FASから転職する場合はどんな選択肢がある?転職成功までのステップもご紹介
「FASで働いているが、キャリアアップのために転職を検討している」
「現在のFASでの業務に不満があり、転職を考えている」
ポジティブ・ネガティブ問わずさまざまな理由で、FASからの転職を考えている方は多いでしょう。
FASは高い会計・財務の知識やコンサルティングスキル、ビジネススキルが求められる職業です。
FASで培った知識や経験を活かせば、さらなるスキルアップや年収アップをねらった転職ができるでしょう。
今回は、FAS出身者の目的別の転職先や転職を成功させるためのステップなどをご紹介します。
現状のFASでのキャリアを見直したいという方はぜひ参考にしてください。
1.【パターン別】FASからの転職先
FASから転職する目的は人それぞれでしょう。
ここでは、以下の3つのパターンに分けてそれぞれ適した転職先をご紹介します。
- 年収を重視する場合
- 現在の業務との親和性を重視する場合
- 働き方を重視する場合
それぞれ1つずつ説明していきます。
(1)年収を重視する場合
FASから転職するにあたって年収アップを叶えたい場合は、以下の2つが一般的な候補としてあげられるでしょう。
- PEファンド
- 投資銀行
それぞれ詳しくご説明していきます。
#1:PEファンド
PE(プライベート・エクイティ)ファンドとは、潜在的な成長力を活かしきれていない企業に投資し、企業価値を高めたのちにイグジット(M&A、IPO)して資金を回収するビジネスを行う会社を指します。
経験豊富な数十名のプロフェッショナルで構成される少数精鋭の企業が多数を占め、平均年収は800~2,000万円と非常に高い水準です。
会社の規模や自身のポジションにもよりますが、FASからの転職により数百万円の年収アップも期待できるでしょう。
また財務分析や会計知識全般、財務モデリングスキルなどFASで培ったスキルを活かしさらなるキャリアアップも図ることもできます。
代表的なPEファンドは以下のとおりです。
#2:投資銀行
投資銀行とは、有価証券の発行や発行された有価証券の取り扱いのサポートを行い、企業を金融・財務面から支援する会社です。
転職の難易度が非常に高いと言われますが、FASで得られるM&A関連の専門的知識や経験を活かせる職業といえるでしょう。
投資銀行の平均年収水準も900~1,300万と高く、転職時のポジション次第では数百万円の年収アップも期待できます。
また投資銀行は証券業の一種であり、FASではできなかったクライアントへの直接の資金調達サポートなどができるため業務の幅も広がるでしょう。
代表的な投資銀行は以下のとおりです。
(2)現在の業務との親和性を重視する場合
現在のFASでの経験をフルに活かした転職をしたい場合は、以下のような企業がおすすめでしょう。
- 同業他社
- コンサルティングファーム
それぞれ詳しくご説明していきます。
#1:同業他社
FASにもさまざまな会社があるため、同業他社に転職するのも立派な選択肢の1つとなります。
たとえばBig4系であれば、大規模なクロスボーダー案件を扱うことが多いため、大きな金額を動かしたいという人におすすめです。
一方で中堅系や独立系のFASは、特定の領域に特化していてクライアントと近い距離でサポートを行えるという特徴があります。
今後どのように業務の幅を広げたいか、どの観点からクライアントにアプローチしたいかなどによって合う企業は異なるでしょう。
- PwCアドバイザリー合同会社(Big4系)
- デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社(Big4系)
- GCA株式会社(独立系)
#2:コンサルティングファーム
FASも財務・会計面におけるコンサルティング業務であるため、一般的なコンサルティングファームでもその経験や知識をフルに活かせるでしょう。
昨今では専門性を持ったコンサルタントのニーズが高まっており、M&A分野や財務・会計のスペシャリストとして収入をアップさせた転職も可能です。
コンサルティングファームも規模や扱う領域はさまざまなので、自らのキャリアビジョンに沿った会社を選びましょう。
- KPMGコンサルティング株式会社(Big4系)
- デロイトトーマツコンサルティング合同会社(Big4系)
- PwCコンサルティング合同会社(Big4系)
(3)働き方を重視する場合
FASは一般的に激務と言われますが、よりワークライフバランスの保てる働き方を目指す場合は「事業会社」への転職がおすすめです。
事業会社とは、モノやサービスといった商品を作る事業を行って利益を得ているメーカーや商社、小売など全般を指します。
FASでは残業時間が60時間を超えることはざらにありますが、事業会社では定時で帰れることも多く、繁忙期でも20~40時間程度のところが一般的でしょう。
働き方の柔軟性が高まるだけでなく、異なる視点から見たビジネスを経験でき、財務・会計のスペシャリストとして企業の財務部やM&A業務につけば年収アップも期待できます。
事業会社にはさまざまな業界が含まれますが、日本における代表的な企業をあげると以下のとおりです。
2.次の職場に求めるものは?代表的な転職理由4選
転職に失敗してしまう例として、先のことをよく考えず衝動的に転職したことや、自分の意志を持たずエージェントの言われるがままに転職を決めてしまったことなどがあります。
こうした失敗を避けるためには、転職活動を始める前に自分は次の職場にどのようなことを求めるのかを検討しておかなければなりません。
ここでは、明確に意思をもって転職する人はどのような理由でFASを離れるのか紹介します。
ぜひ参考にして、自分はどれに当てはまるのか、または当てはまらないのかをじっくり考えてみましょう。
- 収入アップを目指したい
- より幅広い業務に携わりたい
- 事業サイドでの経験を積みたい
- ワークライフバランスを改善したい
それぞれ1つずつ説明していきます。
(1)収入アップを目指したい
FASも世の中の平均的な職業と比べれば、非常に給与水準の高い職業といえます。
しかし高い専門性を持ち豊富な経験を持つ人材であれば、さらなる年収アップも期待できるのです。
若いうちにハードワークをこなして稼ぎ、将来起業をしたり早めのリタイアをしたい場合などは、年収アップを目指した転職がおすすめです。
ただし、その分求められるレベルや責任などは高くなるため、対応できるスキルや経験が必要でしょう。
(2)より幅広い業務に携わりたい
FASは主にクライアント企業のM&Aに関わる業務に従事しますが、もっと幅広い業務に携わりたいと考え転職する方もいます。
たとえば投資銀行に行くと、財務・税務のアドバイスだけではなく金融機関という立場から直接的な資金調達の業務ができるようになります。
また事業会社の財務部に行けば、業界周辺の知識や会社の提供する製品やサービスについて学ぶことで、新たな知見を得られるでしょう。
どんなビジネスにも会計・財務の知識は欠かせないものなので、FASでの経験はさまざまな業界で活かされるのです。
(3)事業サイドでの経験を積みたい
事業会社の「サポート」をする立場で仕事をしているうちに、実際に事業サイドに身を置いてみたいと考える方も少なくありません。
FASと事業会社どちらにおいても、企業の利益拡大のために問題を発見し解決していくというビジネスプロセスは同じです。
ただし、内部の資本を使って会社を動かしていくことと、外部からアドバイスを行って内部の人を動かすのでは必要な視点や知識が異なることは明白です。
新しい視点に立って経験を積みたい場合は、業界をがらっと変えて挑戦するのもよいでしょう。
(4)ワークライフバランスを改善したい
FASは精神的にも体力的にもタフさを要する職種です。
体力に限界がきてしまった、家族ができてもっとプライベートの時間を充実させたいなど、働き方を改善するべく転職を検討するパターンも多くあります。
年収レベルの維持は難しいかもしれませんが、会計・財務のスペシャリストの市場価値は非常に高いです。
今までの経験を活かしつつ、柔軟な働き方を実現できる企業の選択肢は多いでしょう。
3.FASからの転職を成功させるまでのステップ
ここまでFASからの転職について説明してきましたが、転職を成功させるためにはどのようなステップを踏むべきなのでしょうか。
FASからの転職を成功させるまでのステップを3つご紹介します。
- 自分のスキル・経験を洗い出す
- 転職にあたって優先したい事項を決める
- プロの転職エージェントに相談する
それぞれ1つずつ説明していきます。
(1)自分のスキル・経験を洗い出す
転職を検討しはじめたら、まず自分の現在有しているスキルや経験を漏れなく洗い出しましょう。
資格や経験したプロジェクト、昇格の流れなどを時系列で並べ、それぞれのフェーズでどんなことを得たのか具体的に書き出してみます。
FASから転職する場合、会計・財務について知識やスキルを有していることは、転職を希望する企業もある程度理解しているはずです。
したがって、会計・財務のスペシャリストであることに加えて、プラスアルファでどんな魅力を持っているのか伝える必要があります。
転職先の企業で活かせることや挑戦したいことを語るうえでも重要な要素となるため、入念に洗い出しておきましょう。
(2)転職にあたって優先したい事項を決める
スキルや経験の洗い出しが終わったら、転職先に求める優先事項を決めます。
FASを転職しようと思い立った理由ともつながりますが、上記で述べたことを参考にして自分はなぜ今回転職をするのかの軸をしっかり持っておきましょう。
世の中にある企業の数は限られており、さらに求人を出している企業はそれよりも少なくなるので、たくさんの希望を一気に叶えることは困難です。
複数の事項があったとしても、優先事項を付けておくようにしましょう。
たとえば、年収アップは絶対に譲れないが企業の規模は今より小さくてもよい、労働時間が減るならば年収は○○万円まで下がってもよいなど、具体的に決めておくとスムーズに転職活動が進められます。
(3)転職エージェントに相談する
ある程度自分の中で転職の方向性が決まったら、転職エージェントに相談することをおすすめします。
転職成功のためには、転職市場や業界・企業についての情報をいかに収集できるかがカギになります。
業界に精通した転職エージェントを活用することで、以下のようなメリットが得られるでしょう。
- 最新の転職動向や企業の採用事情を知れる
- 一般には非公開の求人と出会える
- 企業の内部事情を知れる
利用はすべて無料のため、情報収集をかねて一度相談してみるとよいでしょう。
まとめ
FASを離れる理由は人それぞれで、転職先の候補としてもあらゆる選択肢が考えられます。
それは、FASで得られる知識や経験がいかに専門性・希少性が高いかを表しているでしょう。
FAS培ったスキルなどを存分に活かし、新たな場所で活躍している方は大勢います。
ぜひ、どのような転職先が自分に向いているのかじっくり検討してみてください。
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