く複雑である場合が多いため、地頭の良さや論理的思考力に限らず、顧客から真のニーズを聞き出したり投資を促したりするため強い信頼関係を築く力が必要となります。
商社では業界を問わず、経営層から現場社員レベルに至るさまざまな立場の人々と折衝する機会があるでしょう。
また、若いうちから海外の子会社へ出向して事業経営について学ぶ機会は高い視座で物事を捉えられる経験として非常に貴重です。
こうした商社で培う営業力や交渉力はもちろん、ハードな働き方に対応できる精神力・体力はコンサルティングファームでも活かすことができるでしょう。
(2)外資系投資銀行
就職・転職の難易度が非常に高いと言われる外資系投資銀行も、商社からの転職先として考えられる選択肢の一つです。
商社は基本的に多くの事業を抱えており、子会社や取引先の事業経営に携わることも珍しくありません。
そのため、経営状況の分析や投資、M&Aなどファイナンスに関する知識や経験を得る機会も多いでしょう。
また商社は海外に関連する事業も多いため語学の実践的スキルを有している点も評価ポイントとなり、外資系投資銀行への転職を後押しする要素となり得ます。
(3)PEファンド
PEファンドとは事業会社や金融機関の未公開株を取得し、その企業の経営に深く関与して企業価値を高めたあとに株を売却する投資ファンドです。
地頭の良さや思考力、高度なファイナンスの知識や実務経験などが必要とされますが、成果次第では年収水準を大きく上げられるでしょう。
専門性を問われる非常に難易度の高い職種ですが、公認会計士などの資格を有していると採用確率も高まります。
会社の設立やM&A、事業の運営に携わった経験や成果を具体的に語ることができれば、PEファンドへの転職の可能性も見えてくるでしょう。
(4)M&A仲介会社
M&A仲介会社とは、売り手企業と買い手企業をマッチングさせて売買の実行をサポートする会社です。
M&A仲介会社の多くは利益率の高さや個人の成果が会社の利益に直結する性質などから、個人の成果に応じて高い報酬を得られる仕組みになっています。
商社で突出した営業成績を持っていたり、M&Aの実務に携わった経験がある場合、M&A仲介会社への転職も選択肢の一つとなりうるでしょう。
規模を問わず多くのM&A仲介会社は業務未経験者も中途採用しているため、商社で培った営業力や交渉力に自信がある場合はチャレンジしてみてください。
(5)同業他社
冒頭でも触れたとおり、日本の商社では事業部や部署によっては異業種への転職に活かせる専門的スキルを得にくい場合があります。
したがって、無理に不十分なスキルで違う職種にチャレンジするよりも、商社特有に必要とされる知識や経験を活かして別の商社に転職することも選択肢の一つです。
同業他社であれば、これまでの経歴や実績などもより具体的に評価してくれるため、ポジションアップや年収アップを実現できる可能性も高くなるでしょう。
現在の会社ではなく、別の商社に移って実現したいことやその動機などを納得性を持ってアピールできれば、転職成功への道もぐっと近づきます。
(6)大手事業会社
日本に数多く存在している大手の事業会社の中には、総合商社に匹敵する年収を得られるところもあります。
ただし年収レベルを落とさずに大手事業会社への転職を希望する場合、高いポジションでの採用を目指すことになるでしょう。
メーカーや通信、IT系など事業会社にはさまざまな種類がありますが、商社での仕事で携わっていた分野を選ぶことで、専門性を活かして高いポジションに就ける可能性が高まります。
今までとは違う環境かつ比較的安定した環境で高い給与を得ながら仕事がしたい、という方にはおすすめの選択肢だと言えるでしょう。
(7)ベンチャー企業
商社からの転職先として最後に紹介するのはベンチャー企業です。
日系の商社は規模が大きく歴史が長いことなどもあり、組織の中で自分のやりたいことがなかなかできないと不満を持つ人も少なくありません。
ベンチャー企業では現職の商社ほどの年収や福利厚生を得ることはできないと考えた方がよいですが、経営層に近いところで自由に大きな裁量を持って仕事ができるというメリットがあります。
事業経営や運営の知識などを活かして経営に携わり、将来的に事業を成長させられれば際限なく年収アップも可能なので、リスクをとってでもチャレンジしたいという方におすすめの転職先です。
2.商社からの転職に活かせる経験・スキル
商社からの転職におすすめの業界を7つご紹介しましたが、続いて商社からの転職を成功させるためにアピールすべき経験やスキルについて解説していきます。
- 営業力・交渉力
- 会計・ファイナンスの知識
- 語学力
- 肉体・精神的タフネス
それでは1つずつ説明していきます。
(1)営業力・交渉力
商社は扱う事業が多岐に渡っていて営業の業務がメインという点から、専門性を身につけにくい場所ではありますが、その反面業務内で身に付けた営業力や交渉力は着実に培えます。
取引先や顧客の経営者層から現場社員までのさまざまな立場の人との折衝経験は、どのような職種においても活かすことができるでしょう。
また相手と同じ目線に立って話ができるコミュニケーション能力、利害関係の異なる人との信頼関係構築力なども転職市場では大きなアピールポイントとなります。
社内での受賞歴や実際に生み出した成果などを定量的に示すことができれば、転職先での活躍を具体的にイメージしてもらいやすいでしょう。
(2)会計・ファイナンスの知識
商社では事業の立ち上げや運営を担うことが多く、財務・会計などのファイナンスの知識を培うチャンスがあります。
ファイナンスの知識や経験はいかなる業種でも重宝され、また高い視座を持って仕事ができるという証明になります。
もし投資銀行やM&A仲介会社など、より高度なファイナンス知識が必要な職種に就きたいと考えている場合は、公認会計士や米国公認会計士(USCPA)などの国家資格を得ているとより評価されやすいでしょう。
目指す企業や職種にどのレベルの知識が求められるかを知りたい場合は、業界に詳しい転職エージェントに確認してみましょう。
(3)語学力
商社では海外の事業に投資をしたり運営をしたりと、ビジネスレベルでの語学スキルを使用する場面が多くあります。
そのため、英語や中国語、スペイン語などの語学力を一定以上有していることも転職の際には評価につながるでしょう。
特に外資系企業や海外スタッフや拠点の多い大手企業では、すでに語学の実践的スキルを持った人材は重宝されます。
語学力だけではなく、異文化を持つ人とのコミュニケーションスキルや折衝経験なども併せてアピールできるとなおよいでしょう。
(4)肉体・精神的タフネス
よく知られているとおり、商社での仕事は度重なる出張や多くの人との付き合いなども含めて、労働時間は長く精神的にも肉体的にもタフさが求められます。
大きなプレッシャーの中で長い時間集中力を保ち、高いパフォーマンスを維持し続けられる力は、特にハイクラスの転職においては重要視されるでしょう。
キャリアアップや年収アップを目指す場合は、必然的に責任の重い仕事や役職を担っていくことが前提となります。
困難な状況の中でも投げ出さず、どんな工夫を凝らして乗り切ったのかなどを具体的に話せるようにしておくとよいでしょう。
3.商社からの転職におけるポイント
では最後に、商社から転職を目指す場合に気をつけたいポイントを3つ紹介します。
- 転職市場における価値はイメージよりも低い
- 昇格・在籍による昇給とのバランスを考える
- 転職エージェントを通し情報収集を行う
それでは1つずつ説明していきます。
(1)転職市場における価値はイメージよりも低い
商社は新卒採用においてとても人気が高く入社の難易度も高い企業ですが、実は転職市場における価値はイメージよりも低いことを理解しておきましょう。
その理由としては、専門分野の営業に特化した汎用スキルは身につけられるものの、他業界や他職種で活かせる専門知識を身につける機会が少ないためです。
配属される事業部や部署にもよるため一概に言うことはできませんが、非常にニッチな分野で営業を数十年続けた人材はその企業・分野でしか評価されなくなってしまいます。
したがって仕事で携わった分野や自分の得意分野において資格を取得する、積極的に専門的知識が身につけられるような業務に関わるなど、日頃から転職を意識した行動をとっておくとよいでしょう。
(2)昇格・在籍による昇給とのバランスを考える
次に注意しておきたいポイントとして、昇格・在籍による昇級とのバランスを考えて転職を検討する、という点があげられます。
年収アップやキャリアアップを目指す場合、無理に転職をするよりもそのまま商社で経験と知識を磨き続けた方が生涯賃金は多いということも十分考えられるのです。
それは、特に日本の有名な総合商社であれば地盤が非常に安定しており、かつ昇格・在籍年数によってより高い年収を得られる可能性が高いためです。
転職を検討する前に、自分が仕事において何を優先したいかをしっかり考え後悔のない選択をしましょう。
(3)転職エージェントを通し情報収集を行う
上記で述べた2つの注意ポイントをしっかり理解しておくためにも、業界に特化した転職エージェントを通して情報収集を徹底することを強くおすすめします。
なぜなら「商社出身」と一言で言っても、実際に携わってきた業務や有しているスキルは人によって異なるためです。
あなたならどんな会社が向いているのか、どのくらい転職市場で評価されるのかということは、実際に蓋を開けてみなければわからないのです。
また業界の構図やビジネスのトレンドが日々更新されていく中で、今どこでどのような人材が求められているかということも、個人のリサーチでは計り知れないものがあるでしょう。
転職市場のプロである転職エージェントは、日々企業の担当者と直接やりとりをして、リアルで具体的な情報を仕入れています。
利用料は無料であることが多いため、転職活動の第一歩として一度気軽に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
今回は商社からの転職先としておすすめの業界を7つ紹介するとともに、転職時の注意ポイントなどを併せて解説してきました。
商社で活躍する人材は営業力やコミュニケーション能力に特に優れており、汎用的なビジネススキルに長けていると言えます。
一方で専門性が薄く一部の業界では評価されにくいという実情もあり、確実に転職を成功させるためには日頃のリサーチや努力が必須です。
自分には転職が可能なのか、または転職すべきかどうかを迷っている方は、ぜひまず転職エージェントに相談してみるとよいでしょう。
転職する・しないに関わらず、後悔のない選択ができるよう情報収集をしてください。
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