転職希望者に大人気!FAS業界の解説や年収、転職市場の動向を紹介
「転職市場でも人気のFAS業界ってどんなものなのだろう」
「FASの年収や、転職市場の現状はどうなっているのだろう」
会社や社会の未来につながるM&A市場は常に右肩上がりの成長を続けています。
それを受けてM&Aをメインで取り扱うFASへの転職を希望する人も増加、転職市場もさらに活況となっています。
そこでここでは転職者に人気の高いFAS業界について、Big4系・独立系の解説や平均年収、そして転職市場の最新動向や転職時に求められるスキル等について説明します。
この記事を読めばFAS業界への転職意欲もさらに高まるはずです。
1.FAS業界の分類
FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)は、大別して世界的規模で展開するBig4と呼ばれる4大会計事務所グループ系列のFAS、M&Aを専門とする独立系FASの2つに分けられます。
”ファイナンシャル”とある通り、FASは企業の財務関連に対してアドバイザリーやコンサルティングを行うのですが、同じFASでもこの2つはバックグラウンドの違いからそれぞれ得意分野や特徴が異なってきます。
さらに、外資系・日経投資銀行、戦略系コンサルティングファームなどでもFASを行っているところもありますが、まずはこれらの分類や違いについて解説します。
- Big4系FAS
- 独立系FAS
- 類似業界との違い
次に、1つずつ解説していきます。
(1)Big4系FAS
Big4系FASは、Big4と呼ばれる4つの大手会計事務所のグループ内でFAS専門ファームとして独立したものです。
FASは高いブランド力を持つBig4系FASは、世界中に様々なメンバーファームを抱えており、監査・コンサルティング・TAX等のグループのネットワークを迅速かつ幅広く活用できるのが最大の強みです。
さらに、各サービス領域・クライアント業界ごとの組織を形成し、高い専門性と業界ナレッジ、そして豊富な実績があるのもBig4系のFASならではの強みです。
上記から大規模案件・クロスボーダー案件を手掛けることも多い上に、取り扱っている案件数や売上等も大きいため、FAS業界トップの座に君臨するFASといっても過言ではありません。
(2)独立系FAS
独立系FASは、どの資本系列にも属していないFASです。
企業自体の規模・従業員数はBig4系には及びませんが、業種・規模を問わず様々な案件に関わることができるというのが最大のメリットです。
また、独立系FASはFASの主な業務である「M&Aアドバイザリー」「企業・事業再生」「フォレンジック」「経営戦略・高度化」4つのどれかに特化する戦略を採っているところも多いです。
規模は小さいながらも専門性に特化した高品質なサービスで売上を拡大している独立系FASも少なくありません。
そのため、志望分野や得意分野が明確に決まっているのであれば、Big4系ではなく独立系FASの門を叩くのも転職の際の有効な戦略といえます。
(3)類似業界との違い
次に、FASと類似したサービスを行っている2つの業界との違いを解説します。
- 投資銀行(IBD)
- コンサルティングファーム
似ているので混乱してしまうこともありますが、FASとは異なる点もあるので整理しておきましょう。
#1:投資銀行(IBD)
FASと投資銀行との違いですが、ビジネス内容に関しては大きな違いはありません。
しかし、FASは企業の資金調達に関するキャピタルマーケット業務は行わないため、投資銀行のようなIPOや新株発行・引き受け業務を行えないという特徴があります。
その一方、FASはデューデリジェンスやバリュエーションなどチームを作成してワンストップのサービスを行いますが、投資銀行はあくまでアドバイザリー業務の提供が主体となるという違いもあります。
#2:コンサルティングファーム
FASとコンサルティングファームは、専門性に違いがあります。
FASはM&A支援とコーポレート・ファイナンスに関するサービスなど財務に特化した専門性の高いサービスを提供していますが、コンサルティングファームは財務に限らずクライアント企業のあらゆる問題解決に向けた幅広いアドバイスを行います。
言い換えるなら、FASは財務に関するスペシャリスト、コンサルティングファームは問題を抱える企業をあらゆる視点からサポートするジェネラリストといえるでしょう。
コンサルティングファームやM&A仲介についても詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。
2.FAS業界の平均年収
FASの年収は、Big4系FAS・独立系FASどちらも押しなべて高くなっています。
まず、Big4系FASの平均年収を見てみると、どのFASも1,000万円前後となっています。
企業名 | 年収(推定) |
KPMGフィナンシャルアドバイザリーサービス | 約1,200万円 |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング | 約1,000~1,200万円 |
デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー | 約1,000~1,100万円 |
PwCアドバイザリー | 約900~1,000万円 |
独立系FASも同様に高年収です。
企業名 | 年収(推定) |
GCA FAS | 約2,000万円~ |
フロンティアマネジメント | 約1,200~1,400万円 |
山田コンサルティング | 約800万円 |
Big4系・独立系どちらも全体的に昇給スピードが速く、年収が上がる幅も大きい業界です。
さらに、インセンティブも高額であるため、成果次第では更なる高年収を得ることも夢ではありません。
ちなみに令和2年分の結果では給与所得者の平均年収の433万円と比較しても遥かに高水準です。
業種 | 平均年収(2021年度・全体) |
FAS | 約1,000万円~ |
金融 | 455万円 |
メーカー | 455万円 |
建設/プラント/不動産 | 416万円 |
サービス業 | 366万円 |
業種別にみてみても、FASは一般的な企業の2倍以上の高収入を得られる仕事であることがわかります。
3.FASの転職市場の最新動向
一般企業では得られないほどの高収入が期待できるFASは、転職希望者からも人気が高い仕事です。
- FAS転職市場の動向
- 未経験でもFASへの転職は可能
- FAS転職で求められる知識・スキル・資格
FASへの転職を考えている人には必見の転職市場の情報を紹介します。
(1)FAS転職市場の動向
FAS転職市場は、M&Aの増加を背景に活況が続いています。
かつては大企業を中心として行われてきたM&Aですが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年を除き、後継者問題・経営者の高齢化により中小企業も積極的にM&Aを利用するなど日本でも身近なものになりつつあります。
それを受けてM&Aをメイン業務とするFASも人材を積極的に募集するようになり、業務拡大による人手不足で中途採用を行うFASも増えています。
特にBig4系FASでは採用枠が多く、各社年間20~30人にものぼることがあるため狙い目です。
ちなみに、FASへの転職市場が活況なのは人手不足だけが原因ではありません。
FAS業界への転職において、M&A業務経験やFASで働いた経験がないことは致命的ではないことも転職市場の活況に大きく関係しています。
事実、多くのFASが一般企業や金融業界などで財務会計やコンサルティングのスキルや経験がある人たちを即戦力として積極的に中途採用しています。
その結果、仕事のやりがいや高収入を求めてこの業界への転職を考える人も増え、転職市場でも他の業種以上に人気となっています。
(2)未経験でもFASへの転職は可能
FAS業界はファンナンス関連業務の経験があれば挑戦できる企業も多く、FAS業務未経験でもポテンシャルをみて採用されるケースも多いです。
実際、大手会社や会計事務所、銀行や証券会社や保険会社などでファイナンス業務経験を有する人たちが次々にFASへの転職を成功させ、即戦力として活躍し高収入を得ています。
マストスキルであるファイナンス業務経験があればだれでも挑戦できるのでFASに興味があるなら積極的にチャレンジしてみるべきです。
ただ、ファイナンス業務未経験でFASへの転職を考えている方は、この限りではありません。
まずは一般企業などで財務やコンサルティングなどの経験を数年積んでからFASを目指すことをおすすめします。
(3)FAS転職で求められる資格・スキル・経験
最後に、FASへの転職で求められる資格やスキル、経験について解説します。
- 会計知識
- コミュニケーション能力
- 外国語力
次に1つずつ解説していきます。
#1:会計知識
FASで働く上で絶対に欠かせないのがM&A関連知識として不可欠なファイナンシャルに関連する知識です。
FASが行う業務はM&Aだけではありませんが、どの業務を行うにしても財務・会計に関する専門知識や企業の分析や評価のスキルが求められます。
そのため、企業での経営企画・財務経理経験、法人営業経験などを有していれば、転職の際に高く評価され、FAS業務未経験であっても有利に転職を進めることができます。
また、高く評価される資格としては、公認会計士・USCPA(米国公認会計士)・税理士などがあります。
これらの資格は高い財務・会計知識を持つことを客観的に証明してくれる証拠であるため、資格保有もFAS転職時に大きなアドバンテージとなります。
#2:コミュニケーション能力
FASはクライアントにM&Aアドバイザーとして適格なアドバイスをするのがメインの業務です。
クライアントに寄り添いながら円滑に仕事を進められる高いコミュニケーション能力がなくては、クライアントから信頼されることも仕事に満足してもらうこともできません。
そのため、常にクライアントと協力することが必要であるFASにおいてコミュニケーション能力は財務・会計知識と同レベルで重要な能力です。
転職の際に何度も行われる面接では主にコミュニケーション能力を見るというFASも少なくありません。
特に、独立系FASでは、中小中堅企業の社長、幹部と接する機会が多く、財務等に関する説明の分かりやすさや人当たりなどの人間力も重視されるため、コミュニケーションスキルも高めておきましょう。
#3:外国語力
FASへの転職を考えているなら外国語力も欠かせません。
特にBig4系FASではクロスボーダー案件に多く接するため、英語・中国語など外国語力が高いとポジティブに評価され、優先的に求められることも多いです。
外国語力はマストではありませんが、あるに越したことはないスキルです。
また、グローバル展開するFASで活躍するための外国語力の目安としてTOEIC800点以上といわれていますが、実際に外国語を自由自在に使いこなせなければ意味はありません。
転職市場で人気の高いFASでの採用を勝ち取るために、TOEICの点数アップだけでなく、自由に話せるビジネス英会話力を高めておくことが重要です。
まとめ
M&A支援をメインに行うことが多い財務関連の専門家であるFASは、M&A市場の拡大に伴い転職市場でも人気が高く、人手不足から売り手市場が続いています。
しかも、FASは専門性の高い業務ながら未経験者にも門戸が大きく開かれているので、ファイナンス知識や経験、コンサル経験を生かした仕事で高収入を得たいという人がチャレンジしやすい業界です。
FASへの転職を考えているなら、Big4系・独立系FASそれぞれの強みや特徴を考慮して、自分の能力を最大限生かし高く評価してくれるFASを選びましょう。
先行きの不透明さが増す今の日本でFASへの転職はビジネスパーソンとしての自身の価値を高めるだけでなく、キャリアの可能性を拡げるという点でもきっと良い選択となるはずです。
将来FAS業界への転職を目指し、FASの業界事情や転職成功のコツなど、さらに詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。
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