会計士の転職先にはFASがおすすめ!業務内容や年収、転職時のポイントなどを紹介
「監査法人から転職を考えているが、候補としてFASはどうなのだろう」
「年収や待遇を改善したいが、FASは転職先としてありかを知りたい」
このように、公認会計士の資格を有して監査法人などで働きながら、FASへの転職に興味を持っている方も多いでしょう。
実は会計士の転職先としてFASはおすすめであり、特に年収を上げたい・スキルアップしたいという方に向いているでしょう。
ここでは、会計士の転職先にFASがおすすめな理由や転職後の働き方・待遇、転職を成功させるためのポイントをご紹介します。
公認会計士の資格を活かした転職を考えている場合は、ぜひFASの魅力を知り、候補として検討してみてください。
本記事の前に、FASの業務内容や代表企業など、より詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。
1.会計士の転職先にはFASがおすすめ
まずは、会計士にとってFASがなぜおすすめの転職先と言えるのか、理由を3つご紹介します。
- 資格や前職(監査法人)の経験が評価されやすい
- 年収が上がることが多い
- 仕事の幅が広がり、やりがいや得られるスキルが多い
それでは、詳しく説明していきます。
(1)資格や前職(監査法人)の経験が評価されやすい
公認会計士の資格や、監査法人などで監査業務や財務に関するアドバイスを行った経験は、FASにおいて非常に評価されやすいでしょう。
FASの手掛ける主な業務範囲は、企業がM&Aを行う際の買収先企業の評価から事業の再生など多岐にわたります。
中でも根幹となるサービスは、企業の財務状況を中心としたあらゆる要素を加味しその企業の現状や問題点と改善策を提示することです。
ゆえに財務諸表を読み解く知識や企業を評価した経験があると入社時点で評価されやすく、面接時の年収交渉にも有利かつ高いポジションで採用されやすくなります。
(2)年収が上がることが多い
一般的に、監査法人よりもFASの方が平均年収が高いと言えるでしょう。
Big4系のFASだけに絞ってみると、平均年収はおよそ1,000万円がベースとなっています。
FASが監査法人よりも平均年収が上がる理由としては、以下のとおりです。
- 専門的知識だけでなく、コンサルティングスキルも必要
- 手掛ける業務の幅が広い
- 業務周辺で動く金額が大きい
FASであっても規模や手掛ける領域によっては年収のばらつきもあるため、自分が目指したい企業の年収はどのレベルかを事前に確認しておくとよいでしょう。
(3)仕事の幅が広がり、やりがいや得られるスキルが多い
FASは監査法人や会計士事務所で行う業務に比べて手掛ける範囲や領域が幅広いため、今までに感じ得なかったやりがいやスキルの獲得も可能でしょう。
詳しくは後述しますが、FASは担う業務の幅が広く得意分野を極めることでスペシャリストとしての道も開けます。
監査法人では、会計士としての知識をフルに活かしながらもルーティンワークも多く、モチベーションが下がりがちです。
一方FASでは、従来の知識・経験をベースとしてさらなるスキルや経験値の獲得を目指せるため、やりがいも大いに感じられるでしょう。
2.FASに転職した会計士の働き方
会計士がFASに転職するメリットをお伝えしてきましたが、実際にどのように働くことになるのでしょうか。
ここでは、FASに転職した会計士の働き方をご紹介します。
- 主な業務内容
- FASの年収
- FASの残業時間
- FASで求められるスキル
順に詳しく説明していきます。
(1)主な業務内容
FASの主な業務内容としては、以下のとおりです。
- デューデリジェンス
- バリュエーション
- PMI
- 事業再生・企業再生
- フォレンジック
対象となる企業を財務・法務などの観点から調査するデューデリジェンス、企業の価値を査定するバリュエーション、買収後の企業を統合するPMIは、M&Aに関連する業務です。
事業再生は何らかの理由で事業の継続が困難となった事業のサポート、フォレンジックは企業内の会計面での不正防止・摘発を指します。
これらのどの業務に関しても、まずは財務諸表から企業の状態を正確に読み解く能力が必須となるため、会計士としてのバックグランドは有利となるでしょう。
(2)FASの年収
上述したとおり、FASの年収水準は高くBig4系であれば平均年収1,000万円ほどがベースとなります。
大手監査法人をバックに持たない独立系FASでも、特定の領域に特化して高い専門性を発揮することから、年収2,000万円クラスの企業もあります。
企業の規模や方針によって年収にばらつきはありますが、おおよその職位別の平均年収は以下のとおりです。
アソシエイト:約700~900万円
シニアアソシエイト:約1,000~1,400万円
ディレクター:約1,300~1,800万円
マネージャー:約1,600~2,200万円
パートナー:約2,000万円~
監査法人からFASへ移る場合、一般的には年収アップが見込めるでしょう。
正確かつ大幅に年収を上げたい場合は、中堅から大手またはM&Aに特化した独立系などより規模の大きいまたは専門性の高い企業を選ぶことをおすすめします。
(3)FASの残業時間
FASでの業務はハードと言われるように、一般企業と比べると残業は多い傾向にあります。
基本的にはプロジェクトベースで動くことになるため、プロジェクトの内容が重かったり、複数プロジェクトが重なったりすると残業時間も増えるでしょう。
大手FASであれば、月当たりの残業時間は60時間ほどが平均となります。
しかし、監査法人であっても繁忙期には休日出勤なども含めて業務にあたることが多いため、労働時間についてギャップを感じることは少ないかもしれません。
(4)FASで求められるスキル
FASで求められるスキルとしては、以下のとおりです。
- 財務分析能力
- 論理的思考力
- コミュニケーション能力
- 語学力
- 体力・ストレス耐性
会計士の資格を持ち監査法人などで経験を積んでいる場合、ある程度の財務分析能力や論理的思考力、体力・ストレス耐性は保証されるでしょう。
ただしFASではアドバイザーという立場で仕事をするため、クライアント企業とパートナー的関係を築く必要があります。
人の話によく耳を傾けて深層心理を引き出す力や、海外の会社の査定をするための語学力なども必要となってくるでしょう。
また、FASの代表企業や魅力、キャリアプランなど、より詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。
3.会計士がFASへの転職を成功させるポイント
会計士のFASへの転職はおすすめであるとお伝えしてきましたが、どんな会計士の方も楽にFASへ入社できるとは限りません。
ここでは、会計士がFASへの転職を成功させるポイントを3つご紹介します。
- 得意な領域を明確化する
- 語学力・コミュニケーション能力を磨く
- FAS業界に詳しい転職エージェントに相談する
それでは、詳しく説明していきます。
(1)得意な領域を明確化する
FASでの選考において、公認会計士の資格を持っていることや監査法人での経験があることを述べれば、会計・財務に関するおおよその知識を持ち合わせていることは理解されるでしょう。
したがって、周りの会計士とどう違うのか?を示すためにはさらなる付加価値が必要になります。
そのため、得意な領域を明確化しておくことがおすすめなのです。
例えば、監査法人で監査業務だけではなくデューデリジェンスの経験も積んだ、語学が得意でビジネスで使用した経験があるなど、プラスの価値を提供できればぐんと採用確率もアップするでしょう。
(2)コミュニケーション能力を磨く
コミュニケーション能力とは、論理的な説明で相手を納得させるプレゼン能力だけではなく、相手の話に真摯に耳を傾けて本当の悩みや意図を探る力も含まれます。
そうしたコミュニケーション能力は、一朝一夕で身に付けられるものではありませんが、FASではアドバイザーとしての働きを求められる以上有しておいて損はありません。
監査法人では、あくまでクライアントの内部を徹底的に調査しその結果を評価・報告することが責務であり、どちらかといえば作業に集中する時間が多くなります。
人との折衝や雑談が苦手だという方は、アドバイザーとしての適性があるかどうかを一度見直してみてもよいかもしれません。
(3)FAS業界に詳しい転職エージェントに相談する
FASに転職するにあたって、十分な条件や能力を有している場合でも独力での転職活動はおすすめできません。
転職活動のプロである、転職エージェントを利用するのが良いでしょう。
理由としては、以下のとおりです。
- 一般に公開されない求人に出会える
- 業界や企業の内部事情を事前に知れる
- 入社条件の交渉などが円滑に行える
業界に精通しているプロの転職エージェントは、実際に企業の採用担当者と定期的にコンタクトをとるなどして、内部の者だけが知り得る情報を仕入れています。
また、企業がどんな人材を欲しているかを具体的に把握しているため、あなたが企業にとってどのくらいの価値があるかをしっかり見積もってくれます。
それらの情報や機会に触れないまま転職活動を進めてしまうのは、非常にもったいないと言えるでしょう。
FASへの転職をスムーズに行いたい場合は、総合的に業界を網羅しているサービスよりもFAS業界に特化したサービスの利用がおすすめです。
まとめ
FASへの転職を目指すうえで、会計士としての資格や経験は非常に有効に働くと言えます。
スキルアップしたい、年収を上げたい、やりがいを見出したいという方にFASはぴったりの職業です。
しかししっかりとした企業研究や、自分自身の付加価値のブラッシュアップをせずに選考に臨めば、突破する確率も下がってしまうでしょう。
ぜひ転職活動を始める前に事前の情報収集をしっかりと行い、後悔のない転職をしてくださいね。
FASへの転職に向け、転職事情や転職成功のコツなど、より詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。
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