FASでのFA業務はどんなもの?転職のために必要なスキルも公開
「FA業務に従事したいのでFASの業務内容が気になる」
「転職するのにおすすめのFASが知りたい」
FASのFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)について具体的に知りたいとお悩みではないですか?
当記事では、FASのFA業務について、またそれ以外の業務について詳しくお伝えします。
FASに転職するために必要なスキルや転職におすすめのスキルまで言及していますので、ぜひ参考にしてください。
本記事の前に、FASの基本情報について、より詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。
1.FASのFA業務について
FASのFA業務は5つです。
1.M&Aアドバイザリー
2.バリュエーション
3.デューデリジェンス
4.PMI
5.企業・事業再生アドバイザリー
以下でご説明します。
(1)M&Aアドバイザリー
M&Aアドバイザリーは、M&A戦略の立案からディールのアドバイスやマネジメントを行う業務です。
実際にクライアント企業とコミュニケーションを取りながら、クライアントの利益を最大化するためにM&Aを行います。
1.買収・売却価格
2.相乗効果や条件設定
M&Aを行うときの価格に対して、買収側はある程度決まった予算があるため、買手側のM&Aアドバイザリーはその予算内に収まるように交渉を行います。
対して売り手側のM&Aアドバイザリーはできるだけ多くの利益を創業者に渡すため、売却価格が高くなるように交渉を進めることが仕事です。
また、買い手側のM&Aアドバイザリーは企業を買収することで自社の事業との相乗効果が狙い、売り手側は売却後の条件設定を行ってクライアントの従業員の継続雇用などを叶える企業を探しすなど、立場によって業務が少しずつ異なります。
(2)バリュエーション
バリュエーションとは、企業価値評価のことで、投資価値を計算する一連の手続きのことを指します。
投資判断を論理的に説明するうえで、企業価値評価の数値は大いに説得力を持つものです。
バリュエーションを行うタイミングは以下の3回です。
1.基本合意契約の締結前
2.最終契約交渉前
3.意思決定の前
バリュエーションは、M&Aで売るか買うかの意志決定における大きな指標となるため、それぞれ契約や決定フェーズの前に行われます。
(3)デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、M&Aを行う前に対象企業の事業・財務・法務などについて調査を行い、買収対象企業の資産査定や潜在リスクを洗い出すことです。
この結果により、バリュエーションで評価された買収価格が本当に適正かどうかを判断します。
潜在リスクは多岐にわたるため、デューデリジェンスの種類も多いです。
1.財務デューデリジェンス
2.税務デューデリジェンス
3.ビジネス(事業)デューデリジェンス
FASの業務では上記3点が主なデューデリジェンスの種類です。
デューデリジェンスが適正に行われなかった場合はクライアントの不利益になることもあるため、こちらも重要な業務と言えます。
(4)PMI
PMIとは「ポスト・マージャー・インテグレーション」の略で、M&A成立後の統合プロセスのことを指します。
経営統合による双方の利益を最大化するために、新組織体制の下で長期的成長を支えるマネジメントの仕組み作りおよび企業価値の向上を推進させることが業務です。
日本でPMIがしっかりと行われた例は決して多くないものの、M&Aの相乗効果を得たい場合は適切な実施が欠かせません。
専門家の協力を得ながら、FA業務としてPMIを行いましょう。
(5)企業・事業再生アドバイザリー
企業・事業再生アドバイザリーの業務は経営状況が厳しい企業の支援です。
具体的には経営状況が悪化した企業に関して事業計画の策定から銀行との融資交渉が主な業務となります。
以前は業績の悪化から私的再生を進めることが一般的でしたが、近年では不祥事などによる危機対応の依頼も多くなっているようです。
2.FA業務以外のFASの仕事内容
FASではFA業務以外の他の業務にも携わることがあります。
1.不正調査(フォレンジック)
2.経営戦略・高度化
以下でご説明します。
(1)不正調査(フォレンジック)
フォレンジックとは会計不正や情報漏洩、企業不祥事を調査ならびに予防するためのサービスのことです。
BIG4系FASなど大きなファームであれば50名~100名程度で構成され、構成員は会計士のほかSEやAIなどのIT関連の専門家もいます。
フォレンジック調査を行うためにはシステムログの痕跡調査などが行われるため、IT専門家との連携は必要不可欠となっているのです。
監査法人で監査経験のある人は決算スケジュールや内部統制の構築、知見遡及修正に関する知見が強みとなる為、フォレンジックにおいて非常に高く評価される傾向があります。
(2)経営戦略・高度化
FASでは財務の専門性を生かし、企業に対して経営戦略や高度化に対する提言サービスを行っています。
企業の再編やグループ会社のマネジメントなどが具体的業務です。
高齢化やグローバル化、テクノロジーの発展などにより、企業はビジネスの価値を高める「高度化」が求められています。
さらに、FASの業務内容や身につけられるスキルなど、より詳しく知っておきたいという方はこちらもご覧ください。
3.FASに転職するために必要なスキル
FASのFA業務とそれ以外の業務について説明してきましたが、ここからはFASに転職するために必要なスキルを見ていきましょう。
1.ファイナンススキル
2.ビジネス英語
3.コンサル経験
以下でご説明します。
(1)ファイナンススキル
FASは主に財務に特化した仕事内容を行うファームのため、財務・会計に関する基礎知識や考え方であるファイナンススキルは必須です。
公認会計士の資格を持っていたり監査法人で働いていた方は、その時の経験がFAS内で業務を行うのに役に立ちます。
FASへ転職することで、きっと将来のためのスキルアップになるでしょう。
(2)ビジネス英語
ビジネス英語は必須にしていないFASもありますが、あると転職に有利です。
TOEIC850点以上がひとつの目安になるでしょう。
近年海外の会社がM&Aの相手方になるクロスボーダー案件も多く、海外拠点とやりとりのあるファームでは、ビジネス英語が必須となります。
現在応募条件に英語力を求めていないファームであっても、今後条件として追加される可能性があるため、日々英語力を鍛えておくことが重要です。
(3)コンサル経験
3つ目はコンサル経験で、コンサル経験を持つ人は、切り口を財務にシフトチェンジしてFASで応用可能です。
FASとコンサルファームは似ているようで少し違います。
コンサルファームは幅広い範囲の手段も解決策として用いる一方で、FASは財務のスペシャリストとして、クライアントの課題解決に財務の面からアプローチします。
クライアント企業へのヒアリングや調査はコンサル時代と同じ手法で問題ないため、即戦力として採用される傾向があります。
4.転職におすすめのFAS
記事を読んで頂いた方で、実際に転職するのにどこのFASが良いのか疑問に思った方は、以下をご覧ください。
FASは、主に2つに分類されます。
1.BIG4系FAS
2.独立系FAS
それぞれの特徴をご説明します。
(1)BIG4系FAS
BIG4系FASは4大監査法人である、有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwCあらた有限責任監査法人、のグループに属しているFASを指します。
案件数、売上げ等が大きく、業界トップの座に君臨する存在です。
独立系FASに比べ大きなクライアントの業務に携わることができ、幅広い案件に従事できますので、転職することで様々なスキルが身に着く可能性があります。
(2)独立系FAS
もう1つは、独立系FASと呼ばれるFASです。
少数精鋭体制で専門性の高いサービスを提供できます。
代表がBIG4監査法人やFAS、大手証券会社出身というところも多いため、BIG4系FASと遜色ないスキルを持ちつつ、BIG4系FASに比べ自分の裁量権が大きいのが特徴です。
まとめ
この記事ではFASのFA業務はどんなものがあるかについて紹介しました。
FA業務とFA業務以外の仕事内容について見識を深めて転職活動を行いましょう。
FASに転職するのにあたり、転職におすすめのFASを2種類に分けてご紹介しましたので、ぜひ参考にしてください。
本記事を読んで、FASへの転職に向け、転職事情や転職成功のコツなど、より詳しく知っておきたいという方はこちらをご覧ください。
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