FASとは?業務内容・特徴を解説!

業界の中でもその企業でなければならない理由を考える

「FASへの転職を検討しているが、具体的に何をするのかわかりにくい」
「会計士・税理士としての経験がFASで活かせるかわからない」

このようにお悩みではないですか?

実は、FASは税理士・会計士のセカンドキャリアにぴったりの職業なんです!

ここでは、FASとはどういう職業なのかについて5つのポイントで紹介します。

この記事を読めば、FASについての予備知識はバッチリです!

また、FAS業界の転職事情、未経験者の転職のコツなど、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2022.05.31

【2023年10月最新】FASへの転職を徹底解説!未経験からFASに転職するためのコツを紹介

1.FASとは何か

FASは、”Financial Advisory Service”の略で、ライアントとなる企業に対して、財務に関する助言を行うことを業務の中心としているコンサルティングファームを指します。

具体的には、M&Aに向けた企業の財政面での戦略を立案することや、企業価値の算定を行い、クライアントに対するアドバイザリーサービスを提供することが主要な業務となります。

以下で詳しく説明しますが、デューデリジェンスやバリュエーション、PMIなどがそれに含まれます。

このように、FASでは、企業に対して財務面、運営面の双方からアドバイザリーを提供しています。

2.FASの業務内容

この章では、FASの業務の中核を担う5つの業務について詳細に説明します。

FASの業務内容

  • デューデリジェンス
  • バリュエーション
  • PMI
  • 事業再生・企業再生
  • フォレンジック

それでは順に詳細を見ていきます。

(1)デューデリジェンス

FASにおけるデューデリジェンスとは、合併および買収の対象となる企業を財務的、法的、その他様々な点から調査することを指します。

これによって、クライアント企業は買収先の企業の潜在リスクを事前に把握することができます。

デューデリジェンス(Due Diligence)は、直訳すると「当然の努力」となり、上に挙げたことは、企業がM&Aを行うにあたって必ず行わなければならないことですので、このような呼び名がつけられています。

FASが特に力を発揮するのは、財務デューデリジェンス・税務デューデリジェンス・事業デューリジェンスの3つです。

FASが取り扱う主要な3つのデューデリジェンス

財務デューデリジェンス

対象企業の資産状況・負債状況を把握し、キャッシュフローや債務状況が適切であるか精査する。これにより、企業に横領・脱税など財務上の不正がないか、想定外の負債を抱えていないかの判断を行う。

・税務デューデリジェンス

企業の税務状況が適正であるかを精査する。

法人税、事業税等が正しく申告されているかを確認し、M&Aの後に想定以上の課税が行われるなどのリスクを回避することが目的となる。

・事業デューデリジェンス

企業のターゲットとなる市場や、その中での対象企業の位置付けなどを分析する。

これによって、企業の事業が成功する可能性や、その収益の見積もりが行われる。

このようなデューデリジェンスによって、クライアントである会社は対象企業の将来的な収益を見積り、その見積もられた収益によって、買収するか否か、買収する場合の金額が決定されます。

(2)バリュエーション

バリュエーション(valuation)は、「企業価値評価」のことで、企業が総合的にどれほどの価値を有しているのかを分析、推計することを指します。

バリュエーションにおいては、理論上正しいとされる企業価値計算の手法のうち、最も適したものを選択し適用します。

企業価値の基準となるのは、現金や有価証券などのすぐに金額換算できる資本だけでなく、取得している商標権や、自社の製品を購入する可能性のある潜在顧客の数など、全てがバリュエーションの対象となります。

これらを総合して、企業の価値を推定し、買収価格交渉の手札とするのがバリュエーションです。

また、M&Aの対象となる企業がバリュエーションを必要とする場合もあります。

自身の企業価値を客観的に把握していないと、実際の企業価値よりも低い、不当な価格で買収されてしまうケースがあります。

そのため、M&Aの際に提示された金額が低いと感じた場合に、買収元の企業を説得する手段として、バリュエーションの結果が用いられます。

このように、不当なM&Aを避けるためにもバリュエーションの結果は用いられます

デューデリジェンスとバリュエーションの違い

デューリジェンスは、企業が想定通りの実態を有しているかを確認するものです。

つまり、企業が想定外のリスク要因を有していないか徹底的に調査するのがデューデリジェンスです。

デューデリジェンスの結果に基づいて、クライアントは対象企業を買収するかしないか、もしくはどのような条件で買収を行うか、といった意思決定を行います。

バリュエーションは、企業が第三者から見てどの程度の価値を有しているかを評価するものです。

つまり、想定外のリスク要因がないとした上で、その企業がどれだけクライアントに収益をもたらすであろうかを推定します。

バリュエーションの結果には、会社全体として買収の合意を得る際に基準として用いられたり、M&Aの価格調整を行う際に客観的な評価として用いられたり、などの用途があります。

(3)PMI

PMI(Post Merger Integration)とは、M&Aが行われた後、買収元と買収先の企業を経営・業務・意識の3段階に分けて統合するプロセスのことを言います。

分割されたプロセスは、対象となる領域によってそれぞれ上位・中位・下位に分類され、上位から順に統合を行うことで少しずつ統合が進むようになっています。

PMIの3つの段階

・経営統合

M&A後の経営戦略を統合する。

2つの企業の経営層に対してそれぞれの経営戦略を比較し、FASのアドバイザリーを参考にどちらを採用するか決定する。

経営統合は、PMIのプロセスの上位に分類される。

・業務統合

M&A後の業務の処理方法を統合する。

M&A元の企業、対象となる企業はもともと異なった業務処理の方法を採用しているため、どちらの業務手法がM&Aの後に優先されるか検討する。

業務統合は、PMIのプロセスの中位に分類される。

・意識統合

従業員に対してM&Aの必要性、意義を理解させ、従業員の意識を統合する。

これには説明する当事者である経営陣の理解が必須であるため、正しく理解させる必要がある。

意識統合は、PMIのプロセスの下位に分類される。

この上位、中位、下位の3つのプロセスを経て、M&Aから得られる収益を最大にすることがPMIの目的です。

FASとしばしば比較される戦略コンサルやIBMと比較した時に、よりPMIに注力しているのがFASの特徴だと言えるでしょう。

M&Aの合意が成立したのちに、PMIが上手く進むことでようやくM&Aの成果を十分にえることができるので、PMIはM&A全体のプロセスの中で最も重要な段階の一つであると言えます。

(4)事業再生・企業再生

コンサルタントの仕事がきついといわれている3つの理由

FASでは企業・事業の運営の見通しが悪くなったり、継続が困難になった場合の再生を支援するサービスを提供しています。

例えば、不正や不祥事などで急に危機的状況になった企業に対しては、その不祥事の対応に加えて、再発防止の仕組みづくりや、FASの強みである財務分析を用いた原因究明などのアドバイザリーを提供しています。

また、経営不振や資金繰りなどに苦しんでいる企業に対しては、新たな資本・経営資源を手に入れることを目的としてM&Aの仲介・アドバイザリーを行うのもFASの取り扱い業務の1つです。

企業が事業撤退を決断したとき、多くの場合は債権者が分散しているため協議が非常に困難であったり、事業先が海外であるために、撤退の手続きがそもそも難しい、など様々な障壁が存在します。

このような場合に、FASでは、事業が撤退するように支援者との協議を行なったり、時には海外事業の現地に赴いたりして、サポートを行います。

このように、財務面・運営面の両方で企業が再生できるようなサポート、アドバイザリーを提供するのがFASの仕事の1つです。

(5)フォレンジック

総合コンサルタント

フォレンジック(Forensics)とは、鑑識を意味する言葉で、FASの業務においては、企業内部での不正の防止・摘発を意味します。

企業の内部での不正においては、会計の不正や横領・贈賄などの財務に関する不正が多いため、これに対するアドバイザリーもFASの対象領域となります。

決算書やキャッシュフローを確認し、不正の精査と、その後の対応についてのアドバイザリーを行います。

不正の発覚によって、昨年度の決算書の修正などの業務も発生する場合があリます。

このような不正発覚後のイレギュラーな財務関係業務に対してノウハウを活かした支援が行えるのもFASの強みです。

さらに、FAS業界の転職事情や活かせる経験やスキルなど、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2022.05.31

【2023年10月最新】FASへの転職を徹底解説!未経験からFASに転職するためのコツを紹介

3.FASを提供する企業

FASを提供する企業は、所属によって、2つのグループに大別されます。

FASを提供する企業

  • BIG4系FAS
  • 独立系・その他のFAS

それでは見ていきましょう。

(1)BIG4系FAS

Big4系FASでは、同じグループ内に多様な業種が含まれるため、独立系のFASで働くよりも、横の繋がりを活かした柔軟な対応をすることができます。

また、BIG4系のFASは非常に収入が高い傾向にあるので、収入アップを目指す方にはお勧めの転職先と言えます。

BIG4系FASに向いている人

  • 大規模な案件に関わりたい方
  • チームの中で働きたい方

(2)独立系・その他のFAS

これには、独立系のFASや、監査法人・税理士法人に属するFASが含まれます。

独立系のFASでは、会社自体が比較的小規模であるため、様々な業務に早いうちから触れることがき、多くの経験を積めるというメリットがあります。

また、独立系FASでも、高いポジションにつきやすいところでは、Big4で働く同年代よりも高い年収が期待できる場合があります。

独立系FASに向いている人

  • 高いポジションで案件に関わりたい方
  • 早めに様々な業務に携わって経験を積みたい方

FAS業界の代表企業について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2022.05.31

【2023年10月最新】FASへの転職を徹底解説!未経験からFASに転職するためのコツを紹介

4.FASの年収

ポジションによって収入が大きく増減するのも、FASの特徴の1つで、アソシエイトで年収が700〜900万円、マネージャーが1300〜1800万円、パートナーが2000万円以上と言われています。

BIG4系のFASでは平均すると30歳頃で700〜900万円の給与を提示される場合が多く、BIG4系FASの1つであるKPMG FASでは、全体の平均年収が1200万円前後であると公表されています。

厚生労働省調査による公認会計士全体の平均年収が992万円であることを考慮すると、収入の向上という面でもFASはベターな転職先であることがわかります。

5.FASで役立つスキル・経験

ここでは、FASへの転職・就職活動を行うにあたって重視されるスキルや経験を解説します。

FASで役立つスキル・経験

  • 財務に関する知識
  • コンサルティング業界での経験

(1)財務に関する知識

これまで解説したように、FASでは財務・税務に関わる業務がほとんどです。

例えば、バリュエーションで用いられる企業価値評価の手法は公認会計士の資格試験範囲内で、勉強した内容がそのまま活用できるほどです。

このように、財務・税務と密接に関わるFASでの業務において、会計士や税理士などの財務に関する経験は非常に役立ちます。

(2)コンサルティング業界での経験

FASは財務についての助言を業務の中心に据えたコンサルティングファームです。

他のコンサルティング会社と同様、クライアントとなる企業の意向を汲み取り、適切な助言をすることが求められます。

そのため、同様にクライアントファーストで活動するコンサルティング業界での経験は非常に重宝されます。

まとめ

この記事では、FASとは何であるのか、そしてその業務内容はなにか、について細かく解説しました。

FASは、その強みを活かして財務面で企業をフォローするだけでなく、PMIなど、運営自体にも関わる総合的なアドバイザリーサービスです。

業務の内容が多岐にわたっているため、幅広いスキルが要求されますが、働く上での成長や、貴重な経験が得られることも間違いありません。

「FASの業務に魅力を感じた」
「自分のスキルがFASで活かせそう」

と感じた方は、FASへの転職・就職を検討してみてはいかがでしょうか。

FAS業界について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2022.05.31

【2023年10月最新】FASへの転職を徹底解説!未経験からFASに転職するためのコツを紹介

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