銀行からの転職は難しい?評価される能力や人気の転職先、転職成功の4つのポイントを解説
「銀行員の仕事ではなく他の仕事にもチャレンジしたい」
「銀行員は金融業界以外にも転職は可能なのか?」
銀行や銀行員は他の業界や業種と比較しても社会的信頼度が高く、堅実性や安定性をイメージする人も多いかも知れません。
しかし、意外にも銀行員からの転職を検討する人も多く、転職後は保有しているスキルや資格、経験を活かして他業界で活躍している人も少なくありません。
そこでこの記事では、銀行員の転職動向と合わせて、評価される能力や人気の高い転職先、さらに転職を成功させるための4つのポイントについて解説します。
現在、転職を検討されている銀行員の方は、他の人のケースや評価される能力等の情報がきっと参考になるはずです。
1.銀行員の転職動向について
まず、銀行員の転職動向について解説していきます。
- 銀行員の主な転職理由
- 銀行員はどのような能力が期待・評価されるのか?
- 他業界・他業種への転職も可能か?
順に見ていきましょう。
(1)銀行員の主な転職理由
まず、銀行員がなぜ転職を考えるのか、その理由について見てみましょう。
- 企業体質や年功序列制が合わない
- ノルマやストレス・プレッシャーが厳しい
- 人間関係が複雑
- 転勤が多い
- 努力や成果が給与に反映されない
- 銀行業界の将来性に不安がある
- キャリアの幅を広げたい
銀行員からの転職を考える理由として、銀行の体質や伝統、風土や制度、将来性など企業や業界に対する不満や不安を挙げている人も少なくありません。
しかし、最近では銀行で培った経験やスキルを活かし、ビジネスパーソンとして更に成長するために新たな活躍の場を求めたいと考えて転職を検討する人も増えているようです。
(2)銀行員はどのような能力が期待・評価されるのか?
銀行員は、社会的な信用度が高いだけでなく、ビジネスパーソンとして役立つ以下の能力を保有していると期待・評価されることから、転職市場でも人気が高くなっています。
- 金融知識
- 営業スキル
- ヒアリング力
- 語学力
- 各種資格
上記の能力は銀行員の仕事をしているうちに身についているものも多く、自分では”当たり前”と思っている人も多いのですが、それが他業界では高く評価されるケース多いです。
転職活動で重要な強み・武器となるため、改めて確認しておきましょう。
#1:金融知識
1つ目の能力は、金融知識です。
お金のプロである銀行の仕事に携わってる銀行員には自然と身についていく金融知識ですが、専門性の高さから他業界・他職種では高く評価され、その金融知識を求められることも少なくありません。
金融知識は、経理・会計の仕事だけでなく、企業経営にも大きく関わる知識のため、銀行出身者だからこその強みとして転職活動時にしっかりアピールしましょう。
#2:営業スキル
2つ目の能力は、営業スキルです。
銀行業務の中には法人や個人を相手に金融商品を販売する金融営業があります。
金融商品という無形商材の販売難易度は有形商材と比べると高いといわれており、銀行の営業職で高い実績を残している人は非常に有能な営業マンとして一目置かれています。
特に、銀行の営業経験をそのまま活かせる事業会社などの法人営業や個人営業(リテール)の業務では金融営業経験者は積極的に採用されています。
#3:ヒアリング力
3つ目の能力は、ヒアリング力です。
様々な銀行業務の中でも、人を相手にする金融営業やバックドア(窓口)業務など接客の業務が入る仕事では、顧客の話に耳を傾けることができるヒアリング力が不可欠であることから、人の話をしっかり聞く姿勢や上手に聞き出す力が磨かれます。
他業界でも顧客との折衝が多くなる業務では高いヒアリング力を持つ銀行出身者は高く評価されています。
#4:語学力
4つ目の能力は、語学力です。
銀行の業務で外貨を取り扱う場合や海外の顧客の応対をしなければならない場合も増えており、ビジネスレベルの英語力を保有している銀行員も増加傾向にあります。
他の業界でも海外進出する企業や外国籍の人材を採用する企業も増えていることから、語学力の高い銀行出身者は高く評価されます。
特に、外国語が必要になることも多い大企業やコンサル、M&Aなどの業界では、TOEICスコア750程度の語学力を求められることも多いため、語学力に自信のある人は大きなアピールポイントとなります。
#5:各種資格
5つ目の能力は、各種資格です。
一般的に、銀行員は、銀行業務に携わる上で必要となる証券外務員資格や銀行業務検定などの資格に加えて他の資格も取得している人が多いです。
中でも転職市場で評価されるのが以下の資格です。
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- 簿記
- 税理士
- 公認会計士
- 経営士
- 中小企業診断士
- 社会保険労務士 など
株式や投資信託、債券といった金融商品を販売するために必要である証券外務員資格や、金融商品を販売する上で必要な実務知識を有することを証明する銀行業務検定は証券会社などの銀行以外の金融関連の仕事で評価されます。
他にも、M&A業界やコンサル業界などでは企業の財務状況や経営状態などを読み取るために必要な簿記や税理士、公認会計士、中小企業診断士などの資格があることで有利に働くケースも少なくありません。
(3)他業界・他業種への転職も可能か?
銀行員から他業界・他業種への未経験での転職は十分可能です。
お金を扱う仕事に就いている銀行出身者への社会的な信頼度は高く、さらにビジネスパーソンとしてのマナーや常識、各種能力・資格も備えていることから、他業界・他職種でも即戦力として期待され採用されるケースも少なくありません。
年代別に見てみると、ポテンシャル採用されやすい20代前半の第二新卒と言われる年齢でも銀行出身者の人気は高く、未経験の業界でも採用されるケースも多いです。
また、20代後半からは、事業会社での経理関連の仕事や営業の経験など職歴・スキルが生きる業界・職種で即戦力として採用されやすく、さらにマネジメント経験の豊富な人材は将来の管理職候補として高いポジションで採用されることも珍しくありません。
30代以降になると、専門的な金融・財務・会計スキルに加えて、管理能力やリーダーシップを確実に求められるようになるため、銀行内での実績をまとめておくと良いでしょう。
2.銀行出身者から人気の高い業界・職種
銀行出身者からネクストキャリアとして人気が高い業界・職種を見てみましょう。
- 金融業界
- 他業界の営業職
- コンサルティング業界
- M&A業界
- ファンド業界
どの業界・職種も、銀行出身者の能力やスキル、資格を十分に活かして即戦力として活躍しやすいものばかりです。
今後のキャリアプランも考えて選択肢の1つとして考えてみることをおすすめします。
(1)金融業界
1つ目の業界・職種は、金融業界です。
銀行で培った経験やスキルをそのまま活かせる証券会社や保険会社などの同業界では、転職後に業務に適応しやすく、即戦力として活躍しやすいため、銀行出身者に人気の高い業界となっています。
転職によって劇的な変化が出るのを好まない人、そのままスキルを活用して活躍したい人に人気です。
(2)他業界の営業職
2つ目の業界・職種は、他業界の営業職です。
銀行で金融商品を販売する法人営業・個人営業を行っていた営業職経験者はもちろんのこと、バックドア業務で顧客対応の経験がある人も、営業の仕事との親和性が高く、経験を活かして活躍する人も少なくありません。
営業の仕事は、業界によっては高いインセンティブが得られるため、高年収を狙う人におすすめです。
(3)コンサルティング業界
3つ目の業界・職種は、コンサルティング業界です。
コンサルの仕事は、経営課題を抱える企業をコンサルティングによって支援する仕事です。
銀行出身者はお金のプロとして企業の経営者等に有益な提案をできることが多く、コンサルティング業界でも銀行出身者を積極的に採用していますが、中でも引く手あまたなのが経営者層との折衝経験が豊富な法人営業経験者です。
コンサルティング業界は徹底した成果主義であり、年収も高水準であるため、自分の能力を活かして高年収を得たいという銀行出身者に非常に人気が高いです。
(4)M&A業界
4つ目の業界・職種は、M&A業界です。
M&Aを支援するM&A業務に欠かせないのが、企業を経営・財政面から判断するスキルや知識です。
銀行出身者がお金のプロとしてこれまで培ったスキルや知見を余すことなく活かすことができる仕事としてM&Aを選ぶ人も少なくありません。
また、M&A業界も成果主義・高年収であるため、熱心に業務に打ち込み、十分な報酬・ポジションを得たいという人から人気となっています。
(5)ファンド業界
5つ目の業界・職種は、ファンド業界です。
複数の投資家から集めた資金を用いて投資を行いそのリターンを分配するファンドの仕事では、投資検討先のバリュエーション(企業価値評価)などを行うため高度な金融知識や経営知識が求められます。
ファンド業界も成果主義・高年収となっており、銀行出身者の中でも特にメガバンク出身者から人気が高い業界となっています。
3.銀行からの転職を成功させるための4つのポイント
最後に、銀行出身者が転職を成功させるために確実におさえておきたい4つのポイントを解説します。
- 様々な金融知識やスキルを活かせる業界を狙う
- キャリアプランを考えて業界・職種を選択する
- 転職先の年収・福利厚生を確認する
- 転職エージェントを利用する
銀行員のキャリアを活かして新たな仕事へチャレンジしたいと思っている人は、満足のいく転職を成功させるために、この4点を踏まえて転職活動を始めましょう。
(1)様々な金融知識やスキルを活かせる業界を狙う
1つ目のポイントは、様々な金融知識やスキルを活かせる業界を狙うことです。
銀行出身者は金融に関する商品やサービスの専門家として各種金融知識やスキルが身についています。
その知識や培った経験、取得した資格を活かすには、銀行で行っていた仕事と親和性が高い業界や職種を選ぶことが不可欠です。
即戦力として採用されれば年収水準を落とすこともありませんし、早期に成果を上げて年収や職位アップも期待できることでしょう。
(2)キャリアプランを考えて業界・職種を選択する
2つ目のポイントは、キャリアプランを考えて業界・職種を選択することです。
銀行員は、ビジネスパーソンに必要なビジネスマナーに加えて金融関連の専門的な知識や経験を保有した人材として転職市場でも評価が高く、転職先の選択肢も豊富でセカンドキャリアを築きやすいといわれています。
選択肢が豊富だからこそ、今後、自分がどのようなキャリアを築いていきたいか、どんなビジネスパーソンを目指しているかが重要になります。
自分の将来を見据えてキャリアプランに基づいて転職先を選ぶようにしましょう。
(3)転職先の年収・福利厚生を確認する
3つ目のポイントは、転職先の年収・福利厚生を確認することです。
銀行は年収が高水準であるところが多く、東京商工リサーチ「2022年度銀⾏の年間給与」調査によると、2022年度の業界の平均年収は、全体で平均年収は617万8000円、大手銀行で793万4,000円、地方銀行で631万6,000円、第二地銀で548万2,000円となっています。
また、福利厚生が充実しているのも銀行の大きなメリットです。
従来の給与水準を維持あるいはそれ以上の給与を得られる業界や銀行と同水準の福利厚生を用意している企業はそれほど多くはありません。
そのため、転職前に待遇などについてはしっかりと確認しておくことをおすすめします。
(4)転職エージェントを利用する
4つ目のポイントは、転職エージェントを利用することです。
銀行の仕事で得たスキルや経験など自分の価値を明確化・可視化することが転職を成功させる大きなポイントです。
しかし、客観的な自己分析を自力で行うことは困難である場合が多く、企業が求める人物像に対してうまくアプローチができない可能性もあります。
転職のプロであるキャリアアドバイザーと共にスキルの棚卸や自分の市場価値・強みの把握などを行うことで、効率的に転職活動を進めることが可能になります。
また、転職エージェントでは多くの非公開求人を保有しており、その人のスキルや経歴、個性に合ったとっておきの求人を紹介してくれるだけでなく、選考対策や段取り・調整・交渉まで行ってくれます。
今の銀行の仕事を続けながら、無理なく転職活動がすすめられるのも大きなメリットです。
ぜひ銀行からの転職を考えているなら、転職活動に伴走してくれる転職エージェントを活用しましょう。
まとめ
社会的信頼度が高く、ビジネスパーソンとしての基礎や様々な専門スキルを身につけている銀行出身者は、転職市場でも評価が高くなっており、他業界・他職種への転職はそれほど難しいものではないと言われています。
選択肢も豊富なことからセカンドキャリアをどこで築くか迷ってしまう人も多いのですが、今回解説した評価される能力や人気の業界・職種を参考にすれば、自分をさらに活かせる転職先を見つけることができることでしょう。
その際は、有益なアドバイスやサポートを提供してくれる転職エージェントもぜひご活用ください。
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